「岡山から目指せJ」ファジアーノ岡山が5クラブ目のJリーグ準加盟認定。地域リーグ所属クラブでは初。

SH772007-08-23

関連エントリーはこちら。http://d.hatena.ne.jp/SH77/20070704#1183533916に。
8月21日に開かれたJリーグ理事会にて、中国リーグ所属のファジアーノ岡山のJリーグ準加盟クラブ入りが承認されました。J準加盟に必要な諸条件とこれに対するファジアーノ岡山の対応に関しては、上記の関連エントリーにまとめてあります。
まだまだ全国地域リーグ決勝大会突破、JFL4位以上と成績条件はあるものの大きな前進監督ですよね。草津と縁深い手塚聡監督と梁圭史コーチ、選手と関係者、なによりサポーターの皆さん、おめでとうございます。詳しくはJリーグ公式のニュースリリース8月21日付より。
http://www.j-league.or.jp/release/000/00001950.html

●Jリーグ準加盟審査結果について
リーグは本日(8月21日)の理事会で、ファジアーノ岡山のJリーグ準加盟申請について審議した結果、同クラブのJリーグ準加盟を承認いたしました。ファジアーノ岡山は、ロッソ熊本栃木SCガイナーレ鳥取FC岐阜に続く5番目の準加盟クラブですが、地域リーグ加盟クラブとしては、初の準加盟認定となります。

リリースでは上記に続いてクラブ概要が示されましたが、ここでは法人データは割愛して、ホームタウンとホームスタジアムについて。以下のように発表されました。

ホームタウン(予定) 岡山市倉敷市津山市を中心とする岡山県全県
ホームスタジアム 岡山県総合グラウンド陸上競技場(愛称「桃太郎スタジアム」)

ホームタウンについては(予定)と記されていますが、これはおそらくまだ岡山県下の全市町村から承認の書類を受け取っていないためだと思われます。ザスパ草津のホームタウンはご存知のとおり「群馬県草津町前橋市を中心とする全県」ですが、これには草津町前橋市はもちろん、群馬県下の全市町村から承認を得たそうですからね。*1そしてホームスタジアムはJ1規格を満たす桃太郎スタジアムに。桃太郎スタジアムは理事会の先立って行われた、準加盟審査の現地視察でも高評価を得たそうです。山陽新聞8月10日付より。
http://www.sanyo.oni.co.jp/kikaku/soccer/fagi/news/2007/20070810.html

ファジアーノ岡山 準加盟申請 21日、理事会で結論
ファジアーノ岡山中国サッカーリーグ)のJリーグ準加盟申請(7月)を受け、Jリーグの視察団が9日、岡山を訪れ現地調査を行った。競技場などの施設や地元自治体の支援状況を把握、21日のJリーグ理事会で審議し結論を出す。
(中略)
Jリーグの佐々木一樹常務理事、傍士銑太理事ら3人が来岡、ファジアーノの木村正明社長、岡山県サッカー協会の藤原啓会長、尾崎健治専務理事らが同行した。練習場として岡山市から借りている神崎山公園陸上競技場や桃太郎スタジアム(同市)を視察した佐々木常務理事は「練習場は使い勝手が良さそうで、(ホームとなる)スタジアムも素晴らしい。今後、活動拠点となるチーム独自の練習場ができれば申し分ない」と指摘した。
その後、県庁で石井正弘知事と面談。「スポーツへの関心は高まっており、県としてもできる限り支援する」と石井知事は述べた。一行は岡山、倉敷両市役所も訪れた。
(後略)

スタジアム施設の素晴らしさに加えて、山陽新幹線や在来線のターミナルステーションである岡山駅から徒歩で通えるアクセスの良さも桃太郎スタジアムの強み。中国地方はもちろん関西、四国、九州といったアウェイサポから見ても「行きやすいアウェイ」になるので遠征サポの集客も見込めるのないでしょうか。
話を戻して。J準加盟承認の報道で諸条件について詳しく触れたのはさすが地元紙の山陽新聞岡山日日新聞の8月22日付。両記事の注目部分を抜粋します。
http://www.sanyo.oni.co.jp/kikaku/soccer/fagi/news/2007/20070822.html

ファジアーノ岡山 Jリーグ準加盟 10年までの参入目指す
(前略)理事会は現地調査結果などを審議し、施設や財務などが準加盟の基準を満たす、と判断。その上でファジアーノの健闘だけでなく、作陽高の全国高校選手権準優勝や岡山湯郷ベルの全日本女子選手権2位など、岡山県サッカー界全体の盛り上がりを評価。チーム運営会社の木村正明社長の熱意も前向きに受け止められた。
理事会後、会見した鬼武健二Jリーグチェアマンは「J2を目指すには観客数をはじめ有形無形の課題があるが、チームとJリーグ双方が前を向いて頑張っていきたい」と述べた。

http://www.okanichi.co.jp/20070822124248.html

●「ファジアーノ岡山FC」がJリーグ準加盟 
(前略)承認の決め手は、桃太郎スタジアム(同市いずみ町)のハード面の充実、チームへの良好な行政支援、無料試合(7月8日の対佐川急便中国戦・同スタジアム)での9252人動員など地域の盛り上がり。一方、財務・収入面、固定練習場の確保が、課題として指摘されたという。 会見で、木村社長は「無事承認されたのは、皆さんのおかげ。地域に愛されるチームになれるように地域貢献活動を一番大事にして、Jリーグを目指す。準加盟の承認は、入り口に立っただけで、これからの努力が大切」と抱負を述べた。 

桃太郎スタジアムに9252人もの大観客を集めた佐川急便中国戦ですが、その模様がYOUTUBEにアップされていましたので、リンクさせていただきます。
YOUTUBE ファジアーノ岡山−佐川急便中国(その8)

地域リーグの試合ですが、もうJリーグのそれですよね。敷島のメインスタンドもこのくらい埋まればなあ。この観客動員に加えて、行政の支援体制や県下のサッカー熱の高まりが大きく評価されたようですが、やはり運営資金の問題はまだあるようです。ただこれはファジアーノ岡山に限らず「目指せJ」のクラブ全体が抱える問題です。俗な表現ですが「Jリーグに加われなければ、サッカー(の試合)で儲けが出せない」のが現状です。地域やJFLを勝ち抜くにはどうしても複数のプロ契約選手の力が必要になるにもかかわらずです。しかもサッカーは相手のあるスポーツですから、多くのプロ選手を抱えても、必ず希望が達成させるわけではありません。悩ましいところですね。Jに上がるまでは(Jに上がってもですが)どうしてもスポンサーの力が頼りになります。運営資金やスポンサーに関しては、J準加盟後のインタビューで木村社長がコメントされています。山陽新聞8月22日付より。
http://www.sanyo.oni.co.jp/kikaku/soccer/fagi/news/2007/20070822_2.html

ファジアーノ岡山 Jリーグ準加盟 「まずはJFL昇格を」 木村社長に聞く
(前略)
―昨年7月にチームの運営組織を株式会社化し、初代社長に就任。社長の熱意も前向きに受け止められたようだが。
「スポンサー開拓はとにかく会って、こちらの思いを聞いてもらおうとひたすら足を運んだ。その過程で、選手が無料で散髪できるなど支援の輪がどんどん広がった。無理強いは長続きしない。これからも出来る支援をしていただけるよう、汗をかくつもり」
―夢のJリーグ入りに向け、一つハードルを越えた。今後、特に力を注ぐ点は。
「チームの実力を上げること。JFL昇格争いはし烈を極めると思うが、フロントと現場が一丸となって目標をクリアしたい。そして来年JFLに上がれば、平均2・5〜4億円という強化費が必要になる。そのために今まで以上にスポンサー開拓に励む」

関連エントリーのほうで記していますが、ファジアーノのホーム戦で樽募金が行われている記事で「ファジアーノは今季9000万円の運営資金のうち5000万円しかめどがたっておらず、スポンサー集めに苦労している」とありました。今季に地域リーグ決勝大会を突破してJFLに昇格すれば、来季は2.5億から4億円の運営資金が必要とのことですから、多くの困難が予想されます。さらなるスポンサー開拓は大変だと思いますが、今回の準加盟クラブ承認が大きな助けになって欲しいですね。
ファジアーノ岡山とは少し話が逸れますが、Jリーグは将来構想で「2010年にJ2を18クラブに拡大」を目標としています。現在はご存知のとおり13クラブで構成されており、今回のファジアーノ岡山を加えて準加盟クラブは5つになりました。まだ成績条件次第ですが、合計18クラブで当座の席は埋まった形です。2010年以降はさらに22クラブまで拡大すると構想では語っていますが、当座の「残り5席」を賭けて、準加盟5クラブや各地の「目指せJ」クラブの競争が、より熾烈になることが予想されます。またあるクラブの大補強にライバルクラブが対抗せざるを得ず、赤字覚悟の補強合戦、チキンレースに否応なく引きずり込まれる形も考えられます。今季は予防策が張られましたが(大会直前のレンタル移籍では大会に出られない)全国地域リーグ決勝大会の補強合戦は記憶に新しいところです。
ライバルクラブとの競争のために身の丈以上の無理な運営を行ない、その影響でクラブ活動が後退したり、最悪活動停止になったりして、その地域で盛り上がったサッカー機運が下がることが無い様に、Jリーグとサッカー協会が連携して、各クラブへの助言や指導を行うことを期待したいです。
日本のあちこちに急速に拡がる「目指せJ」は、Jリーグの受け入れ態勢、都道府県サッカー協会の対応とサポート態勢などが整わず、追いつかないまでに進んでいると云えると思います。全国の「目指せJ」全てをサポートすることは現実的に難しいでしょうから、まずサポートは準加盟クラブからになってしまうでしょう。しかし出来る範囲から手をうっていかないと。Jリーグの将来構想の発表とJ準加盟制度の構築からこちら、Jと協会は積極的なサポートを行う方向に進んでいます。これからも頑張って欲しいですね。

●参考リンク:ファジアーノ岡山FC公式 クールなデザインのサイトでJ1の公式みたいです。
http://www.fagiano-okayama.com/
●参考リンク:「Jリーグの将来像」PDF形式ですので、開く際にはご注意を。
http://www.j-league.or.jp/pdf/futureofj2_060321.pdf
●参考書籍:Jリーグクラブをつくろう ファジアーノ岡山ほか多数のJリーグを目指すクラブが取材・紹介されています。たびたび紹介させていただいたいていますが、このダイアリーはアファリエイトとかやっていませんし、出版社の回し者でもありませんよ(笑) 「目指せJ」を知る上での基本図書といえるくらいの良書です。

Jリーグクラブをつくろう!

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