ザスパ草津、2008年第1クール総括。

SH772008-05-30

これまた長らくのご無沙汰で申し訳ありません。今季初勝利の第4節愛媛戦の次、第5節の仙台戦から、初の連勝を成し遂げた第15節までの流れを追いながらの第1クールの総括を書いてみたいと思います。

●などと云いつつ、いきなり結論。
一言で云ってしまえば草津の第1クールは、新戦力との慣熟と融合に費やした」と振り返ることが出来ると思います。今季の草津は、昨季の戦い方を継続していくはずでしたが、島田・熊林・チェなどチーム戦術の根幹に係わる部分に入った新加入選手によって「昨季とまったく同じ」とはいかなくなってしまいました。まあ当然なんですけど。
具体的には、昨季の中盤のパスワークの舵取りは秋葉・松下・櫻田のボランチ陣が務め、彼らにボールが集めて左右に展開していくことがチームの「お約束」でした。今季は一列前のSHに06年の司令塔・島田が入ったことによって、昨季になかった「とりあえず島田に預ける」形も多くなり、左右へ揺さぶるパスワークに加えて島田からの早い縦への展開も期待されたものの「今は左右に振りつつ進むのか、島田を軸に早く進むのか」というチーム全体の意思統一が進まず、どっちつかずの組み立てになってしまいました。さらに島田と並ぶ司令塔として期待された熊林でしたが、宮崎キャンプのほとんどをリハビリに費やし、復帰はキャンプの最終盤。チームにフィットするために、かなりの回数の実戦をこなしていかねばならなかったのも誤算でしたね。
また、草津のパスワークのもう一つの「お約束」に、「一方のサイドに相手を引きつけるパスワークから逆サイドのSBへ大きく展開、一気に前進してゴール前へ」がありますが、シーズン序盤の守備の苦戦による守備陣の慣熟と、新加入右SBのチェ・ソンヨンと中盤のパスワークの齟齬と連携不足があり、この「お約束」もなかなか実現できませんでした。こういった「お約束」を再整備するために、第1クールの多くの試合を費やしたと見えます。
攻撃を再整備しつつも勝ち点を積み上げなければなりませんから、前線にロングパスを送るだけのような不本意な戦い方で勝ち点を1づつ積み上げていくような試合も続きました。そんな中で徐々に新戦力がチームにフィット。第1クール終盤には連勝を含む3勝を挙げて、4勝5分5敗で終えることが出来ました。まだまだ課題は多いものの、ようやく07年のチームに+α出来た「08年草津」が形になってきたと思います。大きな課題はまだ3つありますが、それは第5節から第15節までを振り返りつつ、記していきたいと思います。

●2008J2第5節ベガルタ仙台戦 4−5−1ドイスボランチ 
−−−−氏原−−−−:後藤
高田−−島田−鳥居塚:
−−熊林−−松下−−:秋葉・櫻田
寺田−−−−−−佐田:
−−田中−−藤井−−:尾本
−−−−-北-−−−−:本田

第4節の愛媛戦の今季初勝利後の仙台戦。結果は0−1での敗北でした。
ただ内容は横浜FC戦と愛媛FC戦の流れを受けた、かなりの好パフォーマンスで、ボールを大きく左右に振って前進しつつ仙台ゴール前に迫ります。今季の仙台がここ数年と違い、やや守勢から入るチームになっていることもあり、草津の攻撃と仙台のカウンターという形で打ち合いの様相に。今までの仙台戦で最も渡り合った時間帯だと思います。またこの試合、左SHに入ったFW高田が攻めあがる寺田とのコンビネーションでこのサイドの数的優位から攻撃を組みたてましたが、しかし高田がサイドに張りつく代償としてゴール前に詰める人数が減り、試合を優位に進めながらサイド攻撃を活かせないまま前半が終了します。昨季から続く大きな課題セカンドストライカーの不足」が響きました。後半に入ってもまだ草津の攻勢で、CKからの絶好機をCB藤井が逃すとその直後に先制され、その後は足が止まった草津が仙台に押し込まれる形になってしまいました。

●2008J2第6節湘南ベルマーレ戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−−後藤−−:
島田−−−−−−熊林:鳥居塚
−−松下−−秋葉−−:櫻田
寺田−−−−−−チェ:石亀
−−尾本−−田中−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

4月最初のホームゲーム、湘南戦は1−2の逆転負け。この試合は過去3試合と大きく異なり、かなり守備的な組み立てで臨みました。特に前半はチェと寺田の両SBがセンターラインを超えずに、DF陣から前線へのロングパスを多用。このボールを受けるのは後藤でしたが、マッチアップの相手は名CBのジャーン。ほとんど勝負させてもらえませんでした。また田中と尾本のフィード自体が精度を欠いており、ラインを割るか、相手GKに捕らせるか、相手選手に渡すかがほとんどで、攻撃というよりマイボールの返却の様相でした。中盤のパスワークもSBが攻めあがって参加しないため、狭いエリアで繋ぐことを余儀なくされ、まるで機能しませんでしたね。そんな中でも島田を起点としたカウンターから、後半に攻め上がりが増えてきた寺田のフィニッシュで先制するも、その後は攻守ともにどっちつかずのちぐはぐさが見え、終盤にサイドを崩されて、後半途中から出場した相手FWリンコンに2点目をとられて逆転負け。最終盤の猛攻で幸運なPKをロスタイムに得るものの、高田がクロスバーに当ててしまい、引き分けにも持ち込めない残念な結果に。06年の東京ヴェルディ戦@国立で、高田の同点PKの失敗を生で見ていた身からすると、島田か松下が蹴ったほうがと思ってしまいましたねえ。消極的かつ精度を欠く攻撃、先制後の意思統一のなさ、2失点目の形のマズさ、オマケにPKでのぬか喜びと、後味の悪さばかり目立つ試合でした。  

●2008J2第7節サガン鳥栖戦 4−5−1ドイスボランチ 
−−−−氏原−−−−:後藤
高田−−島田−−山崎:鳥居塚
−−松下−−秋葉−−:
寺田−−−−−−チェ:石亀
−−田中−−藤井−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

この試合の攻撃も湘南戦の継続で、ロングパスによるマイボールの返却が目立ち、結果20本以上のシュートを浴びることに。一方の草津のシュートは前半に1本だけで後半は2本。当社比で2倍ですけどね。やかましいわ。しかし最終スコアは1−1なんだからサッカーは分からないもので、負け当然の試合を引き分けに出来ました。前の湘南戦が引き分けを負けにしてしまったのですから、帳尻はあっているのかも。後藤の今季初&2年ぶりのゴールが、今季の大きな課題である「FWの員数不足」には朗報だったくらいが慰め、というくらい内容のない試合でした。ふう。
【2008 J2:第7節 サガン鳥栖 vs ザスパ草津

改めて見ても、ホントによく引き分けましたねえ。こういう試合はもう一度は再現出来ないので、次回の対戦で同じことをしたら大敗必至。まあ同じようには守らないでしょうし、もうちょっと良い試合をして欲しいところです。このエントリーの動画はYOUTUBEザスパ草津関連の動画をアップしてくださる、kurokisi932さんのところから。いつもいつもありがたいです。kurokisi932さんの優しさは五大陸に響き渡るでぇ(元ネタは藤原マネージャー)。

●2008J2第8節モンテディオ山形戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−後藤−−氏原−−:岩田
島田−−−−−−熊林:鳥居塚
−−櫻田−−松下−−:秋葉
寺田−−−−−−チェ:
−−田中−−−ペ−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

過去2戦と同じくの様相でしたが、島田と後藤のコンビネーションでカウンターが成功し、先制することが出来ました。山形の攻撃が不調だったこともあり、なんとか逃げ切りでホーム初勝利となるかと思いきや、後半ロスタイムに敵陣深くの時間稼ぎの失敗からカウンターを受けて失点。湘南戦より後味が悪い試合があるとは。
それでもこの試合で大きな収穫が2つありました。1つ目は今季に横浜FCからレンタル移籍のペ・スンジンが好パフォーマンスを見せ、これ以降の守備の安定に大きく貢献することになりました。今までの草津DFにはなかった、ポストプレーヤーへのプレッシャーの早さとその状況判断は特筆もので、これが松下のバイタルエリアの守備負担の軽減にも繋がりました。2つ目は非常に後味の悪いこの試合の結末が、チーム全体に「勝負へのこだわり、一つ一つのプレーの必死さ」を浸透させたように今は思えます。頭では分かっていることと心に深く刻まれることとの差だと思いますね。この試合以降に生まれた各選手の泥臭いプレーぶりは、やはりこの敗戦同様の引き分けの試合から得た教訓だと思います。この試合で失った勝ち点2は、良い授業料に転化できたのではないでしょうか。そう思わんとやっとられんわ。

●2008J2第10節アビスパ福岡戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−−島田−−:後藤
鳥居塚−−−−−熊林:山崎
−−櫻田−−松下−−:秋葉信
寺田−−−−−−チェ:
−−田中−−−ペ−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

結果は追いついての1−1。過去8戦全敗の対アビスパ福岡戦の初勝ち点獲得です。昨季も相性は最悪の相手だっただけに、うれしい一歩前進です。相性が最悪なのにはもちろん理由があります。福岡と草津の攻撃コンセプトは大きく分類するとかなり似ており、両サイドからの攻撃で全体を押し上げ、中盤の攻撃参加で攻撃に厚みを増していくことを意図しています。コンセプトが似ていて、各ポジションのタレントが草津より優位ですから、苦戦は必然。久永と田中佑昌の左右SHにサイド攻撃で押し込まれ、MF布部や久藤にバイタルエリアに詰められて決定的なシュートを打たれる印象ばかり残っています。しかもFWには個人技でも勝負できるアレックスとリンコンの強力ブラジル勢。昨季は前半だけで5失点の試合もありましたねえ。ふう。
今季初対戦は、島田をFWに位置させて相手マークをずらすなど工夫もありましたが、毎度おなじみの両サイド攻撃から押し込まれる展開になりました。ただ昨季と違いなんとか凌げたのは、グリフィスと黒部の2トップがサイドからのクロスにあわせる攻撃に偏りすぎたこと、SHの攻撃にSBが追い越す動きが少なかったため厚みが出なかったこと、布部と久藤が先発せず、その代わりを務めてきた城後の攻め上がりの回数が少なかったこと、が挙げられますす。ゴール前の2トップへのクロスの連続は怖いものですが、それだけならばなんとかDF陣がふんばれたのだと思います。松下と櫻田もバイタルエリアの守備を徹底してセカンドボールからの波状攻撃を阻止していたのも大きいと考えます。
前半をなんとか凌ぐと、中2日の福岡と前節休みの草津の差が最後に出てきます。徐々に草津のポゼッションが高まっていく中で、チェが久永にセンターライン付近でボールを奪われると、久永に一気に攻め上がられます。そしてシュートブロックに飛び込んだチェが交わされると、CBペとGK本田に触れることを許さない芸術的なシュートをゴール上隅に送られ先制されてしまいます。敵ながらアッパレ。またもや久永ですよ。コンチクショー。中2日ながら前半で攻勢だった福岡が足が止まりかけていた時間帯での待望の得点で、福岡イレブンは目に見えてペースダウン。この判断自体は間違っていないと思います。しかし完全にカウンターモードに入るでもなく下がってくれたので、草津はポゼッションで敵陣でのハーフコートサッカーを展開出来ました。ゴール前に詰める選手が少ない中でも島田にバイタルエリアから久永ばりに芸術的なシュートを決めて同点に追いつき、草津の攻勢のままで試合終了。ここで追加点をとれないのが歯がゆいですが、過去3戦よりは復調、前半の粘り強い守備が勝ち点を呼び込んだ試合だと思いました。
2008 島田裕介 1stGOAL!

我らがファンタジスタ島田裕介大先生様の今季初ゴール。これだけでご飯3杯はいけます。スカパー「Jリーグ・アフタゲームショー」の解説者、野々村さんは「全部左足一本でやっている。インサイド、アウトサイド、インフロント(シュート)!」みたいなことおっしゃっていましたね。とても島田らしいゴールだと思います。後藤がマーカーを引っ張って、島田の進めるスペースを空けているところも巧です。

●2008J2第11節ヴァンフォーレ甲府戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−−島田−−:後藤
熊林−−−−−−山崎:
−−櫻田−−松下−−:秋葉
寺田−−−−−−佐田:石亀
−−田中−−−ペ−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

福岡戦と同じく、島田がFWの位置で先発。試合前には「ポゼッション対決」と銘打たれていましたが、どちらかというとロングボールの応酬になってしまい、消化不良のままスコアレスドローで終了しました。05年の対甲府戦は4戦全敗でしたから、初の勝ち点奪取となりました。05年には約440年ぶりの「甲州勢による上州侵攻」でしたが、今回はたったの3年ぶり。出来ればJ1の舞台で合い間見えたかった相手ですが、3年前とは違い大宮城からの客将、島田越生守裕介をはじめ、松下高崎守、熊林出羽守が居並び、敷島箕輪城は守将・本田阿波守が守りきって、痛み分けに終わったとも云えますね。*1
最悪の状態は脱したものの中盤の組み立て、特に「プレスの掛け合い、中盤の守備で負けてしまうと途端に手詰まり」そしてロングパス一辺倒へという課題は以前のままです。開幕からこの甲府戦まで、草津がポゼッションでハッキリと相手を押し込んだのは、自ら引き気味で試合に臨む横浜FCと仙台、順位的には同じくらいに位置する相手、愛媛と福岡がリードして引いている場面が目立っています。つまり上位や中位相手には、今の習熟していないパスワークではポゼッションを出来ていないと云う事になります。第1クールの残り対戦相手は徳島、C大阪、岐阜、水戸。上位・中位・下位の混在ですが、少なくともここから2勝は挙げておかないと、中位争いにも加われない状況でした。今振り返ると、ポゼッションを駆使しつつ3つ勝てたことはチーム力の上昇と云えると思います。

●2008J2第12節徳島ヴォルティス戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−−後藤−−:
島田−−−−−鳥居塚:石亀・山崎
−−熊林−−松下−−:秋葉
佐田−−−−−−チェ:
−−喜多−−田中−−:尾本
−−−−本田−−−−:北

先制し、ひっくり返され、さらにひっくり返して3−2の勝利。対徳島・アウェイ鳴門での初勝利(対JFL大塚製薬戦を含む)であり、決勝点はSB佐田の狙いすましたクロスを、エース高田が今季初得点で決めて勝ったことも大きかったですね。この試合くらいからSBチェとMF熊林がかなりフィットしてきているシーンが増え、つまらないパスミスがかなり減りました。チェは積極的な攻撃参加を見せるようになり、熊林も中盤を縦横に駆け回りました。この試合ではこの2人のパスワークでサイドを突破するシーンからチャンスを生む場面もありましたね。先制は島田からのスルーパスで後藤が決めており、後半の2得点は左右へボールを振りながら前進するポゼッションから生まれたもの。緩急の攻撃それぞれから生まれた3得点は、チームとして07年のチーム力にプラスアルファが加わりつつあることが窺えました。
【2008 J2:第12節 徳島ヴォルティス vs ザスパ草津

今季初ゴール&決勝点のエース高田のインタビュー。良かった良かった。キックオフには左SB、途中から右SBに入って決勝点をアシストしたのは佐田聡太郎のクロス。クロス精度はこんな感じが続くと良いのですが。

●2008J2第13節セレッソ大阪戦 4−5−1トレスボランチ 
−−−−高田−−−−:
鳥居塚−−−−−後藤:山崎
−熊林−松下−島田−:秋葉
寺田−−−−−−佐田:石亀
−−田中−−ペ−−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

結果は1−3の完敗。徳島戦の流れで序盤から真っ向勝負を挑むものの、早々の失点で強豪チームに余裕を与えてしまい、そのまま力負けの試合でした。年何回かは、こういう立ち上がりの失点からプランが狂い、為すすべなく押し切られるゲームがあります。この日のセレッソ大阪は状態がとても良く、草津にとっては相手が悪かったという部分が大きかったですね。
FW不足は深刻化し、この試合は高田に後藤と鳥居塚の2シャドーで並んで補う形。後半には後藤の代わりに山崎がFWに入ったものの、本来MFの彼をFWとして用いて中盤から飛び出す意図はあっても、チームとして練習も約束事もないようで、それは彼の前のスペースに誰もボールを送らず、また中盤の組み立てにも参加できていないことからも窺えました。それでも最後にボールをゴールに押し込んだのは山崎。サッカーは難しいです。

●2008J2第14節FC岐阜戦 4−5−1トレスボランチ 
−−−−高田−−−−:後藤
島田−−−−−−山崎:鳥居塚
−秋葉−松下−熊林−:
寺田−−−−−−チェ:石亀
−−田中−−ペ−−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

「三名泉ダービー」の緒戦は1−0で勝利。第1クールで一番のパフォーマンスでした。中盤の構成力で相手を圧倒、前節は中途半端な起用で活かされなかった山崎ですが、この日は3トップの一角で前線から効果的なプレスで陰のMVP級の活躍でした。0−0のままの後半途中に不運な形でPKをとられるものの、GK本田がこれを阻止、その後も相手を押し込んで攻撃を続けました。決勝点は、実に16本のパスを相手に触らせないまま左右に動かして決めました。またセカンドストライカー不足に関しても、熊林がこの試合は積極的にペナルティエリアにまで進入し、決定的なシュートチャンスを2回作りました。どちらかが決まっていればなお良かったのですが、SHがパス回しのフィニッシュでシュートが打てる形になってきたのはとても良い兆しです。また山形戦の教訓を忘れぬ徹底的な時間稼ぎを実行し、とにかく勝ち点3をどんな形でも奪いとる、泥臭い姿勢が見られました。格好良くはないですが、この岐阜戦の必死さがあってこその連勝達成だったと思います。連勝という結果が素晴らしいのではなく、連勝に到るまでの180分間のプレーの積み重ねこそが、今の草津の財産であり血肉になると考えます。
2008 J2:第14節 【 FC岐阜 vsザスパ草津

本田PK神は今季も健在なり。さすが「守りのプロ」です。最終スコアは1−0だったのですから、このPK阻止はとても大きいものとなりました。決勝点のパス回しは06年や07年のバージョンアップになっていることが分かります。島田以外からもラストパスが出る、というのは相手にとって脅威ですからねえ。

●2008J2第15節水戸ホーリーホック戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−鳥居塚−−:後藤
島田−−−−−−熊林:山崎
−−松下−−秋葉−−:櫻田
寺田−−−−−−チェ:
−−田中−−喜多−−:藤井
−−−−本田−−−−:北

第1クールの最終戦北関東ダービーに2−1で勝利し連勝達成しました。水戸イレブンの草津DF陣にまで迫る猛プレスの前にグダグタになりながらもキャプテン松下のミドルシュートで先制。しかし流れは変わらず1点を失って後半へ。後半70分過ぎから足が止まった相手を押し込むものの、なかなか得点できず、なんとロスタイムのラストプレーで逆転という、劇的な勝利を挙げました。内容は前述したとおり、相手の猛プレスにポゼッションが出来ない課題はそのままで内容の乏しい試合になってしまいましたが、相手の流れの中でもイレブン個々の我慢と奮闘が最後に実を結んだ草津クラブ史上に残る熱戦になったと思います。
【2008 J2:第15節 ザスパ草津 vs 水戸ホーリーホック

松下裕樹 歓喜の決勝GOAL【2008 J2:第15節 vs 水戸 】

ロスタイム2分のゲームで、松下のシュートが92分59秒、ゴールが93分00秒ってのが、本当にギリギリセーフの勝利だと思わせてくれます。
ヒーローインタビュー松下裕樹【2008 J2:第15節 vs 水戸 】

この試合はもちろんバクスタ立ち見席にいたのですが、決勝ゴールの瞬間、ちょうど前でフラッグを振っているサポさんがいたので「ロングスローの競り合いがこぼれる→誰か後方から走ってくる→(フラッグ)→ボールがゴールネットに当たってる」のように見えました。最初に頭によぎったのは「なんか知らないけど、ゴールっぽい」でした。めでたいからなんでもいいんですけど。松下裕樹は男闘呼の中の男闘呼。J1。
●第2クールからは。
とりあえず劇的な連勝で一区切りがついた訳ですが、この14試合の中で中盤と守備陣の習熟と整備は進んだものの、「FWの員数不足」と、それに伴う高田と後藤の連戦の疲労も懸案事項ですね。また得点力の部分で共通する「セカンドストライカー不足」は現在の状況では、松下と熊林に一層の奮起が求められそうです。個人的には佐田聡太郎をSHとして途中投入し、ペナルティエリアでシュートにチャレンジさせるのが一番だと思っているのですが。06年の得点はいづれもそういう形でしたし。なんにせよ、内部昇格でも補強でもかまいませんが、少なくとももう1名FWがいないと第2クールも大変そうです。
また最大の注目点として、島田・熊林・チェがフィットした中盤のポゼッションを更に深め、上位・中位に通用するポゼッションサッカーが出来るかどうか。これが草津の勝ち点を大きく左右することになると思っています。多くの困難からスタートした第1クールですが、とにかくほぼ五分の成績で折り返せました。下位相手に取りこぼさず、中位以上に勝ち点を奪えるサッカーを期待したいですね。出来ればロスタイムのラストプレーまでに得点して、失点しない試合を。サポーターの心臓と寿命のためにも。