ESPNの選ぶ、スポーツ映画ベスト25。

ハックマンコーチは怖いよ。

スポーツチャンネルESPNの開局25周年を記念した「この25年間の様々なスポーツ関連ベスト&ワースト25」において、スポーツ映画ベスト25が発表されました。
http://sports.espn.go.com/espn/espn25/story?page=listranker/bestmoviesresult

●BEST SPORTS MOVIES As selected by ESPN25's Expert Panel*1
1. Hoosiers/「勝利への旅立ち
2. Raging Bull/「レイジング・ブル
3. Field of Dreams/「フィールド・オブ・ドリームス
4. Bull Durham/「さよならゲーム」
5. Caddyshack/「ボールズ・ボールズ」

1位の「勝利への旅立ち」は1954年インディアナ州チャンプになったある高校バスケットチームの実話を元にした映画。チームと保守的な町まで変えていってしまうコーチ役をジーン・ハックマンデニス・ホッパーが演じた。文句なく良作。2位の「レイジング・ブル」はいわゆる「デニーロ・アプローチ」、30キロ体重減でロバート・デ・ニーロが主役に挑んだことが有名なボクシング映画。このエピソードばかり語られるが、スラム出身から這い上がったミドル級チャンピオン、ジェイク・ラモッタの栄光と挫折の半生をスコセッシ流に骨太に描ききった、スポーツ映画のジャンルに捉われない傑作である。3位と4位は共にケヴィン・コスナー主演のベースボールを題材にした映画。3位は有名だが、4位の作品はマイナー・リーグの悲哀と人間ドラマで魅せる。昨年度に渡辺謙を抑えてアカデミー助演男優賞を獲った、ティム・ロビンスの好演も光る作品。5位はゴルフを題材にした映画らしいが、未見。続編はたしかラジー賞をとっていたかもしれない。

6. The Natural/「ナチュラル」
7. Chariots of Fire/「炎のランナー
8. Jerry Maguire /「ザ・エージェント
9. Seabiscuit/「シービスケット
10. Remember the Titans/「タイタンズを忘れない

6位はロバート・レッドフォード主演の1930年代を舞台としたベースボール映画。タイトルどおりの自然体の男&レッドフォードの魅力が全開です。7位は英国映画がランクイン。1920年代の英国と陸上界が抱えていた様々な問題と、それに立ち向かう主人公二人の生き様が感動的な映画。8位は現代スポーツ界特有の「エージェント」制度と男の成長と友情を描いた作品。個人的にはトム・クルーズ主演の作品の中では一番好きな映画でもある。9位は最近話題になった、見捨てられた競争馬とその馬を取り囲む人々の再生の物語。10位の作品は、人種差別残る70年代のヴァージニア州で、初の人種混合の高校が合併により誕生、当時でも「タイタンズの奇跡」と報じられた、高校アメフトチームの実話。黒人監督をデンゼル・ワシントンが主演した。白熱のゲームシーン、人種を超えた友情、フィールドの熱き誓い。融和するチームメイトと対照的に校内には以前残る人種の対立・・・。ラストまで一気に見せる、個人的には大傑作。この作品の製作はなんと、あのジェリー・ブラッカイマーである。何事にも例外はある、という実例か?

11. A League of Their Own/「プリティ・リーグ
12. Eight Men Out/「エイトメン・アウト
13. White Men Can''t Jump/「ハード・プレイ」
14. Major League/「メジャーリーグ
15. Tin Cup/「ティン・カップ

11位は戦争中に立ち上げられた女性のベースボールリーグの物語。この作品でジーナ・デイビスの女優としての実力を再確認した。見ていて爽快感の残る気持ちの良い映画。12位は「フィールド・オブ・ドリームス」にも登場していたシューレス・ジョーと1919年のワールドシリーズでの八百長疑惑「ブラックソックス事件」を題材とした映画らしい。これは未見。13位は原題が「白人は跳べないぜ」と挑発的なストリートバスケの映画。主演はウェズリー・スナイプス。期待が薄かったせいか、かなり面白かった。スローモーションの効果的な使い方がグッドな作品。14位は説明不要のメジャーな作品。15位のティン・カップケヴィン・コスナーのゴルフ映画。良くも悪くもコスナーな映画。普通に見られます。

16. 61*/「61* 夢の弾道 打ち破れ!60ホーマー」
17. The Hurricane/「ハリケーン
18. The Color of Money/「ハスラー2」
19. Finding Forrester/「小説家を見つけたら
20. The Rookie/「オールド・ルーキー」

16位は、1927年にベーブ・ルースが記録した「シーズン60ホームラン」に挑んだ、ロジャー・マリスミッキー・マントルの1961年シーズンをドキュメンタリータッチで描いた作品。タイトルの最後に付くアスタリスク「*」がこの作品のテーマである。17位は黒人であることだけを理由として冤罪で投獄されたが、獄中から真実を訴え戦い続けたウェルター級チャンピオン「ハリケーンルービン・カーターの実話を基にした、主演のデンゼル・ワシントンの実力と意気込みが伝わる作品。18位はポール・ニューマンの「カッコイイとはこういうことさ。」が光る好作。ラストシーンのブレイクと同時に発っせられる「カムバックだ!」には痺れた。日本にビリヤードブームを巻き起こしたことでも記憶される作品。19位は・・・スポーツ映画かなあ。ショーン・コネリーと新人くんの競演は良かった。20位は1999−2000シーズンに35歳でメジャーに再挑戦した左腕投手ジム・モリスの映画。これまた実話である。肩の痛みで1年で挑戦は終わってしまったそうだけれど、映画のとおりに再挑戦の時で150km台のストレートを投げられたそうだ。「あきらめなければ夢は叶う」というテーマを、それこそ100マイルのストレートで投げ込んでくる映画。

21. Ali/「アリ」
22. Bend it Like Beckham/「ベッカムに恋して
23. Cobb/「タイ・カップ
24. Rudy/「ルディ 涙のウイニング・ラン」
25. Searching for Bobby Fischer/「ボビー・フィッシャーを探して

21位はモハメド・アリの最も濃密な時期を切り取って描いた作品。22位はようやく? のサッカー映画。さすがに「少林サッカー」は入らないのね。23位は「タイ・カップ」の伝記。主演のトミ・リー・ジョーンズがスゴイのかモデルとなるタイ・カップが偉大なのかが曖昧になるほどジョーンズ熱演。というか熱演しすぎ。24位はこれまた感涙の実話を基にしたアメフト映画。名門ノートルダム大学アメフト部「ファイテング・アイリッシュ」への入部を夢見る少年ルディ。しかし成長しても体の小さかった彼は進学をあきらめて父の工場を手伝っていた。しかし彼をずっと応援してきた親友の事故死を境に彼はふたたび夢へと挑戦する、というストーリー。感動のラストシーンは当時ノートルダムの1年生だったジョー・モンタナも実際に目撃している。25位はチェスと題材とした映画。これは未見だけどかなり面白いと評判なので探してみようかな。

ベースボールを題材とした映画がかなりランクインされていて、それらの作品の共通テーマは「ベースボールは夢のあるおとぎ話」なんだ、ということ。まさしく「フィールド・オブ・ドリームス」。球団合併問題など暗く生臭い話が多い日本球界だけれど、「アテネ五輪壮行」とか表向きの理由を付けてNHKあたりで「フィールド・オブ・ドリームス」「さよならゲーム」「ナチュラル」「プリティ・リーグ」「メジャーリーグ」「オールド・ルーキー」とか連夜で放映して世論操作しませんか(笑)。いや、頼むよマジで。

*1:エキスパート・パネル=専門解説委員というところか。