J2第7節、水戸ホーリーホック戦。北関東ダービー第1幕は0−1の惜敗。

SH772005-04-18

本日も先週に引き続きスカパー306chにて応援。やはりテレビ画面からは知りたい情報がなかなか得られませんね。その映像から結論を述べれば「さすがに11位の相手なので、為す術ナシまでの差は現時点ではない。その水戸ホーリーホックとの差はJ2での経験値と試合の運び方とまとめ方。後半のパワープレイなど、ザスパ草津は勝ち方・勝ち点をとるサッカーをどう90分で作っていくか、いまだチーム構築中」ですかね。水戸もJFLでは見ないタイプのチームでしたし、こういう相手からどう勝っていくか。新たな経験を積み、課題を得ましたね。今季の第1クールはおそらくこんな感じで残りも進むと思われます。
また、スカパーの解説担当は先週のアビスパ福岡戦に続いて、声がスピードワゴンのオザワさんな遠藤彰大さん。草津と水戸に単にダメ出しをするのではなく、直近の課題やJ2での戦い方、どちらのチームでも良いプレーはキチンと誉めるなど、自分の意見を交えながら語ってくれるので、参考になるありがたい解説でしたよ。まずは試合の結果から。J's GOALより。
http://www.jsgoal.jp/result/20050200030220050416_detail.html

●J2第7節 4月16日(14:00/笠松/4,419人)
水戸ホーリーホック 1−0 ザスパ草津
得点 63分:デルリス(水戸)

ザスパ草津、第7節のメンバーは。

ザスパ草津 スターティングメンバー(J2第7節vs水戸ホーリーホック
GK:29岩丸史也
DF:2籾谷真弘・3小田島隆幸・16堺陽二・18寺田武史
MF:5氏家英行・6鳥居塚伸人・9山口貴之
FW:13宮川大輔・20吉本淳・7佐田聡太郎
●サブメンバー
GK:22小島伸幸 DF:4依田光正
MF:小久保純 FW:14佐藤正美・15山崎渡
ザスパ草津 キックオフ(4−2−3−1)
−−−−宮川−−−−:
−吉本−山口−佐田−:佐藤・山崎
−−鳥居塚−氏家−−:小久保
寺田−−−−−−−堺:依田
−−籾谷−小田島−−:
−−−−岩丸−−−−:小島

ザスパ草津は従来よりやや変更ありですね。まず前節に負傷交代で出場が心配された氏家英行が無事に先発。九州合宿で負傷していたFW佐藤正美がベンチ入りまで回復。良かった良かった。右のウイングとして佐田聡太郎、同じくサイドバックで堺陽二が初先発。酒井良と御給匠はベンチ入りせず。この後、5月の大型連休での連戦がありますから、ローテーションは必要でしょうね。
また、佐田と堺の起用に関しては、試合後に手塚監督が「単純なロングボールでは水戸から得点できない」と語っていることから、右サイドからの攻撃には堺の積極的な攻めあがりで人数をかけた攻撃を意図していると思われます。昨季までなら佐田と堺は逆位置ですが、スピード勝負の堺を前に置いてしまうと、タメがつくりにくいですからね。加えて佐田と堺の守備ゾーンの受け渡しとプレスの掛け方、堺の攻めあがりで空いたスペースを誰がどうフォローするのかが注目ですね。さて、対する水戸ホーリーホックも4−5−1で草津と同じ並びに。

水戸ホーリーホック スターティングメンバー(J2第7節vsザスパ草津
GK:1本間幸司
DF:2須田興輔・5森直樹・20深津康太・24吉瀬広志
MF:6小椋祥平・7秦賢二・8関隆倫・14栗田泰次郎・19永井俊太
FW:9デルリス
●サブメンバー
GK:21武田博行 DF:32大和田真史
MF:22伊藤仁・30マルキーニョ FW:15金子剛
水戸ホーリーホック キックオフ(4−5−1)
−−−デルリス−−−:金子
−−永井−−小椋−−:マルキーニョ
−秦−−栗田−−関−:伊藤
吉瀬−−−−−−須田:
−−深津−−-森-−−:大和田
−−−−本間−−−−:武田

この日の笠松は、ホーム側からアウェイ側へ強風が吹いており、選手のユニやフラッグが風にはためいています。そして風上の水戸が両サイドにロングボールを送る攻撃からゲームがスタート。草津は水戸のプレスで中盤でパスが繋がらず、水戸の攻勢を受ける立ちあがりに。開始2分で早くもFWデルリスにファーストシュートを撃たれます。これはヘディングでゴール前に送られたボールを、DF3人に挟まれながらも、トラップなしで前を向いてシュートまで持ち込んだデルリスを誉めるべきでしょう。やはり注意が必要なゴールハンターですね。
ゲームの立ちあがりについて手塚監督のコメントは。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018275.html

手塚聡監督(草津
「水戸はもう少し引いてくるかと思っていたが、イメージしていたよりも前から早いプレスをかけてきた。そこのところで水戸にペースを握られてしまった」

ザスパ草津相手に、ホームで引いてくるチームがJ2にいるとは思えませんが。( ´・ω・`)
ここも昨季まで、地域リーグJFLと違うところですよね。JFLではカウンター狙いで引き気味の相手も多く、前半から真っ向勝負を挑まれて押し込まれた展開があったのは大塚製薬Honda FC群馬FCホリコシくらい。それが今季は全11チームとそういう展開になるでしょう。選手のプレースピードは自陣でも早さを要求され、疲労度も上がります。これも個人技術、組織戦術の整備と合わせて慣れていくしかありませんね。開幕戦の頃に比べれば、かなり落ち着きも見られますが、この試合でも4分に、SB寺田武史からCB籾谷真弘への横パスをインタセープトされかかるなど、相変わらずのミスもありました。
それでも開始5分に草津の最初のチャンス。鳥居塚キャプテンが中盤でパスを繋げ、DFラインの裏をとったFW吉本淳へダイレクトパス。サイドからゴール前のFW宮川大輔へ折り返す、福岡戦の先制点と同じ形を作りますが、これは水戸DF陣にリフレクトされました。
このプレーで、落ち着きを取り戻したのか、ゲームは一進一退に。ザスパは8分に寺田のクロス、12分にCKを得るなど攻撃の形を作っていきます。鳥居塚キャプテンのフィードが良い起点となり、氏家がDFラインの前、サイド、時には前目に上がってのプレスとインターセプトで水戸の攻撃を潰していきます。また氏家のパス精度はさすがと云おうか安定して、山口・鳥居塚同様に安心して見ていられます。ミスしても安易なパスではなく、チャレンジ、意図あるチャレンジのパスを送っ田結果ですしね。右サイドの佐田と堺の守備分担は、互いにフォローを意識し、どちらかがボールホルダーに当たる間に、もう一人は後方に戻るか縦を走る選手をマークするなど、思いのほか良い連携を見せます。
16分には、その右サイドの崩しから最後は吉本のシュートにまで繋げる攻撃も見せることが出来ました。10分から20分までは、風下ながら草津がやや攻撃の組み立てを続け、水戸がロングボールからカウンターを仕掛ける展開へと変わっていきます。
草津はただいま12位ですが、11位の水戸に押し込まれ放題では、いくらなんでも救いがありませんからね。押し返せて良かったですよ。24分には山口貴之がDF2人をかわすヒールキックから寺田、そして判断良く攻めあがってきた氏家に繋いで、ゴール正面のFW宮川へ決定的なパスを送りますが、これが空振り。これは惜しかった。
30分からは、水戸も攻撃を組み立てなおし、一進一退の展開となります。デルリスには30分にゴール前に迫られ、35分にヘディングシュート。DF深津にはセットプレーからヘディングと、いずれも枠を外れますがフィニッシュまでの形を作られます。草津は32分に山口のクロスから吉本のシュート、34分には同じく吉本のミドルシュート。40分からはやや水戸が押し気味に進めますが、42分の寺田の攻めあがりからのクロスに合わせた佐田のヘディングや、45分のCKでは飛び込んだ小田島隆幸のボレーなど、攻撃も見せられました。
J's GOALのレポートですと、水戸は「デルリスの1トップをオトリに2シャドーの飛び込みで攻撃を意図」していたそうですが、これはロングボール放り込みと、氏家・鳥居塚キャプテンのフォローとカバーで、その意図した形はほとんどつくれませんでした。どちらかと云えば、もう1列後ろになる関隆倫や秦賢二の攻守の貢献が光っていたと思えます。手塚監督が「サイドへのロングボールでは得点につながらない」と語るのは前半で判りますね。関と秦の献身的な運動量と、サイドに重点を置いたケアを見ると、サイドで数的優位なり同数を作らなければ突破できそうにもありませんからね。そういう意味で堺と佐田の右サイドは奏功していたと思います。逆に云えば、栗田1人がカバーする範囲の広いバイタルエリアで攻撃の基点をつくるなり、サイドからの折り返しに中央から飛び込む人数がせめて2人に増やせれば、得点できたかもしれませんね。こういう攻撃パターンのバリエーションや変化などは、今後の修正を期待したいと思います。
また水戸が前半、コーナーを抉るようなサイド攻撃を行ってこなかったことも、草津の右サイド攻撃が機能し、守備陣がなんとか持ちこたえた要因と思えます。
とりあえず前半は0−0で折り返しました。ここまでは双方互角、ゴール前まで攻撃を展開した回数ではザスパが若干上回り、肝を冷やすなシュート回数では水戸でしょうか。
さて、後半開始。エンドが変わって風上から攻撃を仕掛ける草津ですが、水戸も秦や関などがうまくサイド攻撃を絡めて一進一退の展開に。49分に草津の山口、52分と55分に水戸のデルリス、深津にイエローが出されて荒れ模様・・・と最初は思ったのですが、ビデオで3度も観ると、前半から両チームのファールの後に、塩川主審が笑顔で口頭注意をされているのですよね。後半開始で、またプレーが荒くなってきたところで、両チームにカードを出し、ゲームコントロールを図ったのだと思われます。カードを出された3選手もほとんど異議を唱えなかったところを見ると、やはり前半の口頭注意を踏まえてこうなった、と分かっているのだと思えます。納得してないかもしれませんが。
後半60分すぎくらいから、草津に運動量の低下が見られてきます。自陣深くまで戻って守備にも貢献している吉本、佐田は厳しいポジションですからね。そして63分にクリアミスを、秦とデルリスのパスワークで崩されて、デルリスに先制されてしまいます。
ここでザスパ手塚監督が動き、後半66分にMF氏家に代えて、ザスパでのJ初出場となるFW佐藤正美を投入します。フォーメーションは中盤をダイヤで2トップに変更となりました。

ザスパ草津 後半66分(4−1−3−2)
−−佐藤−−宮川−−:
−−−−山口−−−−:
−吉本−−−−佐田−:山崎
−−−-鳥居塚-−−−:小久保
寺田−−−−−−−堺:依田
−−籾谷−小田島−−:
−−−−岩丸−−−−:小島

これで反撃開始、と行きたいところですが、投入されたばかりの佐藤はともかく、前線の各選手は疲労のためかボールが収まらず、前線にボールを運ぶ手段がサイドへの単調なロングボールが多くなってしまいます。そして中盤の底を支えていた氏家が欠けたために中盤を水戸に押さえられる形になってしまいます。ここからの10分間は水戸の時間となってしまいました。状況を打開すべく、手塚監督は寺田に代えて山崎を投入し、前線へボールは運ぶ手段を増やそうとします。山崎はFW登録ですが、元々はトップ下を務めるMFですからね。これで少しは攻撃も組み立てられるようになりましたが、ホーリーホック前田監督はサイドの関に代えてCB大和田真史を入れて守備を固めます。これについて前田監督のコメントは。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018274.html

前田秀樹監督(水戸)
草津の手塚監督の作戦(2トップ+中盤をダイヤモンド)はある程度読めていたので、長身の大和田を投入し、深津を後ろに余らせて対応することはミーティングでも伝えておいた。プランどおりに落ち着いて対応できたので、押し込まれることはあっても逃げ切れたのだと思う」

逃げ切りに主体を置いた水戸を崩すべく、草津は佐田に代えて依田を投入しますが、人数をかけた組織的な守備相手を崩すことが出来ずに、そのまま試合は終了してしまいます。これについて手塚監督は。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018275.html

手塚聡監督(草津
「後半は風上ということで、攻撃的なサッカーを展開したが、フィニッシュまでの形を作れずに負けてしまった。水戸の過去の試合から、単純なロングボールでは得点チャンスは無理。いかに引いた相手を引っ張り出すかだと思っていたが、その組織を崩しきれなかったところが敗因。今の水戸のようなチームに先制されるとやはり苦しい」

両チームの選手の実力・能力においては、決定的な差はないと思います。繰り返しですが、2チームの間にある差は「J2での経験値・90分で見たゲームの進め方、終わらせ方」ですね。そして今回は水戸のゲームプランにはまった形でした。先制点を草津がとれないと、こういう形になってしまうでしょうし、守備を重視した相手から得点するのはただでさえ難しいですからね。
ザスパ草津は5年計画の1年目。新人監督の指揮下でまだ7試合目であり、今季は上位カテゴリーに昇格したばかりですから、修正課題は「これでもか」というほど山積みです。当面の課題は「失点後に布陣をかえてパワープレイしても未だ得点ゼロ」ということですね。
パワープレイをいかにパワープレイとして得点するか。組みかえてからの連動が著しく落ち、パワープレイとして成立していません。キックオフからの布陣と攻撃方法を維持して疲労しているサイドの選手(吉本、酒井、依田)を変えたほうがまだ攻撃の芽がありそうにも思えます。この水戸戦でいえばゴール前で高さがあり、体が張れる御給くんがベンチにいてくれたほうが良かったような展開でしたからね。うまくいかないものです。
しかし、水戸のような辛抱強い戦い方を見習い、ザスパ草津が勝ち点を稼いでいけるチームを目指すべきか、というと、そうではありません。その点では、手塚監督の攻撃に活路を見出す指針はあっていると考えます。それしかない、とも云えますが。
昨季JFLでのザスパ草津の目標は「J加盟、原則2位以内」でした。勝ち点1を守るのではなく勝ち点3をとるメンバー。攻撃重視のチーム構成であり、それがそのまま今季に移行しています。メンバー表を見ても、選手個々の属性は「守備」より「攻撃」が圧倒的に多いですよね。
J2上位に押し込まれる場合でも、J2下位と互角に戦う場合でも、ザスパ草津は「攻撃こそ最大の防御」として攻撃に活路を見出し、勝ち点をとりにいくチームであると思います。守備をなおざりにして攻撃が組み立てられるわけではないのですが、今のザスパは出来ることから取り組まねばなりませんからね。
また、読売新聞群馬県版では、「選手からは、ほかの選手や采配への不満も出始めるなど、チーム状態はどん底に近い」とのこと。販売店は、ザスパ草津スポンサーに加わってもらっているのですが、新聞自体は、密着取材でもないのに批判的な記事が目立っています。ともあれ、1勝6敗で不満がないほうが不気味なので、不満は大いに出してもらって結構。ただチーム内で、非難と言い訳と責任転嫁をするために、ザスパ草津はJリーグに加盟したのではないわけで。J's GOALでも紹介された、このエピソードを胸に、みんなで建設的な話合いを希望しますよ。話合うこと、修正しなければならない課題は、まだまだありますからね。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018322.html

●J2第7節 水戸 vs 草津 レポート
・・・草津は攻撃的な選手を3人続けて投入したわけだが、その間、ベテランGKの小島が、ずっとアップを繰り返しているのが印象的だった。自分の出番がないことが確定した後でさえ、ダッシュを見せ、そしてハイジャンプを織り交ぜ、そのアップ(というよりはトレーニング?)は激しさを増していった。
シーズンを知り尽くした超ベテランのこの動きは、「今日の試合は、シーズンのほんの1ゲームに過ぎない。トータルで戦うことが必要なんだ」と言葉でなく態度で語っているように感じた。そう、今日のゲームでたった7節が終了したに過ぎないのだ。

ザスパ草津は、監督もチームもJリーグ初心者のチーム。しかも若い選手が多いのだから、まだまだオヤジの背中を見て育つべし。