J2第4節徳島ヴォルティス戦。ただただ残念な展開。

SH772006-03-21

めでたさも中くらいなりWBC優勝。(挨拶)
第4節の徳島ヴォルティス戦は、ホーム2戦目。しかし自分は祝日でも仕事でして、周囲がWBC勝戦を気にする中、一人J2第4節の試合を案じておりました。結果を携帯で確認しつつ、試合は帰宅後にスカパー録画にて観戦いたしました。テレビ映像だけでの観戦感想ですので、現地組には到底及びませんが、そこはご容赦を。まずは結果から。

●J2第4節 3月21日(14:04/群馬県陸/2,439人)
ザスパ草津 0−2 徳島ヴォルティス
得点 4分:小林康剛(徳島)22分:秋葉忠宏(徳島)
警告 5分:尾上勇也(徳島)
交代 72分:佐田聡太郎→太田恵介(草津高田保則→佐藤正美(草津)75分:小林康剛ジョルジーニョ(徳島)80分:吉本淳後藤涼 89分:伊藤彰→石田祐樹(徳島) 

試合の結論から書いてしまえば、チカ、ヘディング撃つゴールはこっちじゃないぞorz前半の決定機を2度決めた徳島と、1度も決められなかった草津。中2日で遠征してきたアウェイチームを楽に戦わせてしまった残念な試合だったと云えると思います。携帯で結果を知ったときには「どれだけヒドかったのか」と思いましたが、柏戦よりもチームとして戦えていましたし、敗れた中でも、植木監督の意図したコンパクトに戦う3−5−2草津と、昨季は描けなかった攻めの形のデザインを見せてもらえた試合でもありました。まだまだ未熟、荒削りな部分もありますが、やってることは立派にJ2に通用するものだと思います。この試合の反省点を活かしながら、さらにチーム力を高めてもらいたいと思います。とにかくJ2中位+の実力を持つチームとまずまず戦えて良かったですよ。
ではこの試合の流れを追って。まずザスパ草津、この日のメンバーは。

●J2第4節徳島ヴォルティス戦 ザスパ草津スターティングメンバー
GK:1高木貴弘 
DF:4齋藤竜 25田中淳 17尾本敬
MF:15中井義樹 5チカ 13山崎渡 7佐田聡太郎 10島田裕介
FW:9高田保則 20吉本淳
●サブメンバー
GK:22北一真 DF:2籾谷真弘 
MF:19後藤涼 FW:14佐藤正美 24太田恵介 
●キックオフフォーメーション(3−5−2・ダブルボランチ
−−吉本−−高田−−:佐藤・太田
佐田−−島田−−山崎:後藤
−−チカ−−中井−−:
−尾本−田中−齋藤−:籾谷
−−−−高木−−−−:北

前節に負傷退場したチカが復帰。良かった良かった。またプレビューどおり大卒ルーキーの田中淳が3バックの中央に入るJ2スタメンデビュー。後藤涼も今季初ベンチ入りとなりました。2トップは高田と吉本の初のスタメン組み合わせに。続いて徳島ヴォルティスは。

●J2第4節ザスパ草津戦 徳島ヴォルティススターティングメンバー
GK:21島津虎史 
DF:23金位漫 4井手口純 27辻本茂輝 29尾上勇也
MF:17秋葉忠宏 16挽地祐哉 6大場啓 8伊藤彰
FW:18羽地登志晃 13小林康剛
●サブメンバー
GK:31高橋範夫 DF:20大森健作
MF:32玉乃淳 FW:7ジョルジーニョ 14石田祐樹
●キックオフフォーメーション(4−2−3−1)
−−−−小林−−−−:ジョルジーニョ
−羽地−伊藤−挽地−:玉乃・石田
−−秋葉−−大場−−:
尾上−−−−−−−金:
−−辻本-−井手口-−:大森
−−−−島津−−−−:ノリヲ

3日前の横浜FC戦と同じメンバーとなりました。昨季までの3−5−2から今季はサイドの攻守強化を考えての4−2−3−1を採用。左サイドの片岡を負傷で欠きますが、挽地・大場・金のクロスは誰がどの位置から上げても良いですよ、な右サイドは脅威。中盤の伊藤彰もキープ力あるMFだけに厄介そのもの。
草津JFL時代からかなり顔ぶれの変ったスタメンですが、徳島のスタメンもJFL大塚製薬からの選手は、大場と金だけでしょうか。一つカテゴリーを上げることと、プロサッカーの厳しさを示すピッチの両イレブンだとも思えますね。
実際の試合の模様は、J's GOALの伊藤さんのレポートに詳しく。
http://www.jsgoal.jp/news/00030000/00030888.html

【J2:第4節 草津 vs 徳島 レポート】草津、ホームで初めて徳島に白星を献上。ホーム伝説にピリオド。
(前略)
戦力差があるJ1降格組との過去2戦とは違い、互角の勝負が予想された今節の徳島戦。今季のJ2を戦う上での試金石とも言える試合での敗北は、植木監督に想像以上のショックを与えたはずだ。

J2中位以上の実力が見込まれる徳島相手のこの試合、今季の草津がJ2中堅クラスの相手にどうやって勝ち点を稼ぐか、「今季の本来の戦い方」を注目していた一戦でした。
今季の基本システムである3−5−2でどう攻めるか、どう守るか。昨季も守備強化を意図してこのシステムで戦った試合も多く、両SHが下がり7人が守備について失点こそ減りましたが、攻撃はFWとOHの3人まかせで放り込みサッカーになってしまい、得点を挙げる形もなかなか作れませんでした。またシステム上どうしても3バックの両サイドがウイークポイントになります。
自分は、両SHがいかに高い位置でプレー出来るかが肝だと思っているのですが、この試合では植木さんの意図と、それがチームに浸透しつつあることを、キチンと見せてもらえたと思います。植木さんが提示しているキーワードは「コンパクトに戦う」と、大まかな表現ですが、3バックがラインを高めに維持して中盤を圧縮するというような単純なことではありませんでした。
具体的には、左右のCBが積極的に前進し中盤の細かいパスワークに参加しつつ、逆サイドのSHの上がりに合わせて大きなサイドチェンジ。これは齋藤竜尾本敬の二人ともに意識して行っているように見えます。またこのCBの攻め上がりにはDHの二人が後方のスペースを埋めることが要求されており、3バックの中央に入るCBにはスイーパーとラインコントロール、DHも含めた5人での守備を考えたコーチングという重責が負わされています。シーズン前、鳥居塚さん絡みの記事で「今季の守備は頭を使う」「ピッチ上の監督」とあったと思うのですが、こういう事に言及しているのかなあ、と感じました。代役の田中くんは大変だ。ともあれ今季のSHを上げる方法、それはSHなど中盤の個人技に頼らない、後方の味方の積極的な前進のよる選択肢の多いパス交換とサイドチェンジでチーム全体とSHをコンパクトに押し上げるだと見えました。ただ前半は、それがたった4分で終わってしまいまして。orz

開始わずか4分、ゲームのリズムを掴みかけた草津に「落とし穴」が待っていた。徳島は自陣で奪ったボールを右サイドから、左サイドへ素早く展開。左サイドでボールを受けた羽地からのセンタリングに小林が飛び込み、あっさりと先制点を奪う。「1、2枚浮いていたのに、だれにつくか迷いが出てしまった」とDF尾本は悔やんだ。
先制を許した草津だったがその後、島田が中盤から巧みなパスを連発。7分には吉本へスルーパス。8分には高田へ絶妙のボールを配給、ゴールにはならなかったが決定機を演出していく。「最初はシマ(島田)から、いい感じでボールがもらえていた」と吉本。ペースは再び草津に傾きかけた。
その流れを断ち切ったのは22分の徳島の追加点だった。チャンスと見るやゴール前に駆け上がった秋葉が、金からのアーリー気味のクロスに頭で合わせ、貴重な2点目を叩き出す。「今日は意識して前に出て行った。右からの攻撃の場合は自分が、左からの攻撃のときは挽地が上がることにしていた」(秋葉)。3列目からの攻撃参加に草津のDFは全く対応できなかった。

レポートどおり、自らの意図を持って流れをつかむ場面もあったのですが、徳島のサイドからのシンプルなクロス、それに呼応したゴール前への人数をかけた飛び込みで2失点。中2日+遠征の相手を楽にしてしまう展開は繰り返しですが、残念でしたね。開始早々の失点で攻めの意識が強く出すぎ、全体のバランスとコンパクト加減が崩れて、徳島のロングボール攻勢に対して、本来は中盤と3バックが連携して拾うはずのセカンドボールも徳島にリカバーされていたのがさらに試合を苦しくしてしまいました。両監督のコメントは以下のとおりです。
http://www.jsgoal.jp/news/00030000/00030837.html
http://www.jsgoal.jp/news/00030000/00030838.html

田中真二監督(徳島)
Q.攻撃の注意点は?
「グラウンド状態や、強風を考えて、弱いパスや中途半端なパスに気を付けるように言った。そして、相手の裏のスペースをつくような攻撃をしようと伝えた」

植木繁晴監督(草津
Q.チーム全体で積極性は出ていたか?
「今日は積極性が裏目に出てしまった。ボランチ二人が上がってしまい、両サイドも絞ってバランスを取ることができなかった。自分たちで積極的に出て行こうという姿勢は評価するが、その後のバランスを取らなければならない」
Q.セカンドボールが拾えていなかったが?
「これも、ボランチと両サイドのバランスや絞込みが原因。後半はある程度、修正できたと思う」
Q.2失点に関して
「バランスを崩されて、カウンターでやられてしまった。選手同士でコミュニケーションが取れていなかった」

選手コメント(http://www.jsgoal.jp/news/00030000/00030845.html)でも、開始早々の失点でチームの意識が沈滞したり、その反発で焦った淡白な攻撃になったことを言及している選手が多いですね。これが植木さんの云う「弱い」、まだチームとして未熟である部分だと思います。

両サイドからのクロスで2失点した草津は、バイタルエリアでのマークはもちろんだが、サイドの守備にも課題を残した。相手のサイドに対応はしていたが、プレッシャーがあまりにも甘く、簡単にクロスを上げられていた。センターバック・鳥居塚の不在で「指示系統」がストップしていることも大きく響いた。また攻撃面では、シンプルにパスをつなぎゴール前まで運んでいく徳島に対して、草津は周囲の動き出しが遅く、有効なパスが出せなかった。

徳島の中央へのクロスはコーナーを抉ったり、逆サイドに振るだけでなく、少々遠めでもゴール前でチャンスになると判断すれば積極的に中央へと送るシンプルな形で、その選択肢の多さが草津の守備を甘くしてしまった部分もあると思います。また守備全体のコーチングとコントロールに担う鳥居塚さんの不在は、その重責ゆえ、やはり大きかったですね。攻撃面の指摘は前述のとおり早々の失点のような状況に対して、まだチームとしての意思統一が進んでいないようで。ただこれは試合を積み重ねていくことで解決していって欲しいのですが。
後半は草津が気持ちを入れなおして、本来やりたいサッカーを進める時間帯もあったのですが、さすがに疲れもあるだろう徳島がカウンターに切り替えたので、なかなか有効な攻撃を作れませんでした。今季はサイド攻守の強化を意図して4−2−3−1を敷く徳島相手ですから、勝敗は別にしてもう少し0−0なりの緊張感の中で戦う時間帯が欲しい試合でもありました。レポートのタイトルである「対徳島のホーム無敗記録」が終わるなんて事よりも、個人的には試合展開自体が悔しかったですね。草津はまだまだ練習と実戦で経験を積んでいかねばならないチームですから。
まだ荒削りだったり浸透しきれていないところもありますが、少なくともチーム全体で監督の意図を共通理解として高めつつあること、J2チーム並みの戦いぶりに成長していきそうなことが判ったので、この試合は今季のこれからに期待をもたせてくれるものになったと思います。とにかくこの試合で経験した開始早々に失点した状況でも、揺るがない戦いを今後見せて欲しいですね。でないと応援しているほうもツライし。まだまだ挑戦者のチームですから、走って撃っていきましょう。