10へぇ。くらいのトリビア。

流星の名はテレル・デービス。

アメリカでは昔、アメフトよりサッカーの普及を支持する意見が主流だった。

これは20世紀初頭、まだアメリカンフットボールに確たるルールがなく、防具もつけないケンカまがいのボールの奪い合いだったころの話。
1905年10月。「殺人ゲーム」と社会全体から批判されるスポーツ問題に対処すべく、時の大統領セオドア・ルーズベルトはハーバード、エ―ル、プリンストンの各大学の責任者をホワイトハウスに召喚*1。ルールを制定しクリーンなスポーツとするか禁止するかせよ、と大統領は意見する。
この年の末に、シカゴトリビューン紙は「昨年、アメフトで死者18名、重傷者154名以上」と報道。アメフトに対する世間の非難は頂点に達し、議会では(アメフトやラグビーに比べて)コンタクトの少ないサッカーの普及を推す意見が大勢を占める。
これに対してハーバード大総長チャールズ・エリオットは「アメフトの競技自体は責められるものではない」と主張。各方面に働きかけ、ルール改正委員会を設立*2。ウォルター・キャンプ氏を中心としたスタッフは画期的な、今のアメフトの基礎となるルール改正を果たし野蛮なスポーツからアメフトを脱皮させ、世論を納得させた。*3
1906年。この年にアメフトを庇う者達がいなければ、アメリカの国技はサッカーだった可能性も。アメフト、ベースボール、バスケットボールはその後の100年あまりでカレッジスポーツからプロリーグを設立、人気スポーツとしての地位を確立して現在に至ります。
アメリカ人はサッカーを理解しないとか国民性が云々とかではなく、そのスポーツに関わる先人たちの普及の努力の結晶が今のアメリカスポーツ事情だと知ってもらいたいです。個人的には。*4

*1:この頃コロンビア大はアメフト10年間禁止、スタンフォード大とカルフォルニア大はアメフト禁止でラグビーに転向。

*2:これを母体として、後にNCAAとなる。

*3:今でも合法的なケンカじゃねーか、とかは内緒だ。

*4:その現実を見据えた上でメジャーリーグサッカーも普及に努めなければならない。ちなみにアメリカのサッカー普及に大いに貢献しているのは、NFLカンザスシティー・チーフスオーナーのラマー・ハント氏。