コンサドーレ札幌、竜が渕に身を潜めるのは・・・。

SH772004-06-22

http://www.bnn-s.com/bnn/bnnMain?news_genre=17&news_cd=H20021022083
サポティスタより。

コンサドーレ札幌、最下位でも今期は黒字の公算〜11連敗でも戦力補強、指揮官交代はなし。
6月19日、コンサドーレ札幌は、アウェーでヴァンフォーレ甲府と対戦、3ゲームぶりの先制点を挙げた。しかし、76分に同点弾、85分に逆転弾を浴び、1−2で敗戦。チームは3引き分けを挟み、ワースト記録となる11連敗を喫した。
18節を終え、通算成績は1勝6分け11敗。長らく最下位に定着し、浮上する気配は見受けられない。
ゲーム終了後は柳下正明監督が「2点目を入れられてほとんどの選手が下を向いていた」と選手の“戦意喪失”を叱責したほどだった。

コンサドーレ札幌がワースト記録になる11連敗だとか。試合はスカパーで観たけれど、アウェーでもう少しで勝てそうだっただけに惜しい敗戦だった。チーム再構築期での苦しい時間が続いている。

当然、チームには荒療治が必要な状況だが、いまのところ戦力補強や指揮官の交代は視野ない。
運営会社・北海道フットボールクラブの石水勲副社長は、「監督の手腕は評価しており、すべてを任せる考えに変わりはない。負けが続いているのは、選手がリーグで最も若く経験がないためだ。それでもゲームの内容自体は悪くないし、いつか勝ってくれるはずだ」

11連敗はともかく、こういう苦しいシーズンになることも、また柳下監督には相応の時間が与えられているのもシーズン前に判っていたこと。柳下監督に与えられたミッションは、今季の成績<来季以降を見据えたチーム構築と云うことだろう。以下は「コンサドーレ札幌の再建計画」についての、昨年11月の北海道新聞記事。
http://www5.hokkaido-np.co.jp/sports/consa_check-plan/

点検 強化計画〜コンサドーレ札幌再起への道(上)リストラ
●人件費は半減

「経営的には事実上の倒産状態。クラブの存続を図ることを第一に考えた」。21日、「コンサドーレ札幌強化計画」を発表した北海道フットボールクラブ(HFC)の佐々木利幸社長は厳しい表情で語った。
HFCは2003年度決算で2億8千万円の赤字を見込み、累積赤字が過去最悪の31億円に膨らむ見通し。5段階の達成目標を定め、最終的にJ1定着を目指す強化計画は、生え抜き選手の育成を掲げる一方、今季20億円だった支出を1年目の04年度は12億円に削減する大リストラ計画だ。
来季は31人の登録選手を28人に減らすほか、年俸が高い外国人やベテランを若手に入れ替え、27歳の平均年齢を22歳に下げるなどしてトップチームの人件費を3億円と今季(7億3千万円)から半減させる。
一方、来季の入場者数を1試合平均6818人に設定、J1に所属し、最高だった01年(2万2228人)の3分の1以下とした。
「これまでは、J1昇格、残留のための支出ありきで、入場料や広告料収入を多めに見込んで、つじつまを合わせてきた」。HFC幹部は自ちょう気味に振り返る。
●「2年」目標に
札幌は最短2年でのJ1復帰をもくろむ。佐々木社長は「プロである以上、常にトップを目指すのは当然」と強調する。
しかし、リストラ強行がチーム力の低下となり、成績低迷がサポーターやスポンサー離れに拍車を掛ける恐れもある。また、強化計画は1年目から単年度収支黒字化を目指すが、札幌市などからの助成金2億円を前提にしており、完全な自立とはいえない。
1996年のチーム誕生以来、何度も経営改善策が出されたが、問題は先送りされてきた。「甘えの体質」から脱却できるのか。速やかに実行していくしかない。

クラブを存続させるためにも必要な支出の削減。赤字を生んだJ1への早期復帰や残留などを意図した方針を転換しなければならない時期が来た、と云うことだろう。クラブにとって最悪の事態は、J2への降格でもチームの連敗でもなく、クラブ消滅なのだから。(最近ではサガン鳥栖など、クラブ存続危機などを見てしまうと)最悪の事態に陥る前に方針を転換できたことは良かったと思う。元記事に話を戻すと。

「現在の観客動員力(仙台に次いでJ2で2位)をシーズン終了まで維持することができれば、今期の決算は2億円程度の黒字になる。そうなれば、来シーズンは戦力補強が可能だ」
北海道フットボールクラブは、02年度に8,700万円、03年度に1億9,436万円の赤字を計上しているが、今季は選手の人数と年棒を大幅に削減したため、戦績とは裏腹に、黒字となる可能性が高い。
リーグ9位だった昨シーズンのホームゲーム1試合あたりの平均入場者数は、1万0,766人だった。今シーズンはホーム9試合を消化し、入場者数の平均は1万0,623人。

会社幹部が云うところの「つじつまあわせの入場料見込み」から脱した入場者数設定は6,800人。しかし、連敗がつづく苦しい今の状態でも、まだ1万人を超えるサポーターがスタジアムに集まり、チームに声援を送りつづけている。これこそがコンサドーレ札幌が持つ、得難い財産であり、今までの活動の成果だろう。行政からの助成金があるとしても、再建1年目から単年度黒字の見通しがついたのも、大きな成果になりそうだ。
http://www5.hokkaido-np.co.jp/sports/consa_check-plan/ge.html

点検 強化計画〜コンサドーレ札幌再起への道(下)育成主義。
●広島型目指す

コンサドーレ札幌を運営する北海道フットボールクラブ(HFC)の佐々木利幸社長は、ずばり「広島型のチームづくりを目指す」と話す。
大型補強が失敗したこれまでの反省を踏まえ、HFCは策定した強化計画で、自前で育てた選手をチーム主力に据える育成主義を打ち出した。チーム強化の5段階の目標を設定する一方、人材の供給源として下部組織を充実して、毎年2人程度をユースからトップチームに昇格させる計画だ。
具体的には、新たに旭川、函館など道内3カ所にU−15(15歳以下)チームを新設し、中学生の有望選手を集めるネットワークづくりを進め、その受け皿となるユースの室内練習場と寄宿舎を建設する。

コンサドーレの強みは地域競合なく、まずは道内全域にネットワークを拡げられることだろう。育成型クラブへの移行が順調に進めば、将来は相当楽しみなチームが出来ると思う。ちなみにチーム強化五段階は以下の通り。

第1段階−方針:若手中心のチーム構成。選手育成拠点の準備
選手編成:28人以下。平均年齢22歳への引き下げ。高額年俸の外国人選手ゼロ 
第2段階−方針:戦うチームづくりとチーム戦術の浸透
選手編成:28人以下。平均年齢22歳。高額年俸の外国人選手ゼロ 
第3段階−方針:チーム戦術の徹底と質の向上
選手編成:28人以下。高額年俸の外国人選手ゼロ 
第4段階−J1昇格
選手編成:30人以下。外国人(最大3人)および日本人選手の獲得を検討 
第5段階−J1定着
選手編成:30人以下。平均年齢26歳。外国人(最大3人)および日本人選手の獲得 

今はまだ第1段階。スタジアム1万人以上のサポの後押しがあるだけに、1日も早く段階を進めて欲しい。「強さ」も集客の要因条件だけれど「希望」も充分に集客要因足り得るのだから。今季の柳下監督が達成しなければならないミッションは、この「希望」かも。

広島は2003年度の年間予算が18億円と札幌より2億円少ないが、下部組織での選手育成に定評がある。
ユースは全寮制で、全員が同じ高校に通う。スタッフが全国を回って中学生の優秀な選手を探し、「一本釣り」する。現在のユースチームの選手の半数はスカウトで発掘したという。
今年は8千万円をかけて、ユース練習場に最新式の人工芝を整備するなど選手育成のための投資を怠らない。
Jリーグ関係者からは「一本釣りで全国からかき集めるやり方はえげつない」との声もあるが、「地元の選手が関東や関西に流れることはあっても逆に広島に来ることはない。地方だから自前で育てるしか道がない」と広島の織田秀和強化部長は言う。

サンフレッチェ広島の育成のウマさと弛まぬ努力は、ザスパ草津も見習わなければならないところ。将来的には育成型に移行していかねばならないのは、札幌に限らず草津も同じ。ジュニアユースは立ち上げられたが、ユースはこれからだし。