沖縄かりゆしFC、監督と選手が一斉退団へ。

エンブレムはカッコイイ。

「ついに」とも「またか」とも。一斉退団は2度目の出来事。信頼なき経営陣はともかく監督・スタッフ・選手、そしてサポーターのツラさはいかばかりだろうか。
http://www.nikkansports.com/ns/soccer/p-sc-tp0-040910-0004.html

●沖縄かりゆし、監督と全27選手退団
 Jリーグ入りを目指す九州リーグ沖縄かりゆしの加藤久監督(48)と選手27人が9日、今季限りでの退団を表明した。メーンスポンサーのかりゆし(本社・那覇市)が今年度限りで撤退するのが原因とされる。

メインスポンサーの撤退に関しては5月の記事を参照されたし。
http://d.hatena.ne.jp/SH77/20040514#1084504064
その後の加藤久監督兼GMの動きについては6月のこちら。
http://d.hatena.ne.jp/SH77/20040629#1088524036
見やすい沖縄かりゆしFC選手名鑑はこちらに。
http://www.nikkan-kyusyu.com/cgi-bin/kyu/2004/kyu_sch.pl?mode=per&name=okinawa_kariyushi*1

加藤監督、FW松原らはこの日、クラブの與那嶺(よなみね)茂社長に口頭で退団の意思を伝えた。約1億円の運営費の半分を負担してきたかりゆしは、今年5月に支援打ち切りを表明していた。今回の事態に與那嶺社長は「来季は(今季予算の)半額は確保でき、新規スポンサーも探している。監督や選手を一から集め、Jリーグを目指すのは4、5年後」と話した。

3度目なんてあるのだろうか。周囲の信用回復には相当な時間と根拠が必要だろう。これまでの顛末を追うと「目指せJ」がどの程度の本気だったのか疑われても仕方ない。見通しに計算違いや甘さがあったのだろうか。

チームは現在首位と勝ち点3差の2位。優勝すればJFL参入をかける全国地域リーグ決勝大会に出場できるが、推薦者の沖縄県サッカー協会がクラブの体制を問題視すれば出場が取り消される可能性もある。選手たちは13日に沖縄で会見を開く。

目下のところ九州リーグ2位につける沖縄かりゆしFCだが、記事にあるとおりリーグ優勝すれば全国地域リーグ決勝大会の出場権を得て、その大会(予選グループリーグ突破&決勝グループリーグ)で2位以内に入ればJFLとの入れ替え戦に出場できる。選手たちのモチベーション次第だろうか。次の契約先を探す&アピールする舞台とも云えるわけで、クラブの存続とは別に選手の意気があがる要素もある。ただJFL昇格権を得ると他クラブやJFLなど運営側が困る事態にもなってしまう。この辺りも13日の記者会見待ちか。あわせて来季のJFLや九州リーグで戦う可能性もほとんどなくなったと云えるだろう。

日刊スポーツ九州版には加藤監督のコメントも。
http://www.nikkan-kyusyu.com/view/kl_1094821128.htm

●加藤監督
クラブの理念に共感して沖縄に来たが、企業の論理が前面に出た形で、結果的に地域や子供たちの将来の夢を壊してしまい残念。私を信頼して集まってくれた選手たちも、やりきれない思いだろう。現チームとして地元で最後の試合が18、19日にあるので県民の前で全力を尽くす。選手たちは次の行き先を探さなきゃいけないし、そのため早く行動したかった。

「早く行動したかった」というコメントは結構深いと思う。上記の6月の記事で加藤監督は新スポンサー探しに自ら乗り出していることに触れ、

公共性のある電力会社などが新スポンサーとして名乗りをあげ、運営の中心になってくれれば申し分ないと思います。ただし、地域リーグからJFLに昇格せずに、スポンサーをお願いすることはできません。チーム存続のためのハードルは極めて高いのです。
そんなに上手くことは運ばないことは承知しています。しかし、選手のためにやれるだけのことはやってみる覚悟です。

と「新スポンサー&新たな展開につなげるにはJFL昇格」という可能性と希望を持っていたことが判る。この可能性(JFL昇格)は現時点ではまだある。

しかし、その結果を待たずにリーグ戦の最中に監督と中心選手が揃って経営陣に集団退団を申し入れたという現実は、来季への展望がなくなったことを示している。現経営陣への不信感があることは想像に難くない。*2

「目指せJ」が全国のあちこちで動きがあり、昨日の「徳島ヴォルティス」のように来季のJ加盟を確実にしたクラブもある。しかし同時にこのような事態を招いているクラブもある。「目指せJ」は、単に監督とサッカー選手を頭数そろえればよい、というようなものではなく、ピッチで成績と結果を残しつつ、地域コミュニティのサッカー熱(と地域ナショナリズム?)を集約し、スポンサーと行政からも支援を受けねばならない困難かつ地道な組織運営が必要なのだと思い知らされる。夢がなければ先には進まないが、周囲に夢を見させながらも、自身は現実と現状を冷酷に眺められる人材も必要なのだろう。

とにかく加藤監督含めて、一人でも多くサッカーが続けられるように祈念するばかりです。こんなことでキャリアを閉じてしまうのは残念すぎる。前回の集団退団後に、よせ集めから始まったチームでたった1年で九州リーグ優勝、全国地域リーグ決勝大会にまで駒を進めた、実績ある監督と選手で構成された立派なチームなのだから。

*1:元Jリーガーも多いので各クラブのサポの方が見ると「○○くんは、これからどうするんだろう」と心配になると思います・・・。

*2:http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/today/040910f.htmlなどでは松原キャプテンの不信感や不満が紹介されている。