「目指せJリーグ」チームの抱えるジレンマと宿命。

上のエントリーの続きになりますが。AC熊本の荒木社長のおっしゃるとおり、集まった1億数千万円は「先行投資」です。Jリーグに加盟するその日まで、やはり「目指せJ」のチームは出資・協賛企業のサポートが必要となります。
ザスパ草津もそうでしたが、「目指せJ」チームが毎年のように昇格したとしても、J加盟を実現するまでの数年間は、クラブは興行収入を見込めません。極端な話、たとえばロッソ熊本が今季九州リーグで平均2万人の観客を動員したとしても、地域サッカー協会が主催する入場料無料の九州リーグでは、入場料収入は計算するまでもなくゼロです。
JFLに昇格すれば、各チームは大人1人あたり800〜1200円の入場料を設けていますが、全国リーグのJFLは支出も大きく、まずJFLに支払う年間参加費だけでも年間一千万円必要です。そしてリーグ戦全30節(06年から全32節)のうち半分は全国を転戦しなければならないわけですから、J1と同額とはいかないまでも、交通費負担はかなりのもの。入場料収入があるとはいえ、JFLで黒字を出していくのは、とても難しいと云えるでしょう。まとめれば「J加盟できなければ、もうからない」と云えると思います。アマチュアリーグに所属している以上、当然でもありますが。
そしてJリーグ加盟を短期間で目指すには、プロ並かそれに準ずる規模の監督や選手達が不可欠なのは、徳島、草津、愛媛などの動きを見ればあきらかです。しかし良い監督や選手を集めて維持していくのには、かなりの費用が必要なものの、彼らの見せるサッカーは直接的には「もうけ」(興行収入)を生まないのです。チームグッズの販売など収入を得られる方法もありますが、それだけで「目指せJ」クラブを支えていくのは無理でしょう。
観客から対価をもらえるほどのプロ(並み)選手を揃えて養わなければ、Jリーグには短期間で辿りつけない。しかし対価をもらえるほどのプロ(並み)選手なのに、もうけは出せない。Jリーグ加盟までは周囲の援助を頼らなければ運営出来ない。
この出費ばかりがかさむ数年の負担を出来るだけ軽減し、「目指せJ」チームが独自に興行収入を上げられる選択肢が必要と思われます。
これは、ただ地域リーグ都道府県リーグで入場料収入を徴収すれば解決する問題ではありません。チケット印刷や販売、会場の運営や警備にも費用が余分にかかりますし、入場料を徴収する試合での公共会場使用料は、無料の時とケタ違いなのは当然ですので、観客が少ないならば無料で開催したほうが支出も少なくなるくらいです。
個人的には地域リーグ都道府県リーグでも「興行収入を見込める」と判断して手を挙げたクラブには、運営と興行を許可してもよいのではと考えます。
現在のロッソ熊本のように地域から期待を集め、練習試合に(いくら浦和レッズ相手とはいえ)1万人を超す観客を動員できるクラブならば検討の余地はあると思われます。少なくとも「数年間は入場料がゼロ確実」よりは「入場料収入も(クラブの努力で)検討できる」という選択肢を持たせても良いのではないか、と思われます。