J's GOALで「ザスパ草津−サガン鳥栖」戦のプレビューがアップ。

SH772005-04-29

J's GOALより。http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00018675.html

●J2第9節 草津 vs 鳥栖 プレビュー:草津にとって鳥栖は厄介な相手。草津鳥栖・松本監督の『策』にハマるか、それとも、破るか?
草津にとって、今節の対戦相手・鳥栖は嫌なチームだ。これまでに対戦したことはない。しかし、8節までの両クラブの戦い方や戦術を鑑みると、そう言わざるを得ない。もちろん、今の草津に、戦い易い相手など存在しないが、そんな中でも戦いづらい相手と言える。
前節の山形との試合で敗れた後、鳥栖・松本監督はこんなコメントを残している。「今までのゲーム内容の良さは、錯覚だったと悟らされた。相手にプレーさせず、自分たちがプレーするという、今までの形が全く出せなかった・・・以下略」

今季、色々な騒動から再出発を図っているサガン鳥栖ですが、最大の強みは、名伯楽・松本育夫監督の続投を決められたこと。戦力を補強できた松本監督の戦い方は、他対戦チームの今までのインタビューなどからすると「相手チームの長所を消し、サガンの強みを活かしていくこと」が基本路線のようですね。

松本監督の『相手にプレーさせず』という言葉が、草津にとっては厄介だ。草津は今までに、自分たちのサッカーを全くさせてもらえなかったゲームが数試合あった。4節・横浜FC、7節・水戸、そして前節・仙台戦だ。いずれも大量失点による大敗ではないが、相手の術数にハマった完敗だった。これらのゲームでは、草津の長所がことごとく潰され、決定機を作れずに、90分があっという間に過ぎていった。相手に防護壁を造られると、それを乗り越えることができない未熟さがある。

この3ゲームに共通することは、「まずは、草津の攻撃をキッチリ止めること」で戦ってきたことにあります。そして草津はこの3チームに多くの得点チャンスを与えたわけではありませんが、それぞれに1〜2得点を奪われ負けています。それぞれのチームの得点手段こそ違いますが、「長いJ2リーグで粘り強く戦い、勝ち点を稼ぐ方法、1つの正解」を実証してくれた、先輩チームの教えでもありますね。

前節では、仙台のGK高桑が「サイドに流れるFWには必ず2人で対応して潰しにいった。ラインコントロールと、サイドのスペースのカバーが統一してできたので、危ない場面はほとんどなかった」とゲームを振り返った。草津はFWが潰され、サイドの領域を埋められたことで、完全に牙を抜かれた。草津は、左サイドバック寺田がアーリークロスを放り込むしか対応策がなかった。

仙台は、この守備方法を前半からキチンとこなしていましたね。そしてザスパには、それを破る方法がまだない。これがまだ構築中のチームの弱み、チームとしての経験値の不足であると思います。

草津・手塚監督は、鳥栖というチームを「開幕の時よりも、落ち着いて『つなぐ』サッカーが出来てきている。攻守の切り替えが早く、しっかりと守りながらも、後ろからの上がりが早い。水戸と似ているようだが、その辺がちょっと違う」と分析した上で、「攻守の判断が遅れれば、やられてしまう」と警戒する。当然ながら、前節・前々節のときのような試合展開だけは、避けなければならない。

少ないチャンスで確実に得点を重ねられ、こちらの攻撃は読まれて完封。やはりパスミスとクリアミスを減らし、セットプレーでのマーキングなどの徹底でしょうね。前節の仙台戦でFKから致命的な2点目とられましたが、(2点目が致命的なのも悲しいけど)それ以外のセットプレーでも、どフリーでヘディングを撃たせるなどカバーしきれていない場面が多すぎますからね。

悪い雰囲気を払拭するためにも勝利が欲しい草津は、仙台戦に引き続き、4−4−2のダイヤモンドの陣形で挑む。FWは、相性の良い吉本と佐藤のコンビが有力。佐藤が体を張り、吉本が裏のスペースを狙う。状況によっては、27日に入団が発表された、樹森(前水戸)の出番もありそうだ。中盤は、ケガから復帰した酒井、高須が準備を行っている。

すでに練習参加していた樹森が雰囲気を変えるためにも登場しますかね。それに高須、酒井の負傷回復も順調のようです。この3人を入れるとするならば・・・こうですか。

●仙台戦キックオフ          鳥栖戦予想
−−吉本−−御給−−:佐藤  −−吉本−−佐藤ー−:御給(堺)
−−−−山口−−−−:    −−−−山口−−−−:
−-山崎−−-小久保−:佐田  −-樹森−−−酒井-−:小久保(山崎・佐田)
−−−-鳥居塚-−−−:氏家  −−−-鳥居塚-−−−:氏家
寺田−−−−−−−堺:依田  高須−−−−−−依田:寺田(佐田・堺)
−−籾谷−-小田島-−:    −−籾谷−-小田島-−:(小川・齋藤)
−−−−岩丸−−−−:北   −−−−岩丸−−−−:小島(北)

SBでの堺陽二の起用は、現状かなり難しいと仙台戦でも思いました。堺の前の右サイドプレイヤーが守備も意識できる佐田くんだと「二人で入れ替わりながら攻めて、守ろう」が機能し、堺の攻めあがりも期待できますが、前節のように小久保アニキが前だと、攻守ともに中央寄りで活きる小久保の運動量のために、堺がスペースケアを重視して攻めあがることなく普通にDFになっていました。それでは堺陽二の良さは出ませんよね。居合いの名人が抜き身で立っているようなものです。前で酒井、小久保の「運動量勝負」の二人の起用が多いならば、堺は人数が少なくなってしまったFWに復帰させて(他ポジションの経験はそれはそれで糧になっているし)、右SBには攻撃参加も可能であり、守備に専念しても遜色ない依田会長か佐田くんを置いたほうが安心なんじゃないですかね。
また2トップは吉本・佐藤が有力、とのことですが、前節の前半に見せた2トップでの御給くんのポストからの配球は充分に武器として機能していました。樹森、酒井と攻めの運動量が豊富な両SHがその配球に絡めるとするなら、ベンチに座らせて置くのも、もったいない気もしてきますね。
まあ、ザスパ草津に限らず、どのチームにも個性ある選手が揃い、それぞれが得意・不得意を抱えています。また対戦チームとの兼ね合いもあります。どの11人を選んでも、メリットとデメリットは必ず発生するので、そこが監督の難しいところであり、腕の見せ所ですよね。例えば、自分の組んだ「鳥栖戦予想」は守備的ボランチである鳥居塚キャプテンの負担が大きいと思われます。前節の仙台戦でもまず守備範囲は横の広く、後半はDFラインが上がらないので縦にも広くなってしまい、小久保もどうしても攻めに上がるので、とんでもない運動量と献身をたった1人で要求されていましたね。さすがに鳥居塚キャプテンでもカバーしきれないのが現地で見ていてツラすぎました。その辺りも記事では注目しています。

ポイントとなりそうなのは、ボランチの鳥居塚と、鳥栖のトップ下・宮原とのマッチアップ。鳥居塚が対応に追われ、DFラインに吸収されるようだと、草津の攻撃の起点が失われることになる。鳥栖は、きっちりと守った上で、MF長谷川ら2列目が、FWを追い越してスペースに走り込みたい。

前節前半では、ラインを上げて両CBが判断よく前にブレイクしてパスカット、小久保も戻ってダブルブランチになって応対し、鳥居塚キャプテンとバイタルエリアの守備を助けていました。しかし後半は、鳥居塚キャプテンも上がらないDFラインに吸収されて、ズルズルとさらに下がって攻撃の起点となれませんでしたが、これはDFラインとの遊離を嫌い、また上がらないDFラインの前で安易にボールホルダーにアタックすると、抜かれた時にカバーがいないので、大きなピンチになることを警戒したからだと考えます。明快な解決方法は難しいのですが、鳥栖戦予想布陣の樹森の位置に鳥居塚キャプテン、中盤の底に氏家を充てることがまず考えられますね。攻撃の枚数は減ってしまいますが、高須が復帰してハーフウェーラインや後方から精度の高いフィードを供給できるのならば、左サイドからバイタルエリアにかけて鳥居塚・氏家・高須の3名で攻守の入れ替わり分担も期待できると思います。
繰り返しですが、全ての組み合わせにメリットとデメリットがありますので「この布陣が正解だ」なんてものは存在しません。「一番うまくいきそうな布陣、11人+5人」が生まれるのも草津ではまだまだ先ですからね。

松本監督のコメントの続きだ。「〜上手くないチームがどうやって勝つのか、今日の試合から反省したい」。鳥栖は勝利を挙げるために、相手にサッカーをさせないという方法を選択している。指揮官は、草津を封じ込める『策』を選手に授けるはず。草津は、それを破れるかどうかにかかっている。
手塚監督は、選手にこう伝えている。「ボールが動いてから人が動くのでなく、まず人が動いてボールを動かさないといけない。辛抱して90分間戦い抜くことが大切」。これができなければ、松本監督の術中に陥ることになってしまうだろう。

すぐに攻守のバリエーションが増えるわけでもなく、皆で応対できる戦術的な幅もまだありません。前節のようなサポーターに失望を与えるプレーではなく、最後まで戦う姿勢でゲームをしてくれることだけを願っています。立派な言い訳を探すより、ホイッスルまでボールとチャンスを探そうよ。
加えて述べることとして、J's GOALのザスパ草津ホーム戦でのプレビューは伊藤寿学さんが担当されることが多いのですが、とても助かっています。それは、上毛新聞をはじめ、全国紙地方版では、練習の風景や選手の回復具合など詳細なレポートは掲載されないからです。
他J2クラブですと、その地域の新聞が結構詳細に練習風景などをレポートしてくれているのですけれどね。徳島新聞とか今日と新聞とか河北日報とか。J's GOALの伊藤さんには引き続き頑張っていただいて、上毛新聞にはもう少し練習レポートをお願いしたいですね。