J2第11節、ヴァンフォーレ甲府戦。温泉マッチは1−4の完敗。
楽しみにしていた美しき松本アルウィンでの観戦も、仕事の都合で夢破れてしまい、録画放送が観られる環境にないので、試合詳細はなんとも云えませんが。
NHK−BSの「速報J」での失点シーンや新聞記事などを見ると、甲府の2トップに散々にやられたようですね。DFがマーク出来ずにペナルティエリアでFWにフリーで打たれたら、いくら小島さんでも無理ですな。
J's GOALより結果を。
http://www.jsgoal.jp/result/20050200030420050507_detail.html
●J2第11節 5月7日(14:01/松本/9,701人)
ヴァンフォーレ甲府 4−1 ザスパ草津
得点 23分:長谷川太郎(甲府)27分:バレー(甲府)49分:バレー(甲府)66分:長谷川太郎(甲府)89分:山崎渡(草津)
ともあれMF山崎渡、祝Jリーグ初ゴール!! ザスパ草津が群馬県1部の頃からの選手がJの舞台で得点するのは、とにかくうれしいものですね。
また上記リンクからはこの日のザスパ草津のメンバー一覧が見られますが、スタメンは中2日でまったく変わらず、サブメンバーのMF氏家が得点した山崎に変更されただけなんですね。湘南相手にあれだけ走って、1人も変更ナシとは正直オドロキでした。手塚監督は、疲労度よりも前節機能したメンバーの習熟を優先したのでしょうか?
試合の模様は、まず朝日新聞群馬県版5月8日付より。
http://mytown.asahi.com/gunma/news02.asp?c=22&kiji=73
●ついに5連敗
J2のザスパ草津は7日、長野県松本市の松本平広域公園総合球技場で、ヴァンフォーレ甲府と対戦し、1対4で完敗した。引き分けを挟んで5連敗。この試合で全44試合の4分の1にあたる第1クールの11試合が終わった。成績は1勝9敗1分けで、勝ち点は4で最下位のまま。
FW佐藤と吉本の2トップ、4バックのシステムで臨んだザスパだが、パスミスが重なり、計4点を失い、完敗した。
最初の失点は、前半23分。相手左サイドからのクロスにヘディングシュートを決められ先制を許した。同27分にはパスミスから簡単に攻撃を許し、ゴールを奪われた。
後半4分には、相手FWバレーの個人技で3点目を奪われると、同21分には4点目を許した。
ザスパも後半、途中出場の酒井が右サイドからの攻撃を何回も仕掛け、吉本にクロスを供給。吉本もヘディングシュートを狙うが、相手GKの好セーブに阻まれた。ロスタイムに入り、吉本からのパスを、MF山崎が、自身Jリーグ初ゴールとなるヘディングシュートで零封を逃れた。
手塚監督は第1クールを振り返って「失点が多すぎる。システム変更も含めて検討しないと」と説明。かたくなに守ってきた4バックの変更もあり得ることを示唆した。
パスミスからの失点、DFが相手攻撃陣の個人技で抜かれる、と今までの大量失点パターンが起きたようですね。監督は4バックから3バックへの変更を考えられているようですが、4バックでもあれだけサイドを抉られての失点しているのに3バックに変えてなんとかなるのか、微妙だと思われます。福岡戦でも2対1の状況でサイドコーナーに追い込んだのに、そこから簡単に抜け出されるような場面が目立ちましたから、システム云々や監督の責任でなところも多いと考えています。相手の戦い方にあわせて守備スキームを変えていけるようになってくれれば良いのですが、おそらく今季一杯の課題だろうと思われます。
攻撃で押し込まれるのは、なにもDF陣の責任だけではなく、攻守が一体のサッカーという競技では、良い攻撃がそのまま守備の負担を減らすわけですから、守備陣のレベルアップも必要ですが、徳島や湘南戦で見せた攻撃のスピードと精度、中盤での早く連動したプレスをもっと高めていかねばならないでしょうね。
続いて地元紙上毛新聞5月8日付より。J's GOALにレポートまだアップされてないのですよね。監督、選手コメントのアップもいつもに比べるとかなり遅めでした。
●ザスパ 遠い白星
評:ザスパは前半、中盤からのボールをFW佐藤に集めてチャンスをうかがったが、相手守備をうまく崩せなかった。後半はFW酒井、MF鳥居塚ら攻撃陣が計11本のシュートを放ったが決定力不足。終了直前にMF樹森の右からのクロスをMF山崎が頭で合わせて1点をかえすのが精いっぱいだった。
甲府は前半23分、DF青葉の左サイドからのクロスをFW長谷川が頭で押し込んで先制。その後も長谷川とFWバレーで計4点を挙げ、ザスパを圧倒した。
ヴァンフォーレ甲府に4点を献上、前節の引き分けを挟んで5連敗となったザスパ。「ミスからの失点が大きかった」。手塚聡監督は、前節とうって変わって厳しい表情を見せた。
湘南ベルマーレ戦で久々の勝ち点を獲得、勝利への手応えを感じていたはずだった。しかし、攻守の切り替えが素早い甲府は、中盤から短いパスを多用してバレー、長谷川太郎の2トップにボールをつなぎ、ザスパ守備陣をかいくぐった。
前半の先制点はDFのクリアをうまく拾われたほか、2点目はバックパスを敵にカットされて得点を許した。後半も甲府の2トップを抑えられず、ゴール前でフリーでシュートを打たせる場面が増えてしまった。
「失点は選手個人の問題ではない」。手塚監督はあくまでチーム全体でのミスを強調した。選手たちも「これからは各選手が1200%の力を出さないと」(MF鳥居塚伸人主将)、「もっと早い時間に攻めたかった」(MF山崎渡)と反省と課題を口にした。
山崎の初ゴールのアシストは「吉本ではなく樹森説」浮上。樹森がクロス、吉本も絡んでフィニッシュが山崎?
山崎が語るように「もっと早い時間帯から攻めたかった」のに、それが出来ないのは、甲府も4点とってペースダウンしてくれたからと、中2日で全員連続スタメンによる疲労から、疲労が少ない交代選手が動けたからかもしれません。とはいえ、対する甲府もアウェイ福岡戦の後で、ホームとはいえ長野県松本での試合。メンバーもサブFWが須藤から小倉に変更されただけで、スタメンは中2日でまったく同じですから、ここが地力と鳥居塚キャプテンの云う「各選手が120%ださないと」なのですかね。
それでも、試合終了直前に山崎が1点を挙げ、意地を見せ付けた。手塚監督は「今までなら4−0で負けていた。この気持ちを忘れないでほしい」と唯一の収穫に期待をつないだ。
この日で第1クールが終了。まだ全日程の4分の1しか終わっていないが、11試合で学んだことはあまりに大きい。これを今後に生かせるかどうかにザスパの浮沈がかかっている。
確かにここの部分は収穫です。草津は今季ここまで「失点後の得点」と「メンバー交代後の得点」はゼロですからね。小さいながら前進ですし、監督の云われるとおり「この気持ちを忘れないでほしい」ですね。
ようやくアップされたJ's GOALの選手コメントではGK小島さんのコメントが掲載されています。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-05/00019120.html
●小島伸幸選手(草津)
「同じミスを繰り返すことが多い。相手が狙っているところにはまりこんだ。自分たちのいい所を出せれば、前節のような試合ができるのに。立ち上がりは悪くなかったが、後ろのマークがズレて、ふわふわしていた。嫌な感じはあった。最後はノーブローで打ち合った。そして、きっちり点を取った甲府が上に行った。草津は後半に11本シュートを打って1点だけ。4点取り返すには40本以上シュートを打たないと駄目ということになる。この精度は上げていかないと駄目」
40本シュートを打つ事は出来ないのですから、精度を高めてチャンスを確実に活かしていかないとダメなのは小島さんの云われるとおり。後半は攻める時間帯もあって、試合の合計シュート数もほぼ互角に。攻めている時間でどうやって得点するか、ですね。湘南戦では得点できてますから、少しづつは前進していると思うのですが。手塚監督のコメントと、甲府GK鶴見選手のコメントを読むと、かなり惜しかったようですし。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-05/00019086.html
http://www.jsgoal.jp/club/2005-05/00019120.html
●手塚聡監督(草津)
「前節はじめて引き分けて、内容的にもいい試合ができたと思った。勝ち点1を取って第1クール最後となる甲府との試合に臨んだ。選手の姿勢が悪いとか、ゲームへの入り方が悪いとかということは感じていない。ただ、ミスから失点した2点目が大きかったと思っている。後半も早い時間に追加点を許した。0−3になってからはGKと1対1の場面を作るなど得点のチャンスは2〜3回あった。それを決めることが必要だと思う。
●鶴田達也選手(甲府)
「(3点取った後の好セーブは)たまたま当たった感じです。チームが3点目を取った後のセーブだったので、チームの流れという意味ではよかった。最後の1失点は、カウンターを受けた時に守りがバラバラになってしまうから。次の試合では切り替えたい」
また手塚監督には、第1クールを終えての質問がされ、コメントもしています。
●手塚聡監督(草津)
Q:(草津は)Jリーグ1年目、土台作りの大役を引き受けたと思うが、第1クールを終わって手塚イズムはどの程度浸透したのか
「具体的な数字で言うことは難しいが、浸透したのか、していないのかで言うと浸透していないと思う。我々(コーチングスタッフ)も選手も最終的に目指すところは一緒だが、同じ方向を向いて、共通理解がないとゲームの中ではうまくいかない。それをどう合わせて、みんなが同じ方向を向いて進んでいけるのか。チームとして戦うことを植えつけていかないといけないと思う」
第1クールは徳島以外とは初顔合わせ、さらに戦力的には不利のチームを構築し、結果もある程度見せていかねばならないので、新人監督には大変な苦労があると思いますが、これからも試行錯誤しながら、J2での戦い方を探してもらわねばなりませんね。攻撃指向のサッカー、という目指す目標自体は、ザスパ草津にあっていると思っていますので、どうそ頑張って下さい。
追記。9日の10時過ぎに、やっとJ's GOALのレポートがキター。草津部分を中心に。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-05/00019141.html
●J2第11節 甲府 vs 草津 レポート
石和温泉と草津温泉をホームタウンに抱える甲府と草津。温泉マッチと名付けられた第1クール最後の一戦は、長野県松本市の松本平広域公園総合球技場で行われた。松本空港の滑走路脇にあるこのスタジアムは、松本駅からのアクセスに時間がかかるものの非常に美しいスタジアムである。
キックオフ前に、温泉マッチとして「草津温泉の湯もみ」と「石和温泉の芸妓神輿」の応援対決もあったそうで。観客も1万人に近づく盛況で、ネットでは読めないニッカンの記事では、企画した甲府の社長さんもかなりうれしかったそうで。試合も勝ったし。一方の草津も、11月に松本アルウィンでの試合を検討しているとか。
両チームともに、立ち上がりはボールを回す意図が感じられ、ある程度実践できていた。特に草津が個人とチームとして成長していると感じられた。しかし、新加入の樹森を中心に小久保、佐藤、吉本はボールを繋ぐものの、シュートレンジまでは入ることができない。この点が前半のシュート数3という数字に表れている。
やはり湘南戦のように、タテの大きく出す展開は出来なかった模様。中盤でのパス回しがJ2のスピードに慣れてきたのは朗報ですが。
27分にはFWの佐藤がディフェンスラインまで下がって甲府のボールを奪うが、出し所が見つからず、バックパスをする。しかし、そのボールはバレーが狙っており、甲府に2点目を献上してしまう。ボールを失った瞬間、すぐにディフェンスに入った甲府の切り替えの早さが生んだ得点だ。ただ、草津も開幕当初から見れば、『選手の判断力を育てる』という手塚監督の意図は部分的に感じることができる。スペースを空けて、そのスペースを他の選手が使うといった事柄だ。草津のスタートはサッカーの基本を選手に植え付けること。ただ、部分的にしか発揮できないところが最下位の理由だろう。
「判断力・基本が出来ていない」をもう少し砕くと「プレーと判断の遅さ、スピードアップがまだまだ必要」だと思います。開幕当初に多かった、安易なスローパスや危険な横パスは減ってきてますからね。
プラン通りになったことで安心したのか、3−0になってからの甲府はディフェンスラインの運動量は減り、オフェンシブな選手の連携にも陰りが見られた。ただ、このような状況でも、小倉から先発FWの地位を奪い取った長谷川は乗っていた。後半21分(66分)に石原からのボールを受けて、草津ディフェンスを交わしてシュート。自信に満ち溢れているFWのゴールだった。試合のたびに、安間コーチとビデオを見ながらプレーを修正してきた長谷川。その成果は第2クールには更に発揮されることが期待できる。
昨季のHonda FCの安間監督が、現在は甲府コーチ。第2第3の古橋達弥ですか、長谷川くんは。JFLから現在はJ1セレッソ大阪で活躍している古橋も、安間さんからみっちり指導を受けたそうです。
草津は4失点だったが、ただ打たれたわけではない。何度か決定的なチャンスは作り出した。そして、89分には右サイドをドリブルで駆け上がった樹森が上げたボールを、途中出場の山崎が頭で合わせて一矢を報いた。
四分の一が終わったJ2リーグ。草津はもう少し時間をかけて選手の成長を待たなければならないだろう。だが、選手の判断力を育てようとする手塚監督の意図は徐々に浸透していると言っていいだろう。
第1クールはかなり高い授業料を払って様々なことを学んだでしょうから、これからは、その授業を活かしていってもらいたいところです。レポートにある「選手の成長」には、選手個々のガンバリと試合から得た経験をどう自分のプレーにつなげていくかを考え、実行していくことが必要ですからね。