J2第16節、徳島ヴォルティスはアウェイ札幌戦。猛攻を凌いでスコアレスドロー。

まずは徳島新聞6月12日付より。
http://www.topics.or.jp/t-jleague/2005/0612-1.html

ヴォルティス、札幌と分ける 守備陣の気迫、猛攻はね返す  
前節、ホーム初勝利を挙げた徳島ヴォルティスは札幌ドーム(観客1万2675人)で札幌と戦い、0−0で引き分けた。徳島の通算成績は3勝8分け5敗の勝ち点17で、順位の9位は変わっていない。
評:徳島は前後半7本ずつのシュートを打たれながらも、GK高橋の好セーブなどで得点を許さず、引き分けに持ち込んだ。
攻撃では、序盤から相手の厳しいプレスに遭い、中盤でしっかり組み立てられなかった。後半半ばからはシュート力のある片岡をトップ下に配したり、左サイドに冨士を投入したりしてリズムを変えようとしたが、シュートにまで持っていけなかった。終盤には挽地ら守備陣が体を張ったプレーで、相手の猛攻を押さえ込んだ。

ホーム札幌の主導権のもと、かなりの攻撃にさらされたようですが、DF陣の粘りとGKノリヲ様の活躍で価値あるスコアレスドローに。守備陣の活躍はと同紙同日付の別の記事、J's GOALでの言及されています。
http://www.topics.or.jp/t-jleague/2005/0612-2.html

●球を追う気迫満ち、「価値点」は1以上  
徳島守備陣が、ホーム4連勝を目指した札幌の怒とうの攻撃を気力ではね返した。中でもファインセーブを何度もみせたGK高橋のプレーが、貴重な勝ち点1に結びついた。
立ち上がりから出足の速い相手に押し込まれた。クロスバーをたたいたFKなどピンチの連続。前節、ホーム初勝利を収め、勢いづきたかっただけに「今節は失点したくなかった」と高橋。圧巻だったのは後半28分、29分と続いた相手FWとの1対1。「相手のフォームで球の飛んでくる方向が読めた」。体や足に当てて外にはじき出した。ベテランの技がチームを救った。
高橋につられるように、DF3人も粘りに粘った。相手FWと競った後のこぼれ球への反応が速く、シュートは打たせても間合いを詰めて精度を鈍らせた。小峯は「声を掛け合ってマークを確認したし、カバーの意識が高かった」。

http://www.jsgoal.jp/club/2005-06/00020342.html

最後のところで徳島の粘り、しぶとさが表れた。
後半28分、そして38分と続けて、途中投入で入っていた札幌・石井は徳島GK高橋と1対1という絶好の局面を得た。が、いずれも阻まれる。ロスタイム突入後の後半46分には、石井は今度は浮かして高橋の頭越えを試みたが、シュートはバーの上を虚しく越えた。
試合後、石井は高橋に阻まれたシーンについて「落ち着いていた。落ち着きすぎていた」と振り返り、一方の高橋は、いずれのシーンも同じ選手が来たかどうかは覚えていないとしながらも、「向こうの方が落ち着いてなかった。向こうがシュートを当ててくれた」と語った。この両者の言葉の違いの間には、何があるのだろう。石井より15歳年上の高橋の方が、相手の姿も心の奥も、いろいろ見えているのだろうか。

ノリヲーラが全開なのかもしれませんが、やはり勝負を分けたのは重大な局面の落ち着き。そういった場面に何度立ち会ったことがあるか、修羅場をくぐった回数の差が現れるのかもしれませんね。逆にこの試合で2度決定的な場面で得点できなかった石井選手も得るものがあるのでしょうし。

後半39分には、上里からのCKを曽田がヘッドに当てたが、ゴールライン寸前に立っていた小峯の足に当たり、ゴールは割れず。その後も曽田はCKからのこぼれ球を右サイドで拾って怒涛のエリア内へのドリブル侵入もするが、その先のパスは潰される。4分という長いロスタイムの間もホームの札幌が意地になって押すが、徳島DFの網に最後まで緩みは生じず、0対0のまま試合は終わった。

ただ攻撃陣は不安材料があるようです。前節でエースストライカーの大島が負傷交代、今節はベンチ入りもしていません。ツートップの一角には本来はMFの小山が入っていますから、田中監督の苦しい台所事情が伝わります。

●攻撃陣は反省しきり
前節、18本のシュートを放ち2得点した攻撃陣が、この日は4本しか打たせてもらえなかった。田中監督はハーフタイムに「もっとラインを押し上げろ」と指示したものの、守備の時間が長く、なかなか数的優位をつくって攻めることができなかった。
ロングボールをFW羽地に当てても、フォローがない場面が多かった。羽地は「しっかり振り向いて強引にシュートを打つべきだった」と反省。MF金は「やっぱりサイドから崩さないとだめだ。次戦からは切り替えを速くして攻め上がり、精度の高いセンタリングを上げる」と話した。

J's GOALのレポートでも徳島のパスミスから札幌の攻撃に転じることも多かったと言及されているとおり、中央の伊藤彰はともあく、両SHとツートップがなかなか思うように組めないのが苦しい原因のようです。早く正確なショートパスで中盤を制し、片岡・大場の両サイドからの送られるクロスを、ポストの林とスピードの大島がフィニッシュに持っていくのが徳島の必殺パターン。守備陣の奮起は朗報ですが、新たな人材で攻撃を構築しなければならない苦労はもうしばらく続きそうです。ガンバレ、徳島ヴォルティス。出来れば次の草津戦以外で。