2006年、第8回JFLが開幕。佐川急便大阪SCがFW御給匠の先制弾含め3−0の勝利で開幕首位に。

今年も始まりましたJFL。「目指せJ」、企業スポーツ部、市民クラブ、大学サッカー部の合計18チームがそれぞれの目標を抱きながら、アマチュア最強の座を掴むため12月までの全34節を戦います。その第1節は、3月21日の横河武蔵野FCSC鳥取戦を残し、19日に8試合が行われました。結果はJFL公式から。
http://www.jfl-info.net/

2006年JFL 前期第1節 3月19日(日)
YKK AP FC 3−1 ロッソ熊本
得点 9分:濱野勇気(YKK)31分:星出悠(YKK)56分:長谷川満YKK)80分:鎌田安啓
アローズ北陸 1−0 ジェフ・クラブ
得点 3分:北川佳男

富山県総合運動公園陸上競技場では、富山県の2チームの試合がダブルヘッダーで行われた。YKK APロッソ熊本の対戦は、立ち上がりからセットプレーからチャンスを掴んだYKKが、9分にコーナーキックから濱野勇気が決めて先制すると、31分にもペナルティーキックで追加点を挙げ前半を終了。後半に入り56分に長谷川満が決めて突き放すと、ロッソの反撃を1点に抑え開幕を白星で飾る。
アローズ北陸ジェフ・クラブと対戦。試合開始直後に北川佳男のゴールで先制すると、その後もチャンスを掴むが追加点が奪えないまま後半へ。両チームで3名の退場者を出した荒れ気味の試合は、相手を無得点に抑えたアローズが逃げ切り富山勢が幸先のいいスタートを切る。

生憎の荒天となってしまいましたが、地元チームが連勝するダブルヘッダーの結果は、強豪2チームを擁する富山県のサッカーファンへ良いアピールになったのではないでしょうか。
YKK AP FCは過去3試合観ていますが、いづれの試合でも「アウェイで守り逃げ」など考えずに、攻撃に活路を見出すサッカーで戦うチームでした。04年にはザスパ草津のホームゲームで1−0とリードし、後半に1−1にされても「守り逃げで勝ち点1」など考えず、そこから猛然と攻勢に転じて撃ち合いを挑んだ姿が強く印象に残っています。*1過去の対戦成績を見ても、04年の大塚製薬(現徳島ヴォルティス)とHonda FCザスパ草津の1〜3位とはいづれも1勝1敗。05年にも首位の愛媛FCと3位のアローズ北陸と1勝1敗。上位陣に必ず黒星を要求する強豪チームです。
アローズ北陸も白星スタート。04年の草津アローズ北陸には苦しめられました。あの頃から強かったですが、積極的に元Jリーガーらを補強しながらチーム力を向上させ、04年の10位から05年は3位に躍進。昨季首位の愛媛FCがJ2へと上がった今季、昨季2位のYKK AP FCと同じく3位のアローズ北陸は間違いなく優勝候補です。
Jリーグを目指すチームは、この2チームとの直接対決を制することがJ加盟の近道には違いありません。開幕イキナリYKK AP FCのホームで当たってしまったロッソ熊本は大変だったと思いますが、この戦いで得られた経験と手応えをこれからの33試合に活かして欲しいですね。
ロッソ熊本の池谷監督も、この結果をある程度は考えていたのか、次節に切り替えておられるようです。ニッカン九州版3月20日付より。
http://kyusyu.nikkansports.com/news/p-kn-tp1-20060320-9189.html

●【JFLロッソ熊本開幕黒星スタート
今季からJFLに昇格したロッソ熊本が優勝候補のYKK APに敗れた。九州リーグを圧倒的な強さで制したチームが苦戦した。池谷友良監督(43)は開幕黒星スタートにも、初めて戦うJFLでの手応えをつかんだ。チーム結成からわずか1年。今季のJ2昇格という目標に向かって、第1歩を踏み出した。
JFLデビュー戦は3失点敗退と厳しい結末だった。気温9度、みぞれが落ちる天候。「火の国」熊本から乗り込んだロッソ熊本イレブンの体に寒さが染みた。昨年2位のYKK APの攻守とも整備されたサッカーに苦しめられた。ただ2失点はCKとPKから。後半は1人退場者を出しながら、1点を返した。「実質(JFLで)一番強いチームとやって十分戦えるという手応えを感じた。前半は完全に崩されたという場面はほぼなかった。前向きにとらえています」。かつてJ1柏を率いた池谷監督は黒星の中に手応えを感じ取った。
(中略)
今季は地元企業からのスポンサー料や入場料でJ2下位と変わらない約3億円の予算でクラブを運営する。昨年比2倍で、今冬のJ2入りに向け本格的に力を入れている。今季はJリーグ準会員の認定申請をするほか、4月には中学生対象のジュニアユースチームを結成、小学生対象のサッカースクールも編成する。Jクラブのように下部組織を充実させ、サッカーの普及に努める。
もちろんJ2入りにはJFL上位が前提だ。ここからの巻き返しが必要になる。主将のMF熊谷雅彦(30)は「後半に1点を返し、次につながると思う。力の差はない」と気持ちを切り替えた。

昨季と今季、J2に加盟した3チームいずれにも黒星をつけているYKK AP FC相手に2点をリードされて追い越すのは至難の業。ロッソ熊本イレブンもサポの皆さんも気持ちを切り替えて、ホーム開幕戦に臨んでいただきたいですよ。

栃木SC 3−2 FC琉球
得点 49分:比嘉雄作(琉球)60分:吉田賢太郎(栃木)68分:タチコ(琉球)73分:山崎透(栃木)76分:高秀賢史(琉球
栃木SCFC琉球戦は、栃木グリーンスタジアムに6,153名の観客を集め行われた。試合は後半に動き、49分琉球が先制すると60分栃木が追いつく。68分に再び琉球が突き放すが、ホームで負けられない栃木は73分、76分と立て続けにゴールを決め、ホーム開幕の厳しい試合を逆転勝ちでものにする。

開幕でJリーグを目指すチーム同士の唯一の直接対決カードには、6000人を越える過去最高記録の観客の前で熱戦が繰り広げられ、最後はホームチームが追いつき競り勝つ興奮のフィナーレとなったようです。その模様は下野新聞3月20日付より。
http://www.shimotsuke.co.jp/hensyu/news/060320/news_6.html

栃木SC、Jへ好発進 FC琉球に逆転勝ち
JFLは十九日開幕、栃木SCは県グリーンスタジアムFC琉球(沖縄)を3−2と逆転で下した。ファンらの夢を乗せ、幸先のいいスタートを切った。今季は、Jリーグ参入を目指して戦う勝負の年。会場には県サッカー協会の森山真弓会長と大田原市の千保一夫市長が姿を見せたほか、過去最多の6,153人が詰め掛け、盛んに声援を送った。
栃木SCは後半に先制を許したが、その後、吉田賢太郎のシュートなどで3得点、熱戦を制した。逆転時には、サポーターは総立ち。スタンドに興奮の嵐が吹き荒れた。
ハーフタイムで、森山会長は「(Jリーグ参入まで)もう、あと一息というところ。その一息の部分をサポーターの皆さまに押していただきたい」とあいさつ。
続いて、行政としてチームに1000万円を支援している千保市長が「選手も県民も行政も一丸となり、栃木SCがJリーグの一員となるまで応援しましょう」と呼び掛けた。

決して予算規模など運営的に恵まれているとは云えない栃木SCですが、それでもこの試合のように勝ち、好成績を挙げる原動力は、「諦める」という単語をどこかに忘れてきたかのように戦い走り続けるイレブンと、その背中を押すJFL有数のサポーターの声援にあるのだと思います。過去最多の観客動員と行政の支援などを背景に、今の素晴らしいマインドを持ったままJに昇格して欲しいです。草津との直接対決は頭の痛い相手ですが。
一方、最後に逆転されてしまったFC琉球については、ニッカン九州3月20日付から。
http://kyusyu.nikkansports.com/news/p-kn-tp1-20060320-9191.html

●【JFLFC琉球収穫1敗
沖縄から初のJリーグ入りをかけるシーズンが始まった。今季JFLに昇格したFC琉球は、アウエーで昨年4位の栃木SCと対戦。0−0の後半4分。DFクリスティアーノ(26)のロングキックを、相手DFの裏に飛び出した高卒ルーキーのFW比嘉雄作(18=那覇西)がシュート。「コースを狙って思い切りブチ込んだ」ボールは、沖縄勢の記念すべきJFLL初ゴールとなってネットを揺らした。
昨年のインターハイで、那覇西の主力として全国準Vを成し遂げた比嘉雄は、サッカーを続けるため県外への大学進学も視野に入れていた。それでも「地元からJリーグに行くのが一番いいと思った」とFC琉球入りを決意。その第1歩となる試合で得点し、チームメートに確かな自信を芽生えさせた。
1−1の後半23分には、途中出場のFWタチコ(25)のヘッドで再び勝ち越しに成功。最後は2−3と試合をひっくり返されたが、与那城ジョージ監督(55)は「最初からタフな1年になるとは分かっていたが、初めてのJFLでも、いつも攻める気持ちがあった。結果は残念だったが、内容はよかった」と満足顔。「沖縄からJリーグへ」の夢実現に、大きな手ごたえをつかんだ1戦だった。

敗れたとは云え、JFL上位の栃木SCのホームでリードしながら戦ったFC琉球も期待の新戦力が活躍するなど、大きな成果があったようです。これからも移動など大変な労苦があると思いますが、沖縄県初のJリーグチーム誕生のために頑張って欲しいです。

ソニー仙台FC 1−1 FC刈谷
得点 21分:伊藤智弘(刈谷)75分:高野和隆(仙台)
Honda FC 2−0 三菱水島FC
得点 24分:鈴木弘大(Honda)68分:オウンゴール(Honda)
ソニー仙台FCデンソーからチームを移管したFC刈谷戦は、前半 伊藤智弘のゴールで刈谷が先制。前半から押し気味に試合を進めたソニーも、後半 高野和隆のゴールで追いつくが試合はそのまま終了。引き分けに終わる。
Honda FC三菱水島FC戦は、ゲームを支配するHondaが前半に鈴木弘の得点で先制すると、後半にもオウンゴールで加点し開幕戦をものにする。

今季デンソーから生まれ変わったFC刈谷は、勝ち点ゲットのまずまずのチームスタート。どう考えても昨季の成績に満足していないだろうHonda FCも勝利で発進。今年もJFLをリードするチームであり続けてくれるでしょう。なぜか群馬県での試合は過去3戦全敗(草津に1敗、ホリコシに2敗)ですが、それでもHondaのサッカーは美しく強い。今年も観に行きたいと思っています。  

佐川急便東京SC 2−0 ホンダロック
得点 15分:山本正男佐川東京)78分:大久保哲哉佐川東京
佐川急便大阪SC 3−0 佐川印刷SC
得点 40分:御給匠(佐川大阪)52分:吉崎友二(佐川大阪)86分:米倉将文(佐川大阪)
佐川急便東京SCホンダロックと対戦、本来のシステムを少し変えて臨んだ佐川東京が着実に得点を重ね白星スタートを切る。佐川急便大阪SC佐川印刷SC戦は、確実にチャンスをものにした佐川大阪が佐川印刷を完封し開幕を勝利で飾る。

59キター!!(AA略) 昨季セレッソ大阪からザスパ草津にレンタル移籍てくれていた御給匠くん。今季は佐川急便大阪へ完全移籍、活躍の場をJFLに移しました。レンタル終了時に、出来ればザスパ草津公式で御給くんのコメントが欲しかったところですが、これと云った発表もなく佐川大阪へ移籍。気にかけていましたが開幕戦で幸先よく先制弾を挙げ、新チームで活躍できているようです。本当に良かった。ちなみに御給くんがアルテ高崎との対戦で群馬にやってくる予定は11月11日の高崎市浜川。ザスパ草津はアウェイ山形戦ですが、遠征できない方々はいかかでしょうか。

*1:攻撃の応酬合戦でYKK AP FCが追加点を挙げ、JFLザスパ草津のホーム2敗の内の1つを刻みました。ああ悔しい。