群馬県のスタジアム問題、その6。行政の対応スピードに関して。

少し冗談を抜きに。あちらこちらのHPを見ると「群馬県行政の動きが鈍い」というような主旨の主張がある。果たしてそうだろうか?

今でこそ群馬県徳島県愛媛県の各JFLクラブがJ入りを現実的なものとして活動し、地元行政も前向きなサポートを行っている。しかし群馬と徳島・愛媛ではここに到るまでの時間が異なることを失念していないだろうか。

まず徳島県は、現在の知事が選挙の際に「Jクラブ設立」を公約のひとつに掲げ、当選したことによって一気に「目指せJ」の動きが加速した。大塚製薬は昨季に優勝、JSL時代からアマチュアトップレベルの名門である。10年前には「ヴォルティス徳島」としてJ加盟を目指したこともあったが運営資金などの問題もあり、一度断念して現在に到っている。

一方の愛媛県。2000年からJFL入りした愛媛FCは、行政の理解が得られないこともJ2加盟の障害であった。しかし現在の知事がスタジアム改修に前向きな姿勢を見せて念願のスタジアム問題解決の目処がついた。これは愛媛FCが昨季JFL3位の好成績、2000人に迫るJFL1位の平均観客動員を達成できた面も大きいと思う。

両県ともに「現在の」行政の長が前向きになったことによって、長年に渡り実績を積んできたクラブのJリーグ加盟を後押ししているのである。果たして両県行政の動きは「機敏」だろうか。両クラブを長年応援されているサポーターの方々からすれば「ようやく動きだした」ではないだろうか。

翻って、群馬県ザスパ草津群馬FCホリコシは活動開始からまだ数年。両クラブとも急速に力をつけて今季JFLに昇格した。しかしJFL挑戦1年目なのである。両クラブとも元Jリーガーなど積極的な補強を行ったとはいえ、果たして「J2加盟には原則2位以内」が実現できる保障や確たる根拠などあるだろうか? J2加盟が何年後なのかも判らない段階で、多額の税金を投入することになるスタジアム新設・改修に見切り発車で手をつける行政のほうが危ういと思える。

それでも、県行政は昨年11月の段階で県HPに「Jリーグ発産業振興掲示板」を立ち上げ広く意見を求め、また地元紙の記事では「JFLでの順位次第で7〜8月に(スタジアム問題の)話が一気に動く」とJFL上位に両クラブが入れるようならば、今年度中に行政が「スタジアム問題」に取り組むと答えている。かなり計画的、かつクラブの実状とJ加盟の日程を考慮し、合わせてくれている現実的な対応ではないだろうか。

そしてザスパ草津が現在上位に入っていることもあって、プロジェクトも現実に動き出した。たしかに補正予算は8月、J2加盟申請は9月とかなり忙しいスケジュールではあるが、一連の対応はあわてて動き出したものではなく、現実的に考え得るなかで最大限の努力がされていることが判る。懸案たるスタジアム問題で自分も気を揉むが、徳島・愛媛と異なり「たった1年目」で動きだしてくれた県行政、推進プロジェクトの各位の活動を見守り、群馬県両クラブのサポーターが安心できるような回答と動きを今は待っていても良いのでは、と考える。