NFLドラフト資格裁判、その2。クラレットの勝訴とドラフト会議。

http://www.nfljapan.co.jp/mania/109.html

米連邦地裁判事シラ・シェインドリンは、NFLの3年資格規則が、独占禁止法に違反すると、NFLを打ちのめしました。シェインドリンは加えて、クラレットの件での法的論点は明らかなので、裁判の必要はないと述べました。喜んだクラレットは、「私は、規則が取り下げられてとても幸せです。レブロン・ジェームスの様な若い選手の為に、NBAの規則をかえ、道を開いた誰かの様な気分です。そして、フットボール選手に選択の余地を与えることができて、幸せです。」と発表しました。一方、彼の弁護士アラン・ミルステインは、「我々は全面勝利をしました。」と宣言しました。するとNFLは即座に、「今日の判決は、既に確立されている労働及び独占禁止法を鑑みると多くの点で矛盾しています。そして我々はこのケースが決定される時、我々の資格規則が支持されることを切に望みます。」と応酬しました。

大学2年生のクラレット側の勝訴。2月27日にNFLは控訴したが、しかしその控訴を地裁が応じてくれない場合には、NFLは資格規則を失い、NBAのように18歳以上がドラフト資格となるだろう。しかし控訴に応じてくれた場合には、(能力の高さは疑いないが)4月のドラフトでクラレットを指名するチームが現れる可能性はかなり低くなると予想される。さらにこの勝訴を受けてのニュース。

そしてモーリス・クラレットは、インディアナポリスでのコンバイン*1に行きましたが、休んでいる内に太り過ぎとなってしまい、結局NFLスカウト達の前で練習することはしませんでした。来る4月に、モーリス・クラレットがどのチームにドラフトされるか注目です。彼は2年前のオハイオ州立大学での1シーズン中に素晴らしい能力を見せつけました。しかしその後性格面でぼんやりと暗雲がたちこめ始め、NFLの人達は、彼がチームに何か害を与えるタイプの人間になるかもしれないと危惧しています。

クラレットが10代の選手達にNFLドラフトへの道を開いたすぐ後、USCの巨漢2年生WRマイク・ウィリアムスは、大学生活に終止符を打ち、NFLドラフトにエントリーすると表明しました。私は、ローズボウルでのミシガン戦でウィリアムスを見て、まるでNFL選手が大学選手達とプレーしているようだと思いました。ウィリアムスは素晴らしい才能を持っていますので、4月のドラフトで上位10位にドラフトされるでしょう。

マイク・ウィリアムスはバスケットボールで言えば、コービー・ブライアントの様で、よいNFL選手になるであろう並外れた才能を持っています。「なるであろう」という表現にしたのは、高度に肉体的なスポーツであるプロフットボールには、何の保証もないからです。選手契約は保証されたものではありません。もしウィリアムスがけがをしたら、契約金しか受け取る事はできないでしょう。そしてNFLロスターに入る為に必要なレベルの活躍ができなければ、その先には何の保証もないのです。

クラレットと同じく大学2年生のスターWR、マイク・ウィリアムスがエントリー宣言。すでに「プロ並み」の評価を受けている2選手がドラフトに名乗りを挙げた。

10年前、NBAは、高校から直接、或いは大学1年か2年を終えた選手達がリーグに入ることができるようにしました。コービー・ブライアントは成功していますが、若い年から苦労しているアーリー・エントリーした選手達が10人以上います。その内の多くの若い選手達は決定的に基礎がなっておらず、しかしながら大きな契約を持ち合わせ、そして、例えばESPNのスポーツニュースのハイライトに出るような格好いいダンクシュートを決めることしか頭になくて、バスケットの基本のディフェンスを少しもやろうとせず、コーチ達の言う事を聞かない人も居ます。

私はフットボールが他のスポーツと違うと信じているボール・タグリアブー氏を支持します。NFLと主な大学フットボールの試合をサイドライン近くで見ることができるようになってから、プロの試合のスピード、サイズ、強靭さをより強烈に感じています。高校フットボールと大学フットボールの差は更に大きなものです。高校から直接NBAに入ってすぐに慣れることのできたコービー・ブライアントと同様のことがフットボールでできた選手を、私は見た事がありません。

NBAに関しての部分は、自分が詳しくないので触れられないが、先に触れたとおり「アーリー・エントリー」の大学3年生でドラフト指名された選手の苦戦や、ドラフト指名されなかった選手のほとんどがNFLどころかアメフト自体を諦めざるをえない実状を見る限り、なしくずしの資格緩和は、ほんの一握りの成功者と多くの失敗者しか生まない。数年経験を積めばプロでも通用するかもしれなかった「早すぎただけ」の有望な若手選手を失うことになるだろう、NFLのために反対だった。

クラレットとウィリアムスは成功できるかもしれない。しかし彼らの開いた道は、若い有望選手が「金のなる木」にしか見えない輩には輝いて見えるだろうが、あまりにも細く困難な道であり、多くの才能を崖の下に落としてしまう不安定な吊り橋に他ならない。その吊り橋の先にあるNFLは成長した彼らを求め、必要としている場所であるというのに。

タグリアブーコミッショナーとチームのオーナー達は、シェイドリン判事の判決への不服に関して注意深くする必要があります。もしその判決が通れば、プロフットボールの質を傷つけることになるでしょうし、また大学フットボールをも打撃し、より早くお金を稼ぐ為に、多くの若いアスリート達が教育を受け、フットボールの技術を磨く機会を奪うことになるでしょう。

裁判所はNFLの控訴を受理し裁判が始まった。4月のドラフトでクラレットとウィリアムスはどこからも指名されなかった。

*1:各チームのスカウトが集まる合同身体テストや面接。自由参加だが大抵の有力指名候補が参加する。