NFLドラフト資格問題、その4。ケース「マーク・ウィリアムス」。

モーリス・クラレットの裁判の結果を受けて、大学2年生でアーリー・エントリー宣言をしたマーク・ウィリアムスは少し事情が変わる模様。

ウィリアムズは、サザンカリフォルニア大学でプレイするための手続きを進めています。ウィリアムズがNFLドラフトにエントリーする決意をしたのは、クラレット裁判の2月の判決が出てからでした。その判決が、“ドラフトにエントリーすることを認めない” という内容になっていたら、ウィリアムズがサザンカリフォルニア大学を去ることはなかったでしょう。

NCAAは、選手が代理人契約に署名し、代理人から金銭や利益を享受することについて(マイク・ウィリアムズはそれらのすべてをしています)は、非常に厳格です。NCAA委員長マイルス・ブランドは、「これは特殊なケースです。裁判によって、NFLへ入ることが許されなかった選手については十分に考慮すべきです。」と述べました。サザンカリフォルニア大学のヘッドコーチ ピート・キャロルは、「ウィリアムズが2月にNFLにエントリーすることを決めたとき、彼は学生としてもいい選手でした。彼が戻ってくることは歓迎します。」と言っています。

彼のケースは、裁判の結果を受けて「2年生でもエントリー可能」と判断した。これは周囲にもまだ救済の余地が残った。ヘッドコーチのピート・キャロルはNFLでもHCを務めた経験もある、実力があり選手目線で話せ理解を示してくれるコーチである。ウィリアムの努力次第でUSCへの復帰も期待できそうだが。

これは、たいへん稀なケースですが、ウィリアムズが大学に戻り、今シーズン、カレッジフットボールでプレイするためには、下記のことをしなければなりません。

1:彼がプロのステータスのために受け取ったものをすべて開示し、受け取ったすべてのお金を返し、受け取ったすべての贈り物を返すこと。
2:代理人であるマイク・アザレリとのつながりをすべて断ち切ること。
3:勉学に励むこと。

最後にあげた項目が、ウィリアムズにとっては最も難しいことでしょう。
ウィリアムズは春学期に登録しませんでした。そして、既にはじまっている夏学期にも登録していません。キャロルは「ウィリアムズが大学を去ったとき、彼の成績は優秀でした。これは非常に特殊なケースですので、彼がサマースクールに登録する必要があるかどうかは疑問です。これは大学側の正式な復学要請を受けて、NCAAによって解決される問題です。」

NFLの標準からみても、たいへん大柄で運動能力の高いWRウィリアムズはハイズマン賞候補に選ばれるでしょう。ちょうど、昨シーズン法的な問題でオハイオ州立大学がモーリス・クラレットを停学にする前に、彼が候補になっていたように。

またアマチュアに戻り、USCで後1年ないし2年経てば、立派に有力ドラフト候補である。ぜひ良い方向に向かってほしい。

私は、NBAドラフトにあまりにも早くエントリーしすぎて、ドラフトされずに傷ついた何人かの選手を知っています。彼らと同じ様な思いをする若いフットボール選手の姿は見たくないのです。ポール・タグリアブー、そしてNFLを称えます!

たいへん多くのメディア人が、NFLは “3 Year Rule” を守り通すことができないと見ていました。NFLはよくやりました。そしてNFLPA(NFL選手組合)の重役ジーン・アップショーは、次のNFLとの団体交渉協約条項には、選手は高校を卒業して3年間はNFLに入ることはできないという項目を設けると述べました。これは、NFLへ入るための条件になります。そして、この条項によって、将来、“3 Year Rule” にどんな挑戦があったとしても、議論の余地はなくなります。

“3 Year Rule” を完全にしておくことは、NFL、カレッジフットボールおよび多くの若い才能のある選手の将来に役立ちます。これはクラレット以外の皆にとっての完璧な勝利です。

結局、クラレットの裁判は世論で賛否すら巻き起こすことなく終わってしまった。クラレットのキャリアにとっては遠回りになってしまったが、NFL選手会NCAAの設けたドラフト資格が真の意味で「選手自身とそのキャリアの保護」のために必要なルールであると確認することになった。多くの若い才能が無謀な挑戦の道をとらずに済むことになったことは、素直に喜びたい。