サガン鳥栖、期日までの減資達成できず。Jリーグ支援策も白紙に。

徳島ヴォルティスが新たな門出を祝う一方で、同じ日に大変厳しい状態に置かれてしまったクラブも。昨日の続報。
http://sports.yahoo.co.jp/soccer/headlines/jij/20040701/spo/20004600_jij_00020817.html

●J2鳥栖の救済案を白紙撤回=100%減資達成できず−Jリーグ(時事通信
Jリーグの鈴木昌チェアマンは1日、経営危機が表面化しているJ2の鳥栖を、Jリーグ関連会社が条件付きで救済するとの案を白紙に戻すと話した。鳥栖が条件を達成できなかったため。20日の理事会で報告する。

Jリーグでは、鳥栖が6月末までに100%減資を達成することを条件に、関連会社のJリーグフォトが1000万円を出資して支援するとしていたが、鳥栖は169人の株主のうち10人分の回収ができなかった。10人の株式比率は約4.5%という。

6月15日の(鳥栖の設定した)期限に65%達成。伝え聞くところによると、それからドタバタが始まって昨日までで95%に達したものの、10名の株主が応じずJリーグの支援策は流れてしまった。Jリーグから支援にあたっての条件が提示されたのは4ヶ月前。おそらく反対にまわるであろう株主が誰なのかは、今までのゴタゴタからクラブ側も予想出来ただろうし、なにせ4ヶ月も期間があったのだ。この方々への説得はいかほどの時間と手間を費やしたのだろうか。この4.5%、10名の説得がこの案件の肝だったはずなのに。

減資に応じなかった株主にしても、厳しいクラブ運営を(おそらく)知りながら身銭をきって株を買ってくれていた方々だろう。その方々がクラブの存続がとんでもない危機に陥ることを承知で意志決定をされたのだと思うと、この問題の本質が金銭面などに限らず、相当根深いところにあることを思い知らされる。

鳥栖の古賀照子社長は1日、期限の延期を文書で申し入れたがJリーグは拒否した。鈴木チェアマンは「リーグとしてクラブの今後を見守る。(減資を達成した)95%は相当高い比率だと思う。これを佐賀県鳥栖市がどのように評価するかでしょう」と話した。

株券が紙クズになってもかまわない、とした株主が95%いることを評価しながらも、混迷する事態を収拾できなかったサガン鳥栖への救済条件は延期せず。談話も「Jリーグ預かりは消えました。県や市など行政が救済できるなら、Jリーグ側はそれでも結構です。救済するかしないかのご決断をお願いします」というメッセージだろう。

今までも鳥栖市はスポンサーになったり、年間スタジアム使用料1000万円の支払いの延期に応じたりと、あれこれ手は打ってきており、それら支援策ですら議会でもめた経緯がある。以前のチェアマンと鳥栖市長の会談でも「これ以上は無理」と市長が表明したようだし、この事態であれ、より一層踏み込んだ支援を鳥栖市が決断できるだろうか。佐賀県行政の動向にもよるが、相当厳しいと云わざるを得ないだろう。

今後、鳥栖は自力で再建への道を探ることになる。鈴木チェアマンは即座の除名勧告などは否定したものの、「このままでは、いずれスポンサーが逃げ出してしまう」と、チームが消滅する可能性を懸念していた。 

あくまで消滅したのは「Jリーグの救済策」。秋までに状況が変わってくれるだろうか。新たなスポンサーを自力で探すにしろ、行政の支援を仰ぐにしろ、今まで以上に思い切った姿勢、方針をクラブが見せなければならないだろう。Jリーグ、プロスポーツチームの戦いは、ピッチに送りだした11人だけではなく、運営組織の戦いだと思い知らされる。昨日の繰り返しだが、こんな状況でもチームとしてのサガン鳥栖は今季は大健闘の成績と云っていいだろう。その彼らがサッカーに打ち込める状況を1日も早く実現して欲しい。