ニューイングランド・ペイトリオッツがNFLレコードの19連勝を達成!

http://www.nfljapan.co.jp/2004/result.html

●最強ペイトリオッツNFL新記録の19連勝
先週、昨季のプレーオフスーパーボウルを含む18連勝を達成し、NFL記録に並んだ王者ニューイングランド・ペイトリオッツが地元ジレット・スタジアムでマイアミ・ドルフィンズと対戦。試合はペイトリオッツが3人のWRをケガで欠きながらも24対10とドルフィンズを圧倒、チーム力の差を見せつけ見事NFL史上どのチームも成し得なかった19連勝を達成した。
来週、ペイトリオッツは更なるNFLの連勝記録更新を狙うと同時に、ポストシーズンを除いたレギュラーシーズンのNFL連勝記録タイとなる17連勝、そしてチーム記録タイとなる開幕5連勝に挑む。

まずは、ペイトリオッツに関わる全ての人々にオメデトウと云いたい。この記録は実は今季のイチロー並にスゴイのだ。NFLは現在、サラリーキャップ(全選手給与総額に上限)制度が敷かれ、好選手を多く保有することは無理な状況にある。優秀な選手、特に2番手3番手に甘んじている選手には他チームからレギュラークラスの年俸&待遇での引き抜きがあるし、サラリー総額に上限がある以上、そのオファーに対抗してサラリーを上げることが難しい。強いチームは毎年、このよってたかっての引き抜き攻勢で層が薄くなり、弱体化するポジションが出てきてしまう。
また、激しいコンタクトを伴うスポーツであるため負傷者は毎シーズンの頭痛のタネ。ただでさえ選手寿命平均は4年のスポーツなのだ。また契約内容が不服で契約交渉が難航し、シーズン最初のキャンプに顔を出さない選手のニュースも風物詩となっている。こういう選手はたいていチームにとって必要な優秀選手であるから困ったもの。選手層を厚くする事、シーズン毎に強いチーム状態を維持することは、巧みなサラリーキャップ計算とチーム構築の中長期的なビジョン、幾多の選手を見抜く観察眼と、そして出来るだけたくさんの幸運を必要とする。
ご存じの方には解説は不要だが、NFLは現在32チームがAFC16チームとNFC16チームに別れ、それぞれ東西南北4地区に4チームづつ所属して、1シーズン16ゲームを戦い、地区優勝とワイルドカードチームがプレイオフトーナメントに進み、AFCNFCのチャンピオン同士での優勝決定戦という(スーパーボウル)仕組みになっている。
32チームで16ゲームだからもちろん総当りではない。ではどうやってスケジュールを組んでいるのか。まず、同地区同士のH&Aで6試合。4年ローテーションで他カンファレンスの1地区と4試合(AFCなら4年かけてNFC東→西→南→北→東・・・というふうに)。これで10試合だが、残り6試合は?
実際にはもうちょっと複雑な話だが、簡単に云ってしまえば「他地区の同順位と対戦する」である。地区1位だったら来季は他地区の1位との試合が組まれるし、地区最下位ならば、他地区でも最下位だったチームとの対戦が増える。強豪同士のゲームは観客・視聴者が注目する好カードとなるし、下位同士の対戦はそのチームのファンにプレイオフ進出の希望を持たせてくれる。負傷者続出などで最下位でシーズンを終えたチームのファンの間では「来季はソフトスケジュールだし、(完全ウェーバー制の)ドラフト高順位指名権も得るから今後を楽しみにしよう」と云う会話が交わされるそうだ。
ちょっと寄り道したが、スケジュールも強いチームには敵である。前年のスーパーボウルチャンピオンがプレイオフにも出てこないことが時折あるのも、こういう仕組みの中で戦っているからである。その幾多の困難を乗り越えての19連勝の新記録は感嘆に値することなのだ。かつては「全米でもっとも情けないプロスポーツチームは?」のアンケートで堂々1位になったこともあったのにね。この10年間の新オーナー下での再建・再構築が見事に実った形だ。
もう少し補足。完全ウェーバー制ドラフト、サラリーキャップ、同格対戦を増やすスケジューリング、そして放映権・入場料・グッズなどの販売などの総収入の一括管理と均等分配(その分配金の約60%がサラリーキャップである。だから人件費高騰でチーム経営は破綻しない。収入が減れば選手年俸も自動的に減るから。)。その諸制度からも、サッカー風に云えば「NFLは○年連続優勝なんていうビッグクラブを欲していない」といえるだろう。「毎年どこが優勝するか判らない。我がチームにもチャンスはある」がNFLの人気を支えている。年間試合数がたった16試合、ホームで8試合しかなくとも1年間の放映権収入は19億6000万ドル、約2兆円であり、それを32チームに均等に分配している。やり方次第とはいえ、たいしたものだ。全部をマネしなくてもJでもプロ野球でも参考に出来るところはしても良い。