どうしたんだ、サンフランシスコ49ers。

SH772004-10-14

http://www.nfljapan.co.jp/nfl/49ers.html

●49ersのLBピーターソンが今季絶望
サンフランシスコ・49ersのプロボウルLBジュリアン・ピーターソンが、10月12日に損傷したアキレス腱修復の手術を行い今季中の復帰が絶望的となった。このケガにより、今オフにチームの提示した長期契約を拒否し、1年契約を結んだピーターソンが来季も49ersに所属するかどうか不透明な情勢となった。

「80年代最強のチーム」といえば、サンフランシスコ49ersだ。その黄金時代を作り上げ、「ウエストコーストオフェンス」「勝利の哲学」「スーパーボウルの予告15プレー」でその実力を満天下に知らしめた知将ビル・ウォルシュ。その後コーチはジョージ・シーファートに替わるも94年シーズンにチャンピオンシップで宿敵ダラスを破り、スーパーボウルではサンディエゴ相手に圧勝したサンフランシスコ。サラリーキャップ導入初期でもあり、他強豪がチーム力を失うなか、その新システムを有効活用したフロントにも多くの賛辞が寄せられた。その栄光のシーズンより10年、オーナー交代や主力選手の引退・移籍、改変されたサラリーキャップ制度に苦しめられながらも、幾度となく浮上のきざしを見せていたサンフランシスコだが、下降線を辿って現在に到っている。

今シーズンもタレント不足から苦戦が予想されていたが、さらに主力LBピーターソンのIR入りとは、痛恨の極みだ。彼は主要再建策「高位ドラフト指名権トレードで指名数を増加させDF陣の若返りを推進する」で育てられた、優秀な生え抜きなのだ。しかし・・・

ピーターソンは、チームが夏に提示した高額サインボーナスを含む大型契約を拒否したことを後悔していないと述べており、自分が来季リーグ有数の高額契約を結ぶことができると信じている。ピーターソンは今トレーニングキャンプを欠場していたが、1年契約を結ぶ前に「俺は大型契約に値する選手だ。交渉が難航していることにはうんざりしている。もし、49ersが俺の要求する金額を払ってくれなくても、他のどこかのチームが払っていくれるさ」と語っている。

ピーターソンのケガは、長期に渡るリハビリを必要としている。プロボウル2度出場を誇る彼は、シーズン開幕2週間前にチームに合流していたにも関わらず今季4試合で2.5サックをあげていた。

「年俸交渉のもつれ」が問題なのではない。NFLでは日常茶飯事だ。しかし、かつてのサンフランシスコでは、この手の話題は無縁に近かった。「他のチームが高額で雇ってくれるさ」なんて主力選手に公言されるチームではなかった。

選手個人個人はもちろん、その家族の誕生日にまで花束を届けるエピソードが代表するように、あらゆる面で選手を大事にすることで有名なチームであった。「人生にはお金以外にも価値あるものがあるよ。ここにはそれがあるんだ。」と主力選手が口を揃えて語るチームだった。栄光ある勝利者としてのプライドを持ち、またそうあるべく組織全体で取り組んでいたチームだったが、オーナー交代からこちら、どうも普通のチームになってしまったように思える。ピーターソンが単なるトラブルメーカーでしかなく、他の選手は相変わらず「勝者の哲学」を持つ誇り高き戦士であれば良いのだけれど。