JFL後期第12節、FRIDAYNIGHT-FOOTBALL「JFL SHOW-DOWN!」

来季は4回も・・・(汗)

J加盟申請の3クラブヒアリングも終了し、Jリーグから「来季からの加盟」の内定をもらった形の2クラブの対戦。すでにJ加盟成績条件「原則2位以内」を確定している首位の大塚製薬こと徳島ヴォルテイスを、とりあえずは4位以内を決めている2位ザスパ草津がホームで迎え撃つ。
このゲームで引き分け以上の結果を出せば、大塚製薬JFL連覇となり、ザスパ草津も引き分け以上ならば3位以内が決定する。「目の前での優勝阻止」も大事だが、今季の最大目標は「J加盟」。個人的には「すでにJ2並み」と評価されている大塚製薬相手にどこまで戦えるか、勝ち点をとれるかが最重要だと考える。*1
11月5日の金曜日夜7時のキックオフ、来季からJ2規格に改修される前橋市敷島公園陸上競技場で今季唯一のナイター開催となった。ホームのザスパ草津はこの試合でワンコインキャンペーン*2などの企画を行った。もちろん首位大塚製薬との対戦を楽しみの集まったザスパ草津サポも多いだろう。結果、平日ナイターながら観客数13,743人のJFL新記録を更新することが出来た。この日観戦に訪れた小寺群馬県知事にも県民の盛り上がりを示す良いアピールになっただろう。
・・・とまあ、大入りとなった注目の一戦となったわけだけど、自分は仕事の都合によりFM群馬のライヴ中継と群馬テレビの録画中継で観戦でしたよ。さて、まずは両チームのメンバー紹介。アウェイ大塚製薬から。

大塚製薬徳島ヴォルティス(第1位・22勝3分1敗・勝ち点69)
●スターティングメンバー
GK:1川北裕介
DF:2谷奥優作・3石川裕司・25谷池洋平
MF:4鎌田翔平・5筒井紀章・6大場啓・11片岡功二・14田中大輔
FW:9林威宏・10大島康明
●サブメンバー
GK:21山口篤 DF:23中尾拓 MF:7原田慎太郎・20行友亮二 FW:18大坪博和
●フォーメーション(3−5−2)
−−−−林−−大島−−−
−片岡−−田中−−大場−
−−−筒井−−鎌田−−−
−−谷奥−石川−谷池−−
−−−−−川北−−−−−

目下のJFL得点王(20ゴール)の林と2位(19ゴール)大島の強力ツートップが目立つが、JFL最小失点(27試合で18失点)を誇る強固なDMF・DF陣が大塚製薬の強さを支えている。トップ下の田中、両サイド攻撃を演出する片岡と大場も要注意と、なんというか穴がない総合力のチームです。

ザスパ草津(第2位・18勝4分4敗・勝ち点58)
●スターティングメンバー
GK:1北一真
DF:2籾谷真弘・3小田島隆幸・17小川雅己
MF:4依田光正・6鳥居塚伸人・18寺田武史・28山口貴之・30大谷圭志
FW:14佐藤正美・27吉本淳
●サブメンバー
GK:21樋口拓朗 DF:7佐田聡太郎 MF:8小久保純 FW:9マルキーニョス・34酒井良
●フォーメーション(3−5−2)
−−−吉本−−佐藤−−−
−寺田−−山口−−依田−
−−鳥居塚−−大谷−−−
−籾谷−小田島−小川−−
−−−−−北−−−−−−

GK小島伸幸はこの試合まで出場停止。ただスタジアム前で行われていた新潟地震義援金募金の先頭に立っていたとか。その他はほぼスタメンどおり。小川と籾谷がサイドを通常と逆にして配されている。最近は大谷の中盤の底での献身的なディフェンスのおかげでキャプテン鳥居塚の攻撃参加も増え、思い切った上がりとサイドからのクロスなど武器になっている。今季ハットトリック3回の吉本淳が早い時間で得点してくれれば、彼の動きは俄然良くなってくるのだが。*3
両チーム合わせて30名中20名がJクラブ所属経験あり、という陣容である。そして、FM群馬ライヴ中継はとんでもない情報を伝えた。「主審は恩氏さん」・・・(ある意味)伝説の審判が敷島に降臨キター。

キックオフから双方DFラインを押し上げての先制点狙いの展開に。ザスパは両サイドにロングボールを放り込み、ゴール前のFW2人にクロスを上げる形で攻撃。対する大塚製薬も両サイド攻撃を意図するが、中盤でのパス回しも絡めて全体を押し上げて主導権を握りにかかる。双方とも中盤の寄せが早いので、ボールを簡単にトップかサイドに放りこむザスパがやや押し気味になってくる。開始3分くらいの時、ついにDFラインの裏をとったFW佐藤正美と、危機を感じとり果敢にゴールエリアを飛び出してクリアしたGK川北裕介が激突し、両者ピッチに倒れこむ。佐藤は打撲で済んだが、川北は右まぶた上を傷つけてしまい、出血が止まらず8分に控えGK山口篤と交代する。*4
試合再開後、今度は先ほど倒れたFW佐藤正美のタックルにイエローが出される。佐藤は抗議するが、それをFW吉本淳が主審の前から引き離し笑顔でなだめる。吉本グッジョブ。この主審は地雷だからね。再開後もザスパやや押し気味の展開は変わらず、ゴール前で数度チャンスを作るが、替わったばかりながらGK山口篤の落ち着いたプレー振りと、サイド攻撃に無理に対応せずゴール前で弾き返すことに集中した大塚製薬DF陣の鉄壁ぶりでノーゴール。25分にボランチ大谷圭志の負傷交代で投入されたMF小久保純の攻撃参加も効いている。ただ鳥居塚キャプテンは大谷の穴を埋めるために下がらざるを得ず、サイドへの突破は減少してしまったが。
やや引き気味になった大塚製薬だが、それでも後方からパスをつないでツートップにボールを渡してくる。ザスパもチェックが遅れているわけではないが、中盤でのダイレクトのパス回しでは相手に一日(どころではないが)の長がある。ザスパDF陣も無理に飛び込まずゴール前で弾き返すことに主眼を置いて、FW2人に仕事をさせなかった。加えてJFL得点王の林威宏は右ヒザを幾重にもテーピングした状態での出場だったので、思うようにプレーが出来なかったのかもしれない。
負傷による試合中断などにより前半ロスタイムはなんと6分間も。この長いロスタイムの中で大きな事件が起きる。と云うか起こされた。大塚製薬DF谷奥優作がFW吉本淳を倒してしまいイエロー。主審に抗議するとすぐさまイエロー。併せ技で赤紙退場となってしまった。*5画面には猛然と抗議する大塚製薬イレブンと半ば呆れ顔のザスパの選手たちが映っている。前半だけでもプレーをぶつ切りにする笛が多く吹かれたが、やはり判断基準が曖昧かつ不明瞭のように思える。もめ事の源はそこにあるんじゃないだろうか。前半はそのまま0−0で終了した。

後半開始、大塚製薬ボランチのどちらかがDFラインに入る形に変えて、カウンター狙いに移行を余儀なくされる。主審には主審なりの判断があるのだろうが、大塚製薬のサッカーは威力を減じてしまい、サポの立場を離れた興味「来季J加盟を目指すチーム同士の激突、1位と2位にふさわしいレベルの戦い」は前半で終わったと云えるだろう。後半は数的優位に立ったザスパが先制点を入れるか、耐え忍ぶ大塚製薬が少ないチャンスを活かせるか、になった。

やはりザスパ押し気味の展開になったが、大塚製薬は数的不利を感じさせないプレーぶりで懸命なディフェンスで対応する。両サイドのクロスに吉本淳がゴール正面でヘディングするがGK正面に。GKの位置取り、合わせて跳んだ大塚DFの体の入れ方などから考えると、ゴール前への放り込みでは相当得点は難しそうな気配に。ザスパのツートップも色々工夫してゴールに迫るが、大塚DF陣の集中力高い守備を崩せないまま。後半開始から耐えた大塚製薬がついにカウンター攻撃につなげてくる。この攻撃をCKにして、キッカーは司令塔の田中大輔が担当する。彼はこのチャンスを活かして直接ボールをゴールに叩き込んだように見えたが、ノーゴールの判定に。キーパーチャージオフサイドか。ザスパ草津サポとしては命拾いだが、あまりに判定が不明瞭すぎる。退場劇といい、試合の面白さと公平さを消してしまう行為ではないだろうか。

また攻勢に出るザスパ草津だが、どうしても大塚製薬の鉄壁を崩せないまま時間が過ぎる後半25分、得点機は不意にやってきた。大塚製薬DFが中盤の底での不用意なパス、MF田中大輔が周囲を見ないままボールホルダーになってしまった。すぐ後ろにいたFW佐藤正美が激しいチェック。体勢が整わない田中はボールを失ってしまい、奪った佐藤は攻撃に参加していたDF小田島隆幸にパス、小田島は大塚DFの寄せを受ける前にミドルシュートを選択した。ジャンプしたGK山口篤はボールに触れて角度を変えるが、ボールは上部バーに当たってゴールに吸い込まれた。ザスパ草津が先制する。攻守の切り替えのほんのわずかな緩みのプレーに過ぎなかったが、大塚製薬には悔やまれる失点につながった。
1点のビハインドを負う大塚製薬は10人で攻勢に出るもやはり全体の押し上げに時間がかかってしまいカウンターもザスパDF陣の奮起で不発(過去ベストに挙げてよいほどの集中だった)、徐々にザスパペースとなっていく。そして後半35分、ザスパの右サイドからの連続クロス攻撃の中、ペナルティエリア内で大塚製薬MF大場啓がザスパMF小久保純を倒した、との判定でPKに。これをMF山口貴之が冷静に決めて2−0、勝負あり。
テレビ映像を見る限りでは、確かに大場は小久保をから後ろ密着マークだったけれど、クロスに反応してその場で停止した小久保と、自分が小久保より前に出ようとした大場での二人とも姿勢崩れ、だと思う。結果的に押し倒してしまった形になるけれど、大場にそこまでの意図があったとは思えない。ボールに直接関わる位置でのプレーとも云い難かった。
この失点と判定で、大塚製薬はやや集中力が切れてしまったか、残り5分くらいまではやや散漫なプレーが続いてしまう。その後は王者の面子か「せめて1点とりかえそう」という共通意識か、10人での猛反撃でザスパを自陣に押し込む攻撃を見せるが、得点ならず。大塚製薬JFL連覇での優勝は、次節以降に持ち越しとなった。*6
今回の大一番を現地で観戦していないゆえ、やや冷めた目線でゲームを振り返ったが、JFL新記録更新となったゲームでの盛り上がりは、来季につながる好アピールとなったし、このゲームでのザスパ草津イレブンの戦いは過去最高とも云えるパフォーマンスであったと思う。最低目標も「残り3試合云々」ではなく、次節に佐川急便大阪に勝利して、Honda FC大塚製薬に敗れれば、今季の2位以内が確定する。憧れのJリーグまで、ついにあと一歩までやってきた。
最後に僭越ながら、ワタクシメから、大塚製薬徳島ヴォルティスサポーターの皆様に一言。

「たとえ10人になっても大塚製薬は強かったです。来シーズン、あの主審抜きでやりましょう」

*1:前期は2−1でザスパ草津の敗北。ちなみにこのゲームの主審も恩氏さんで、草津のみ黄紙が4枚出された。観ていないのでホーム贔屓なのかどうかは判らないけど。

*2:チケット1枚で2人目から何人でも500円で入場できる。おまいら友達や家族を連れて来い、という企画。

*3:雑誌のインタビューによると自他ともに認めるお調子者キャラだとか。たしかに考えがそのまま顔に出ている。

*4:その後に救急車で病院に治療に向かったそうだが、自分で立ち上がって普通に会話をしていたように映像では見えたので、そのまま軽傷で済んで欲しい。

*5:公式記録だと2枚目は遅延行為だそうだ。

*6:残り試合で大塚製薬が全敗、ザスパ草津が全勝すれば逆転優勝の可能性もあるけれど、大塚製薬が勝ち点1もとれないとは、さすがに思わない。