沖縄かりゆしFCの下部組織が新チーム設立で再スタート。

関連エントリーはこちら。http://d.hatena.ne.jp/SH77/20041126#1101434762に。
沖縄かりゆしFCの集団退団はトップチームに限らず、下部組織のユースやキッズたちも父母会と相談のうえ、集団での退団を決めました。沖縄県有数の選手育成組織の事実上の解散とも云えるわけで、その子供たちの行く末が案じられましたが、再スタートがきれた模様です。そして沖縄かりゆしFC加藤久監督の影日向の尽力も報じられています。まずは琉球新報加藤久監督が連載されているコラム「夢へ挑戦!沖縄にJリーグチームを」の昨年12月31日付より。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/cgi-bin/challenge/index.cgi/20041231.htm

●第13回:子供たちに選択肢を/活動母体は2つの方がいい
沖縄かりゆしFC」のトップ選手たちは、今月、地元沖縄の選手を除くすべての選手がこの美しい島を離れていきました。そのトップ選手たちだけでなく、スクール、U−12(小学生)、U−15(中学生)、U−18(高校生)の下部組織の選手たちも、28日の練習を最後に全員(確認の取れない1人を除く)が退団しました。
スポンサー撤退によるトップチーム選手の退団意思を子供たちに伝えた時の光景は、今でも忘れません。私の話を聞いていた子供たちは、目に涙を浮かべ、その涙がこぼれ落ちないように必死で我慢していました。私も、胸に込み上げてくるものを抑えることができませんでした。
さて、その下部組織の子どもたちは、元日から新チーム『ヴィクサーレ沖縄フットボールクラブ』を立ち上げて活動を行うことになりました。新しいチーム名は、子供たち自身が案を出し合い、最終的には投票で決めたとのことです。今のところトップチームはなく、ピラミッドの裾野だけのクラブですが、将来的には、完全なピラミッドを作ってほしいと思います。

新チーム設立で再スタートの朗報ですよ。この設立に関しては琉球新報の同日付で詳しく。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2004/2004_12/041231b.html

ヴィクサーレ沖縄あす結成 かりゆしFC下部組織
沖縄かりゆしFCの下部組織が1月1日、新チーム「ヴィクサーレ沖縄フットボールクラブ」を立ち上げる。下部組織の選手は113人。全員が28日、かりゆしFCを退団し、新チーム結成に備えている。
チームの構成はスクール、ジュニア(小学生)、ジュニアユース(中学生)、ユース(高校生)でかりゆしFC下部組織所属の選手がそのままの形で移行する。
トップチームはないが、将来的にはユースを卒業した選手が中心になってつくる計画。沖縄からU−17、U−20の世界大会やオリンピック(U−23)に出場する若い日本代表選手を育てることも大きな目標にしている。
「ヴィクサーレ」という名称は勝利という意味の英語「ヴィクトリー」と、獅子「シーサー」、サッカーで声援を送る際のかけ声「オーレ」の複合語。選手や父母から公募し、候補作を選んで投票で決めたという。

近い将来にヴィクサーレ出身のJリーガーや世代代表、そして日本A代表選手が生まれるかもしれませんね。サッカーを続けられる機会と場所が確保するまで活動を続けられた関係者の方々の努力あってのことと思います。

かりゆしFCのトップ選手が、クラブ運営に対する不信感から今季限りで退団を発表したことが発端。下部組織の父母会や選手からも同様の不満の声が上がり、20日までに選手全員の退団届をクラブに提出した。選手らのこのメンバーでサッカーを続けたいという思いを受け、下部組織の父母会や新城正樹ユース監督ら指導者陣が加藤久氏の協力も仰ぎ、新クラブ設置の準備を進めてきた。
当面は「任意団体」として活動し、来年3月までに「NPO法人」の登録を申請。クラブ運営は登録選手の会費収入(月謝)と、個人や団体からの協賛金で行う。設立趣旨と目的に賛同する人々を賛助会員として募り、支援組織も立ち上げる方針だ。
宮里尚父母会代表は「加藤監督の協力のおかげで新チーム設立にたどりつけた。地域の協力も得ながら、青少年育成に貢献できるチームになれば」と期待していた。

加藤監督の活動と地域の支援に関してもコラムや新聞記事で触れられていますよ。昨季の主たる運営組織のスポンサー脱退から始まる騒動に、加藤監督も相当徒労感と軽い人間不信であったとのことですが、ヴィクサーレ沖縄の設立に関わるなかで、そういった感情が和らいでいるそうですよ。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/cgi-bin/challenge/index.cgi/20050112.htm

●第15回:温かさに触れる日々/仕組みの構築が課題に
県民の皆さんにはおしかりを受けるかもしれませんが、社会に対する不信感、もっと端的に言えば沖縄の人に対する不信感が芽生えていたことは確かです。去年から何も変わらずに沖縄を去っていたら、「一をもって十を推す」。そんな過ちを犯すところでした。私は、自分の中に沖縄の子供たちのために何かを残したいという思いを強く持っています。すべての子供たちを照らすことはできなくとも、「一隅を照らす」ことはできると思っています。
かりゆしを退団して、ヴィクサーレ沖縄FCに移行した子供たちのために、まずは事務所が必要になりました。当然お金もかかります。そんな折、父母会の方の紹介で喜納住宅開発の喜納兼功氏にお会いすることができました。
「実は、小・中・高の子供たちが新しくチームを立ち上げました。この子供たちが、本土の子供たちにも負けない選手に育つように環境を整えてあげたいと思っています。今、事務所になるところを探しております」「家賃は、いくらぐらい払えるのですか?」「正直言って、今はお金がありません」少しでも安くしてもらえれば私は自腹を切るつもりでした。
●無償で事務所提供
しかし、しばらく「チーム概要」に目を通していた喜納氏が、おもむろに顔を上げてこう言って下さったのです。「私の持っているところでよろしければ、1年間無償でお使い下さい」
正直、事務所探しには大変苦労していましたので、本当にうれしくて、うれしくて仕方ありませんでした。
こうした温かい気持ちがつながれば、子供たちの環境は間違いなく変わっていくでしょう。あとは、その気持ちをつなぐ仕組み(フレームワーク)を構築することが課題だと思っています。

また1月16日付の記事でも。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2005/2005_01/050116k.html

加藤久監督を支援 早稲田大学校友会県支部
今季限りの退団を決め、県内の少年サッカーチームでNPO法人ヴィクサーレ沖縄FC」を立ち上げた沖縄かりゆしFC加藤久監督を支援しようと、県内の有志が立ち上がった。
支援を決めたのは、加藤監督が卒業した早稲田大学同窓生が結成する校友会県支部(沖縄稲門会)。少年育成やサッカーの普及に努める加藤監督の趣旨に賛同。同支部員に、協賛金で援助する「CLUBヴィクサーレ」会員への入会を勧めている。
15日に那覇市内のホテルで行われた2005年度総会で支部員に協力を呼び掛けた。出席した加藤監督は「沖縄には環境をつくれば日本を代表する選手になれる素質を持った子供がたくさんいる。クラブチームという形で手助けをしたいので、ご協力いただければありがたい」と話した。

FC琉球が地域の支援と声援を受けて、ふたたび九州リーグにまで駒を進めた事と、この加藤監督とヴィクサーレへの支援の動きを見ても、地域密着はやはり、やり方次第、誠意と行動次第だと強く思われます。
加藤久監督には、沖縄県のサッカーとヴィクサーレの教え子たちと、なにより加藤監督ご自身のために、頑張っていただきたいですね。