Footival2月号で、ザスパ草津ベテラン4選手の温泉座談会。その1。

今日のこのダイアリーの、あまりのザスパ成分の少なさをなんとかするべく、Footival2月号に掲載された、ザスパ草津のベテラン4選手であるGK小島伸幸、MF鳥居塚伸人、MF山口貴之、DF小川雅己の座談会「All about ザスパ草津 〜俺たち、いつまでプレーすれば満足するんだろう!」から興味深い部分をピックアップしますよ。あの時、あの場面で、選手はなにを考え感じていたのか? 時系列順で並べ替えてみました。
ご存知ない方がいらっしゃるかもしれませんので、ちょっと書いておきますと、GK小島さんが県1部チーム立ち上げから、鳥居塚キャプテンが翌年の関東2部から、山口・小川の両選手はJFLからチームに加わっています。まずは、GK小島さんは県リーグ1部チームになぜ加入したのか、から。

山口「小島さん、なんで草津に来たの?」
小島「開幕前までチームを探したんだけど、時間もなくて。で、目指すところがJならば、同じことだと思って草津を選んだんだよ」
山口「すごい遠回りじゃないですか(笑)」
小島「それもまた、いいんじゃねえか?(笑)」

小島さんは「サッカー出来れば東南アジア(インドだったかな?)でもいいと思ってた」とか他のインタビューで答えていて、とにかく当時は現役にこだわっていたそうで。草津に話を聞きに来たその日から練習に参加していたとか。続いては鳥居塚キャプテン。

鳥居塚「僕はJに戻ってプレーしたい、って気持ちよりはチームをJに、って思ってた。でもやっていくうちに体が動くならって欲が出てきた。Jから離れて5年で、J復帰だもん」
小島「戻るのに時間がかかった(笑)」
鳥居塚「あきらめてたっていうか。プレーヤーとしては考えていなかった」

鳥居塚キャプテンは別のインタビューでも「自分はJに上がるまでの踏み台でもいい」と当初は語っていた。現役でJに復帰でき、意欲も沸いているのはとてもありがたいこと。小島に加えて鳥居塚が加入した関東2部のザスパ草津は、地域リーグ決勝大会に出場する。1次ラウンドでヴォルカ鹿児島アイン食品TDK秋田と戦って2勝1敗で1位突破。決勝ラウンドでは静岡産業大学静岡FC群馬FCホリコシと戦い2勝1PK勝ちで優勝し、JFL昇格を果たした。

――この3年間常に結果を求められ続けたということですよね。
小島「2年目の地域リーグ決勝とかはね」
鳥居塚「あれは厳しかったね」
小川「聞くだけでこわい」
山口「話を聞いただけでも、やりたくない」
小島「金土日で3試合、翌週の土日月で3試合。しかも勝たないといけない。負けて足踏みした時点で活動終わり!って感じだったし」

短期間で3連戦を2回戦って、しかも結果を求められる地域リーグ決勝大会は、JFLへ、そしてJへの大きな難関のひとつ。ザスパ草津は特例申請で関東2部のチームながら出場権を得て出場していたこと、運営費の前借りなど、是が非でもJFL昇格しなければならない義務(のようなもの)と経済事情があった。本当に勝てて良かった大会。勝てなかったらどうなっていたかを考えるだけで恐ろしい。そしてJFLに昇格した時、戦力補強として小川、山口が加入した。

鳥居塚「JFLで足踏みするかなと思ってた。当時のチームじゃ勝てないなと。今シーズンで選手が入れ替わって、いけるかな、という気持ちになったかな」
山口「僕は上がるもんだと信じてやっていた」
小川「うん、そういう気持ちがないとこれないよね」
山口「大きな目標があったからこそ、集中してやってこれたよね」
小島「今年は昇格が具体的な目標だったし」
鳥居塚「去年はまだ夢だったから」
小島「自分たちの実力も分からないし、何をしたらJに上がれるかも分からなかった。サッカー以外のことでもね」
小島「スタートはそれぞれ違うけど、ゴールはみんな一緒だった。それ(J加盟)がないと県リーグまで来れなかったよ。『Jリーグがある』って思えたから来れたんだよ。もっとあいまいなコンセプトだったら、ここにはいなかったかもしれない。現役やってなかったかも、今頃」
小川「僕らはいい時期ですよね、ヤマさん。この1年頑張れば! やっちまえー! って思ってたもん」
山口「来た時は、かなりショックだったけどね。J1からJ3、って感じでしょ。来た時なにがショックって、1時間かけてグラウンド行っても土なんだもん」
小川「ここにきてショックだったのは雪の中のトレーニング。ゴルフ場の。トリさんよく先頭切って走れんなーって思ったよ。遭難するかと思ったもん」
小島「時々足が埋まったりしてたもんな(笑)。埋まって『あー!』って声があちこちで聞こえてたよね」
山口「俺、それ未経験だな」
小島「大丈夫だよ、今年経験できるから(笑)」
鳥居塚「ヤマが最初来た時、チームは選手にボトル管理させてて、水を忘れちゃって。その時俺に『金出すから水買って来て』って言ってたよね(笑)」
山口「そういうところも悲しかったよね(笑)」

そしてJFLシーズン開幕。Jリーガーなど多くの新戦力を補強してJFLに臨んだザスパ草津には、開幕から愛媛FCHonda FC大塚製薬と、昨季3、2、1位と順番に戦うスケジュールが組まれていた。

小島「手探り状態だったかな、最初は。うちのチームのレベルがどれくらいなのかも分からなかったから」
小川「勝てんのかなーって」
小島「大塚さん、本田さんはJ2中堅くらいの力かなーって思ってて。昇格はきついんじゃないかなって。でも開幕して3試合辺りでいけそうだって思って」
山口「最初の3試合が大きかったですね」
鳥居塚「1勝1敗1分けになった時点で見えてきた」
小川「開幕前は練習試合とかで不安があった。チームであってチームじゃない、って感じで」

植木監督も当初は「6割くらい勝てれば、5位以内に入れればいいかな」と、なんとイヤーブックで語っている。半分近く選手が替わったチームとJFL1年目ということで、誰もザスパ草津の力をフタを開けてみるまでは判らなかった。「1年でJへ」はもちろん目標だったけど、現実味は無かったことも伝わる。社長も「予定よりもJ加盟が1年早まった」と述べたことがあるので、フロントも監督もJFLで2年は戦うことも考えに入れていたのだと思わる。
ともかく上位との3戦を、1勝1敗1分で終えて手応えをつかんだザスパ草津。第4〜9節まで6連勝、しかし第10節の群馬FCホリコシ戦と第11節のソニー仙台戦を辛くもドローで終えた頃からチーム状態は徐々に下降していった。そして第12節栃木SC戦、後半残り5分で3−0を3−3に追いつかれる大失態を演じてしまう。この時ロッカルームで泣いていた選手も複数いたとか。そしてその後も2連敗してしまう。

小島「3連続引き分け、そして連敗でねー。一番だったのは栃木SC
山口「残り5分で3−0を3−3にされた時、あれはやめたくなったね(笑)。あの試合、一番植木さんが吠えてたよね(笑)。ありえないって」
小島「なかなかできない経験だ(笑)」
小川「ああ、うちのチーム、だめだぁーって思ったよ(笑)」

この試合、足利まで行っていたけど、帰り道の遠いこと遠いこと(笑)。本当にガカーリ君な感じで、足利駅のホームで電車を待っていた記憶がありますな(笑)。4選手同様、今だからこそ笑って話せる話でありますが。後期やその他のことなどは、その2へつづきます。