Jリーグ開幕目前、各紙各誌のザスパ草津分析あれこれ。

SH772005-03-03

さて、Jリーグ開幕2日前ともなりますと、あちらこちらで各チームの戦力分析が行なわれているわけですが、そんな中やはり気になるのはザスパ草津の前評判。果たしてどのような評価がされているのか、集めてみました。
まずは地元紙上毛新聞3月3日付では戦力分析の前編が掲載。明日が後編なのでしょう。

ザスパ出陣(上)組織力で活路
ザスパ草津が挑むJ2がいよいよ5日に開幕する。プロ元年の幕開けとなる初戦は、前橋・県営サッカーラグビー場でモンテディオ山形と対戦する。
1月に始動した新生ザスパ手塚聡新監督の下、「アグレッシブな攻撃サッカー」をモットーに“J仕様”の戦う集団を目指して調整を続けてきた。
ハワイの第1次キャンプは体力強化、宮崎県での第2次キャンプは戦術の浸透を図った。基本的なフォーメーションは固まりつつあり、守りはこれまでの3バックから4バックに変更。2ボランチを配した「4−2−3−1」でリーグに臨む。組織で守って高い位置でボールを奪い、早い攻撃で活路を見いだしたい。

昨季の主流であった3−5−2から4−2−3−1への転換は、先日のさいしんカップでお披露目でしたね。1−3で敗れはしたものの「なんとかやれそう」感アリ。

躍進の鍵を握るDF陣は小田島隆幸、籾谷真弘小川雅己を軸にサイドは依田光正寺田武史、チカ。GKはけがのため別メニューでリハビリ中の小島伸幸に代わってJ1ヴィッセル神戸から期限付き移籍した岩丸史也の開幕デビューが濃厚だ。

小島さんはじっくり調整中の当面は、さいしんカップ先発で3失点ながらも、自責度は少なくゲームを通じて危なげなくプレーした岩丸がスタメンの模様。世代別代表も経験し、地元出身(前橋育英一家)でもある岩丸は今季のGJ補強。彼が出場できない事態が訪れても、北くんがいてくれるのでなんの問題もナシ。GKはお金がないのに日本代表経験者2名を揃える、ザスパで一番強いポジションかもしらん。
4バック布陣でのセンターバック2名は小田島と籾谷がさいしんカップでは先発したが、相手によっては小川先発も充分アリ。そしてチカの負傷がイタイ。昨季の佐川東京戦では、敷島名物・赤城颪でフィールドの全員がパスに苦労する中、向かい風に負けない力強いフィードを供給していたチカの身体能力を見てしまっただけにイタイ。
サイドバックは右の依田会長と「左の恋人」寺田がスタメン当確か。懸念は控えかも。右は今季右ウイングを任されそうな佐田くんと、右SBもキャンプで挑戦したらしい堺がいてくれるが、左は昨季も層が薄かった。寺田が欠場の事態では籾谷か、サテから昇格させるか。

層の厚い中盤は鳥居塚伸人と新加入でJ通算172試合の出場経験を持つ氏家英行、小久保純がボランチ山口貴之、高須洋平がゲームメークする。

鳥居塚キャプテンと氏家のボランチコンビは大丈夫そう。さらに6月復帰予定の大谷が控えているし、前育一家長男「ロングスローの小久保」は前線でも活きる。山口・高須と3トップの絡みは、それぞれ自分の持ち味を出してくれそう。山口・高須の共存を考えれば3トップの一角(左ウイング)を高須が担っても面白い。昨季前半ではそういう形もあったことだし。山崎も頑張っているので中盤は貧乏な割りになんやかんやといいながら層が厚くなった。J相手でも中盤からの大崩はなさそう。

FWは絶対的な柱はいないものの、レギュラー争いがし烈。J1セレッソ大阪から期限付き移籍御給匠、佐藤正美をターゲットに吉本淳のDF裏側への飛び出し、スピードのある酒井良、天皇杯で活躍した宮川大輔が果敢にゴールを狙う。

1トップは目下のところセレッソからやってきた御給くんがスタメン候補。宮川は1トップと左もこなす。レッズの坪井とぶつかりあいながらも先制点につながるクロスを上げたプレーは見事の一言。記事どおり「絶対的なエース」が不在なだけに、起用は「ゴール決めた者勝ち」かもしれない。

先月27日に行われたJ1浦和レッズとのプレシーズンマッチでは、ボールを奪ってから氏家、高須らを経由してサイド攻撃や速攻が見られた。だが、DFからボランチへの連係でプレッシャーをかけられ、パスミスや判断ミスから再三ピンチを招き、手塚監督は「開幕までに修正すべき点」と指摘した。
Jのレベルでは、たった一つのミスが致命傷になる。組織的に守れればある程度の失点は防げるが、相手のサイド攻撃のケア、1対1やスピードへの対応、寄せと出足、パスの精度など、戦いながらレベルアップが求められる。

チームを落ち着かせたり、攻撃を組み立てなおしたりする時の安易なパスミスが昨季のレギュラー同士でもあったことが不安といえば不安。昨季までとは違うJでのスピードやレベルに早く慣れてもらいたいところ。そういう意味でも、宮崎合宿でのJ1の4クラブとの練習試合と、さいしんカップには大きな意義があった。浦和レッズより強い相手など、日本ではそうそう探せないからね。
次はJ's GOALでの江藤高志さんのレポートと戦力分析。宮崎合宿取材から通して書かれた貴重な情報が読めます。ある意味「身内」の上毛新聞よりシビアな分析もありますよ。上毛新聞との重複部分を除いた注目部分をアップ。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-03/00016650.html

●話題先行ながらチームの仕上がりは順調。目標の9位以内を達成できるか
【2005シーズンの見どころ】
・・・多くの人の共感を得られたのは、仕事とサッカーを両立しつつJ2加入を決めたという苦労話がクローズアップされたから。ただしJFLでは、J2加入を狙っていた愛媛FCを筆頭にセミプロという形でチームを運営するのは珍しいことではない。そうした中で彼らが価値を持つのは、言い訳ができる環境の中で結果を出したという部分に尽きる。
ただしそんな草津もリーグ戦終盤に力尽き、3位でシーズンを終えてしまっており、完璧な形でのJリーグ加入でなかったという事実を胸に刻みリーグ戦に臨んでほしい。

記事どおり最後の最後で詰め切れなかった部分は、Jリーグで戦う今季以降も長らく教訓とし、糧にしなければならないのは確か。でもあれだ。関係者でもサポでもない人から云われるのは、正直面白くないな。
駄菓子菓子。色んなチームを俯瞰して書かねばならないライターさんの大変な部分なんですよね。提灯記事しか書かないライターさんばかりでもダメだし。

手塚監督によると目指すサッカースタイルは「攻撃的にいく」とのことだった。
ただ、宮崎キャンプ中の2月17日にU−20日本代表との練習試合を取材したときには、まだちぐはぐな感じが見受けられた。その試合後に鳥居塚伸人に話を聞くと「まだまだチームとしては遠い印象がある。直すべき所は正直言って多い。攻撃の部分がまだバラバラで、うまくいっても偶然の結果という状態。ただ今後はチームとして流れを作っていかなければならないと思う。ディフェンスもボールを囲い込むところを明確にしていかないとだめ」と手厳しかった。

鳥居塚キャプテンは、今季はかなり厳しく周囲の若手にも「プロとしてJリーガーとして」のプレーを要求していくと、別のインタビューで答えていたので、やはりコメントも甘さがなく手厳しい。

しかし開幕を1週間後に控えた2月27日のプレシーズンマッチ・浦和戦ではずいぶんと戦術が整理され、チームとしてのまとまりが出てきているように見えた。監督が代わり、積雪のために長期間のキャンプ生活を強いられるという難しい環境にあって、チームは着実に戦術面での進化を図っていたことがうかがえる。
このチームの基本陣形は4−5−1。1トップにポストプレーヤーを据え、2列目からのフォローで攻撃を組み立てるという形だ。手塚監督によると「4−5−1なんですが、パスがつながってリズムが良ければ4−3−3のようになる」とのこと。つまり、3トップ気味に攻め込んでいる状況が草津の好調さを図るバロメーターということができるだろう。

さいしんカップでも4−3−3のような、こちらの流れの時間帯もありましたからね。ここ試験に出そうなチェック部分ですな。

新加入の氏家英行は「1トップだとフォローをいかに早くするのかということ。もちろん前がしっかりキープしてもらえないと2列目から飛び出していけない」と攻撃での課題を口にしている。前線で形さえ作れれば、両サイドハーフが中央に絞って攻撃に厚みを持たせ、さらにサイドバックが目の前のスペースに飛び込んでいくという重厚な攻撃が可能となる。

山口不在の時には、高須なり鳥居塚キャプテンなりがその任を負うことになりそうだけど、鳥居塚キャプテンのスペースのケアが課題に。JFL時代にはアローズ北陸の川崎元気にいいようにやられていた記憶があるけど。氏家や大谷、バックス陣との連携が必須になりそう。

今季、J2での目標は9位以内。さらには5年以内のJ1昇格を目指すという。3失点した浦和とのプレシーズンマッチを見る限り、逆説的ではあるが守備での大崩れはないと思う。その一方で問題は勝ちきるための得点力になりそう。そこに目処が立てば躍進もありうるだろう。

浦和レッズに3点とられたから「守備がダメだ補強だ急務だ」という意見よりは、自分も攻撃の精度を上げることと、セットプレーでの守備位置や約束の徹底などが必要と思われ。

そのほかに気になる選手として名前を上げておきたいのがチカ。沖縄かりゆしFCからの移籍選手だが、187cmの長身を生かしたハイボールの処理に力を発揮しそう。
草津の補強で特徴的なのが新卒加入の多さだ。その数は5名に上っており、将来を見据えた補強が行われていることを感じさせる。
2月17日のU−20日本代表との練習試合では籾谷のポジションにチカが入っていたが、この試合で肘を脱臼しており、どのタイミングで復帰してくるのかは未定だ。高さのある選手だけに、草津にとっては復帰が待たれる選手だと言える。

チカ、色んな人から誉めてもらっているのに残念。また、朝日新聞3月1日付のスポーツ面ではJ2開幕を大きくとりあげ、新加盟のザスパ草津徳島ヴォルティスに注目して紙面を割いています。既に紹介の2記事と重複する部分が多いのですが、課題について新情報部分もあります。

だが、課題も多い。元23歳以下日本代表の岩丸(前磐田)らを獲得したが、効果的な補強はなかった。大西GMは「4バックなのにDFは6人しかいない」と頭を抱える。
ピッチ外でも、準備が遅れている。宮崎キャンプを終えた選手はまだ、住むところがない。取り壊しが決まっていた前橋市内の独身寮を草津町が年間500万円で借り、選手が生活することになったが、改修工事が間に合わず、入居は3月下旬の見込み。それまで選手は、ホテル暮らしが続く。

前橋で練習グラウンドは確保できたものの、住むところがまだ定まっていなかったようで。貧乏ネタを通り越して放浪生活ネタまで来たか。おそらくこの1年間は諸事万端、手作り・手探り感覚な部分も多いのでしょう。選手はホーム前橋でホテル暮らしてのは、裕福ネタなのか、ホームでもアウェー状態の逆境ネタなのか。とにかくガンバレ、ザスパ草津