JFL開幕戦、FCホリコシは横河武蔵野FCに0−1で敗戦。

SH772005-03-27

まずはJFL公式より結果を。http://www.jfl-info.net/

JFL 2005前期第1節(3月27日/13:00/浜川陸上競技場)
FCホリコシ 0−1 横河武蔵野FC
得点者 77分:村山浩史(横河武蔵野

まず結論だけ述べてしまえば「FCホリコシ、新チーム構築中」ですね。昨季より攻守の切り替えが遅くなりチーム全体が連動していません。個々の選手の良さも発揮されておらず、まだまだ調整中のようです。加えて「横河武蔵野のストライカー村山浩史はJレベル!」ですね。彼については後々。
つづいて両チームのメンバーを。Jリーガー7名など戦力を大きく補強し陣容を変えてきたFCホリコシ。そのスターティングメンバーとポジションも個人的に注目でした。

FCホリコシ スターティングメンバー(JFL前期第1節vs横河武蔵野FC
GK:31鏑木豪
DF:4神田文之・14羽山拓巳・17照井篤・27チュウミ 
MF:9藏川洋平・11奈良安剛・26矢部次郎・29斉藤紀由
FW:10森陽一・15平間智和 
●サブメンバー
GK:1井坂進一 DF:6山田正道
FW:7アマラオ・13山田智也・28小松原学
FCホリコシ キックオフ(4−2−3−1)
−−−−-森-−−−−:アマラオ・小松原
−奈良−平間−斉藤−:
−−矢部−−蔵川−−:山田智也
羽山−−−−−−神田:
−−照井−チュウミ−:山田智和
−−−−鏑木−−−−:井坂

今季は従来の4−4−2を基本にしながらもエースFW森陽一がワントップ気味、もう一人のFW平間智和がトップ下的な動きが多い4−2−3−1に。昨季左SBだった神田が右へ、空いた左は昨季ボランチ羽山拓巳がコンバートに。アマラオはベンチスタート、小松原学は一度退団したものの、今季もFCホリコシでプレーすることになったのだとか。スタメンはチュウミと斉藤紀由以外は全員元Jリーガーという布陣です。対する横河武蔵野FCは以下のように。

横河武蔵野FC スターティングメンバー(JFL前期第1節vsFCホリコシ
GK:31井上敦史
DF:3熊谷寛・6尹星二・13本多剛・25大槻邦雄
MF:10池上寿之・19石本慎・24高橋厳一・30田辺和彦
FW:9村山浩史・32小林陽介
●サブメンバー
GK:1大石和夫 DF:2小山大樹・5立花由貴
MF:15中島健太 FW:8大多和卓
横河武蔵野 キックオフ(4−4−2)
−−村山−−小林−−:大多和
−−石本−−高橋−−:
−−田辺−−池上−−:中島
大槻−−−−−−尹−:小山
−−本多−−熊谷−−:立花
−−−−井上−−−−:大石

試合以外の部分を先に述べますと。開始1時間前に浜川公園に到着したのですが、公園各所の駐車場はかなり埋まっていました。やっぱり駐車場があるとお客さんきますよねぇ。浜川陸上競技場は目人スタ1200人、芝生席1000人あまりの小さな競技場ですが、かなりの賑わい。公式発表では2108人の観客が集まったそうです。ハーフタイムに芝生席に移動してメインスタンドを見たのですが、全部で2000人以上もいるのかなあと思いましたが。メインスタアウェイ側は結構席が空いていたし。ともあれ昨季のホーム戦が観客300人あまりだったことを思えば、かなりの前進ですよね。積極的なアピールは奏功していると思われます。ただ気になっていた今季のスポンサーですが、JFL公式スポンサー3社以外の看板はナシ。J加盟へ運営法人の設立同様、もっと強化していかねばならないところですね。
また、この日は会場にて今季のJFL公式ハンドブック(1000円也)を購入。データ量を考えればやはり必携です。集合写真も今までで一番大きいものが見られますし。
・・・父さん、この(中略)!( ̄□ ̄;) 
さて試合について。キックオフから開始10分はFCホリコシがほぼボールをキープ、両サイドや中央に各自が切れ込んで攻撃を仕掛けていきます。5分には元ザスパ草津のMF奈良安剛のシュート、8分には蔵川「今季からキャプテン」洋平のミドル。横河武蔵野FCは前線の2名以外は、ほぼ守備にあたりました。そしてこの猛攻を凌いで、JFL屈指のストライカー村山浩史がようやくゴール前でボールを持てた最初のチャンスは前半9分に。彼はゴールとDFを背にしてボールをキープ。ポストとして後方から走ってきた選手のボールを落とすのがセオリーかもしれませんが、村山はここで得意の「180度クイックターン&反転シュート!」を放ちます。昨季FCホリコシはこれで2点、村山に献上しています。シュートはクロスバーの上方に飛んでしまいましたが、これが後々の伏線となるプレーでした。このJFL離れしたプレーをオープニングとして、横河武蔵野の時間が始まります。個々の実力ではFCホリコシが勝るかもしれませんが、この日の横河武蔵野FCの戦術は90分通して徹底されていました。
スクウェアの中盤4名は、攻撃的MF2名・守備的MF2名という役割ではなく、4人が中盤低い位置でゾーンマークすること。状況に応じては4人がポジションを入れ替える。バイタルエリアで数的優位を確保し、相手のパスワークを封じること。サイド攻撃には両サイドバックと近いMFがケア、両CBはゴール前でリフレクト専念、リフレクトのセカンドボールはバイタルエリアの4人が責任を持って必ず拾うこと。ボールを奪ったら手数をかけずにポストプレーヤーの小林陽介か、ゴールハンター村山浩史へつないでカウンター勝負。数少ないチャンスにはリスク覚悟で攻めあがれ!」と指示があったと思われます。
この流れで前半10分にはゴール前まで攻めあがったMF池上がライン裏をうまくとった村山にスルーパス。村山のシュートはGK鏑木が好セーブで難を逃れましたが、CKに。このCKもFW小林のミドルシュートにつなげました。
また24分にはピッチ中央を走りだした村山めがけてボールを奪った後方からフィード。村山はわずかに後方を確認しFCホリコシの選手が自分のすぐ後ろから追走していること、ボールが走る自分の前に落ちること、DF4枚が自分の前方から詰めてきていることを確認して判断したのでしょう「ノートラップでミドルシュート!」を選択しました。シュートはFCホリコシのDFに当たり、ゴールにはなりませんでしたが、絶えず「シュート&ゴール」を狙い、90分戦うFW村山浩史のプレーを見ることは、この日の楽しみのひとつでした。FCホリコシの9番蔵川、横河武蔵野FCの9番村山と、両チームの9番は明日J2の戦場に放り込まれてもなんとかなるだろうスピードとプレー精度を以ってJFLで活躍していますね。
それはともかく試合は横河武蔵野ペースのまま30分に。(FCホリコシから見て)右サイドをMF石本に突破されかかった時、CBチュウミがスライディング。石本は前方に倒れ、チュウミも右足を負傷してしまいました。アマラオと小松原に肩を借りて控え室に向かうチュウミ。高さと強さを併せ持つCBの交代は痛いものでした。ケガの具合も心配です。交代は6番DF山田智和が。
こちらの繋がらない攻撃→相手のカウンター攻撃、の連続でFCホリコシ後方の6人がどうしても下がりすぎ、前方の4人と分離してしまいました。両方の間である横河武蔵野バイタルエリア横河武蔵野MF4名と両SBが数的支配するところとなり、このエリアからカウンターが発動する形がつづきます。前半37分には横河武蔵野の波状攻撃がはじまり防戦一方に。右サイドから突破を図った村山(この頃から「あの9番スゲーな」の声がスタンドから聞こえるようになる)にDF2名が張り付きますが、村山は背中を向けてキープ、ボールは空中に浮かせてリフティングでコントロール。最後にループで3人の頭上越えでボールをゴールに向かわせ、自身もクイックターン(アメフトのスピンムーブに近いか?)で2人同時に置き去りにします。なんだこのヒト。
このスーパープレーもFCホリコシのフォローが早くシュートまでいけませんでしたが、前半終了までこの流れのままで終わらせるには充分のインパクトでした。後半のFCホリコシの修正はいかに。
ハーフタイムでひとまず休憩。前半残り10分の頃から、ホリコシ下部組織の小学生たちがサッカーそっちのけで騒ぎ出してしまい、大いに疲れました。目の前のお兄ちゃんたち、結構スゴイことしてるぞ、オマイラ。
さて後半。「修正はいかに」とかいいながら、試合は前半と同じような流れで推移していきます。後半開始からFCホリコシが積極的な攻撃を見せて、53分に蔵川がミドル、55分にはFKからDF照井がヘディングシュートを放ちますがゴールならず。修正といえばキャプテン蔵川洋平の攻撃参加でしょうか。前半終了10分前くらいから矢部に守備を任せて、ゲームメイクと高い位置でボールをキープするために前線にあがり、ミドルシュートを狙っていきます。3人に囲まれながらもボールをキープ、3人ひきつけてから味方にボールを渡し、数的不利を打破しようとするところなど、さすが試合の流れをフィールドで読める選手です。蔵川が前線でタメを作ったことで、攻撃に厚みが出てきます。68分には左サイドバックがまだ慣れていないのかしっくりきていなかった羽山拓巳が後方からあがってきてシュートまでつなげますが、これもゴールならず。右SBの神田、左SBの攻め上がりのタイミングや守備フォローなどまだこなれていないようで、この日のサイド攻撃はあまり機能していませんでした。群馬の2チーム似てきてないか?
後半開始から25分ほどはFCホリコシが攻め続けますが、横河武蔵野FCイレブンの高い集中力と必死の相互フォロー(全員が一生懸命声を掛け合っていましたね)で徐々に試合は一進一退。横河武蔵野の流れに傾いてきます。
そして77分、ペナルティエリアでロングパスを待ち構えた村山をDF山田智和が背中から抱きつき、のしかかって押し倒すような形に。これがファールをとられてPKとなり、村山自身が決めて先制。前半から村山がみせていたキレある動き、必殺クイックターンを警戒していたのでしょう、プレッシャーをかけた守備が裏目に出てしまいました。村山からすれば前半からの頑張りを得点につなげた、と云えると思います。
一気に劣勢に立たされたFCホリコシは、FW平間にかけてFW小松原を投入、攻撃が始まりますがあせりもあるのか、なかなかボールが繋がらず、一進一退の状態が続きます。81分にはDF神田がファールをとられてイエロー。主審に神田が猛抗議を始めた時、近づいたキャプテン蔵川が止めに入るのかと思ったら、新旧キャプテンが二人で抗議(汗)。レッドカードが高々と挙げられたので、どうなることかと思いましたが、主審の枚数カウントの勘違いだったようで、取り消されました。誰も退場しなかったし。でも0−1、残り15分足らずの状況で退場も辞さない抗議はちょっとリスクが大きかったですね。
直後の攻撃でエース森のシュートがクロスバーに当たるなど惜しいところもあり、83分にはSB羽山を下げて3バックに変更、アマラオを投入します。しかし攻撃がロングボール主体の放り込みサッカーとなってしまい、アマラオになかなかボールは繋がらず、ホイッスル。試合終了後に芝生席のサポにアイサツしたFCホリコシイレブンの中でアマラオは、FCホリコシを引っ張ってきた「横浜FMコンビ」キャプテン蔵川とエース森の二人の間に立ち、悔しさをにじませる二人に肩をまわして何か声をかけながら3人で歩いていました。アマラオが必要とされるのはピッチだけではないのが大いに判りますね。
惜敗となってしまいましたが、このゲームはFCホリコシに多くの収穫をもたらしたと思います。まず新加入Jリーガーも「JFLは簡単には勝たせくれない」と認識を持っただろうということ。またこの日の横河武蔵野FCのように、カウンター主体のチームを攻略することを考えなければならないということ。昨季ザスパ草津FCホリコシの試合を多く観戦しましたが、ザスパ草津と守備重視のカウンターで戦っていたチームが、FCホリコシには攻撃的に戦っていたのを多く見ました。今季のFCホリコシは周囲に警戒されているチームとなったのですよね。前線の4人が華麗なパスワークで翻弄していくのがFCホリコシの攻撃サッカーですが、この日のようにスペースがなく数的不利な状態で活きる攻撃も考えなくてはならないのでしょう。選手個々の能力は高いチームですので、チームの熟成も含めて今後が楽しみです。