徳島ヴォルティスの示す、企業サッカー部母体のJ加盟モデル。ザスパ草津が見せる「目指せJ」クラブの厳しさ。

ではJ's GOALよりプレビューを。http://www.jsgoal.jp/club/2005-04/00017693.html

●J2第5節 草津 vs 徳島 プレビュー
昨季のJFLを圧倒的な強さで制してJ2昇格を決めた徳島と、JFL1年目にして3位という結果を残しJリーグ入りが認められた草津。昨年のライバルだったクラブが、Jという舞台に場を移して再び対戦する。今後も比較され続ける運命にある両クラブだけに、気合いを入れて臨んでくるはずだ。
一方の徳島は、敵地での開幕戦で仙台を3−0で下し衝撃のデビューを飾ると、その後も『新人』らしからぬ堂々とした試合運びを披露。前節では、鳥栖に2点のリードを許しながらも、試合終了間際に粘りの2ゴールを上げ、負け試合を引き分けに持ち込んだ。現在、2勝1敗1分の勝ち点7で、J1昇格候補の京都、福岡、山形に次いで4位。その実力を証明している。

徳島ヴォルティスの前身、大塚製薬サッカー部は、99年に就任した田中真二監督の元で徐々に力をつけ、03年にJFL初優勝、04年に連覇を果たします。Jリーグ加盟も現実的な計画として動いており、チームも明確な目標をもって、モチベーションも上がっていたと思います。そして今季、徳島ヴォルティスとして運営会社を設立。チームとしては(実質3部の)JFL連覇のレギュラーを確保、J1・J2から9選手を獲得して選手層を厚くしました。指導体制も田中真二監督が続投、大塚製薬の培ったサッカーを強化・発展させる形でJリーグに参戦しました。
ここで判るストロングポイントは「3部を連覇したチームと戦術を維持しながら、1部と2部から戦力を加えてチームを強化できたこと」ですね。そして戦力補強を行えた大きな要因として「Jクラブとしては今季から運営する組織が、赤字なしの状態からチーム運営を始められたこと」ですね。ザスパ草津ホーム戦では「リアル・サカつく」の横断幕が出されていますが、こと運営資金面だけでは、徳島ヴォルティスのほうが「リアル・サカつく」と云えると思います。
徳島ヴォルティスの最終的な成績はまだ判りませんが、これまでのパフォーマンスからも、後に続く企業サッカー部を母体とする「目指せJ」チームに、運営組織の作り方とのチーム強化のモデルを示していると思います。

開幕から4節が過ぎたところだが、両チームのこれまでの成績は対照的だ。草津は、ホームでの開幕・山形戦で0−3の完敗。Jの洗礼を浴びると、続く京都戦、札幌戦でも守備のもろさを露呈し、0−3、1−4と敗北。前節の横浜FC戦では、0−1という惜敗だったが未だ勝ち星なし。奪ったゴールはわずかに1。逆にネットを揺らされた回数は11、得失点マイナス10で最下位に甘んじている。

ザスパ草津は監督交代もあって、今季新体制・新戦術で臨み、苦戦が続いています。チーム設立4年目でのJ参戦ですが、毎年赤字の運営(アマチュアサッカーだから儲けが出ないのは当たり前)昨季の赤字は1億円と伝わっています。J加盟でようやく興行、入場料収集を充てに出来るところまで来ました。これから数年は黒字運営への転換が必要です。それゆえ、戦力補強で加わったJ選手はGK岩丸、FW御給、MF氏家ですが、完全移籍は氏家のみ。残り2名はレンタルです。実質的に昨季の主力で戦うことを選んでいながら、昨季からチーム・戦術の上積みを無くしてのJ参戦。苦戦は必至です。
今季に監督交代があったのは、ザスパ草津の都合に過ぎませんが、企業サッカー部でない「目指せJ」のクラブが、短期間でJリーグに加盟することを計画している場合は、やはり戦力補強は必要ですし、ほとんど赤字で運営していくことになっていきます。J加盟したとき始めて黒字体質への転換を図るわけですから、ザスパ草津と同様の戦力面の悩みを抱えることになるでしょう。ザスパ草津から見える厳しい現状は、「目指せJ」クラブに、運営費の課題と、せめてチームと戦術の継続強化は武器としてもっていた方が良い、と示しているのではないでしょうか。