NHK生活人新書から「サッカーがやってきた ザスパ草津という実験」が発売。

SH772005-04-13

NHK出版公式より。http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=00881432005

●サッカーがやってきた ザスパ草津という実験
人口7800の町はなぜサッカーに夢を追ったのか
夢、悩み、葛藤、そして愛情……。昨年、Jスピード昇格と「温泉で働く選手」で話題を集めたザスパ草津だが、その裏には、熱に冒されたように走り、考え、行動する選手や町の人々の姿があった。JFL時代から取材を重ねてきた著者が、今までにない深みを持って「サッカーと地域の幸せな関係」を問う。

ドキュメンタリー、キター! 単なる「お涙頂戴物語」ではなく、選手も興奮のゲームもほとんど触れずに、シビアすぎる運営の裏側、現実的な視点からザスパ草津というクラブと草津町の関係が綴られています。あえて別のタイトルをつけるとすれば「Jリーグ100年構想〜ケース・ザスパ草津」ですかね。ザスパ草津が3年(+最大猶予2年)でなぜJリーグを目指したのか。ザスパ草津を生み出し、育て、Jへと送り出した草津町。その今だからこそ、回帰できる当初の理想。奥野元監督が夢見た、プロクラブとは違う小さな町のスポーツクラブとは、という部分にまで踏み込み、多くの取材を基に語られています。ザスパ草津サポーター以外の方、「目指せJ」や「Jリーグ100年構想」に興味がある方にはオススメの一冊です。自分がザスパサポでなくとも「良書」と薦めたと思います。
ただ1点、引っかかったのは「草津町の各種スポーツ施設を使用できたことは有利だった」との主旨の記述ですね。これは植木さんや奥野さん、いろいろな選手があちこちのインタビューで「施設や練習場が使えず困った」「練習場を確保できないツラさ」を証言していて、今でも草津町を本拠にしているサテライト・チャレンジチームの練習場所は、毎日のように転々としてますからね。決して恵まれた練習環境ではないと思いますが。
加えて「ちょっと長めのエピローグ」として愛媛FCのFW友近聡朗と彼の夢が16ページにわたって記されています。来季はJ2愛媛FCのキャプテンとして、敷島に見参してもらいたいですね。プレーでも人格でも尊敬できる選手ですし。ただ、その時はザスパの敵なのが困りモノ。