JFL前期第8節、FCホリコシはソニー仙台に3−0の完勝。あるいはアマラオのテクニック鑑賞会。

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上毛新聞5月9日付より。別刷スポーツ面の1面トップにデカデカとアマラオ様が。

ホリコシ4位浮上
JFLは8日、各地で前期第8節残り5試合を行った。本県のFCホリコシは、前橋・県営サッカーラグビー場でソニー仙台FC(宮城)と対戦、3−0で今季5勝目を挙げた。通算成績は5勝1分け2敗(勝ち点16)となり、順位を4位に上げた。

この試合は観戦しました。結果はFCホリコシの完勝。タイトルどおり、アマラオ様テクニック鑑賞会の趣すらありましたね。この試合ではソニー仙台の今季の強さはどこにあるのかを見たかったのですが、連戦の疲れなどもあるのでしょうか、良い動きも強さの一端も見せられないまま90分が終わったように見えます。

JFL前期第8節 5月8日
FCホリコシ 3−0 ソニー仙台FC
得点 7分:森陽一ホリコシ)52分:平間智和ホリコシ)85分:アマラオホリコシ
前後半で計23本のシュートを放つ猛攻を見せたホリコシ。前半7分にはMF矢部の中央からのパスをFW森が右足で押し込んで先制。後半は7分にMF平間、40分にFWアマラオが相次いでゴールを決め、試合を決めた。ソニーは両サイドからの攻撃を軸にFW本多、MF桐田らが得点を狙ったが、決定力に欠けた。
●追加点で流れ
ゴールデンウイーク最後の日、県営サッカーラグビー場のピッチをFCホリコシイレブンが縦横無尽に走り回った。前節まで2位のソニー仙台FCを圧倒し、引き分けを挟んで3連勝。小見幸隆監督は「やっと勝負強さが出てきた」と満足そうな表情を浮かべた。
両サイドからの攻撃を軸に相手守備を揺さぶるソニー。これに対して、ホリコシはMFの矢部次郎、斉藤紀由が中盤で相手パスをうまくカットし、アマラオ森陽一の2トップにボールを送り込んだ。そして前半7分、森の浮き球が相手ゴール右サイドネットに決まり1点を先制した。
前半だけで9本のシュートを放ったものの、終盤はソニーの反撃に遭ってなかなか追加点を奪えなかった。

試合開始から積極的に押し込むFCホリコシは前半7分、タイミングよく駆け上がったボランチ矢部次郎がDFをマタ抜きして右サイドからペナルティエリアに進入、この時点で勝負アリ、の絶妙なクロスをゴール前に。FW森陽一がGKより1歩先に、浮き玉ながらも押し込んで先制しました。さすがホリコシのエース・オブ・エース。この日はかなりキレていましたね。
記事どおり、この後試合が長く膠着し、どちらもなかなかシュートまでもっていけないまま、前半が終了してしまいました。ややFCホリコシ優勢でしたが、ホリコシの両サイドバックが攻撃参加をせず、ダブルボランチの羽山、前半7分に得点を演出した矢部もそれ以降は守備に重きを置いていました。長く攻勢を受けていたわけでもないので、前節のホンダロックとのドローの影響か、ソニー仙台のサイド攻撃を警戒してのものと思われます。この対戦の直前はホリコシ5位、ソニー仙台が2位。昨季もホリコシ8位に対して6位と上位の相手ですからね。前節のホンダロック戦が、ザスパ草津のゲームと重なったために現地観戦していないので推測に過ぎませんが。

流れが変わったのは後半7分。ゴール前で矢部からパスをもらったMF平間智和が待望の2点目を挙げてからだった。

このゴールはスローインを森がヘディングでペナルティエリア前、ゴール正面位置に落とし、キープした矢部がDFを2人ひきつけてから、さらに横に詰めた平間へスルーパスで渡して平間は豪快に右足を振りぬいて決めました。

アローズ北陸戦では前半で退場、チームに貢献できなかった平間。「前半なかなかボールが回ってこなかった。ここで決めないと」。相手GKの動きを見極めて放ったシュートはゴール左側へ突き刺さった。小見監督も「2点目から流れが変わった」と活躍を大きく評価した。

大きな局面転換はこの2点目ですが、このプレーより前に流れを変えたのはアマラオでした。右サイドからのフィードが、逆サイドよりに位置した森へ。森は素早く中央のアマラオへ。アマラオはまた森の方向へダイレクトで返しますが、強すぎ・・・と思われた途端、左サイドを駆け上がってきた左SB深田慶太にドンピシャリ。深田はコーナー深くまで抉って、ホリコシの攻勢を強めました。いつ攻めあがる深田を確認できたのか。タメ息がでるほどの視野の広さ、ダイレクトプレーの精度の高さを見せられました。
そして、後半最初からのホリコシの攻勢を支えたのもアマラオでした。後方や逆サイドから飛んでくる、決して精度の良くない強すぎるようなクロスやフィードも、ピタッと足元で止める技術。トラップを前に流しても、相手選手にはとれない位置に転がしています。DFを背負ったポストポレーもさすがですが、これだけ前線でキープされ、配球されると相手はイヤでしょうね。相手ゴール前でSH斎藤とのヒールキックトラップ交換など、芸術性あふれるプレーも披露してくれました。
前半は引き気味のチームにあって、アマラオは前線でのキープやパスしても数的不利でシュートに持ち込める回数が少なく苦労しましたが、後半にはボランチ矢部や羽山、左SB深田の攻めあがりもあり、かなり持ち前のプレーが活きていました。また味方が攻めあがってボールロストしてしまう時には、後方の数的不利を解消できるまでボールを持つ選手への粘り強いプレスを見せ、カウンター阻止にも貢献していました。全体的な運動量は全盛期に比べると落ちているのかもしれませんが、勝負どころ、絶対に抜かれていけない局面での120%全力プレーは多くの選手の手本ですね。
決定的な後半40分の3点目も、アマラオが右CKから決めました。最もニアサイド、ゴールバー正面に立ったアマラオへ、低く速いクロスが合わされます。並みの選手ならば足に当ててゴールラインを割ってしまうようなスピードボールでしたが、アマラオがトラップすると、ボールはフワリとアマラオの前に置かれます。GKも飛び出しますが、GKもマークの選手も届かない位置に置かれたボールをアマラオは反転しながら豪快に、でもキッチリ狙ってシュートを放って、GKの脇を抜き逆サイドのネットに突き刺しました。最初のトラップで勝負アリ。ボールの中心を正確に捉える技術を持つ者だけが出来る得点でした。さすがアマラオ。さすがキング・オブ・トーキョー。
この3点目の前に、森くんがスルーパスに抜け出て、飛び出たGKと1対1をつくり、シュートを放つもクロスバーに直撃してゴール正面のアマラオの足元に落ちたところで、無人のゴールを前に、アマラオが豪快に宇宙開発したことはナイショにしておきます(笑)
結果は完勝のホリコシですが、その課題といえば、まだまだ見える連繋のつたなさですかね。昨季の素早い攻守の切り替えにはまだ及んでいません。ボランチが攻めあがる時はCBのどちらか前進してスペースを埋めて対処、後方は3バックにするなど、昨季にないカバーリングシステムも見られますが、小見監督のやりたいサッカーはまだ具現化していないのではと思われます。監督交代などがあった影響もあると思いますが、局面局面を個々の技術で凌いでいる印象が強いですね。
この日のエースFW森陽一は動きはかなり良く、キレイに真円を描いてオフサイドにかからずDFラインの裏をとるフリーランニングは、残念ながらザスパ草津のFWにはない技量です。しかしこの試合では、必ず森の動きを見ているMF蔵川洋平がおらず、まだ一緒にプレーして日の浅い矢部次郎のパスがわずかに遅いために、オフサイドとなっていました。
攻撃人数が少ない前半、森陽一のライン裏へ飛び出るチャンスで攻撃が組み立てられないことも、やや前半の膠着状態を作る要因であったと思われます。負傷で3試合欠場中の蔵川洋平はいつ帰ってくるのでしょうねえ。個人的に、FCホリコシのホーム戦の入場料の半分は、蔵川・森コンビのプレーに払っているつもりなので、残念至極でもありました。蔵川に戻って欲しい、次節はアウェイ愛媛FC戦です。どちらも負けられない戦いですね。