J2第13節、京都パープルサンガ戦。守備は収穫あり。攻撃は課題ばかり。

SH772005-05-21

とりいそぎ全般的な感想だけ。まずはJ's GAOLより結果を。
http://www.jsgoal.jp/result/20050200030120050521_detail.html

●J2第13節 5月21日(群馬サ/3,287人)
ザスパ草津 0−3 京都パープルサンガ
得点 35分:アレモン(京都)89分:田原豊(京都)89分:リカルド(京都)

いつもどおり結論から書いておきますと。「最終スコアは0−3の敗北だが、試合終盤ロスタイムまでJ2上位の攻撃を持ちこたえた3バック守備には収穫あり。しかし攻撃ではフィニッシュまでの形の組み立てなど、得点のための工夫はまだまだ必要。さらに選手交代が攻撃に厚みをもたらさなかった点も今後の反省材料」です。
この試合の京都の攻撃は強力2トップにかなり依存する部分が多く、3バックと鳥居塚キャプテンが良くこれに対応し、両SHもサイド攻撃のケアもこなして、粘り強く戦えていました。だからこそ、前半35分にバイタルエリアでのパスミスとコミュニケーションミスから京都に高い位置での攻撃始められてしまったことと、京都の大きなサイドチェンジでマークをずらされ、ゴール正面のアレモンにフリーで打たれて先制されたシーンは残念でしたね。
後半も一進一退ながら徐々にチャンスを作りましたが、前線の攻撃陣のパスミスやちぐはぐな組み立てを繰り返し、得点機を逸しつづけてしまいました。これは前節でも見られたのですが、パス交換やスペースでもらおうとする動きなど、互いの攻撃志向がかみ合わず、草津に試合の流れがきていても尽く無駄にしてしまいました。前節では最後に樹森が同点弾を決めてくれたことで目立ちませんでしたが、かわらず今後の課題ですね。
選手交代もせっかくの攻勢を活かせず遅れ気味、投入選手もポジション的に攻撃に絡めづらい中途半端なサイドハーフになったこと、樹森を下げたことで前線で決定的なパスが出せる選手を欠いたことが悔やまれますね。攻撃要員は増えても組み立がいよいよ機能しなくなってしまいました。せっかくの追い上げムード、試合の流れを京都に渡してしまいロスタイムにカウンター絡みで2失点。粘り強い健闘、収穫ある惜敗の内容すらも大敗にしてしまう、残念な結果に終わってしまいました。
試合の流れを細かく追う観戦記は、監督と選手コメントを読み、群馬テレビの録画放送を見てアップしたいと思います。
まず、試合以外の事に触れておきますと。スタジアムで上州名物「焼きまんじゅう」の販売が開始されていました。地元はもちろんアウェイ遠征サポさんにも食べていただきたい一品ですよ。ただ食べ過ぎると胸ヤケを起こしてしまうと思いますのですの、ご注意されたし。また、アウェイサポさんの試合終了時の退出がバックスタンド側のみとなりました。前節の横浜FCサポのバス囲い込みの反省を受けての処置でしょう。警備の反省がすぐに活かされるのは結構なのですが、無関係の京都の遠征サポさんにとっては不便なだけですから、こういう問題は痛し痒しですね。
あと印象に残ったのは、京都側で誰よりも早く芝の状態を確認しに出てきていたのが、柱谷監督ということですね。センターサークル付近、両ゴール前など丹念に見ていました。色んな監督さんが敷島を訪れていますが、ピッチのあちこちに屈んで芝を触れ、細かに確認していたのは柱谷監督が最初だと思われます。月刊サッカークリニックの連載記事を楽しみにしている身としては、妙に納得できる風景でした。
では試合を流れで振り返ります。まずはザスパ草津のメンバーから。

ザスパ草津 スターティングメンバー(J2第13節vs京都パープルサンガ
GK:22小島伸幸
DF:2籾谷真弘・3小田島隆幸・17小川雅己
MF:6鳥居塚伸人・8小久保純・15山崎渡・18寺田武史・30樹森大介
FW:14佐藤正美・20吉本淳
●サブメンバー
GK:29岩丸史也 
MF:4依田光正・5氏家英行 FW:16堺陽二・24酒井良
ザスパ草津 キックオフ(3−5−2)
−−吉本−−佐藤−−:堺
寺田−−樹森−−山崎:依田・酒井
−-小久保−鳥居塚-−:氏家
−籾谷-小田島-小川−:
−−−−小島−−−−:岩丸

前節とほぼ同様で、変更点は依田光正の代わりに山崎渡が右SHで先発している点と、控えFWが御給匠から堺陽二になっている二点ですね。「Here We Go 堺陽二!」
山口貴之はまだベンチ入りせず、高須も外れています。メインスタでは新加入DF齋藤竜、MF大谷圭志が観戦していました。メインスタに座る年長サポさんたちから激励の言葉をかけられる二人は、まるで全員の息子のごとし。
続いて、京都パープルサンガは。

京都パープルサンガ スターティングメンバー(J2第13節vsザスパ草津
GK:1平井直人 
DF:3リカルド・4鈴木和裕・5手島和希・13三上卓哉
MF:8美尾敦・11星大輔・16斉藤大介・18米田兼一郎
FW:9アレモン・10パウリーニョ
●サブメンバー
GK:26西村弘司 DF20:鷲田雅一
MF:14中払大介・17石井俊也 FW:31田原豊 
京都パープルサンガ キックオフ(4−4−2)
−−アレ−−パウ−−:田原
美尾−−−−−−−星:中払
−−斉藤−−米田−−:石井
三上−−−−−−鈴木:
−−手島−−リカ−−:鷲田
−−−−平井−−−−:西村

( ´・ω・`)反則ツートップキタ・・・ 個人的に好きな選手である手島和希が観られてウレシイ部分も。ジーコ代表監督にオールスターゲームの活躍で代表に呼ばれたのは一体なんだったのでしょうかな。好きな選手だけにバカにされたようで、今でも怒ってたり。なにげにサブメンバーも豪華な京都ですよ。やっぱり層が厚いですな。
強力なツートップに両サイドからの攻撃が主な武器と、ザスパ草津のもっとも苦手とする相手じゃないかと思っているとキックオフ。しかし、互いにまず守備を固めてから攻撃にとりかかるような立ちあがりとなりました。
草津の守備は、3バックは必ず京都のツートップにマンマークで付き、1人は余る形でカバーしました。また左SHの寺田武史も、相対するSHの星大輔マンマークで張りつきます。両ボランチも攻めあがりを控えてバイタルエリアを抑えます。この守備で草津は3−5−2から多くの時間が左に偏った4−3−3、もしくは3−4−3の形でプレーが続きました。3バックの各選手は慣れたもので、ポジションチェンジがあっても役割の切り替えが出来、高さ勝負の競り合いでもかなり勝ってセカンドボールを草津ボランチに拾わせていましたね。この守備に関して手塚監督とDF籾谷は。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-05/00019528.html
http://www.jsgoal.jp/club/2005-05/00019519.html

手塚聡監督(草津
首位・京都ということで、守備のやり方を変えてトレーニングを積んできた。選手は守備の戦術を理解してよくやってくれた。前半は1つのミスから失点したが、1点で我慢していればチャンスがくるだろうと、同じシステムで後半も挑んだ。
籾谷真弘選手(草津
「スライドやマークの部分では、チームとしてよくまとまって出来た。京都のサイド攻撃や、前線への飛び出しは、確かに迫力があった。」

草津の攻撃は3トップ気味になった3人にロングボールを放り込む形、左サイドでプレーが続くと自然と空いてくる右SHの山粼渡の攻撃参加で行われました。この日の右SHが自身で持ち込むことも出来、パスも操れる山崎であるとはいえ、攻撃人数が少なく前線の3人任せなのは前節の横浜FC戦と大差ありません。横浜には散々に押し込まれましたが、京都相手だとなぜかそうでもありませんで。
横浜FCはツートップのポストプレーとトップ下のシルビオのキープ力とパスで組み立て、両サイドの攻めあがりも絡めて攻撃を仕掛けてきました。しかし、京都も草津と同様に、ツートップと退いている中盤と守備陣で間隔が空いてしまい、攻撃時の押し上げがうまくいきません。
ツートップの後方にフォローのMFがいないので、ポストプレーが効果的に行えずバイタルエリアのセカンドボールを草津に拾われることになっていました。また草津のDFラインがかなり高めに位置したことで、オフサイドにかかるか、飛び出るタイミングが合わずにロングボールがゴールラインを割ってしまう場面が多くなり、FWアレモンはラインの駆け引きとマンマークを嫌って、サイドに流れる位置をとりましたが、逆にツートップの間の距離を空けてしまいパスが繋がらず苦戦していました。両サイドもマークを受けているので、パスやロングボールを落ちついて受けられず、また前線がなかなかキープ出来ないので、攻めあがりの判断も難しそうでしたね。星はかなり高い位置でプレーしていましたが、美尾は逆にボランチと並ぶようなポジションに。京都も草津も右肩あがりの形と云えますね。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-05/00019527.html
http://www.jsgoal.jp/club/2005-05/00019519.html

柱谷幸一監督(京都)
アレモンとパウリーニョのコンビネーションが、はっきりと出なかった。また、サイドがもう少し切り込んで、いいクロスが入ればチャンスは広がったはずです。
美尾敦選手(京都)
「ピッチ状態が悪く、ポゼッションサッカーが難しかった。相手が3−5−2で、両サイドも引いていたので、もう少し早い攻撃ができればよかった。そういう意味では自分のプレーができなかった」

京都が前半に積極的な攻撃を見せなかったのかは、正直良く分からないですが、いくつか考えられることはありますね。第1クールで草津は必ず序盤から攻勢に出るのを知り、それを迎え撃つ形をプランに組み込んでいたのか。前節に今季初黒星を喫して慎重な立ちあがりとなったのか。それともツートップとSH星にロングボールを入れて攻撃を組み立てる形が草津の守備プランとかみあってしまい、ただ攻撃がうまくいかなかったのか。
ともあれ前半の草津は、京都の攻撃の組み立てをつぶし、強力なツートップも良く防いで守備の健闘が光りました。導入2試合目でここまで粘り強い3−5−2での守備を見せられると、第1クールの4バック試行は一体なんだったのか、と思えるほどのガンバリでしたよ。
互いにガードを固めてジャブを打ちあうような、攻撃の形を探りあう静かな前半でしたが、両チームとも数回はセットプレーやサイドからのクロスでゴール前に迫るシーンもありました。京都は23分CKでのアレモンのヘディング、草津は28分のパスでの崩しから小久保がペナルティエリアで前を向いてのシュートがそれぞれ決定的でしたが、得点にはなりません。ただ、ここまではなんとか互角でしたが、「やはり草津が不利だな」と思われました。
これは強力ツートップや個々の技量で京都が上回る部分もあるのですが、攻撃の組み立ての問題を、どちらが修正しやすいか、という点で強くそう感じました。草津の攻撃は前線の3人の意志疎通がかみ合わず、守備もキッチリカバーしてきていましたから、ちょっと簡単にはシュートにももっていけそうにありません。2〜3回はパスを繋いで崩せた局面もありましたし、12分には樹森大介のドリブル単独突破も見ごたえありましたが、多くを期待するのは酷でしょう。チームとしてどうフィニッシュするのか、が見えませんでした。
しかし京都はセカンドボールを拾うため、もしくは高い位置でツートップとサイドに配球するためにボランチのどちらかが攻めあがってくる時には、かなり攻撃が機能していました。
ダブルボランチのどちらかが攻めあがり、もしくはDFラインが高い位置をキープしてこられると、一気に崩され苦戦必至だと思われた前半35分、高いバウンドになってしまったルーズボールの落ち着かせ方を誤り、高い位置で京都の攻撃を始めさせてしまいます。ここもボランチがボール奪取とパスに絡んでいました。草津から見て左、右、そして中央とゴール前で大きなサイドチェンジを行なわれ、危険なFWアレモンのマークがズレると驚異的なジャンピングボレーで先制されてしまいました。ちょっとマトリックス風味。なるほど反則ですね。
試合通じての脅威という点では、前節の横浜FCシルビオやジェフェルソンのほうが印象に残りましたが、アレモンの個人技、浮き球を鋭いシュートにかえて打つ技量には感嘆しました。ただ草津相手であんなことせんでも、とも思いましたけど。前半の残り時間も今までと同じような膠着状態が続き、このまま前半終了に。草津としては数少ないミスから生まれた残念な失点となりました。マークのズレも相手がアレモンでなければなあ、というくらいの精度のクロスだったのですが。
両チームメンバー変更無く後半開始。メンバー変更はありませんでしたが、かなり下がり気味になるSH寺田のスペースをFW吉本淳が埋め、FW佐藤正美とMF樹森大介のツートップの時間が増えてきました。なんとか草津ペースで同点に追いつきたいところですが、立ち上がりは京都の攻撃から。49分にはDF小川雅己の好守備で難を逃れるものの、53分には星のクロスをパウリーニョが落とし、アレモンがシュート。これが小島さんがキャッチ。10分にはアレモンのポストから美尾がシュートで終わらせます。京都のペースで攻撃が続きますが、SBの攻撃参加も数少なくDFラインも上がってきません。これは試合後の吉本淳のコメントでも。

吉本淳選手(草津
「中盤で受けてDFがついてくるのを待っていたが、なかなか入って来なかった。前が点を取れれば、ゲームは全然変わったはず」

これはもしかして自チームの事かな? ともかく京都DF陣は柱谷監督コメントにもあるとおり、草津のロングボール対応としてFWとの徒競走になるDFラインの押し上げを避けるために、あえて下がり気味、間延び止む無しの守備を敷いていたのかもしれません。DFラインにボールを収まった時も、安易に前に蹴るリスクを避け、必ずGKにバックパスで、前方に大きく蹴らせていましたね。これもリスク回避の徹底と考えられます。2点目をみんなでとりにいくサッカーではなく「得点は前線に任せて、みんなで失点を防ごう」なサッカーでした。
そんなゲームプランのためにか、後半開始から約15分間あった京都の流れが徐々に草津に傾いてきます。相手の思惑はどうであれ、60分間0−1で凌いでいるこの試合、草津の流れの時に同点に追いつきたいところです。
ただ前節のように相手に退場者が出て、後半押せ押せとなる流れは期待できません。この試合の主審はカードを控える傾向が見え、シミュレーションをかなり警戒しているようでした。前半から両チームの倒れてのアピールには引っかからない、ファールでもアドバンテージを優先してとると決めているようで、余程の悪質なプレーでもない限り退場者が出るような試合ではありません。FKやスローインのボール位置もアドバンテージと流れ重視で、正確かつスムーズな試合運びは前節に比べると、かなり良いと思われました。両チーム慎重な前半があまりダラダラした印象を受けないのは、両チームがしまった守備を見せていたことと、主審の流れを切らない意図が大きいと思われます。ただ「主審の正確さ」が最後にとんでもない影響を与えるのですが。
また京都の守備がここまで危なげなく守っていること、両ボランチバイタルエリアを自由に使わせてくれないこと、手島とリカルドのCBコンビに高さや強さで勝っていないこと、草津の攻撃陣のパスがちっとも繋がらず、互いに違うことを考えてミスを繰り返していることを考えると、押せ押せの展開は期待は出来ませんでした。横浜FC戦のように1発スルーパスでシュートまでいくか、セットプレーしかないと思われた後半62分、吉本淳ミドルシュートがゴールに向かって飛び、GKがリフレクトされますがCKに繋げました。ここで草津はMF小久保をFW酒井良に代えて勝負をかけます。
後半60分からは京都が受け、草津が攻める展開が続き、草津も決定的なシュートまではもち込めないものの、セットプレーに繋げて得点を狙い続けます。しかしゴール前でスルーに誰も反応しない場面など、ちぐはぐさが目立ちます。流れのプレーでもゴールに背を向けてボールを高い位置で収めるものの展開できずにズルズル下がる佐藤、前のスペースでボールを受けたい樹森、なんとかパスを繋ぎたい吉本に酒井と、互いの考えがまるで合わず3−5−2システムでの攻撃の組み立てがまだまだ整っていない部分が出てきてしまいます。
草津が攻勢の時間帯なのは確かですから、ここはシンプルにDFラインの裏を狙うプレーでシュートまで持っていければ、と思っていたのですが、鳥居塚キャプテンがなかなか攻めあがれない以上、そういうパスを出せるのは樹森だけ。飛び出しは酒井、そしてアップも終了した堺陽二の登場が期待されましたが、なかなか交代が行なわれません。ここは少しもどかしさを感じましたね。スタジアムの「Here We Go 堺陽二」コールもそんな気持ちの表れだと思いました。
すでに投入されている酒井もトップはなく右SHの位置に入り、パスにこだわるらしくないプレーを繰り返します。試合終了まで10分あまりの83分に寺田に代えて依田光正が投入されて、寺田の位置にそのまま入ります。普段は右サイドでプレーする依田の投入はスタンドからも疑問の声が。これは録画放送の解説で、寺田が痛んだために急遽交代だったようですが、やはり攻撃を活性化させるに到りませんでした。
85分に堺陽二が登場するも、交代は樹森と。そしてトップ下に入りシャドーストライカー? と思われましたが、DFライン位置に下がった依田の前、左SHに入ります。テレビの解説では樹森も痛んでの交代らしく、監督の意図ではないようですが頭が痛くなるような機能しないだろう布陣が出来てしまいました。疲労激しくかみ合わないツートップ、投入選手は持ち味を活かせないサイドに収まり、草津の攻撃陣はシュートにまでもっていくことも出来ませんでした。
同点に追いつくために試合の流れを活かせなかったことがつくづく悔やまれます。スタジアムからの帰途で、あれこれ選手交代の監督の意図を考えていたのですが、録画中継で負傷絡みの交代であったという情報を得るまで、本当に判りませんでしたからね。後半の攻撃陣のバラバラ加減も、監督にとって改善の貴重な実戦情報となれば良いのですが。というか活かしてもらわないと。そして寺田と樹森の負傷が軽度であれろことを願いたいと思います。
試合はそのまま後半ロスタイムに入り、カウンターから途中投入FW田原に2点目を奪われ万事休す。3失点目はカウンター攻撃をペナルティエリアで倒してのPKから。0−2で負けているホームチームがロスタイムの終了間際にこの判定、そしてゴールが決まり0−3人なったた途端に試合終了のホイッスル。正直スタンドは大いにしらけました。ルール上は正確な運用のかもしれませんが、興行的には最悪の結末でしょう。ホーム云々とか野暮は云いませんが、勝敗の行方が100%決まった状況での試合進行を、もう少し考えてくれいただきたいと思いました。
最初の繰り返しですが、守備は収穫あり、攻撃は課題多しのこの試合。両監督と選手のコメントからも窺えます。

柱谷幸一監督(京都)
ボールに対してより近くで守るということ、相手に自由を与えないということ、ロングボールへの対応を徹底させた。90分通じて安定したプレーをしてくれた。米田、斉藤がセカンドボールを拾って展開してくれたのも大きかった。
手塚聡監督(草津
首位・京都ということで、守備のやり方を変えてトレーニングを積んできた。選手は守備の戦術を理解してよくやってくれた。前半は1つのミスから失点したが、1点で我慢していればチャンスがくるだろうと、同じシステムで後半も挑んだ。
後半16分に酒井を投入し、攻撃的にして何回かチャンスはあったが、届かなかった。0−3という結果ではあったが、内容的には0−3ではなかったと思う。0−3でよくやったというのは、おかしいかもしれないが、ゲームへの姿勢は悪いものではなかった。

手塚監督の云われるとおり、結果的には3失点でしたが守備戦術の修正と選手の健闘は、手応えを十分感じられる試合でした。ただ攻撃は柱谷監督の指摘どおり、サイドへのロングボール対策で守られたことで、チームとしての攻めのバリエーションの少なさが露呈してしまいましたね。左右へロングボールを蹴ることからスタートする草津の攻めが出来ないときにどうするか。山口貴之の復帰も合わせてこれからチーム攻撃陣の連携アップと組み立ての意志統一を期待したいところです。

吉本淳選手(草津
Q:何が足りない?
「ビリなので全部足りないと思います」
山崎渡選手(草津
「相手のサイドバックサイドハーフを追い越して何度も出てきたので、対応に追われた。攻撃に関しては、逆サイドにスペースがあるのでもっと活かさないと。みんな、あせって蹴ってしまっていた」

ホメて伸ばしたい我らのエースが、最近悔しい表情ばかりなのが大変気になるところですが、前線からのプレスでは吉本、樹森、佐藤の3人は献身的かつ積極的にボールに寄せているのですよね。ただその運動量を中盤でのチーム守備として、ボールを奪う位置の設定としてどう活かすかが課題ですね。「全部足りない」のも事実ですが、そこをなんとかするための基本である「献身的なプレー」と「敗戦を悔しく思う気持ち」で吉本淳は充分足りている選手。なんとかガンバリを結果につなげてもらいたいところ。「全然足らない」から「あと少し足らない」くらいにはなってきてますからね。山崎渡のコメントも、ロングボール警戒で引いている相手を崩す大きなヒントですし、左右の揺さぶりをかけていく意識が選手のコメントから聞かれるところがウレシイところ。練習して攻撃のバリエーションを増やしてください。

小島伸幸選手(草津
「いつもより長い時間、耐えていたのは確か。最後の2失点は攻撃的になっていたので仕方がない。35分(京都の先制点)が痛かった。それでも試合らしくなってきたので、こういうゲームを続けていくことが大切」
Q:攻撃陣に得点の予感はありましたか?
「ないね(苦笑)。でも、最後まであきらめずにやることはできたと思う」
鳥居塚伸人選手(草津
「取るべきところで、取れないとこういう結果になる。数多くチャンスがあるわけではないので、その差が出た」
Q:3バックについては?
「4バックでも3バックでもやることは一緒。3バックになったから良くなったというわけではないと思う」

鳥居塚キャプテンのコメントは、3バックか4バックかということ以上に1試合粘り強く戦い守るチームの姿勢に関して、考えて出されたものだと思うので、手応えありなのでしょう。小島さんが云われるとおり、開幕当初の、なにもかも足らない状態と試合から比べれば、首位京都との試合でも試合らしくなってきました。監督の対京都の守備指導も奏功したようで、第1クールでの反省から行なわれた守備の安定も成果が出てきています。ロングボールを基調としない場合の攻撃バリエーション、途中交代選手を入れた時の組み立てなどなど、チームを整備していってもらいたいです。