J2第18節、湘南ベルマーレ戦。酷暑の熱闘を制し、敷島サカラグ場の最終試合を勝利で飾る。

SH772005-06-25

とにかく暑かった。文字通りに酷暑でしたねえ。スタジアムDJは不快指数を上げるし。気温は35度を超え、群馬では病院に運ばれた方も10名を超えたとか。ピッチでは気温が40度以上に上がり、両チームのイレブンは「逃げて、そこから逃げて!」てな状況でしたが、ザスパ草津イレブンは90分間戦い抜き、敷島サッカー・ラグビー場での最終試合を勝利で終え、有終の美を飾ってくれました。まずはJ's GOALより結果を。
http://www.jsgoal.jp/result/20050200030120050625_detail.html

●J2第18節 6月25日(14:00/群馬サ/3,211人)
ザスパ草津 1−0 湘南ベルマーレ
得点 87分:山口貴之草津)
警告 53分:梅田直哉(湘南)62分:柿本倫明(湘南)
交代 59分:梅田直哉高田保則(湘南)59分:坂本紘司永里源気(湘南)
   71分:寺田武史→高須洋平(草津)76分:戸田賢良→バリシッチ(湘南)
   89分:山口貴之→小田島隆幸(草津

次に、この試合のザスパ草津メンバーは。

ザスパ草津 スターティングメンバー(J2第18節 vs湘南ベルマーレ
GK:22小島伸幸 
DF:2籾谷真弘・17小川雅己・32齋藤竜
MF:5氏家英行・6鳥居塚伸人・9山口貴之・18寺田武史・24酒井良 
FW:20吉本淳・30樹森大介
●サブメンバー
GK:29岩丸史也 DF:3小田島隆幸 
MF:4依田光正・10高須洋平 FW:14佐藤正美
ザスパ草津 キックオフ(3−5−2)
−−吉本−−樹森−−:佐藤
寺田−−山口−−酒井:依田・高須
−-鳥居塚-−氏家−−:
−籾谷−齋藤−小川−:小田島
−−−−小島−−−−:岩丸

すっかり3−5−2でチームが安定してきたザスパ草津。両SHがやや下がり気味になるでしょうが、守備はなんとか凌げる形になりました。あとは攻撃なんですがねえ。続いて湘南ベルマーレのメンバーは。

湘南ベルマーレ スターティングメンバー(J2第18節 vsザスパ草津
GK:16小林弘記
DF:13戸田賢良・15鈴木良和・22村山祐介・23田村雄三
MF:3浮氣哲郎・7佐藤悠介・18坂本紘司・24加藤望
FW:32柿本倫明・34梅田直哉
●ザブメンバー
GK:1鈴木正人 DF:4バリシッチ
MF:10吉野智行・30永里源気 FW:9高田保則
湘南ベルマーレ キックオフ(4−4−2・中盤◆)
−−梅田−−柿本−−:高田
−−−−加藤−−−−:
坂本−−−−−−浮氣:永里
−−−−佐藤−−−−:吉野
村山−−−−−−鈴木:
−−田村−−戸田−−:バリシッチ
−−−−小林−−−−:鈴木

柿本と梅田の長身ツインタワーとサイド攻撃を意図しているような布陣です。第1クールで豪快なミドルシュートでゴールを奪った永里くんはベンチから。そういえば群馬県出身のCB田村はスタメンですが石原と中町は帯同せず。二人ともガンバレ。
エンドチェンジはなく、風もほとんどない状態でキックオフ。草津が守り、湘南が攻める立ち上がりとなりました。開始0分、ゴール正面25mくらいからのFK。6分には加藤望に(草津から見て)左サイドを突破されコーナーを抉ってクロスを上げられます。続いてSB村山にもゴール前にフィードを送られ、それぞれピンチとなりますが失点せず。湘南はツートップとトップ下の加藤望で前線を形成しますが、FWのどちらかがボールを受けるためにやや下がってくるので、そのマークの付きかたが大変なようでした。マークが甘くなっているところから一気にゴール前に飛び込んでくるシーンも作られましたしね。湘南の上田監督は狙い目を試合後に語られています。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-06/00020748.html

上田栄治監督(湘南)
Q:今日の攻撃プランは?
「スペースをいかにして作るかを考えていた。FWの一人がミッドフィールドに下がってボールを受けることでスペースを作るのが狙いだった。」

開始10分間はかなり攻勢にさらされましたが、なんとか乗りきりました。この時間帯に耐えたことは大きかったですね。酷暑下のゲームで、失点したために攻撃に出ざるを得ないという展開は是が非でも避けたいところ。草津の自陣での守備とカウンター狙いに、消極的と思われたのかスタンドから不満の声もありましたが、試合全体の狙いとしては至極当然だったと考えます。
13分のFKをFW柿本にヘディングを合わせられるピンチもありましたが、徐々に草津の守備も整い始め、センターサークル付近にツートップ+山口貴之が位置し、3バックもかなり押し上げて自陣の前半分でコンパクトな10人での守備体型を構築できました。
湘南は最終ラインで横パスをまわしますが、中盤でのパス交換での組み立てが厳しくなるため、前線のツートップにロングボールを放り込む形をとらざるを得ず、あまり効果を発揮できませんでした。湘南のゲームプランから考えれば、もう少しサイドからの攻撃でツートップを活かしたいところでしょうからね。長身ツートップのDFライン裏での徒競走は本意ではなかったと思われます。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-06/00020746.html

梅田直哉選手(湘南)
FWが交互に下がってもらいに行っていたが、うまく機能しなかった。サイド攻撃の意識が強く、中央突破とのバランスも考えなければ。チームとしては悪くなかったが、暑さもあり、全体的にかみ合わなかった。
柿本倫明選手(湘南)
シュートへの意欲や、最後の場面での精度が足りなかった。サポーターには申し訳なく思う。連敗だけは絶対にさけたい。
氏家英行選手(草津
相手の2トップがツインタワーだったが、ワンツーとかがないので、攻撃の流れが読みやすかった。
小川雅己選手(草津
FWにヘディングされたあとのセカンドボールと、裏のスペースのカバーを心掛けた。DFへの意識がチーム全体で高くなってきている。

草津がまず湘南の攻撃を潰してから反転攻勢の展開となっていきます。20分には素早いパスの押し上げで、右サイドの酒井良がカウンターを仕掛けますが、クロスが樹森とあわずに得点ならず。前半最大のチャンスを活かせませんでした。それでも草津は20分過ぎからは両SHがやや高い位置から攻撃に絡むことが出来、鳥居塚キャプテンや山口が左右に配球して攻撃を行っていきます。27分にはカウンターからペナルティエリア付近で樹森が倒されてFKを得て、CK2度に最後は吉本淳のダイレクトミドルシュートまで繋げることが出来ました。また31分には樹森の技アリのポストプレーから吉本のミドルシュートとなりましたが、これが枠を捉えず。

吉本淳選手(草津
前半の2本のシュートを決められなかったのが悔しい。あれが決められるときは自分がノッている証拠なんですが・・・。

湘南も攻め手がなかなか見つからない中でも、FKやCKなどセットプレーから活路を見出しますが、GK小島さんのツインタワー対策か、確実なクリアーを考えてパンチングで弾きます。草津も34分に酒井良のサイド突破からのクロスや37分に樹森のポストから山口のシュートなど、カウンターから人数を掛けた攻撃を作っていくことが出来ました。そしてやや草津優勢で前半が終了。キッチリした守備で相手の攻め手を減らして主導権を握り20分のカウンター、吉本の2度のシュート、酒井のサイドでの1対1に勝ってのクロスと、かなり流れでチャンスを作ったわけですから、どこかで先制点が欲しかったところでした。後半には湘南が積極的なサイド攻撃などに活路を求め、攻勢を変更してくるのは必然だったからです。
ハーフタイムには敷島サッカ・ラグビー場のラストゲームということで、ハワイ旅行や草津温泉旅行などがあたる抽選会が行われましたが、これは当然の如く当たらず。と云うか600番台なんて一度も呼ばれなかったのですが。( ´・ω・`)
後半も前半と同じく、草津が守り湘南が攻める形で試合が進みます。湘南は後半はかなり意識的に加藤が左サイドに流れて浮氣らと連動して早いパス交換で(草津から見て)左サイドからの崩しを行ってきました。

寺田武史選手(草津
左サイドで1−2の場面を作られてしまう場面が多かった。後半は何度か仕掛けたが、うまくかわせなかった。自分のプレーとしては納得がいかない。勝てたことだけはよかった。

55分に加藤望のドリブルでのペナルティエリアの侵入を許しますが、これをノーファールで氏家が止めます。現地では遠くて判りませんでしたが、テレビ映像だとうまく体を入れて防げましたね。そして湘南は攻勢を強めるべく、59分にFW梅田直哉をFW高田保則に、左SHの坂本紘司に代えて永里源気を投入します。この投入によって、湘南はゴール前のスペースにボールを送ってDFとFWでの競争を行わせる形で攻撃を組み立てます。前半に比べると草津3バックがそれぞれマンマークに忙殺されつつあり、防戦一方ではジリ貧は必至。なんとかこちらも攻撃に活路を見出したくなります。
幸い湘南のSHも攻勢に出ており、しかしDFラインはサイド攻撃とカウンターを警戒しているのかやや下がり目なのでバイタルエリアにスペースが生まれ、ここを鳥居塚と氏家のDMFが攻め上がってチャンスを組み立てられました。パスミスが前半から目立った氏家でしたが、後半は攻守に活躍していましたね。スタンドからは「氏家、後半はいいぞ!」と笑いを誘う声がかかりました。加藤望との1対1でも引けを取りませんでしたしね。ただその直後に湘南ユニを着たヒトにパスするのはなんとかなりませんか。ピンポイントで合わせんでも。( ̄□ ̄;)
双方が後半の攻撃の組み立て方をつかんだ後半60分を過ぎたころからは、攻撃の応酬で試合が進みます。後半も両チームともにかなりFKを得て、67分にはペナルティエリア間近で草津のチャンスもあったのですが、寺田のキックはわずかにクロスバーの上に。この日の主審はかなり後方からのタックルに厳しく笛を吹いていました。これが最後の最後に伏線となるのですが。そして草津は最後の攻勢に出るべく、71分に寺田にかえて高須洋平を同じ位置で投入します。一方の湘南はCB戸田から同じくCBのバリシッチに。これはどうやらアクシデントだった模様。

手塚聡監督(草津
Q:暑さへの対策は?
「暑さでのアクシデントを考えて、早くから動くのは控えていた。後半15分くらいから、いつ代えようかとタイミングを計っていた。」

その後も一進一退を繰り返しますが、83分に湘南がカウンター気味に前線へ大きくフィード。これを途中出場の高田が粘って競りながらゴール前に。このこぼれ球を同じく途中出場の永里が拾ってGKと1対1に。小島さんは倒れながらニアサイドのコースを消し、ファーに流した永里のシュートはポストに当たって外へ。上田監督の采配がドンピシャの攻撃でしたがなんとか命拾いします。85分にも加藤に前を向いたままペナルテイエリアに侵入されますが、なんとか湘南の攻勢を凌ぎました。
この攻勢を防いでからは反転して草津の攻勢となり、鳥居塚キャプテンの攻めあがりから左サイドの高須へ。高須は縦に進むと見せて、中へと切り込みペナルテイエリアの山口へスルーパス。山口がここでCBバリシッチに倒されてPKを得ます。これをド真ん中に蹴り込んで1−0に。その後のロスタイムも樹森や吉本、高須の必死の時間稼ぎで時間を使いきって待望の3勝目、ホームでは4月以来の勝ち星をあげて敷島サッカーラグビー場のラストゲームを勝利で飾ることが出来ました。
内容的には失点必至の大ピンチもあり、第1クールの引き分け以上に苦しいゲームだったと思います。しかしチーム全体での守備意識が強まり、そこから主導権を握っていく戦い方が出来たことが大きく、90分間の粘りがまたもや勝ち点につなげられたのも収穫ですね。鳥栖戦は勝ち点1が最後に誤審で3点に増えた試合でしたが、今回はきちんと勝利した試合。第2クールに入ってチームはなんとかJのチームとして形になってきたと思われます。

上田栄治監督(湘南)
「我々のチームにとっては大事なゲームだったが、0−1という結果で負けてしまったことが非常に残念。チャンスをものにしなければ勝てない。草津は良く頑張ったと思う。」
Q:前回と比べて、草津の印象は変わったか?
「システムと選手が変わったので、はっきりとはいえないが、最後まであきらめない良いチームという印象を受けた。」
手塚聡監督(草津
「ここ数試合、内容的にも戦えるチームになってきた。ただ、前節・甲府に逆転負けし結果を出せなかったので、ホームでの連敗は避けたかった。7月からはスタジアムも変わるし、絶対に負けられないという気持ちがあった。前半の入り方はあまりよくなかったが、そのリズムでも無失点だったことが大きい。後半はかなり暑くバテる選手が多い中、最後に「疑惑」ではないPKをもらうことができた。山口は鳥栖戦に続き、よく決めてくれたと思う。」
吉本淳選手(草津
バテバテでした。守備には頑張ったと思うが、もう少し攻撃の場面でからんでいきたかった。前半の2本のシュートを決められなかったのが悔しい。あれが決められるときは自分がノッている証拠なんですが・・・。ここでの最後のゲームなので勝ててよかった。
●高須洋平選手(草津
(途中出場でPKにつながるパス)
途中出場なので、あそこで勝負に行かなかったらどこでアピールするのって感じでした。左サイドに大きなスペースがあったので、積極的に行こうと思っていた。
山口貴之選手(草津
最終ラインでボールがつなげるようになってきたのが大きい。チームがしぶとくなってきた。やっとJリーグに慣れてきたと思う。
小川雅己選手(草津
DFへの意識がチーム全体で高くなってきている。でも、やっと普通のチームになった感じ。これで満足するわけではない。

敵将上田監督にもお褒めの言葉をいただけたわけですが、安易なパスミスからピンチを招くところ、左右の突破からのクロスにどう合わせていくか、などまだまだ課題はそのままの部分もありますが、健闘が勝ち点に結びついてきていますし、なんとかこの流れを大事に次節の徳島ヴォルティス戦に臨んでもらいたいですね。
選手コメントどおり、ようやく普通のチームになってきましたかね。勝ち点も12まで伸び、11位の横浜FCまで勝ち点は2差。ようやく普通の最下位ぽくなってきたよー。下位グループの背中が見えてきましたよ。今季は順位よりもJでの戦い方をチームとして1シーズン行う年だと思っていますが、やはり他チームとの順位争いがイレブンを鼓舞するならば、大いに張り切ってもらいたいですね。