Jリーグ選手協会公式にザスパ草津GK小島伸幸選手のロングインタビューが掲載。

ちょっと前のニュースですが。Jリーグ選手協会公式より。小島さんが選手協会やザスパ草津の運営の内情について語られていますよ。
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http://j-leaguers.net/special/player2005/file114.html

小島伸幸ザスパ草津) 中山会長のもと選手がひとつになってよりよい選手協会に。
1996年ベルマーレ平塚当時には反町選手(現新潟監督)と選手協会の立ち上げに携わった小島選手。福岡を経て、ザスパ草津をJ2に昇格させ、再度選手協会の代表者に復帰した。Jリーグを離れた数年間でどのくらい選手協会が進歩したのか、草津の現状とともに意見を求めた。。

ちなみにザスパ草津選手会の代表者は依田光正、代表者は小島さんと佐藤正美、佐田聡太郎の3名であります。当時は選手だった反町監督と協会立ち上げに関わっていているのですから、改めて小島さんのキャリアの長さを感じますね。

―まずは、久しぶりに代表者会議に参加されたご感想を。
そうですね。人数もそうなんですけど、組織がすごくしっかりしてきちゃったので、なんだか取り残されちゃったような、まるで浦島太郎のような気分です。(笑)
―小島さんは選手協会の初年度から代表者をしていました。
そうですね。ベルマーレから始めて、福岡でもやりました。その後Jリーグから離れて4年くらいあったのですが、その間にすごくしっかりした組織になったように思います。また議題も僕らの頃よりは格段に進歩していますよね。選手のためになる、しっかりしたことを話し合っているという印象を受けました。
―特に進歩したなという部分はありますか。
発足当初は周囲からも認められていないような団体だったと思うんです。それが、今では選手協会、クラブチーム、Jリーグ、という三者がしっかり協力している。僕らがやっていた頃は、個では弱いからグループでまとまるというか、労働組合ではいけないんだけれども、どちらかというとそっちのニュアンスのほうが強かったと思うんです。現在は、サッカー界の環境改善やJリーグ自体を盛り上げることを目指して、みんなで協力し合っているという印象を非常に強く感じました。

自分などが云うのはおこがましいですが「選手協会、クラブチーム、Jリーグ、という三者がしっかり協力している。サッカー界の環境改善やJリーグ自体を盛り上げることを目指して、みんなで協力し合っているという印象を非常に強く感じました。」という部分に小島さんは判っているなあ、と感じました。
プロスポーツ組織はリーグ、クラブ、選手の、利害が一致したり反したりする3者で成立しています。この3者のどこかが一方的に強い状態であるとバランスが悪く、例えば影響力ある少数のクラブからの有利な要求が通り続けてしまったり、選手年俸がクラブ運営を困難にするほど高騰してしまったりすることが挙げられます。収益全体を3者にとって「よりまし」な分配にするにはどうしたらいいか。それが3者と全体を活性化するのですよね。

―昔はなかった共済金制度が増えてきましたが。
若くしてやめざるを得ない選手も多いですし、在籍が長くてもこの先って狭き門ですよね。監督、コーチもそうだし、稀に芸能活動できたとしても本当に一握りです。大多数が普通に仕事をしたり、サッカースクールをなんとか立ち上げたりとかそんな感じなんで、金銭的な援助が多少なりともあるというのはすごくいいことだなと思いますね。

小島さんがJ最年長の大ベテランとはいえ、まだ40歳前。一般的な社会ではまだまだこれから、キャリアの充実を図る年齢です。Jリーガーのセカンドキャリアは人生のほとんどを占めるわけで、そこへのサポートはとても重要ですよね。大学や専門学校への推薦枠の拡充などはさらに進めていただきたいところ。

JFLからあがってきたという視点で、取り組むべき課題はありますか?
使える予算を筆頭にしてすべてが各チームまちまちなので、そこを規格統一するというのはなかなか難しいと思います。例えば、地位向上のためにはそれなりにコストがかかると思いますが、J1だとある程度使えるお金があっても、草津ではまだまだですからね。僕は立ち上げから在籍して、経営のことも見てきているから「それは使えないよな」とか、そんな心配もしちゃったりするんですよ。(笑)使える人件費がこれだけで、ここでごねると若い選手の給料がなくなるなあ、なんてことも考えちゃったりするんですよね。

「ここでごねると若い選手の給料がなくなるなあ、なんてことも考えちゃったりするんですよね。」小島さん・・・(泣)。この言葉を聞いた若手は、今の10倍界王拳ぐらいガンバレ。

― 現在、チームに必要なものはなんでしょうか。
いや、それはもう全てですよ。今の環境は、クラブハウスがない、グラウンドはあってもシャワーがない。地位向上もそうだけど、環境改善のためには金銭的なものが必要だし、そのためには僕らが強くならなければ。強くなればサポートしてくれる企業が増えるでしょうし、そうすれば予算も多くなるはずです。それからですよね。今の成績じゃあ欲しいものがあってもなかなかね。
― 実際にチームとの話し合いはどなたが中心になられているのですか。
草津の会長は依田だから彼を中心にして、最低限こうして欲しいというところは要望書を出しながらやっています。移動の経費を削減するために往復ともバスを使うと体力的にかなりきつかったりします。そこを楽な移動方法を使って、試合で100%のパフォーマンスを出せるようにして欲しいですよね。なので、試合に関連してパフォーマンスを最大限に発揮できるように環境に関しては多少なりとも要求して勝ち取っていけたらと思います。そういえば、去年までは京都くらいだと往復バスだったんですよ。(笑)そうなると、試合終わって帰ってくるのが辛かったですね。天皇杯は協会から費用が出るので新幹線で行かせてもらって。良かったなあ、天皇杯は。(笑)もちろん、今年はチームも試合に勝つために努力や工夫はしてくれています。往きは新幹線を使ってくれるようになってきました。

天皇杯の交通費はサッカー協会が負担してくれるのですか。昨季の天皇杯セレッソ大阪戦の裏にはそんな事情が。そして今季は遠方には往きだけでも新幹線の移動が出来るようになったのも朗報ですね。しかしシャワー施設はともかく、クラブハウスなんていつ出来ますでしょうか。

― 経営の部分も知っているから辛い部分もありますね。
確かにそういう気持ちはあります。ただ、Jに上がるちょっと前くらいからは離れましたので、今はタッチしていません。立ち上げ当時は、監督の奥野が一生懸命電卓を叩いていたりとか、小田島がグラウンド取ったりとかしていましたからね。(笑)僕は広報担当くらい。チームを取り上げたいという話があると出て行って、草津に絡めた話をしたりとかね。まあ大体役割は決まっていましたよね。

確かに小島さんは、元日本代表GKでありキャラの立った選手なので広報にはうってつけ。また草津サポーターは、県リーグの頃から小田島が奥野さんと一緒にチームをまとめて運営などにも走り回っていたことを知っているので、今、出番がないことはさびしい気持ちが大きいのですよね。まずはケガを治すところから。

― 草津選手会や選手の進むべき方向性はどのようなものでしょうか。
やっぱり個人個人がうまくなって、チーム自体が上を目指せるようになることだと思いますよね。本人たちが自覚して、質が上がり、成績があがってくれば、それに見合う待遇が出来てきます。だから、選手としてまずは自身を磨くことだと思います。それをしないで、やれ給料をあげろと言っても、それは違いますからね。まずは自分たちがレベルを上げて試合に勝って、お客さんがいっぱい来てくれれば、経営が潤う。そうすればみんながハッピーになれる。それをやって初めて、こんなに頑張ったんだから、給料上げてよってね。一度、そんなに強く言ってみたいなあ。(笑)
―これから何度も出席していただいて、リーダーになってもらわないと。
いやあ、あとどれくらいやれるかわかりませんし!(笑)それに、中山会長がしっかりしていますからね。中山、秋田というところは変わらずでしたけど、秋葉君が入ったり、今度は高木君が入ったり、若い血がどんどん入ってきていますので、活性化されていいんじゃないでしょうか。普通は首脳陣がぜんぜん動かなくてマンネリ化という部分があるんだけれど、若い選手がどんどん入ってきて風通しが良くなってきていますよね。会長は「俺、こういうの向いていないんだよ」なんて言っていましたけど、他の選手に絶大な支持がありますからね。やっぱり中山会長のもと選手がひとつになってよりよい選手協会にしていければいいかなと思います。

選手会のベテラン首脳陣を「君づけ」できる小島さんはすでに長老格? 前に少し触れたのですが、プロスポーツ選手会は待遇改善や労使交渉みたいな役割も負う部分もあるので、現役選手だとやりづらいところもあるのですよね。自身の試合出場機会とかにも影響あったり。昔のNFLだと待遇改善などに熱心なベテラン選手はトレードしたりした話もありますしね。全員とはいいませんが要職にしがらみなく発言できるOBを入れてもいいのではないか、とも思えます。
また、記事の最後に選手プロフィールがあるのですが、掲載当日は小島さんの所属クラブが「モンテディオ山形」になっていたことは、公式の中のヒトの名誉のために秘密にしておきます。(笑)