JFL後期第5節、愛媛FCが単独首位に躍り出る。

SH772005-08-01

夏季天皇杯予選などの関係で中断されるJFL。その直前の後期第5節で愛媛FCが遂に単独首位に踊りでました。JFL公式より。
http://www.jfl-info.net/index.html

愛媛FC、初の首位へ!
前節まで2位の愛媛FCFCホリコシと対戦。前日Hondaが敗れている為、この試合に勝って首位に立ちたい愛媛FC、試合の立ち上がりはホリコシがリズムを掴みパスを回す。なかなか攻撃を組み立てられない愛媛はFCはロングボールを多用するがチャンスを作ることができず、前半両チーム得点無く終了。
後半に入り55分、ホリコシフリーキックから片桐淳至が決めて先制。1点を追う愛媛FCホリコシの運度量が落ちた72分に追いつく。猿田浩得がドリブルでゴール前に持ち込んだボールがこぼれたところを永富裕也が決めて追いつく。試合を決めたい愛媛FCは83分、退場で一人少なくなったホリコシに対し交代で入った金子豊のクロスを広島から新加入した田中俊也が頭で決めて逆転。愛媛FCはロスタイムにも追加点を挙げ、今季初の逆転勝ちで首位の座を掴む。

この試合は敷島サカラグ場での開催でして、観戦に出かけました。ナマで愛媛FCを見るのは約1年ぶり、太陽がやたらに近かった熱い南長野でのザスパ草津戦以来です。またFCホリコシの試合を観るのも5月22日のYKK AP FC戦以来です。ホーム鴻巣開催だったり草津絡みで予定があいませんで。試合の模様は朝日新聞群馬県版8月1日付より。
http://mytown.asahi.com/gunma/news02.asp?c=22&kiji=98

JFL後期第5節 7月31日(12:00/敷島サッカーラグビー場/940人)
FCホリコシ 1−3 愛媛FC
得点 55分:片桐淳至ホリコシ)72分:永冨裕也(愛媛)83分:田中俊也(愛媛)89分:永冨裕也(愛媛)
愛媛FCに敗北
JFLFCホリコシは31日、前橋市の県立敷島公園サッカーラグビー場で愛媛FCと対戦し、1−3で敗れた。通算成績は11勝8敗1分け。勝ち点34。順位は7位。

JFL公式の記事どおり、前半は完全にFCホリコシペース。3バックも高い位置でコンパクトフィールドを作り、DMFで潰しを担当する高木成太、中盤の底でのゲームメイクを行う矢部次郎の二人が守備を安定させていました。
攻撃では2トップの森陽一平間智和、トップ下の片桐淳至、右SHの蔵川洋平と左SHの羽山拓巳らがポジションチェンジを行って縦横に走り回り、愛媛のマーカーを混乱させ個々の能力の高さもあって中盤を完全に支配。特に名古屋グランパスからレンタル移籍してきた片桐の個人能力の高さはさすがJ1所属と思えました。そしてホリコシの3−5−2は小見監督の指導の賜物か、ポゼッションサッカー風味になってきましたね。シュートパスにサイドチェンジも絡めて、何度もゴールに迫ります。しかし平間にしろ片桐にしろ最後は右サイドに流れてクロスを上げる形が多く、愛媛のCB金守らが慣れてくると待ち構えて弾きかえしていました。
左SHの羽山が守備重視でやや下がり目、左エリアでのプレーが多いトップの森は自らがクロスを上げるよりは、誰かにクロスをあげてもらってゴール前でスピードとタイミングで勝負する「フィニッシャー」なストライカー。ポジションチェンジで攻撃を組み立てるも最後の場面では右側に偏るのも仕方ないと思われます。変則的なパンチでペースを握るも、フィニッシュブローが必ず右フック、みたいなところでしょうか。
対する愛媛も攻撃はなんとか最終ラインが防いでいるものの、中盤が組み立てられずツートップにもボールが渡りません。4バックにボランチ1人がラインに吸収され、両SHはサイドに張り付き、ツートップはホリコシDFとの駆け引き中。愛媛の中盤がMF濱岡和久ただ一人で、ボールを持った彼の周囲にはホリコシの選手が5人立っている、なんて場面が生まれていました。明らかなチームバランスの崩れに、望月監督もベンチから出て「中盤、誰もいないぞ!!」と声を送っていました。
そしてSHが中に絞り、ツートップのどちらかが下がってボールを受けるようになると、愛媛の押し返す時間も出来ましたが、総じてホリコシ優位のまま前半終了。結果を知った今では、ホリコシは前半に先制しておきたかったですね。

均衡を破ったのはホリコシ。後半10分、相手陣でフリーキックの好機にMF矢部がMF片桐にパス、片桐がキーパーの裏をかいてゴール右隅にシュートを決めた。「狙っていた。きれいに決まってよかった」と片桐。

後半もホリコシペースでしたが55分、攻めあぐねを感じたのかキャプテン蔵川洋平がドリブル単独突破でペナルティエリアに進入し、ファールで転倒しました。PKと思われましたがエリア目前、ゴール正面でFKに。*1矢部がボールをわずかに押して、片桐がカベの下を抜く、グラウンダーのシュート。ボールはGKの脇を抜けました。飛び出てきたベンチメンバー5人と抱き合い喜ぶ片桐を見ながら「両チームの出来を考えると、ホリコシ俄然有利になったな」と思いましたが、愛媛FCサポーター集団は、いよいよ盛んにコールを行います。
「ああ南長野を思い出す。あの時は吉本のハットトリックで勝ったんだよなあ」と思っていたら、ザスパ草津FWコンビ吉本と御給が観戦にやってきてました。吉本はミニキャンプ時は病気療養で鳥栖戦もベンチ入りしてませんでしたが、やたらラフな薄着で来ていて元気そうでなにより。ジュビロ磐田ユース時代の恩師、愛媛FCの望月監督と試合後にスタンドとピッチで言葉を交わしていましたね。同じスタンドの愛媛のサポさん達からすれば憎っくきFWですが、気づかれなかったようで、これもなにより。銭湯帰りのあんちゃんみたいだったからかな。そして普段着の御給くんはジーンズを履くと、とても足が長くやたらにカッコイイ。ザスパ草津のFWでビジュアル担当重役でもある二人、さらにガンバレ。
その後は愛媛もズーパー友近に代えてサンフレッチェ広島からレンタル移籍の田中俊也、広庭に変えて猿田を入れて攻勢に出ますが、ホリコシもやや引いて受ける形で応じます。前半同様に愛媛の前線にボールが渡らずホリコシペースで時間が過ぎていきますが、72分に濱岡とのパス交換で突破した猿田浩得のミドルシュート(クロス?)をDF山田が体で弾きますが、このボールがゴール前のFW永冨の前にドンピシャリ。そのままシュートして愛媛が同点に追いつきます。
ホーム、試合内容は優勢、アンラッキーな失点、まだ同点。ホリコシが当然ここから攻勢に出ると思われましたが、なぜか敗戦のような意気消沈ぶり。逆転を狙う愛媛FCにゲームの流れも中盤の支配権も渡してしまいます。
そして後半80分、試合の流れとは関係ないところでMF矢部がラフプレー、1発レッドで退場となってしまいました。ボールと完全に離れた場所での出来事でしたので、自分も愛媛の選手が倒れて騒ぎになってから気づきましたし、群馬テレビのニュースもあわててカメラを向けた映像を流していましたから、ナニが起きたのかは判りません。矢部の涙の抗議も判定が覆るわけもなくホリコシは10人での戦いに。ホリコシでの彼のプレーとファンに接する暖かい態度を見ているとダーティーな選手とも思えず、互いのやり合いがエスカレートしてしまったのではないかと思われます。

小見幸隆監督は「(矢部が)退場になり、選手が10人になって、みんな動揺していた。2点目を入れられて勝負があった」と振り返る。
J1、名古屋グランパスエイトからレンタル移籍の片桐が先制シュートを決めた時点まではホリコシのペースだった。
だが、得点源のFWアマラオが故障、好調なFW小松原、MF斉藤が出場停止のため、攻めに変化を欠いて追加点を奪えなかった。

小見監督も平間に代えてFW阿部と、攻撃的な選手を交替出場させて流れを変えようとされますが落ち着かない内に、ホリコシと同時交代でピッチに入ったMF金子にクロスを挙げられ、ゴール前の田中俊也にキレイにヘディングで逆転されます。もはや愛媛の攻勢を跳ね返すこともできないままロスタイム、愛媛のFKにホリコシは前線に3人残してカウンターを期しますが、愛媛も守備に5人残し、FKも時間稼ぎでコーナーに流れて猿田を追ったホリコシの二人がライン際の混戦でボールを奪えず、なんと二人とも猿田に抜かれてグラウンダーのクロスを打たれてしまいます。これに永冨が合わせて1−3。ホリコシにとって最悪の形でギャンブルに失敗していしまいました。
試合の70分間を支配しながら、立て直す時間もないまま失点を重ねて終わってみれば1−3。ホリコシイレブンにとっては信じがたいゲームだったと思います。しかし愛媛からすれば前半のDF陣の辛抱と、後半の攻勢が実っての6連勝。Honda FCの敗戦を受けて、残り10試合の段階で首位に立ちました。前期11節までで6勝1分4敗と相当苦しかったのですが、そこから負けなしで8勝1分。成績を14勝2分4敗と優勝争いの星勘定にもってきました。チームの成熟の表れでしょうか。
また、この日のアウェイスタンドは愛媛サポーターの方々と草津サポばかりで埋められていましたね。前述の草津の選手に前社長もこられていましたし。草津サポは来季の対戦相手、10月の天皇杯の相手を観に来ていたのでしょうね。自分もそうですが。(笑)
「で、実際天皇杯で予想される対ザスパ草津はどうよ?」ですが、今年ザスパ草津が経験し、取り組んでいることをそのまま出せれば大丈夫じゃないかな、と思いました。草津の第1クールと第3クールのプレースピードは大きく変わりました。さすがにJ2に慣れてきていますよね。どうしようもないボロ負けも減りましたし。J2レベルで得た経験を天皇杯では見せて欲しいですね。
J2、JFLを昨季から観だしたに過ぎない人間の意見ですが、愛媛のDF陣の粘りと、ズーパー友近&金子豊のスピード、後半のパワープレーは身長がある選手が多いだけにJ2レベルでも脅威だと思います。しかし中盤構成がちょっと弱いと思えました。ホリコシ戦ではツートップがDFラインと駆け引きしているのにDFからのフィードも無くSHからの展開も少なく、ほとんどが濱岡を経由して繋がなくてはならないサッカーをしていました。もしくはとにかくロングボール頼み。ゲームを組み立てる濱岡一人の負担が大きすぎる試合だったと思います。
濱岡自身はとても良い選手ですが、彼をもっと近い位置で助けられる選手か、もっとダイレクトにサイドから展開することが必要だと思えました。逆に云えば、濱岡の負担が減る中盤が実現すると草津にとって危険なんですけどね。
この日のアウェイ側スタンドではあちこちで「10月はヨロシク」「来年はヨロシク」とのアイサツが多かったです。愛媛FC、10月には敷島サカラグ、来年は敷島県陸で待ってるぞ。あと10試合がんばれ。

*1:当日は遠いのではっきり判りませんでしたが、群馬テレビのニュース映像では明らかにペナルティエリア内でタックルを受けて転んでいます。