鈴木昌Jリーグチェアマン、将来的なJ2、JFLの再編を言及。

SH772005-08-09

スポーツナビ経由、共同通信8月9日付より。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jtoto/headlines/20050809-00000035-kyodo_sp-spo.html

●J2、JFLの再編も Jリーグ鈴木チェアマン
Jリーグの鈴木昌チェアマンは9日の1部(J1)実行委員会で、Jリーグ入りを目指すクラブが全国に約40チームあるという調査結果を示し、将来的に2部(J2)と日本フットボールリーグJFL)の再編が必要になるとの見解を示した。
Jリーグは都道府県サッカー協会を通じて動向を調査。鈴木チェアマンは将来的なチーム数増を見越し、「J2も入れ替え戦をやるタイミングが出てくる」との考えを示した。10日のJ2実行委員会でも意見交換をする。

都道府県サッカー協会を通じて全国規模でアンケート調査を行なったこと自体が既報ですから、まあそうなるだろうな、くらいのニュースです。6月発売の季刊サッカー批評、最新27号の鈴木チェアマンインタビューで既に「全国で40チームある」と語られていますし。ニュース記事でも「将来的に再編」とあるので、「目指せJ」が順調に加盟しても、最短でもJ2との入れ替え戦は3年先。それくらい将来の構想ではないでしょうか。現在はまだJ1とJ2の拡充の時期ですからね。「Jリーグのチーム数」に関して、上記の季刊サッカー批評のインタビューでは、チェアマンはこのように語られています。要点を抜粋して。ちなみにJ1は18チームでリーグ戦34試合、J2は12チームで44試合、JFLは来季から2チーム増で18、リーグ戦は34試合で行なわれます。J2は愛媛FCの加盟で試合数の増加の可能性が高いですね。13チームで毎節1チームお休みの全52節で48試合・・・。笑とけ笑とけ。

●J1はこれからも18チームでやっていくのか? という質問に答えて曰く。
鈴木チェアマン「チーム数を増やすというのは、大きな変革なんですよね。それを毎年コロコロ変えるようではだめで、最低3年は同じ状況で続ける必要があります。当面は18チームで行くのが一番いいと考えています」
「J2に関しては、12チームで44試合というのは理想的。新しく入ったチームが地域の人たちを巻き込んでいくためには、ホームで2週間に1度、合計22試合というのは非常にいいリズムなんですよ。だから12チームがいい。14チームまでなら過密ではあるけれどやれないことはない。粗製濫造でレベルが落ちてはいけないけれど、いづれは増やしていきたいですね」
「Jリーグに入りたい、という希望のあるチームは全国で40はあるんですよ。そういう人たちには夢を与えていかないといけないので、自治体や住民が熱意をもって活動しているところは、できればJに入れてサッカーの振興をしていけたらなと思っています。

サッカーマガジンのインタビューでは、J1を20チームにJ2を14チームまでなら過密ながら日程が組める、とのコメントもありました。ここまでのポイントは2つです。

●ポイント1:J2は地域浸透と運営の観点でJ1より多くの試合を開催する必要がある。12チーム構成は理想だが14チームまで増やすことも可能。
●ポイント2:J1を2増加で20、J2で2増加の4チーム増加までは現状の仕組みのままで組み込める。それ以上のチーム増加には、J2とJFLの再編、入れ替え戦が必要になる。

まずはあと4チームを今のJの仕組みに組み込むことになりますね。ザスパ草津はこの期間に、再編&入れ替え戦実施までにチーム力と運営組織力を向上させませんと。現在の運営状況などからはJ2加盟の有力候補は愛媛が筆頭。続いて栃木と熊本に琉球、加えて盛岡と長崎。富山も状況次第で来季以降に最有力候補に踊り出ますからね。残り4枠の争いも熾烈です。
ただこの4枠に入れない多くのクラブ(36クラブ?)にも存続、そして上位カテゴリー昇格の芽は残さないといけませんよね。行政や経済界も乗り出した挙句に収益のあがらないJFLどまりでは、瓦解してしまうクラブも出てくるかもしれません。そもそもJリーグにはもう上がれません、となったら行政とかは動いてくれないのではないでしょうか。やはり「J加盟」という目標は絶えず必要ですよね。あと現在の「目指せJ」周辺の課題や問題点を並べると。

●ポイント3:Jまで上がらないとサッカーで収益が得られない。しかし上がるには多額の運営費が必要。Jに加盟しても数年間は過去の累積赤字を解消する運営を余儀なくされる。
●ポイント4:JFL昇格までの成績条件が厳しすぎる。狭き門を突破できずに運営に支障をきたしたクラブも存在する。

「目指せJ」クラブの抱える運営の悩みとJクラブ残り4枠を解消するには、砕けて簡潔に云えば「もうかるJFLが必要なんですよね。収益のあげられる3部リーグ。J2との入れ替え戦もあるわけですから、J2から降格したクラブが収益を得られず、運営が成り立たなくなってしまうのでは困りますし、Jリーグもそれを望んでいません。この3部リーグのリーグ戦なでの運営形態はさておき、基本理念はJFLと違い、運営できるだけの収益を得られることが必要となりますね。
もうかる3部リーグ、その呼び名はなんでもいいです。「新JFL」だとややこしいので「J3」として話を進めますか。このJ3は、今のJFLの「狭き門」の間口を拡げる必要もあります。しかし全国の「目指せJ」を糾合して新リーグ結成、とかでは運営費用にばらつきがあるでしょうし、少なくとも今のJ2と同じ12チームくらいは欲しいことになるだけに、40チームがJを目指すとしても全国規模で転戦できるクラブがそれだけあるのか。また今のJFLチームの方が地域リーグの「目指せJ」より実力上位でもあります。アマより弱いプロではいささか困りもの。興行アピールも心配です。
個人的には、市民クラブだけでなく現在のJFLの企業サッカー部や大学サッカー部も加えて東西分割を理想とするJFL再編が良いのではないかと思います。J2を目指すクラブは興行で収益を得ながら力をつけ、成績以外のJ2昇格条件を満たしていく。企業チームで興行、収益を得たいところはそれもよし、大学や企業で今までのJFLの運営で良いところはそのまま続行で。J3の各クラブがなんとか今のJ2くらいの興行収入を得られるのが理想だと思いますが、クラブの努力で新潟のような集客を誇るJ3クラブも出てくるかも。そして東西分割で各クラブの交通移動費用もやや軽減できるのではないでしょうか。また鈴木チェアマンも前述のインタビューでは。

「Jリーグの百年構想で、できるだけチームを増やしたい。地域に根ざしたチームが全国で増えればいいと思います。必ずしもJリーグに取り込まなければいけないというわけではなく、アマチュアも含めて人々に感動を与えるチームを増やしたいと思っています」

とも語られているので、なにがなんでもJリーグに入れという姿勢などではありません。JFLの企業サッカー部の強さも向上していますし(草津サポは忘れられん)、各公式サイトを見ればサッカー教室などでの地域密着活動に熱心なクラブも多くあります。
日本サッカー界の視点ではクラブユースや高校、大学と並んで企業サッカー部も選手育成の場でもあります。Honda FCで開花し、J1セレッソ大阪でも変わらず活躍するFW古橋達弥は記憶に新しいですね。また高校などとは違い、企業サッカー部はJ1やJ2の選手の受け皿にもなってくれています。JFLの各チームはそれぞれ魅力がありますし、「Jリーグを目指す」と「アマチュアの頂点を目指す」という目標の違いこそあれ、そこに優劣はありません。2部、J2立ち上げの時とは異なり3部立ち上げには、魅力ある現JFLチームにも参加してもらうべきではないでしょうか。
ただ、J3東西構想には課題も多く、東西を地域サッカー協会9地域のどこで分けるのか、チーム数のバランス(入れ替え戦の結果でも変わってしまう)。東西でチーム数が違えば、J2入れ替え戦に出場するチームは単純に東西の優勝チームでいいのか、なんてことも考えられます。また現JFLが東西分割に賛成してくれるか、全国の地域リーグからJ3への昇格はどう条件付をするか、も考えねばならない問題です。とにかく、まだ時間はありますし日本サッカー界の発展の視野に立ってJ拡大の旗の下、JFLやアマチュアチームをないがしろにすることのないよう、熟慮をお願いしたいです。