J2第27節、ヴァンフォーレ甲府戦。この内容で勝ち点ゼロでは。

SH772005-08-24

相変わらず多忙な日々を過ごしておりますが、この間にもサッカー関連で面白いニュースが目白押しで困っております。とにかく草津戦だけはスカパー録画中継で観戦いたしましたよ。まずは結果から。
http://www.jsgoal.jp/result/20050200030120050820_detail.html

●J2第27節 8月20日(18:30/小瀬/7,128人)
ヴァンフォーレ甲府 1−0 ザスパ草津
得点 85分:長谷川太郎甲府武田二十四将ノ十八)

内容で押していたのに負けた、というのはJ加盟後では初めてかも。どうにもならなかった第1クール、守備が安定した惜敗の第2クールに続き、内容ある接戦が出来たと思います。4バック新試行も好感触で攻守の切り替えも機能しましたが、あれだけ決定的チャンスを作りながら1得点も挙げられなければ、当然負けますわね。ある意味自然界の摂理にも適う結果ですが、もったいなさすぎる勝ち点ゼロでもありますね。では試合を振り返って。ザスパ草津のメンバーは。

ザスパ草津スターティングメンバー(J2第27節vsヴァンフォーレ甲府
GK:29岩丸史也
DF:2籾谷真弘・17小川雅己・32齋藤竜
MF:6鳥居塚伸人・7佐田聡太郎・9山口貴之・23チカ・27後藤涼
FW:14佐藤正美・30樹森大介
●サブメンバー
GK:1北一真
MF:5氏家英行・15山崎渡・24酒井良 FW:20吉本淳
ザスパ草津キックオフ(4−4−2・中盤◆)
−−佐藤−−樹森−−:吉本
−−−−山口−−−−:
佐田−−−−−−後藤:山崎・酒井
−−−-鳥居塚-−−−:氏家
チカ−−−−−−籾谷:
−−齋藤−−小川−−:
−−−−岩丸−−−−:北

小島さんが前節から予想できたとおりに負傷欠場、久々に岩丸くんがスタメン復帰。草津はJ2最下位ですが、ことGKに関しては恵まれているチームですね。久々といえばDF陣も同じでメンバー登録ではMFですがチカが左SB、籾谷が右SBに入る4バックを敷きました。中盤はダイヤモンドで左が佐田くん、後藤くんが初スタメンで右に。ツートップは佐藤と樹森。MFから前は山口貴之を除くと全員が前橋育英前橋商業卒という地元度の高いメンバーで構成となりました。ある意味かなり上州軍団であり、地元密着チームでもあります。久々の4バックに関しては手塚監督のコメントが。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-08/00022857.html

手塚聡監督(草津
Q:4バックにした意図は?
「相手が3トップなので対応するため。でも、システムは関係ない。決めるところで決めていれば3〜4点入っていたゲームなんで」
Q:決定力には欠けたが、そこまでの形を作ることが出来たのは(4バックに変えた)システムが機能したのか?
「守備に関しては選手が組織と言うものを考えてインプレーではよくやってくれた。ただ、甲府はリスタートからの動き出し、判断が非常に早いのでそういうところから何回もチャンスを与えた。そういうところをしっかりやっておけば、大丈夫だろうと思う」

上毛新聞によると試合後の記者会見で手塚監督は珍しく憮然とされていたそうですが、この4バック守備コンセプトで甲府の立ち上がりの攻め手を減らし、草津主導で試合を展開できたのですから、残念な思いがあるのかもしれませんね。J's GOALレポートでも草津のゲームプランが奏功したことを記しています。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-08/00022889.html

●J2第27節 甲府vs草津レポート
草津は変則3トップの甲府対策として、3バックから4−4−2のダイヤモンドの中盤にシステムを変更して臨んできた。4枚のディフェンスでしっかり守って攻撃に繋げるという狙いは立ち上がりから機能した。
システム的な変更だけでなく、戦術的にも高い位置から連動してプレスをかけていくディフェンスは、攻撃力が自慢の甲府ペナルティエリア付近で形を作らせなかった。そのため、甲府はアタッキングゾーンまではボールを運ぶものの、効果的なシュートを打つシーンは殆ど作り出せない。

もう少し細かく記すと、FWバレーを中央に置いて長谷川と石原がサイドに展開する3トップで臨んできた甲府に対し、4バックでサイドのスペースを消しました。また中盤の底を1人で担当する鳥居塚キャプテンの負担は並大抵ではなく第1クールは苦労しましたが、その対策はきちんととられており、チカや齋藤のスペースケアや佐田くんが必要に応じて中へ絞りDMFとしてプレーしていました。齋藤と小川2人でゴール前を守れるようになったこと、前線から各自が1対1に簡単に負けなくなったことも大きいですね。
3トップで攻撃が組み立てられず、出だしにつまずいた形の甲府に対し、徐々に押し気味になった草津は佐田&チカのサイドを中心に攻撃を組みたてますが、決定的なチャンスを作ることは出来ませんでした。優位に進めながらもシュートが打てないまま、30分過ぎのカウンターからバレーに決定的なチャンスを作られますが岩丸が好セーブ。そこから一進一退の展開に戻されますが、終了間際の長谷川のサイドを抉るクロスに合わせたバレーのシュートも岩丸が掻き出しでノーゴールとし、得点こそあげられないものの、ゲーム主導権を握る戦いを展開しました。

いつもなら後半の立ち上がりから攻勢に出ることが多い甲府だが、果たせなかった。いつもならチャンスに相手エリアでワンタッチパスを連続して局面を打開するシーンが見られるのだが、この日はツータッチ以上のパスしか見せられない。逆に、草津はカウンター攻撃だけでなく、ワンタッチパスで甲府のプレスをかわすシーンも何度か見せる。第2クールで対戦した時よりも、意識の面で草津は大きく成長していた。

あまり褒められることのない草津ですが、後半も押し込まれることなく立ち向かいチャンスを作り続けました。甲府も前半の3トップの形に固執せず柔軟に長谷川や藤田がポジションを変えて攻撃を組み立ててきましたが、4バックに鳥居塚キャプテンと佐田が加わり、1人がマークして1人が後方でフォローする形が整って大きなピンチを作りませんでした。この辺りのマーク&フォローは本当に向上してきましたね。攻撃力の高い甲府相手にやれたことは大きいと思います。

その成長は、後半9分、21分、24分、28分の決定的なシュートシーンを作り出す流れにも現れていた。FW・佐藤のシュートミスやGK阿部の好セーブ、DF・杉山のカバーなどで得点には繋がらなかったが、奪ったボールを早い切り替えで攻撃に繋げるチーム力は発揮した。ダイヤモンドの中盤でトップ下に入った山口とワンボランチの鳥居塚の、守備から攻撃への切り替えの意識のレベルの高さがその大きな理由だ。

最初は樹森がDFラインのわずかな不揃いをついたスルーパス、次に佐藤のドリブル突破、3度目は山口からのスルーパスでGKと1対1。4度目はカウンターで山口がGKの前進を見越した無人のゴールへの流し込みをDF杉山の素晴らしいランニングでのフォローで無得点。GKへのバックパスを狙った樹森とGKの1対1も入れれば5度大きなチャンスを作ったことは、今までまるでチャンスを作れなかった草津からすれば大きな前進なのですが、返す返すも惜しいですね。

いいサッカーを見せながらも85分にバレー→長谷川と繋がれて最後の最後に得点を許してしまう。甲府にとっては劇的なゴールだったが、あと5分強を守りきれない点もチャンスに決めきれない点も最下位の理由だろう。ただ、今のサッカーは今後に期待を持てる内容。チームは確実に成長している。チームの置かれた現状を考えると少し長い目で見守る余裕は必要だろう。

この85分の失点は、テレビ映像情報ではオフサイドにしか見えないのですがねえ。草津はロスタイムに負傷者のためにボールを蹴り出した甲府のボールを戻さず攻撃を行うマナー違反までやって責め続けますが、試合終了となりました。最後のマナー違反はダメですね。理由は簡単。逆を敷島でやられたら、ね。
ともあれ過去の勝ち試合すら上回る内容、特にバイタルエリアまでの守備の安定と、佐田&チカの左サイドの攻守の貢献はかなり収穫だったといえると思います。久々の公式戦出場で試合勘が心配された岩丸も大丈夫、しばらく固定されていた先発組を凌ぐようなサイドの選手のプレーぶりもまた次節につなげてほしいのですが。ただ甲府の守備がなぜか他チームに比べて山口と鳥居塚のマークが相当に甘く、二人がかなり前を向いてプレーできた部分もあるので、苦戦も予想されます。山形はどう出てきますかね。草津はどういう布陣で臨むのでしょうか。それより金曜ナイトゲームは止めようよ。