J2第28節、モンテディオ山形戦。シュート2本で得点0。でも勝ち点は1ゲット。

SH772005-08-26

ザスパ草津が勝ち点をとったというのにスタジアムでは不満の空気が。これも成長なんでしょうか? まずは結果から。
http://www.jsgoal.jp/result/20050200030220050826_detail.html

●J2第28節 8月26日(19:04/群馬陸/4,302人)
ザスパ草津 0−0 モンテディオ山形
得点 この日はおみかけしませんでした

この試合の結論は自分が帰宅途中に考えていたものと、手塚監督が述べられたコメントがほぼ同じなので、そちらをどうぞ。J's GOALより。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-08/00023103.html

手塚聡監督(草津
「前節、あれだけチャンスを作っても負けて、今日はこんなゲームで勝点1が取れた。サッカーは分からない。攻撃は、皆無といってよいほどできなかったが、90分間を通じて、相手を0に抑えたことは評価できる」

DF陣を中心に1対1で競り負けず、ボールホルダーへのアタック&カバーも徹底できて、攻撃の芽を摘み取り続けられたのは、確かに大きな成果でした。今季開幕戦で3失点を喫したモンテディオ山形が相手であることを考えると、より成長の度合いが判るというものです。DF齋藤竜の加入、チカの負傷復帰で守備陣が厚みを増したこともありますが、チーム全体でJ2のプレースピードに慣れてきていると感じます。
ただ、攻撃はこの試合まるで機能しませんでした。公式記録ではザスパ草津のシュートはたったの2本。*1オマケしてもあと1〜2本あったくらいでした。*2「勝てそうもない」とか「点が入りそうにもない」という試合はありますが、「シュートを打ちそうにもない」てな試合は、そうそう見ないですよね。監督の云われるとおり「こんな試合」でよくも勝ち点がとれたものです。
しかし前節、甲府相手に再三決定的チャンスを作った攻撃と、今節の攻撃はそれほど差はないものでした。その出来不出来は、ゲームの流れと対戦相手の守備によるものと云えるでしょう。詳しくは試合の流れを追いながら記していきたいと思います。ザスパ草津、この試合のメンバーは。

ザスパ草津 スターティングメンバー(J2第28節vsモンテディオ山形
GK:29岩丸史也
DF:17小川雅己・32齋藤竜・23チカ
MF:24酒井良・5氏家英行・9山口貴之・6鳥居塚伸人・7佐田聡太郎
FW:30樹森大介・14佐藤正美
●サブメンバー
GK:1北一真 DF:2籾谷真弘
MF:15山崎渡 FW:20吉本淳・11御給匠

GKは前節と引き続き岩丸くん。DFは3バックに戻りました。中盤の変更は右SHが後藤涼くんが、元山形の酒井良に。後藤くんは負傷だそうで心配です。前節に強力な攻撃陣である騎馬軍団ツートップ&藤田らを誇る甲府戦で好感触だった4バックからの変更に関して手塚懇篤は。

手塚聡監督(草津
「前節は甲府で、今日は山形、次は福岡と、上位との対戦でどんな戦いができるか、そして勝点が取れるかという意味で大切なゲームだった。今節は、上位から勝点を取るために3バックに戻して山形に挑んだ」

対戦相手、モンテディオ山形は。スタジアムのメンバー紹介では映画スターウォーズの「帝国軍のテーマ」がBGMで流れてましたな。

モンテディオ山形 スターティングメンバー(J2第28節vsザスパ草津
GK:1桜井繁
DF:16臼井幸平・3レオナルド・15小原章吾・13内山俊彦
MF:26佐々木勇人・6大塚真司・8永井篤志・10本橋卓巳
FW:11原竜太・22阿部祐大朗
●サブメンバー
GK:27清水健太
MF:5外池大亮・7高橋健二 FW:14林晃平・23田中康平

「バーモー バーモー うちやま としひこー」のコールがまだ耳に残っています。それにしても「コウヘイ」が3名。チームでの呼び名はどうなっているのでしょうか。両チームのフォーメーションは以下のとおりです。

ザスパ草津キックオフ(3−5−2・ドイスボランチ
−−佐藤−−樹森−−:吉本・御給
佐田−−山口−−酒井:山崎
−-鳥居塚-−氏家−−:
−チカ−齋藤−小川−:籾谷
−−−−岩丸−−−−:北
モンテディオ山形キックオフ(4−4−2・中盤■)
−−阿部−−-原-−−:林・田中
本橋−−−−−佐々木:高橋
−−永井−−大塚−−:外池
内山−−−−−−臼井:
−−小原−−レオ−−:
−−−−桜井−−−−:清水

参考までに第1、第2クールはこんな感じでした。上が草津、下が山形。

●第2クール         ●第1クール
−−吉本−−樹森−−:佐藤   −−−−御給−−−−:
寺田−−山口−−酒井:高須   −宮川−高須−酒井−:吉本
−-鳥居塚−小久保-−:氏家 ← −-鳥居塚−氏家-−−:小久保
−籾谷−齋藤−小川−:小田島  寺田−−−−−−依田:堺
−−−−小島−−−−:岩丸   −−籾谷−小田島−−:小川
                −−−−岩丸−−−−:北

●第2クール         ●第1クール
−−阿部−−根本−−:原・林  −−−林−−原−−−:チッコ・根本
本橋−−−−−佐々木:     高橋−−−−−佐々木:
−−高橋−−永井−−:大塚 ← −−大塚−−永井−−:本橋
内山−−−−−−臼井:     内山−−−−−−臼井:
−−小原−−レオ−−:小林   −−レオ−−小林−−:
−−−−桜井−−−−:阿江   −−−−桜井−−−−:阿江

引き分けた前回対戦の時とは、FW原竜太が根本と変わって先発しているところだけですね。ちなみに第2クールの草津戦が原竜太の復帰戦だったそうで。惨敗の第1クールと比しても今回の布陣に変更はありません。山形の戦いかた自体は、第1クールとそう変わっていないようです。実際そう見えました。
ここで試合以外のことを先に書いてしまいますと。

●以前から公式サイトで告知のあったレプリカユニ+好きな背番号を入れるサービスは、今年はSサイズとMサイズだけだそうで。力石のような減量しないとMサイズは私には無理ですわ。「59」の夢が・・・。
マッチデープログラムの無料配布が始まりました。スポンサーであらせられるタウン誌Vienとの提携で、広告満載ですが前節および今節の解説が。35番の杉山くんまで紹介されたメンバー表もついていました。このサービスは今後も続けてほしいですね。でも草津の予想布陣が外れて、山形の予想布陣がドンピシャなのはナゼよ。
●金曜のナイトゲームながら、観客は4302人。ちょっとホッとしました。同日開催の水戸戦、土曜の徳島戦より多い数字となりました。ただこの日の対戦相手がアウェイ敷島でも大勢お越しが見込める山形さんだったのは残念。さすがに100名前後のお越しのようでした。土曜ナイトゲームならホームはもちろん、山形さんたちも多かったろう、と考えるともったいないなあ。

さてキックオフ。序盤は山形の攻勢、主にサイド攻撃が行われました。草津から見て右サイドの本橋やサイドに流れたFWがサイドからクロスを上げ、2トップは元よりやや低めの位置するMF大塚と永井もゴールに詰めてきます。
前半の早い時間帯で得点を挙げれば、草津相手に優位に戦える。前節に試合が中止になり期せずして2週間休めた影響もあるのでしょうか、山形イレブンの体も軽そうでした。草津からすれば立ち上がりから悪い流れ。山形がゴール前にリスク覚悟で積極的に殺到するのが予想外だったのか、草津の戻りより山形の上がりが早く、3分にはゴール正面に山形の2選手しかいない大ピンチも生んでしまいました。このピンチは最後にシュートを打たれますが、ポストのわずかに外。なんとか凌ぎました。これ以降もゴール前の最後の場面でDFがなんとかクリアして、一方的に攻め込まれる時間帯から徐々に脱してていきました。
しかし攻撃がなかなか組み立てられません。草津は司令塔のMF山口貴之にボールを集めますが、山口には、山形MFの近い2選手が必ずプレッシャーをかけて山口を自由に前を向かせませんでした。第1クールから良くある場面なので、こういう場合はDF小川雅己が素早く近寄り、バックパスを受けるので簡単にはボールを失いませんが、草津は有効な攻め手と高い位置でのボールの収まりどころを失うことになってしまいました。この辺りが甲府との差ですね。甲府はなぜか山口貴之に中盤で激しくプレスをかけてこず、山口はかなり自由に前を向けていました。
草津の他の攻め手、サイド攻撃をしたくとも右サイドの酒井良は後方でのゲームメイクもコーナー付近までの突破もある本橋との運動量勝負、左の佐田聡太郎も佐々木とのマッチアップにかかりきり。草津は毎度おなじみ前線へロングボールくらいしか攻め手が無い状態になってしまいました。しかしロングボールは前線の二人に収まりません。
http://www.jsgoal.jp/club/2005-08/00023101.html

樹森大介選手(草津
「サイドで起点を作ろうとしたが、相手のプレッシャーが早く、両サイドで受けられなかった。FWまでボールが届かないシーンが多く、歯がゆい試合だった。見ているサポーターもつまらなかったのでは。全体のリズムが悪く、FWで勝負できる場面が少なかった」
●佐藤正美選手(草津
「前節、あれだけシュートを外したのに使ってもらったのだから、期待に応えたかった。結果が出せず、申し訳ないと思う。今日のゲームは、FWへのロングボールが多く、前線でキープするのが難しかった」

佐藤のポストプレーは、周囲にセカンドボールを拾う味方がいないので、山形DFと競り勝とうが負けようがどちらにしろボールはつながりません。樹森はDF陣との駆け引きに勝ち、ライン裏のわずかなスペースに走りこみ続けるのですが、*3これは味方が感じておらず、無駄走りばかりになってしまいましたね。もしくはボールが送られても、樹森をカール・ルイスかなにかと勘違いしているようなゴールラインを割ってしまう強いパスばかり。ツートップの二人も連動していないので、樹森がいなくなった後のスペースに佐藤がヘディングでボールを落として山形の選手に配球する、なんてシーンもあり、これはかなりの脱力モノ。どのみち連動できず、ポストFWが孤立しているなら運動量で勝負するFWを2枚使った方が現状良いのかもしれません。個人的には、ポストFW+スピードFWのツートップでどういう攻撃の組み立てをしたいのか、一度くらいは成功するシーンを見たくもあるのですが。
まったく組み立て方を感じない攻撃ながらも、ロングボールが多くなると山形MF陣永井、大塚の積極的な押し上げが目に見えて減ってきます。前半20分を過ぎたころに、草津はもっとも危険な時間帯を乗り切れたと云えるでしょう。山形のツートップへのロングボールには、主にDFチカの打点の高いヘディングでハイボールを跳ね返し、山形のツートップにもほとんどボールを収めさせなかったことも山形の攻め手を減らした大きな貢献と思います。
その後は一進一退になりますが、28分にはロングフィードに走りこんだSH佐々木に単独突破を許してDF齋藤とゴール前で1対1の状況に。シュートは打たれますが、齋藤がコースを消していたので、ポストの脇へと外れていきました。31分にはカウンターのピンチもありましたが、FW阿部に追いついた小川雅己が体を張ってクリア。残り時間は双方セットプレーくらいしか得点チャンスがなく前半を終了しました。
草津は簡単に失点することはなくなり攻撃を跳ね返しても中盤・前線ともにボールが収まらず、攻撃が組み立てられません。対する山形も1週間ぶりの試合と、コンディションの良さを示すような積極的な立ち上がりでしたが、その後はなぜかツートップと両サイドにボールを送る淡白な攻撃に終始してしまったように見えます。まあ、前半途中から両チームともにグダグダというのが正確かもしれません。
後半開始、前半同様に山形の攻勢からスタートしますが、開始直後の48分に山形の佐々木が高橋と交代します。ヒザの痛みだそうで。ただヒザに痛みがあろうがなかろうが、かなり危険な選手なので、彼のマークをDFチカと2人で担当していた佐田が前半よりは攻撃に参加できるようになりました。付け加えれば、チカの佐々木へのマークもかなり良かったですね。スピードがあるわけではありませんが、長身ゆえ歩幅(ストライド)が広く足が長いので、一度抜かれてもすぐに追いついてしまいます。アメフトだとこういう歩幅の有利さを駆使する選手を「ロングストライダー」といいますが、サッカーだとなんと呼ぶのでしょうかね。ともあれチカはスピードある選手と相対してもまず大丈夫だと判りました。佐田&チカの左サイドの守備は無失点にかなり貢献しました。これからも楽しみです。

佐田聡太郎選手(草津
「前半は押し込まれて全くと言っていいほどチャンスを作れなかったので、後半はもっと攻めていきたいと思っていた。今日はチームのことよりも、自分のプレーが出来ず個人の反省点が多い。ボールが落ち着いてキープ出来ずに守備の時間が多かった」

結局のところ佐田くんの攻撃参加でチームが厚みある攻撃を見せるシーンも作れ、シュートも1本うったのですが公式記録では認められなかったようですね。これからも攻守ともにガンバレ。
佐々木の交代もあり、山形は左サイド、草津からすると右サイドからの攻勢を後半に強めてきます。酒井が上がり気味、氏家が中に絞ることが多いので、このサイドのスペースは前半から空いていましたので、そこを突かれましたね。おかげで小川がかなり忙しくなりました。それでもなんとか凌いでいた73分、DMF氏家に変えてDF籾谷が投入、4バックにして散々突かれていたサイドのスペースを埋めます。これで山形も当面の攻め手を失い、試合はまたもや一進一退、もしくはグダグダに。前節の甲府戦ではかなり甲府全体が攻めあがって、DFライン裏に広いスペースがあったので草津のカウンターも効いたのですが、山形のDF陣は積極的に上がってこなかったので、甲府戦のような攻撃は行えませんでしたね。草津は75分に山口貴之から山崎渡、77分に樹森大介吉本淳に代えますが、効果的な組み立ては出来ないまま試合終了。終了間際に山形が攻勢を強め、再三のコーナーキックで得点をうかがいましたが、失点せずに乗り切れました。
草津は今季初のスコアレスドローで勝ち点1を得ましたが、シュートは90分で2本のみと守備の健闘が光るだけの試合となりました。DF陣だけでなくチーム全体でボールに激しく寄せてボールを奪う場面を多く作って守備が出来たことも無失点に大きく貢献しました。しかしあまりの攻撃のふがいなさが印象に残り、ゴール裏では拍手とブーイングが半々のようにメインスタンドでは聞こえました。誰がイケナイ、みたいな単純な問題ではなく、一朝一夕に解決できる便利な解法もないのが頭が痛いところ。カウンターやセットプレー以外では、パスミスを減らしてチーム全体が押しあがる必要がありますからね。
試合終了後、途中出場のDF籾谷が一人ピッチをダッシュしてコンディション調整を始めました。これにはゴール裏からは籾谷コール、メインスタからは大きな拍手が。籾ちゃんは恥ずかしそうに手を振っていましたが、このガンバリが一服の清涼剤のようで、なにか救われたような気がしました。こういう試合後から早くも次節に備える意識がある選手がいる以上、これからも応援するしかないようですな。がんばれ、モミーニョ。

*1:MF酒井良とFW佐藤正美が1本ずつ。

*2:MF氏家英行佐田聡太郎が1本ずつ。

*3:樹森のスペース発見&進入はかなり見ごたえがありますです。現地観戦の特権ですかね。そういう点では樹森が心配するより、樹森のプレーには楽しませてもらいました。