ザスパ草津の経営問題その1。明るみになる2つの不祥事。

不祥事が公になったのは、まず昨季のJFLで唯一草津町で開催された佐川印刷SC戦、会場となった本白根第4グラウンドに仮設されたスタンドの補助金不正使用です。これについては9月18日付のニッカンから要旨抜粋。

草津 補助金で協定違反
仮設スタンド購入の補助金をめぐり、J2草津草津町との協定に違反していたことが17日、分かった。仮設スタンド購入費として町から500万円を受けとっていたが、実はレンタルで済ませていた。
クラブ側は町に文書で謝罪し、補助金を全額返還する意向を伝えた。クラブ側も7月の賢持前社長の退任後、経営の見直しを行っている際に計算が合わず、調査をはじめていた直後だった。

なぜ草津町が仮設スタンド購入に補助金を出してくれたかというと、草津町の防災訓練時などの行事で使用できるから、とのことらしく。そして防災訓練で使うために町がザスパに連絡したのと、ザスパで内部調査して事実が判ったのがほぼ同じだったようで。
確かに購入よりもレンタルの方が安いとはいえ、草津町の意図に反した補助金の不正使用なのは明白ですね。この一件に関しては、9月30日に大西GMがJリーグ熊地理事同席のもと、中沢町長に謝罪と再建の経過を報告に。詳しくは10月1日付の朝日新聞群馬県版から。ちなみに朝日新聞群馬県版は、一連の不祥事の分析と再建過程を「激震ザスパ草津」という表題で、状況が動くたびにとりあげてくれました。不祥事が起きたとき、普段の試合内容記事からは考えられないくらい、大きく紙面を割いて大々的に報じてくれたのが読売新聞。メディアの姿勢はイロイロ。好意的か批判的か、ニュートラルな事実をキチンと把握しながら新聞記事は読まないといけないのでしょうね。
まあ普段からザスパ草津にいちいち批判的で、*1大きな状況変化がないにもかかわらず、試合前日に今までの不祥事のまとめ記事をわざわざ掲載してくれた読売新聞を、自分が定期購読することは、これから一生ないでしょうけどな。

●大西GM、町に謝罪
J2ザスパ草津の経営陣が30日、草津町役場を訪れ、事情を説明した。Jリーグの熊地洋二常務理事も同席した。
同クラブの大西GMは、一連の不祥事について「ご迷惑をおかけしました」と謝罪したうえで、「Jリーグとともに新たな出発を」と決意を述べた。熊地理事は「加盟を認めたJリーグとしても、今回の不祥事を重くとらえている。経営の内容を調べ、再建案を作っていきたい」と話した。
これに対し、中沢敬町長は「これからも変らず支援させていただきたい」と応えた。

(;´д⊂)町長・・・。当面、温泉饅頭くらいしか買えませんけど、時期見て必ず草津温泉行きます。GMらザスパ運営陣とJリーグ理事(これまたご足労いただいて申し訳ない)の行政やスポンサー周りは30日前後に行われたようですね。ともあれ草津町からの補助金不正使用は陳謝と全額返還、加えて草津町行政のご厚情で一応の決着を見ましたが、もうひとつの不祥事はより深刻なものでした。第一報で一番詳しいのは9月25日付けの上毛新聞、27日の朝日新聞群馬県版でした。

ザスパ、県に750万円滞納 競技場使用料を14試合分
J2ザスパ草津が、ホームスタジアムとしている県営敷島公園の二競技場で四月から行った十四試合について、県に支払う施設使用料約七百五十万円を滞納していることが二十四日、分かった。
ザスパのホームゲームは三月の開幕戦以降十六試合。六月までの十試合はサッカーラグビー場、七月以降の六試合は陸上競技場を使用した。
県によると、滞納の大きな理由は、1.同クラブから、夏前に使用料の減免を求める陳情が出され、検討していること、2.使用料は現金納入だが、プロになって高額の現金が動くようになったため、口座振り替えの手続きを進めていること、の二点と説明している。
一試合当たりの使用料は、入場料収入が多いほど高くなり、サッカーラグビー場が十四万円以上、陸上競技場が照明大を含めて百万円以上という。
県都市計画課は「いつまでもこのままにはできない。基本ルールにのっとって支払いをお願いしていく」と話している。

ザスパの施設使用料未納「来月中に支払う」 県に大西GM
J2ザスパ草津が施設使用料を未払いしていた問題で、同クラブの社長代行の大西忠生GMが26日、県庁の担当課を訪れて謝罪し、「10月中に未納分を支払いたい」と申し入れた。
プロの同クラブが県立敷島公園を利用する場合、施設使用料は、基本料に夜間照明料や入場料の総収入の5%などを上乗せして支払う規定があるという。
サッカーラグビー場を使用していた5月は1試合30万円台だったが、陸上競技場でナイター試合をした7月は1試合あたり約130〜140万円台に上った。公園の管理と施設使用料徴収は県公園緑地協会が請け負い、これまで口頭で催促してきたという。
県土整備局は「分割という形でも速やかに支払いをお願いする。しかし、県はザスパ草津を応援している立場であり、いきなり強制徴収するようなことは考えていない」と話している。

ここで、ちょっと話が脇に逸れますが、県行政や敷島公園側も、ザスパ草津のJ加盟の早さに、プロ興行に対応出来ない態勢のままの部分があったことが窺えますね。上記の上毛新聞記事の滞納理由の2番目として、「施設使用料を振り込む銀行口座を開設していない」がありますが、毎試合100万円からの使用料金を設定しているのに、わざわざ大金を現ナマで納める形なんて、ちょっと今時考えにくいものです。今までプロの定期的な興行なんてありませんでしたから、頻繁に大金が動くことは想定の範囲外だったのでしょうけどね。
不祥事云々を別にして、今後Jクラブが誕生する地域の行政なども参考にしていただきたい事例だと思います。では話を戻して。最初の報道は「使用料滞納」でしたが、続報はさらに深刻な事態が明るみになります。
県担当課を訪れた翌日27日に記者会見が行われ、28日の記事となりました。詳しいのは読売新聞群馬県版より要旨抜粋で。この頃毎日朝刊やスポ新らを4〜5紙買ってましたよ。情報欲しくて。

ザスパ観客過少申告 前社長が指示 スポンサー看板枚数も
競技場使用料滞納問題で、新たに発覚した有料入場者数の過少申告。会見した大西GMは、7月に退任した賢持前社長の指示だったことを明らかにした。大西GMは「かばうことのできない部分が出てきた」と話し、同社は賢持前社長の告訴も視野に、Jリーグから職員を派遣してもらうなどして詳細に調査を進め、経営立て直しを図る。
●現経営陣、告訴も視野に
同社によると、過少申告が発覚したのは6月下旬ごろ。経理担当職員から「過少申告するよう指示された」と相談があり、不正が判明。7月に入って県に経緯を説明した上で修正報告し、謝罪したという。
さらに、試合会場にスポンサーの看板を設置する際は、枚数に応じて県に料金を納めることになってるが、開幕から10試合は設置枚数を半数程度に過少申告していたことも判明し、7月中旬に大西GMが賢持前社長に退任を要請したという。

またJクラブがリーグに報告している毎月の経理状況(これは知らなかった)にも粉飾の疑いがあるとか、他にも未払いの請求があるとか、虚偽報告に加えて経営状態の不安定さも露呈してしまいました。またニッカン同日付けでは別の事実も。

草津過少申告
(前略)6月に担当社員から内部告発があったため、草津はすぐに県に対し修正申告を行っていた。クラブは賢持氏の解任に動き、主要株主やスポンサーの同意を得たのち、7月に大西代表取締役の勧告で辞任させたという。前社長には金銭流用などの疑惑もあり、同取締役は法的措置も検討する考えをしめした。

なんだかスッキリしなかった7月の社長辞任の内実が明らかになりましたが、6月の内部告発以前からイロイロあったのだと推測できます。なにせ7月以前に発売になったメモリアルブックとかに、社長の挨拶などが掲載されていません。過去3年間を振り返った本に社長の言葉が一言もナイ、というのは普通考えられませんよね。「ああ、なにかあるんだな」くらいは早くから感じてました。それはともかく、過少申告らの未納金が何試合分でいくらなのか、クラブと県行政で精査し確定した数字が出されたのは、29日付の朝日新聞群馬県版でした。数字部分を中心に。

●激震ザスパ草津 入場者数過少申告 5試合で計1800人分
(前略)過少申告は5〜6月の5試合で計1800人分だったことがわかった。県都市計画課がまとめた未納金の総額は、1730万5310円に上った。ザスパを支援する県は、一方で、チェック態勢の強化を明言した。
使用料を算出する根拠となる有料入場者数で、過少申告したのは1試合につき360人で、追加額の合計は46万9345円となった。前夜のクラブ側の会見では4試合だったが、すでに人数の修正が出ていた1試合を加えると計5試合が追加の対象となるという。
●膨らむ未納
一連の問題が発覚した当初、県都市計画化が「未納」としていた4月分の使用料については受領記録があったことがわかったとして、県内部の確認ミスだったとした。この月は年度始めの「特例措置」としてJ2昇格前と同様のアマチュア料金が適用され、3試合で計18万1530円と算出されていた。
同課が修正した上で、確定させた今月までの未納額の内訳は、施設使用料994万2730円▽広告使用料704万5920円▽売店設置料31万6660円となった。
同課課長は「クラブ側の報告をそのまま信じていた。早急にチェック態勢を構築する。場合によっては介入もありうる」と話す。

入場者過少申告で浮かせた額は50万円たらずで、看板設置料の未納分を合わせても、ごまかしは多くても2〜3百万円程度でしょう。クラブやJリーグ全体の信頼と信用、イメージ、行政の協力支援など金では買えない財産と引き換えにするほどの金額でしょうかね。あまりに残念な不祥事でした。
この不祥事を受けて県は、利用料徴収を公園事務所だけに任せず、草津のホームゲームに職員を派遣して入場者数確認に立会い、看板設置枚数の確認などを行うようになりました。また施設利用基本料金分の前払いを草津に求め、これらを当座の対応策としました。まあ、仕方のないことです。
それでも前述のとおり草津町は支援を打ち出し、前橋市高木市長も支援姿勢を表明してくれました。9月28日付の朝日新聞群馬県版より。

ザスパへ支援 継続方針示す 前橋市
ザスパの不祥事を受け)前橋市の高木政夫市長は27日の定例会見で、中心商店街にサポーターの拠点を設けるなどザスパへの支援策を継続していく方針を示した。
会見で高木市長は「社長交代後はストップしていたが、引き続いて打ち合わせしたいと拠点整備に意欲をみせた。一方、資金や人的支援については「陰ながら応援する」として、直接的な手段には否定的な考えを示した。

直接的な支援に関しては、この状況下であれこれ具体策を出す段階ではない、ということもあるのでしょうね。運営も新体制になるので、支援継続方針を表明してくれただけでも有難いことです。「不祥事を受け、状況が変るまでは当面のところ支援凍結」とか云われても仕方ない状況でもありますしね。
ともあれ、温度差こそあれども群馬県前橋市草津町ザスパ草津を支えてくれる主な行政体との関係改善への道筋がついたザスパ草津ですが、2つの不祥事だけにとどまらず、さらに大きな問題が浮上します。

*1:試合途中で帰った、とか記事に書いちゃいますからね。それで試合内容を語られても。もし観客としてスタンドに来ていたのなら、自分のプライベートを記事にするのも少し違わないかと。