J2第2節柏レイソル戦。あらゆる面での完敗。

シャッポを脱ぐ強さ。

10時過ぎにスポーツセンター駐車場についたら、バスはおろかタクシーも来ていなかったので敷島まで30分歩いた(挨拶)
この第2節はザスパ草津のホーム開幕戦。もちろん敷島に応援に行ってまいりました。ホーム開幕戦と云うことでシーズンチケットや新グッズの販売があり、また試合に先駆けて小島伸幸氏引退セレモニーや、佐野さん率いるチャレンジャーズチームとマスコット湯友くんのお披露目などが行われましたが、それは別エントリーに。まず試合の結果から。

●J2第2節 3月11日(14:04/群馬県陸/5,238人)
ザスパ草津 0−4 柏レイソル
得点 20分:北嶋秀朗(柏)45分:岡山一成(柏)49分:北嶋秀朗(柏)79分:ディエゴ(柏)
警告 5分:チカ(草津)70分:大谷圭志(草津)73分:島田裕介草津)77分:山根巌(柏)78分:ディエゴ(柏)78分:山崎渡草津)
交代 39分:チカ→大谷圭志(草津)53分:太田恵介→佐藤正美(草津)63分:鈴木将太宇野沢祐次(柏)71分:高田保則吉本淳草津)80分:北嶋秀朗フランサ(柏)89分:鈴木達也永井俊太(柏) 

試合の結論から書いてしまえば、小島さんの引退セレモニーでやめておけば良かった結果も内容も完敗。個々の能力が高い相手に、第1節から見えていた弱点を突かれて崩される大変厳しい試合だった、と云えるでしょう。
攻撃も担うDHチカの負傷退場など不運もありましたが、彼もCB鳥居塚もこの試合健在だったとしても苦しい展開は避けられなかったと思われます。それくらい柏レイソルが組み立てたザスパ草津封じの作戦は見事で、J2の戦い方に長じた石崎監督の采配だと思えます。また昨季の入れ替え戦での柏レイソルとは別物の、鍛えられた鋼のようなチームが構築されつつある印象を受けました。
考えようによっては、開幕の神戸戦で片目を開けておいて良かったですし(さすがに開幕から2連敗はキツイ)、この雄敵と第2節で戦って、遅かれ早かれ判明する今季の草津の弱点が浮き彫りにされましたが、第3節はお休みで10日間もの調整期間がとれる願ってもいないスケジュールです。選手と植木さんの課題への取り組みと頑張りを期待したいですね。
ではこの試合の流れを追って。まずザスパ草津、この日のメンバーは。

●J2第2節柏レイソル戦 ザスパ草津スターティングメンバー
GK:1高木貴弘 
DF:2籾谷真弘 4齋藤竜 17尾本敬
MF:5チカ 15中井義樹 13山崎渡 7佐田聡太郎
FW:9高田保則 24太田恵介 10島田裕介 
●サブメンバー
GK:21近藤祐輔 DF:25田中淳
MF:8大谷圭志 FW:20吉本淳 14佐藤正美
●キックオフフォーメーション(3−5−2・ダブルボランチ
−−高田−−太田−−:吉本・佐藤
佐田−−島田−−山崎:
−−チカ−−中井−−:大谷
−尾本−齋藤−籾谷−:田中
−−−−高木−−−−:近藤

CB鳥居塚の負傷離脱を受け、籾谷と尾本がストッパーで齋藤がスイーパーを務める3バック。サブとして今季加入の大卒新人、田中淳がベンチ入り。柳澤と思ったけど田中くんのポテンシャルを見直した。またGKも初ベンチの近藤くん。こういうところも数年先を見通した起用なのでしょうかね。続いて柏レイソルのメンバーは。試合前練習はフランサに目が行きっぱなし。

●J2第2節ザスパ草津戦 柏レイソルスターティングメンバー
GK:1南雄太
DF:2小林亮 32岡山一成 13小林祐三 7大谷秀和
MF:28谷澤達也 18山根巌 11ディエゴ 33鈴木将太 22鈴木達也
FW:25北嶋秀朗
●サブメンバー
GK:31加藤慎也 DF:5中澤聡太
MF:17永井俊太 FW:19宇野沢祐次  10フランサ 
●キックオフフォーメーション(4−4−2・ボックス)
−−北嶋−-鈴木達-−:宇野沢・フランサ
鈴木将−−−−−谷澤:
−-ディエゴ−山根-−:永井
大谷ー−−−−小林亮:
−−小林祐−岡山−−:中澤
−−−−-南-−−−−:加藤

元日本代表の北嶋がややワントップに張る4−4−2、中盤はボックス。この布陣だけで草津の3−5−2との相性でサイドは数的優位ですよ。開幕の湘南戦を見た限りではディエゴがゲームの組み立て役。前FCホリコシ蔵川洋平と、今季前橋商業から柏に入団した大河原亮くんはベンチ入りなし。まあ仕方ないですか。蔵川も大河原くんも頑張れ。
さて試合についてはJ's GOALの伊藤さんのゲームレポートが詳しく。
http://www.jsgoal.jp/news/00030000/00030495.html

【J2:第2節 草津 vs 柏 レポート】草津、ホームで柏に完敗。スタジアムは柏サポーターの重低音で占拠された。
試合は序盤から柏が主導権を握る。キックオフと同時に激しいプレスを仕掛け、サイド攻撃につなぐ。対する草津は、中盤の圧力を避けるように、長身FW太田へ放り込む。しかし、そこに立ちはだかっていたのが岡山だった。岡山は太田へのボールをことごとく弾き返し、草津の攻撃をシャットアウト。

レポートどおり、長身FW太田恵介のポストプレーが今季の草津の武器ですが、これがCB岡山のマンマークで思うように機能せず、またOH島田裕介にもマンマークがついて高い位置でボールがおさまりませんでした。そして布陣的にも個々の能力的にも勝る柏がサイドから攻撃を組み立てます。また島田が(草津から見て)左から前へ流れるので、自動的に右が数的不利の状況になり、右CBの籾谷真弘が序盤から苦戦続きの守備に奔走されます。

石崎信弘監督(柏)
Q:相手への注意点は?
「相手はセンターFWを目がけて蹴ってくるので、競り負けないで、こぼれ球を拾うことを徹底させた」
Q:両サイドの攻撃が積極的だったが?
「相手のシステムが3−5−2で、うちが4−4−2。単純に言えば、サイドの選手が多いので、数的優位に立てたと思う」
植木繁晴監督(草津
Q:相手は、草津への攻略法を示したのでは?
「両サイドを狙われるのは分かっていたが、今回、ケガ人などで人が入れ替わったので対応が難しくなった。全員が同じレベルではないということ。今日は、高い位置から入っていこうとしたが、うまくいかなかった」
●太田恵介選手(草津
「チームとしても、個人としても完敗だった。やはり格上のチームだけに強かった。僕と島田にマークがつかれて、まんまとそれにハマってしまった感じ」
島田裕介選手(草津
「自分には相手の18番がマークについていたし、相手のプレスが速く前線にはDFからクリアボールしか回ってこなかったので難しい試合だった。向こうの勢いに押されて、つなげるところも蹴ってしまっていた」
籾谷真弘選手(草津
「自分たちのボールがキープできず、ペースがつかめなかった。レイソルは、どの場面でもしっかりとボールを追ってきていた」
大谷秀和選手(柏)
相手は高さのある太田さんがターゲット役だったので、岡さん(岡山)がついて、自分たちは、カバーに徹していた。岡さんが競り合いに勝ってくれていたので、守りやすかった。

こちらの攻撃の引き出しが少ない部分を見抜かれ、対応され、しかも島田の左に流れる特性と右SHの山崎渡が守備を得意としないことを完全に見抜かれていましたね。神戸戦のエントリーでも少し触れていますが、「ここがヤバイなあ」と思っていた部分を石崎監督に見事に突かれたのだと思います。まあ素人の自分でも気づく弱点ですからね。
また、あちらこちらを見ると籾ちゃんへの批判が多く、それも正解だと思いますが、このポジションが守備に奔走するのは第1節の齋藤竜しかり昨季の小川雅己*1しかり。つまり草津の右SHで攻撃を担う山崎か後藤涼が入るときは前目に位置するので、サイドのスペースが空いてしまい、大きな数的不利を生みます。これは3−5−2草津の最大の弱点でしょう。一方の左はガッツリ守備の佐田が戻れるし、DHチカとの連携でまずまずで守れるのですが、それが余計に右からの攻めに拍車をかけているとも思います。
試合中には籾ちゃんが山崎に、守備に戻ってきてくれ、と声をかけているシーンを見ました。序盤からあれではたまったものではないでしょうね。絶えず1対2でなんか守備はしたくないはず。

流れはさらに柏に傾く。20分、その流れに乗ったのは北嶋。小林亮からのアーリークロスに、難しい体勢ながらも右足で押し込み先制ゴール。「亮が持ったときにボールが流れてくるイメージがあった」(北嶋)。草津は33分に尾本のヘッドがポストに弾かれ、唯一の反撃の機を逃した。
北嶋秀朗選手(柏)
勝ったことと、ゴールが取れたことでホッとした。先制点は、亮(小林)が持ったときにボールが来るイメージがあった。難しい場面だったが、うまく入った感じ。湘南戦で簡単なゴールを外していたので、責任を感じていた。

北嶋のライン裏への飛び出しはさすが。植木さんは「ラインコントロールミス」とおっしゃっていますが、北嶋のチェンジ・オブ・ペースに嵌った形でした。このJ1レベルストライカーに払った授業料を今後どう回収するかでしょうね。前半数少ない草津の反撃、セットプレーからの尾本のヘディングシュートはポスト直撃。ここで追いついておけば、また別の展開があったかもしれません。柏は1点とってからやや攻撃が落ち着き、草津が攻める時間帯も作れたのですが、柏にとっては結果的に休めた時間帯になってしまいました。先制したチームがペースを握り、試合を作る。J2のセオリーですね。
また、植木さんとしても計算外だったと思うのが、チカの負傷退場。彼の退場で攻守ともに役割分担が一時的に崩壊してしまいました。先ほど島田のマンマークについて述べましたが、これを剥がすセオリーとしてはDHとのポジションチェンジが挙げられます。草津で云えばチカが前目に上がり、島田がやや深い位置へ。これでマーカーの混乱を誘います。チカにはミドルシュートもありますしね。
しかしチカの負傷退場で大谷圭志が入ると、中井義樹とふたりともアンカータイプの選手が並び、攻めねばならないのに守備の駒が揃う事態になってしまいました。このあたりの運もこの試合にはありませんでしたね。

後半、草津が意地を見せる間もなく、ゲームはあっけなく決まってしまった。後半開始直後45分。岡山の意表をついた技ありのミドルシュートがGK高木の頭上を越えてネットを揺らす。その4分後、カウンターからのクロスに北嶋が合わせて3−0。79分にはディエゴがPKを決め、終わってみれば柏の4−0。点差がついたことでゲーム運びに余裕が出てきた柏に対して、草津は為すすべがなかった。

後半直後のこれまたお見事な追加点を挙げられ、万事休す。その後は攻め手もないのに攻勢に出て、チームを押し上げてはカウンターを受けて失点する悪い流れが続きます。足元にスピードなく繋ぐパス、連動のない走り。組み立てを失ったチームは個々で状況を打開できません。それが草津の見つめなければならない現実。だからこそチームで戦う力を上げていく必要があるわけですからね。そして相変わらず籾谷の右サイドが猛攻に晒され、DHの中井が絞り、大谷と逆サイドの佐田も絞らざるを得ない状況で、柏にサイドチェンジされて再三ピンチを迎えます。GK高木と尾本の頑張り、柏のフィッニッシュミスに助けられて失点しなかったのは運の要素も強いでしょう。
0−4になってからは柏がペースダウンしていきます。しかし草津は前線に起点がないのでカウンターを恐れて走ることも押し上げることも躊躇気味。相手の運動量を奪うにはこういう戦い方もあるのだと教えられましたね。こういう面も完敗です。それでもアンカーを大谷に任せ、攻守に奔走した中井の頑張りが光った試合でもありました。チカの欠場が長引くようならば、中井オフェンス参加&大谷アンカーのコンビで中盤の底を支えていくのも有効かもしれません。
試合は、後半途中からキャプテン・マッスル佐藤正美と吉本淳が投入され、1点をとりにいきますが佐藤が2度の決定機を外して試合終了。今季は出来るだけ決めていこうな。今後は0−1とか0−0もあるだろうから。頼むよホントに。

植木繁晴監督(草津
「力の差を見せつけられたという感じ。力の差を走る部分でカバーさせようとしたが、鳥居塚、チカと守備のポイントとなる選手がいなくなり、チームとしてキツくなった。失点後は、それでも冷静にゲームを進めていたが、後半開始早々の一発で完全にリズムが崩れた。今シーズンはこういうゲームの繰り返しだと思うが、敗戦の悔しさを常に持ち続けることが重要ということを選手に伝えた」
Q:相手は、草津への攻略法を示したのでは?
「両サイドを狙われるのは分かっていたが、今回、ケガ人などで人が入れ替わったので対応が難しくなった。全員が同じレベルではないということ。今日は、高い位置から入っていこうとしたが、うまくいかなかった」
Q:運動量が足りなかったのでは?
「相手が動かすボールに対して収まりどころを絞りきれず、行きたくてもいけない状況になってしまった。運動量が足りなかったというよりは、運動量を出し切れなかった」

さて今後ですが。草津は3−5−2を続けていくでしょうから、この布陣の肝である両SHの育成は不可欠です。そして3バックのサイド、特に右CBサイドをどうするか、ここがチームの当面の課題でしょうね。FW高田とOH島田、DH中井がもっと積極的にパスを受けに寄るか。山崎ももっとコーナーへ進んでクロスを上げるなどプレーの幅を増やすか。守備にも回れる依田光正を起用するか、ドリブルでアクセントがつけられる後藤涼か。それと「帰ってきたロケットスロー」里見仁義のキープ力も捨てがたいですね。
幸い、開幕戦で元J1神戸相手に勝ったことで1勝1敗で10日間の猶予期間を得ました。植木さんの修正が入り、選手もふたたび走り撃つサッカーを繰り広げるべく努力してくれると思います。なにせあと46試合もありますのでね。シーズンチケットもまだ1枚しか使ってないし。シーズンチケット購入者は次の90分、次の次の90分のチケットも買っています。そこまで応援するつもりなわけなので、チームもあと46試合×90分、また苦しい試合もあると思いますが、今の90分がダメでも次の90分、次の次の90分のために「走撃」サッカーを続けてもらいたいと思います。

*1:ツエーゲン金沢監督就任おめでとうございます。後でまとめてエントリーにしますです。