J2第34節、東京ヴェルディ戦。5試合負けナシ、もう一歩。

3戦目で勝ち点獲得。

盆休みが明けてしまい、味の素スタジアムに応援に行くこともかなわず、スカパーでの観戦でした。
ここ2試合、まず鳥栖戦では島田様の強烈ミドルで勝利を挙げ、続く横浜FC戦はロスタイムに追いつく敢闘を見せながらドロー。ともに苦しく、上出来とはいかない試合内容でしたが、それでも勝ち点をゲットできるところにチームの成長が窺えると思います。ヴェルディ戦の内容で触れていきますが、鳥栖戦の前、柏戦から採用した4バックシステムで、イレブンが各々の役割をこなしてくれているところが大きいと思っています。まず、試合の結果をJ's GOALより。
http://www.jsgoal.jp/result/20060200030320060819_detail.html

●J2第34節(8月19日19:04/味の素スタジアム/4,482人)
東京ヴェルディ1969 1−1 ザスパ草津

得点 62分:石川竜也東京V) 71分:高田保則草津
警告 18分:齋藤竜草津) 37分:田中淳草津) 43分:島田裕介草津) 61分:齋藤竜草津)→退場  64分:根占真伍東京V) 72分:海本幸治郎東京V) 88分:一柳夢吾東京V) 89分:平本一樹東京V
交代  HT:喜名哲裕永井秀樹東京V) 60分:菅原智根占真伍東京V) 74分:吉本淳中井義樹草津) 78分:マルクス齋藤将基東京V) 89分:高田保則→太田恵介(草津

結論としては、10人で追いついたんで、勝ち点は2点もらえませんか「攻守ともにチームとしての意図が伝わる内容。個々の役割も明確になり連携も向上し、10人でも優勢に戦えたのは収穫。出来れば11人のままで、90分戦った結果を見たかった試合」ですね。
11人のまま戦っていれば間違いなく勝てた、と云うつもりではありません。1人減ってしまえば、どうしても修正なり制限は必要になってしまいます。この試合の草津の出来を考えると、もっといい「走撃」を、90分間見られたかなあ、とは考えてしまいました。
前節の横浜FC戦では、先制して引いた相手にスペースがなく、苦戦を余儀なくされましたが、東京ヴェルディは順位的にも、チーム(監督?)の姿勢でも、やはり攻勢を主とするチームだけに、草津がつけ入るスペースも生まれます。そういう点でヴィッセル神戸と並んで「走撃」しやすい相手であり、攻守の連動がうまくいくと10人でですら試合のアドバンテージをとれたのは確かな成長だと思います。
そして、1人減った直後に先制されても、戦いの内容に手応えがあるのか、最近の負けしらずが自信になっているのか、うつむくことなく挑みつづけ、同点に追いつき、さらに優勢に試合を進められたことは、チーム全体でも大きな経験であり、収穫だったと思います。やっぱ、勝ち点は2点もらえませんか。
勝ち点2に値する(しつこい)この試合、ザスパ草津のメンバーは以下の通りでした。

●J2第34節ザスパ草津スターティングメンバー
GK:1高木貴弘
DF:5チカ 4齋藤竜(C) 25 田中淳
MF:11寺田武史 8大谷圭志 6鳥居塚伸人 10島田裕介 7佐田聡太郎 
FW:9高田保則 20吉本淳
●サブメンバー
GK:22北一真 DF:3依田光正
MF:15中井義樹 FW:24太田恵介 14佐藤正美
●キックオフフォーメーション(4−4−2・トレスボランチ)
−−高田−−吉本−−:太田・佐藤
−−−−島田−−−−:  
−チカ−大谷-鳥居塚-:中井
寺田−−−−−−佐田:依田
−−田中−−齋藤−−:
−−−−高木−−−−:北


大谷圭志、ついに味の素スタジアムに立つ。久々の先発でもあり、病気回復からの復帰戦でもあり。本当に良かった(涙)
ザスパ草津JFLシーズン、前期後半の停滞期にFC東京からレンタル移籍。デビュー戦で決勝点をあげ、その後は中盤に安定をもたらし、後期躍進とJ加盟の功労者となりながら大塚製薬戦で大怪我。そのまま完全移籍するも昨季は出場なく、今季も病気になってしまったりとあまり出場出来ていませんでしたが、この試合では植木監督が明確かつ重要な役割をもって起用してきました。試合後の植木監督コメントより。
http://www.jsgoal.jp/news/00036000/00036960.html

植木繁晴監督(草津):
Q:大谷選手が久しぶりでしたが?
「今日はマルクスをマークしなさいと指示して入れました。そこに関してはマルクスは殆どボールを触れていない。よくやってくれたと思います。ただ向こうのポジションが違っていたので違和感があったかもしれませんが、彼個人の評価としては満点に近いと思います」

植木さんに「満点に近い」と云わせた大谷。本来はアンカーですが、相手の中心選手のマンマークを主として指示されています。「満点に近い」のは要求されたマンマークに加えて、本来のアンカーの仕事もテレビでも確認できるくらい、こなせたことが大きいのではないでしょうか。本当に素晴らしい出来だったと思います。上々の復帰だった大谷と草津イレブンの戦いは、J's GOALのレポートより。
http://www.jsgoal.jp/news/00036000/00036976.html

【J2:第34節 東京V vs 草津 レポート】東京V、数的優位を生かせずドロー、上積みは勝ち点1のみ。草津は5試合負けなしに。
(前略)
この試合、草津はアグレッシブに挑んできた。「東京Vはここ何試合か(精神状態が悪く)人が連動せず、攻めきれていない。そこが突き所だから積極的にいきなさいと指示しました」と植木監督。

東京ヴェルディは、リーグ下位の愛媛、湘南、草津相手3連戦で3連勝、勝ち点9獲得をもくろんでいたと思います。しかし実際にはここまで1−4、0−3の連敗で勝ち点0。チーム中軸の大野選手の負傷離脱から、新たに獲得したマルクス選手を加えたシステムへの転換をシーズン中盤に余儀なくされるなど、不本意なチーム構築もあってなかなかスムーズにチームが連動していないようです。第2クールに敷島で、流れるようなパス回しからコテンパンにされた試合を思い出すと、チームづくりの難しさを感じます。まあ、第3クールにそういう状態で再戦できること自体は、ありがたくも思っちゃうわけですが。

その言葉通り草津は鳥居塚のミドル、FKからチカと、開始早々東京Vゴールを脅かしにかかる。奪って速い攻めを明確に打ち出し、10分には左サイドを突破した寺田からのクロスに吉本がフリーでシュート、続けて高田が中央をドリブルで持ち込み正面から狙う。

試合開始からボールが落ち着いた3分くらいからは草津のペースに。マルクスに大谷がマンマークと着いたためか、ヴェルディの攻撃は(草津から見て)右サイドからの展開とロングボールに終始し、かつ全体に間延びしてくれたので、スペースを活かし攻守の切り替えの早い、ややカウンター気味に攻撃を仕掛けることが出来ました。右からは島田、左からは寺田や流れた高田からのクロス。セットプレーで攻め立てます。

更に22分、ボールを受けた島田が中央から吉本に浮き球のパス、吉本は迷わずシュート。

これが前半最高のカウンター、最大の得点機でした。ゴール前からのクリアーを自陣高い位置で吉本がヘディングで島田に渡します。そこから吉本は相手選手を一人ひきつれながらもゴール前に全力疾走。島田はそのまま敵陣にドリブル開始、中盤の相手4人をひきつけます。前線の高田は中央から、左サイドへスライド。DF1人をひきつけて、吉本が飛び込むゴール正面のスペースを作ります。島田は前後2人づつに挟まれながらも吉本のスピードに合わせてループパス。どんぴしゃりで吉本の前に。吉本は1人をひきつれながらもファールでしか止められない位置とスピードで前進、GKと正面を向いたまま1対1に。ペナルティエリア直前まで進んでシュート。これがGK高木義成のジャンピングファインセーブに阻まれますが、キチンと枠に飛ばしました。まあ、GK褒めるしかないでしょう。島田様のブログコメント同様、決めてほしかったけど(苦笑)
それでも自陣から敵陣深くまで、ナイスランニング、ナイスシュート、吉本。いい「走撃」でした。吉本、高田、島田の3人で、相手6人を破るカウンターは素晴らしかったです。フィニッシュまでのイメージが共有できていたんじゃないでしょうか。高田にも手応えがあるようです。
http://www.jsgoal.jp/news/00036000/00036962.html

高田保則選手(草津):
「(前略)チームはこれまで守備が好調だったけど、今日は攻撃も良かったですね。カウンターの鋭さも見えたし、あと課題は引いた相手をどう崩すかということと、リスクを冒して出て行くときにまだまだ人数が少ないのでもっと運動量を増やしていくことです」

カウンターはとても鋭かったですし、引いた相手の崩し方は、おそらくどのチームにも長らく課題になるテーマだと思います。リスクを冒して出ていくことに関してはちょっと後述しますが、出て行く人数が少ない点はサイドから中に切れ込む山崎、里見、後藤らが投入されないと、このスタメンと布陣だと難しいかもしれませんね。
前半に両サイドを抉ってクロスを挙げるシーンは数回ありましたが、ゴール前には確かに1〜2名しか飛び込めません。この試合では吉本が担当することが多く、最後に飛び込むスペースを空けて、クロスと同時にチェンジ・オブ・ペースでDFより1歩前に飛び出てシュートまで持ち込もうとしたりと、ただゴール前に立つのではなく1人なりになんとかしようとする工夫が何度も見えます。難しい技でもあり、この試合ではゴールに結びつきませんでした。でも、もうちょっとだと思うんですけどね。実際、DF複数vs吉本1人でも、ボールには触れられていますし。個人的には、吉本が今後この形でゴールを稼いでくれると思います。いや稼いでくれ。本当に、もうちょっとだよ。
話は変りますが、先ほどのカウンターシーンでの島田を4人で囲んだ場面で、誰が島田に寄せるのか決まっていないように見えました。この試合のヴェルディは対島田のマーク、チェックが緩く、かなりフリーに動けましたね。ちょっと最近の試合では珍しいくらい島田が敵陣内で前を向いてプレーできていたように思います。第1、第2クールの対戦では、DMFが厳しくマーク、早く寄せてきた記憶があるのですが。

GK高木の好セーブもありなんとかこの時間を耐えた東京Vは、ようやく30分頃から反撃開始。が、セットプレーからは長野、ゼ ルイスが惜しいシュートを放ったものの、流れのなかではビッグチャンスを作るまでには至らず。

ヴェルディにセットプレーからシュートを放たれ、枠に飛ばされますが、これはこちらもGK高木が好セーブ。

攻撃の要・マルクスはピッタリとマークに付く草津MF大谷をかわせず、まだ互いを理解し切れてないように見える2トップも含め、草津の守備を崩し切るのは難しい状況が前半終了まで続いた。

大谷はキチンとミッションをこなしましたね。

●大谷圭志選手(草津):
「先発は木曜日に言われました。急に言われたのでビックリしました。自分としても溜まってたものがあったので、毒素を出したいと思ってました(笑)。
監督からは試合前からマルクスのマークを指示されていました。思ったより動かなくて、あまりボールも入ってこず簡単でした」

「簡単でした」って、まだ毒素が少し残っていたか(苦笑) マルクスだって川崎で大活躍した選手ですし、東京Vに慣熟したら、さらに危険な存在だと思います。久々の出場で試合勘も心配でしたが、不敵なコメントを出せることに安心しました。自身のプレーの手応えがあったのだと思います。マンマークだけでなくCBがボールを持って前進するときには下がって空いたスペースを埋めてアンカーとして機能していました。その役割を安定感をもってこなしてくれることもあり、チカと鳥居塚はこの試合、交互に相手ゴール前に詰めていきました。先ほどの高田のコメント「リスクを冒して出て行く」に関しては、チカなり鳥居塚なり中盤が上がっていく他ないと思いますが、大谷のスペースケアで、冒さねばならないリスクもかなり低くなっていると思いました。
島田トップ下に大谷のアンカー、チカと攻撃参加と鳥居塚のパスの展開とフィード。まだ中井も控えていますし、大谷の復帰は草津の中盤の可能性を拡げてくれたと思います。
ともあれ、前半終盤では東京Vの時間帯でしたが0−0で前半終了となりました。まずまずの経過ですが、惜しいカウンターやセットプレーなどの得点機会もあり、こちらの時間帯に得点したかったところでした。
(つづく)