高崎競馬場跡地利用問題、専門家意見交換会の結果が発表される。

関連エントリーはこちら。http://d.hatena.ne.jp/SH77/20050629#1120119924http://d.hatena.ne.jp/SH77/20050321#1111369449http://d.hatena.ne.jp/SH77/20050324#1111649660http://d.hatena.ne.jp/SH77/20050615#1118846944に。
高崎競馬場跡地の利用について、若干ですが動きがありました。
以下に競馬場廃止からここまでの流れを簡単にまとめると。県内の在来線が集まり新幹線も停車する高崎駅から歩いて10分の位置に生まれた広大な競馬場跡地の利用方法について、各所から様々なアイデアが上がりました。その中には高崎市サッカー協会とJFLアルテ高崎が中心となってサッカースタジアム建設の要望があり、署名活動などが行われてきました。群馬県高崎市行政は2005年6月に「旧高崎競馬場跡地利用検討連絡会議」を設置し、07年度に契約が切れるJFA場外馬券発売所以降の跡地の活用方法を検討することになり、06年まで大きな動きが報じられないまま07年となりました。
大きな動きはありませんでしたが、06年の11月と今年1月19日に10人の専門家で構成される意見交換会が2回行われ、今月22日に群馬県庁公式で結果の概要が発表されました。群馬県庁と新政策課より。注目部分をアップして。
http://www.pref.gunma.jp/index.html
http://www.pref.gunma.jp/cts/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=30862

●旧高崎競馬場跡地の利用に係る専門家等意見交換会の結果概要
4 主な意見
(1) 競馬場跡地が持つ性格や担うべき機能について
・交流拠点機能、アクセス拠点機能、防災機能を担う場所。
・政治・経済・文化の諸活動の分散型ネツトワークにおける広域連携拠点機能や防災拠点機能を担う場所。
・文化、術、公園、病院、特養等の公共的機能や県外に物産、産業、歴史を発信する戦略的機能を担う場所。
・東京都における新宿新都心のように、高崎駅至近でまとまった面積を持っている都市再生にとって貴重な意味を持つ土地。
・内陸交通網の拠点都市高崎に存在し、群馬の「顔」又は「玄関口」としての機能を持つ場所。
高崎市域や県域にとどまらず、県域を越えた範囲からも有効活用されるべき土地。
・新幹線駅から徒歩圏にある広域的な需要に対応できる土地で、公共、公益的機能を担う場所。
群馬県の将来のあるべき姿を見据え、立地条件に恵まれた高崎市民、群馬県民にとっての重要な資産。

基本的な考え方として8項目が挙げられ、いづれの意見にも県内のみならず県外まで考慮した公共の利用が意図されています。高崎市の都市開発のみならず、群馬県の今後30年くらいまで影響を及ぼしそうな土地であり資産ですものね。

(2) 競馬場跡地の総合的な評価及びアイデアについて
○アイデア
・多目的の大型催し施設、図書館、バスターミナル。
・群馬の精神性を尊重した文化的レベルの高い施設(公園(防災)、文化(紙文化)資料研究センター、展示スペース、シアター、シンフオニーホール、図書館、国際会議場、宿泊施設)
・県内向け文化・芸術、癒し機能を持つ都市公園、病院、特養、子ども関連施設の併設施設。
・教育、研究、文化、スポーツ、住居の各施設と行政機関の複合エリア。
・「高崎らしい」オリジナリテイや歴史的景観、建築遺産を活用し、場所性を重視した計画に基づく整備。
・行政機関、多機能マンシヨン、優良住宅、研究機関、教育施設の誘致、移転。
・近県からも誘客出来るコンテンツを備えた音楽ホールやコンベンシヨンセンター、図書館等の機能を集約した複合文化施設
・地域コミュニテイと行政が共生できる新しい場として、行政機能と居住機能を整備。
・芸術文化施設、広域医療施設、スポーツ施設、防災公園、教育施設、行政機関等の整備。

跡地の評価については5項目挙げられていますが、跡地の性格や機能と重なる部分が多いのでここでは除き、具体的なアイデアとして挙げられた9項目を引用いたしました。学術教育施設、医療福祉施設の意見が多くを占め、サッカースタジアムは具体的に名前が挙げられていません。スポーツを含む複合施設という文言はありますが、専スタ構想とは云いがたいと思います。集まった専門家が商工会議所や観光協会、大学教授の方々で構成され、スポーツの専門家が入っていないことも影響しているかもしれません。ただ現状としてはサッカースタジアムや大規模スポーツ施設は厳しいようですね。具体的に「サッカー」のキーワードが出てくるのは「アイデア」の次項目「留意点」になります。

<留意点>
・長期的視点に立ち、県民や市民の「本当の」ニーズを精査しながら慎重に検討。
・短期的利用と中長期的利用に分け、暫定利用しながら構想を検討。
 ※貴重な空間を次の世代に残すことも検討。(将来を見据えて現状維持)
 ※短期的に緑地(都市、防災)公園、避難施設、サツカー、野球場、簡単なスポーツが可能な空間。
・民有地部分の散逸を防ぎ、土地の確保など一体的利用ができる方策を検討。
・周辺が住宅地であることや高崎駅西口の集積、再開発を阻害しないため、商業機能は回避。
・開発に当たっては周辺との調和を図り、単独機能での利用が困難な場合は複合的に利用。
・都市及び跡地の「敷地境界線」を超えた発想を重視。
・アクセス道路の整備等のため、競馬場跡地を含む周辺地域の区画整理を実施。

7項目が挙げられており、その一つに「サッカー」が含まれていますが、あくまで「短期的に公園や緑地として使用される間はスポーツなどで利用できるように・・・」という意味であり恒久的な施設というわけにはいかないようです。
一サッカーファンとしてはアクセスが良好なサッカー専用スタは大変魅力ですが、高崎競馬廃止の理由が「赤字」である以上、黒字が出せるとは云い難いサッカースタジアム建設で県内サッカー界が批判を浴びるのは避けたほうが良いと思われますし、一県民としては使う税金に見合う公共施設ないし地区開発が行われてほしいと考えます。とにかく跡地を分割せずに利用する方針は固まっているようですし、跡地の民間の地権者の方々が困らないよう、これからも検討していただきたいですね。