Jリーグ、プロA契約選手に最低年俸基準の導入を検討。

関連エントリーはこちら。http://d.hatena.ne.jp/SH77/20041012#1097543331に。
スポナビ経由の共同通信2月21日付より。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jtoto/headlines/20070221-00000011-kyodo_sp-spo.html

●最低年俸を480万円に サッカーのプロA契約選手
Jリーグが、契約ランク最上位のプロA契約選手に年間480万円の最低基本報酬を保障する制度を新たに導入する方針であることが21日、明らかになった。2008年度からの契約制度変更を目指している。選手の地位向上と待遇改善を求めるJリーグ選手協会が導入を要望していた。
(中略)
プロ選手の契約はA、B、Cの3ランクあり、いずれも最低額に関しては規定がない。A契約は1年目だけは基本報酬が年700万円以下で、その後の上限は無制限。

上記の関連エントリー、「選手会は最低年俸保障を勝ち取るべし」と主張した過去エントリー再掲します。元記事はすでにリンク切れです。
http://www.gendai.net/contents.asp?c=044&id=15900

●年俸最高1億円、最低は60万円
Jリーグの年俸制度は複雑である。まずは「A契約」。これはJ1で公式戦450分出場、J2で900分出場が条件となる。さらに初めて契約を交わす選手は「700万円を超えてはいけない」という上限が設けられている(2年目からは無制限)。
高卒、大卒ルーキーなどJリーグの出場実績のない選手は「C契約」となる。年俸は「480万円以下」「出場報酬は1試合5万円以下」という規定がある。
「高卒300万円、大卒400万円がルーキーの平均年俸だが、とんでもなく低い選手もいる。(中略)それでもJ2よりは恵まれている。J2ではプロ2、3年目でも年俸120万円クラスはザラ。月5万円の年俸60万円という選手もゴロゴロいる。(後略)

(元記事はここまで。以下自分のコメントです。)

プロ野球みたく「ストまで張ってなんとかしろ」とは云わないが、最低年俸基準は勝ち取るべし。「あまり低ければ契約を断ればよい」とか「金よりも夢を追う職業を選択したのだろう」とかの主張もあるだろうが、それはあくまで外野の意見。直接の利害が生じる選手会が動かねば、誰も、ましてやフロントは自主的にそんな基準を作ってくれないぞ。

このエントリーから約2年半、事態が適正に進行しているようです。
現行契約制度は年俸高騰を抑え、クラブ破産を回避することを意図して設けられたものですが、選手や選手を目指す人達からすれば、いくら浮世離れした職業とはいえ、あまりに低い年収はプロキャリアを逡巡させるものでもあります。また才能ある若い素材が経済的な事由からサッカーから離れることを促進する要因はないに越したことはありません。
ただこの見直しが実現すれば、Jクラブは規約で「A契約選手5名以上」が要求されていますから、この時点で人件費は約2500万円が必要となり、全体の人件費も確実に上がることが予想されます。同時に人件費抑制のためにA契約を結べる時期になったC契約の選手が安易かつ多数切られたり、また人件費抑制のためB・C契約選手を多く活用してA契約選手を減らしたりするクラブが出てくると予想されます。また、そうせざるを得ないクラブも出てきそうです。
まあA契約を結ぶまで実績を積んできた選手は、最低基準がないとはいえ、明日をも知れぬ収入しか得ていないとは考えにくいので、出来ればB・C契約選手それぞれの最低年俸基準も交渉し勝ち取ってもらいたいと思います。上記再掲したゲンダイの記事どおりならば、年俸60万円の境遇にある「Jリーガー」をなんとかするのが日本サッカー界全体にとってプラス。「サッカーで飯が食える人間」が増えれば増えるほど才能が集まり、一部の高給取りのスター選手がさらに高給取りになるよりも、全体的には健全な発展があると考えます。

●参考リンク:Jリーグ公式「プロサッカー選手の契約・登録・移籍について」
http://www.j-league.or.jp/aboutj/2006pdf/20.pdf
*PDFファイルですので、開く時はご注意を。