J2第2節、徳島ヴォルティス戦。寒い赤城颪と試合と観客数と。

SH772007-03-13

開幕の国立競技場が望外に暖かった反動か、ホーム開幕戦は敷島名物「赤城颪」が吹き荒れる寒風の中での試合となりました。BH立ち見席は日当たり良好かつ密集隊形だったので、少しはマシだったのかもしれませんが、久々に寒さが凍みる観戦でした。まずはJ's GOALより結果を。
http://www.jsgoal.jp/game/2007/20070200030120070311.html

●2007 J2第2節(3月10日/敷島県陸/2,634人)
ザスパ草津 0−0 徳島ヴォルティス 
得点 これまた寒いことに  
警告 51分:田中淳草津) 54分:チカ(草津) 62分:松浦宏治草津) 
交代 76分:大島康明小林康剛(徳島) 78分:桑原剛山崎渡草津) 82分:ダシルバ→岡本竜之介(徳島) 86分:小山拓土→挽地祐哉(徳島) 

強風という気象条件、開幕大敗というチーム状況、互いが守備基調の展開と、諸条件が揃い過ぎて見た目が地味かつ消化不良な結果となってしまいました。個人的には「ホーム開幕戦なのに、こんなに消極的かつ見た目面白くないサッカーを見せていれば、観客は減ることはあっても増えないんじゃないか」という感想を持ちました。しかし同時に「大敗の後で連敗は出来ない。シーズンを見据えればチーム状況とメンタリティ改善の重視もやむ無し」という中長期の視点も頭にあるので、ただただモヤモヤ感だけが残る試合でした。試合の内容については、この日のメンバーと布陣から。
http://www.jsgoal.jp/result/20070200030120070311_detail.html

●2007 J2第2節 vs徳島ヴォルティス スターティングメンバー
GK:1本田征治 
DF:7佐田聡太郎 4田中淳 5チカ(C) 3尾本敬 
MF:6鳥居塚伸人17秋葉忠宏 18櫻田和樹 15桑原剛 
FW:9高田保則 20松浦宏治
●サブメンバー 
GK:21常澤聡 DF:2寺田武史 
MF:8山崎渡 10中井義樹 FW:11氏原良二
●キックオフフォーメーション(4−4−2・ドイスボランチ
−−松浦−−高田−−:氏原
桑原−−−−−鳥居塚:山崎
−−櫻田−−秋葉−−:中井
尾本−−−−−−佐田:寺田
−−チカ−−田中−−:
−−−−本田−−−−:常澤

東京ヴェルディ戦で使用した3−4−3から、今季の標準形になる4−4−2に戻して布陣しました。目を引くのは左SBが寺田ではなく本来CBの尾本が入っているところと、開幕で先発した松下の代わりに秋葉がDMFに入っているところです。尾本のSB起用はサイド守備重視と、チカのオーバーラップ時の守備フォローを任せられているように見えました。また開幕戦では劣勢の中で奮起してくれた松下ですが、J's GOALの伊藤さんのレポートによるとインフルエンザでの欠場だそうです。松下が欠場しても秋葉も中井も健在なところに、今季の層の厚さが窺えますね。松下も早く新しい顔と交換して体調を整えて復帰してもらいたいです・・・復帰・・・フッキ・・・変な頭痛が・・・なにか・・・思い出せない・・・。
http://www.jsgoal.jp/news/00045000/00045476.html

【J2:第2節 草津 vs 徳島 レポート】ゲームの主役は「風」。上州名物「空っ風」が猛威をふるった試合は、スコアレスドロー
草津のホーム開幕戦は、大荒れの試合となってしまった。とは言っても、荒れたのはゲームではなく、天候だ。スタジアムは試合前から、群馬特有の「空っ風」が猛威をふるい、キックオフ直前にはピッチサイドのベンチボックスが風に煽られて傾くほど。この信じ難い猛風によって、ピッチ周辺のアドボードはすべて横に寝かせられた。こんな状況で試合を行うのは、両チームにとって「酷」以外の何ものでもなかった。(後略)

試合後の両監督と選手達のコメントでも強風下の試合の難しさを語っていましたね。云うまでもなく草津もJに入る以前から「からっ風」の下でサッカーをしてきていますが、レポートにあるとおりスポンサー看板が次々となぎ倒されたので寝かせて並べることになったり、ベンチボックスが揺らいで動いたりすることは過去に例がありません。しかも風が一定でなくホーム側からアウェイ側、時にメイン側からバクスタ側へと風向を変える上に突風がランダムに吹く、大変ボールコントロールの厳しい状況でした。なんでも瞬間最大風速は20Mだったかとか。

(前略)草津は徳島の素早いプレスと、追い風に苦戦。「風上の前半の方がゲームを組み立てるのが難しかった」(櫻田)。中盤でパスをつなげることができずに、ゲームは次第に徳島のリズムへと移行していく。しかしながら、徳島も中盤でこそボールを奪うことはできてもゴール前まで運ぶことができない。上空を舞う強風が互いのパスを狂わせ、両チームともに決定機をほとんど演出することなく、前半が過ぎていった。

この日の草津の攻撃は、櫻田ないし秋葉を起点として左SHの桑原か右SHの鳥居塚、またはポスト役の高田に収めるかライン裏へロングパスを送る形でした。しかし強風下ゆえ足下へのパスが多かったのと、両SHか高田にボールが入った時に素早く2〜3人でプレスを掛けられたため、なかなか機能しませんでした。両SHは試合後にそれぞれ自らの不出来を語っています。
http://www.jsgoal.jp/news/00045000/00045451.html

桑原剛選手(草津
「今日は、自分のプレーが出来なかったので0点です。風の影響もあり、自分がイメージするプレーがまったく出来なかった」
鳥居塚伸人選手(草津
「風が強くて、ボールが前に入っていかなかった。トップで収めることができなかったので、キャンプから取り組んできた3人目の動きが出せなかった」

徳島の守備意図が「やや低めに整った3ラインを敷きーの → スペースもパスコースも消しーの → パスをサイドに開いた桑原か鳥居塚に限定させーの → どちらかにパスを受けさせーの → まずFWへの縦パスコースを切りーの → ライン際に複数で囲い込みーの→トツギーノボール奪取!」であったことに加えて、草津が勝つこと以上に負けないこと、先制されないこと、守備体型をむやみに崩さないことを意図して両SBがほとんど攻撃参加をしなかったので、パスコースも攻撃の選択肢も減ってしまい、プレスの餌食になる損な役割になってしまいましたね。あまり凹まずに次節に臨んでもらいたいです。
左SBの尾本はセンターラインをほとんど越えず、フィードも強風と徳島の守備に封じられてサイドで罠を張られた桑原へのパスを出すか横パスに終始し、右SBの佐田は対面の「徳島ヴォルティス・左の翼」こと片岡功二とのにらみ合い。

佐田聡太郎選手(草津
「攻撃は風の影響を受けたが、守備は90分間集中して守ることができた。4バックに関しては収穫が大きかったと思う。あとは、チームで点を取りたい」
片岡功二選手(徳島)
「風の状況はどちらも一緒なので、なんとか1点を取って勝ちたかった。守備に関してはまとまっていたと思うが、攻撃の方が得点に繋がらなかった。個人としては、もっとサイドで勝負しなければいけなかったと思う」

佐田と片岡が互いを攻守に潰しあい無効化した展開は、両チームともに大きな攻め駒を失くしたのと同義で、消極的な試合になった一因だと思えます。しかし守備の面では佐田・尾本ともに不安はなかったので、守備的4バックとして機能したのではないでしょうか。尾本はチカの攻め上がりのフォローもさすがCBらしくケアしてくれましたし。
一方、狙い通りの守備からボールを奪取した徳島も、やや低めの位置どりのためチーム全体の押し上げがどうしても遅くなり、逆に草津中盤のプレスで潰されたりサイドの攻撃参加が単発だったりしてなかなかシュートにいけません。エースFW羽地がチカのマークでほとんど活きなかった部分もあると思います。しかし草津は自陣やペナルティエリア付近で幾度となくファールを犯してFKを与え、ゲームの主導権も徳島に与えてしまいました。草津は昨季のPK失点の多さの反省から、ペナルティエリア外での守備を徹底しているそうですが、いくらなんでも簡単にいい位置でFKを与えすぎです。幸い無失点で試合を終えられましたが、国立ではフッ・・・変な頭痛が・・・(以下略)
ともあれ前半は風上の優位も、徳島の守備に封じられて得点はおろか満足なシュートもほとんど撃てませんでした。ただ守備を整えていたため、FKの脅威はあったものの無失点で乗り切りました。失点を避けたいチーム同士の典型的な消耗戦ですが、どうしても見栄えは地味になってしまいます。風でパスがつながらないし。中盤で互いに潰し合いばかりだし。そんな状況でJ初主審だった勝又さんの笛ですぐに試合が止まるし。正直、前半はあまり面白い試合ではなかったですね。

サイドが替わった後半になっても、風は一向に止む気配を見せない。両チームにとっての敵は相手チームではなく、明らかに「風」だった。「風下の前半は守って、風上の後半で点を取りに行きたかった。1点さえ取れればゲームを終わりにすることができた」と片岡。徳島は71分に、CKから立て続けに巡ってきたビッグチャンスを決め切れなかったことが悔やまれる。草津は終盤こそ意地を見せたが、ゴールへの道のりは遠かった。結局、両チームは最後まで、「風」を味方につけることが叶わなかった。

レポートどおり徳島は後半も得ていた再三のセットプレーで得点できず、草津は命拾いの形になりました。よくもまあ失点しなかったものだと思います。上記の片岡のコメントどおり、どちらかがセットプレーで得点していればそのまま決勝点になるだろう展開でしたし。そして徳島が好位置でセットプレーを繰り返し行えていましたからね。
そのセットプレーでもチカと田中のハイボール処理は安心して見ていられたのですが、そもそもFKの起因となるペナルティエリア付近でのファールで幾度とFKチャンスを与えているようでは(PKよりマシとはいえ)、今後の対戦相手にも得点の好機と試合の主導権を渡し続けることになるでしょう。今季から始まったことではありませんが、CBに限らず簡単にファールで止めてしまう守備は、徐々にでも改善していってもらいたいです。ハードチェック推進、ファール撲滅。
草津は後半、松浦の単独突破からのカウンターでこの試合最大のチャンスを得ますが、他選手の攻め上がりが消極的なので遅く、ゴール前への折り返しのパスが唯一詰めた鳥居塚に合いませんでした。これはカウンターですが、今季はセカンドストライカー(チーム的には「3人目の攻撃」と表現)が得点のカギとなりそうなので、こういう好機での組み立ては選手同士でよくよく詰めておいてもらいたいですね。
繰り返しですが、この試合の佐田は片岡とマッチアップの状況で、両SHがパサータイプの上に寺田もベンチ。サイドを抉ってクロスを送り込む選手が2列目以下に不在でした。強いて云えばFWのどちらかがサイドに開いてクロスを上げることになりますから、ゴール前に詰めるセカンドストライカーが必須です。桑原と鳥居塚の双方に高さがありませんから、単純に浮き球をあげればなんとかなるわけではない以上、時には精度の高いグラウンダーパス(この日の風も考慮すればなおさら)が必要です。しかし相手もゴール前は人数かけて守るわけですから、とても難しいことが要求されます。まあ何が云いたいかというと「松浦、あそこは3人抜きの勢いのまま中央に切り込んで撃っちゃえよ」なんですが。
試合も終盤になると、徳島の今井監督は3つの交代枠で次々と攻め駒を送り込みイレブンに「攻めろ」と伝えてきました。植木監督は桑原から山崎への交代1つのみ。守勢を採ります。ところが徳島の攻勢でプレスが弱まり、草津のパスが繋がって攻撃がやや行えるようになったのですから采配は難しいものです。
http://www.jsgoal.jp/news/00045000/00045446.html
http://www.jsgoal.jp/news/00045000/00045445.html

今井雅隆監督(徳島):
「(前略)後半は風上になったので、早いうちに点を取って、逃げ切りたかった。セットプレーも狙いどおりに行かず、得点に結びつけられなかった。風の影響で、両チームともに大味なゲームになってしまったと思います」
Q:今日のチームの課題は?
「サイドからボールは入ったがバイタルエリアでもう一つ工夫が必要だった。どんな態勢でもシュートまでもって行く、最後までやりきることが課題です。それは今日だけではなく、これからの課題でもあります」

植木繁晴監督(草津):
「(前略)開幕戦で5失点して、まずはきっちりと守ることをテーマにしてきたが、0に抑えられたことに関しては評価したい。風で攻撃の形がまったく作れない状況では、今日の結果は仕方がないと思う」
Q:選手交代に関しては?
「後半は、向こうが風上という難しい状況で守りのリズムを変えたくなかったので、選手を代えることが難しかった」
Q:引き分けの勝点1という結果については?
「引き分けというよりも、失点0で終われたことで、チームに安心感が生まれるのではないでしょうか」

交代枠残り2つで尾本→寺田、松浦・高田→氏原で攻勢に出る手もあったと思いますが、植木さんのコメントどおり風下ゆえの守備重視、そして前節の大敗を考えると攻めの交代でチームに「撃ち合い」のメッセージを送った挙句に失点して連敗、というシナリオは回避したかったのだと思えます。このあたりが前節で競り勝っているチームと大敗したチームの差なんでしょうね。
また今井監督のコメントにあるバイタルエリアでの課題は、秋葉の守備がかなり効いていたこともあったと思います。秋葉は昨季終盤に加入してなかなかフィットせず、ともすれば空回りのプレーが目立ちましたが、今季のPSMと徳島戦では「浮いている」プレーはなく、さすがキャンプから参加したベテランは違うなあと思わせてくれました。試合を通じてプレスに囲まれながらもポストプレーで孤軍奮闘してくれた高田とともに、この試合の功労者だと思います。そして試合は徳島の攻勢が続くもスコアレスドローで終了。勝てたかもしれませんが、負けなくてよかったなあ、という引き分けでした。

開幕戦で勝利を挙げ草津のホームに乗り込んできた徳島は、河野、西河らを中心としたDF陣が安定した守備を見せ、草津の攻撃陣にチャンスらしいチャンスを与えなかった。また、「セカンドボールの攻防が重要だと思っていた」というボランチ丹羽のプレッシングの速さには、目を見張るものがあった。今後、ダ・シルバと丹羽のダブルボランチの連携が増せば徳島のチーム力がさらに上がることは確実。最下位をさまよった、昨年の徳島からは完全に脱却したと見ていいだろう。

この試合で徳島について感じたのは「徳島は別のチームに変わった」でした。チームコンセプトが大塚製薬FCから続いた田中監督時代の攻勢主体のサッカーから「4−4−2のリトリート守備でまず受ける。狙いどおりにボールを奪い、攻撃はチーム全体を押し上げていく」という風に今井監督下で変わり、高木監督指揮の横浜FCハマナチオ」か三浦監督時代の大宮のような、しぶとく負けにくいチームに成長していきそうです。今季途中には「渦ナチオ」とか呼ばれるかもしれませんね。
そういう点を考えると、草津にとっては次節「ミトナチオ」水戸戦に向けた良いデータとなるかもしれませんが、水戸は開幕の山形戦では攻勢に出るサッカーを展開していたので、状況は混沌としてきただけかもしれません。開幕と同じく攻めのサッカーをしてくるのか、徳島が暴いた草津の問題点、「1.守備的4バックをサイドから崩す手が少ない 2.両SHを囲んで潰せば攻め手がロングボールしかない 3.セカンドストライカーバイタルエリアにランダムで飛び込んでくるが、DMFどちらかないし2名ともにバイタルエリアのゾーンマーカーとしてシュートを防ぐ」を考慮してカウンターサッカーをして可能性もあると思います。水戸の前田監督には昨季、鳥居塚を中央に置く3バックの弱点を暴かれましたから、今回もあれこれ策を講じてこられそうなので、簡単な試合にはならなそうです。徳島戦と同様に消耗戦の展開もありそうですね。
まあ、相手がどうでも勝ち点をとらないと順位は上がらないので、守備的な相手に対応する組み立てもこれから必要になっていきそうです・・・とはいえ草津を守勢で迎える相手はどのくらいいるんでしょうかね。そう考えると徳島・水戸という順番は他対戦チームとは一線を画するチームとの連戦なのかもしれません。今季も一筋縄ではいかない相手ばかり。まあそれがJリーグであり、そこで戦える楽しみでもあるんだと思います。今年もJリーグが始まったんですねえ・・・あれ・・・もう1試合前になにか・・・変な頭(以下略)