J1清水エスパルスGK、黒河貴矢選手がJ1新潟経由で北信越1部JSCにレンタル移籍。

スポナビ経由で共同通信3月20日付より。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jtoto/headlines/20070320-00000060-kyodo_sp-spo.html

●黒河が北信越Lへ J1新潟
J1新潟は20日、GK黒河貴矢(25)をJ1清水から獲得したと発表した。新潟は黒河を同クラブのアマチュア組織で、北信越リーグ1部のJAPANサッカーカレッジに来年1月末までの期限付きで移籍させる。

最初はなんのこっちゃ、と思った見出しですが、なかなか根深い問題があるニュースです。黒河選手といえば世代別代表に連続選出され、アテネ五輪代表として有名ですが、J1でも多くの出場機会を持ち、また高校サッカーファンには市立船橋高校で「無失点優勝」した時のGKとしても記憶されていると思います。アテネ世代を代表するGKといっても過言ではありません。これほどのキャリアを誇るGKがJ1から地域リーグにまで赴く理由は、GKというポジションの特殊性「試合出場枠の狭さ」にあると考えます。
当たり前ですが、試合に常時出場できるGKは1名、試合中の交代もほとんど望めません。Jクラブは現在31ありますが、毎節のリーグ戦で出場できるGKは日本全体でたった30名に過ぎず(J2は1クラブ試合なし)、年間でフタケタの出場数を得られるGKも40〜50名の間と思われます。この人数が日本でプロレベルのサッカーを年間に経験できる人数なわけですから、狭き門でありGK育成のネックにもなっていると思われます。MFなら毎節120名から出場してプロサッカーを経験しています。途中交代機会もありますしね。
GKの育成については、先のJリーグトライアウトにエントリーし、現在はアルビレックス新潟シンガポールにコーチ兼任で所属されている「海外組・最後の大物」ノリヲ様(´Д`;)ハアハア こと高橋範夫選手がコメントされています。J-SPORTS Webシンガポール07年2月21日付より。
http://www.jsports.info/modules/news/article.php?storyid=139

●第4週 : アルビレックス新戦力紹介Vol.3 高橋範夫 GK兼任コーチ
(前略)

―昨年末にJリーグ合同トライアウトに参加された際に、若いGKがたくさんいたことにショックを受けたそうですが

「将来有望だって言われてたGKも2、3年で芽が出ないと戦力外で落とされてしまう。トライアウトに参加して、そこでプレーできるクラブを見つけられる選手もいますけど、そこでプロ生活を断念せざるをいない選手もいる。それは日本の選手を獲得するところの問題なのか、GKが避けては通れない問題なのかは分からないですけど」

(後略)

やはり出場してナンボ、の世界だと思います。06年の我らが守護神・高木貴弘もその能力は周囲に評価されながらもJ出場試合数はゼロでした。ザスパ草津へのレンタル移籍で年間全48試合にフル出場して「レンタルGK高木」から「オレたちの高木神」に昇格したわけですから。もしかしたら才能を持ちながらも出場機会を得られず、すでにJの舞台から去ったGKもいるかもしれません。
報道内容から類推するしかありませんが、黒河選手も出場機会がJ1新潟ではなく地域リーグであることを了承して旅立ったのではないかと思われます。黒河選手のほかに、昨季は横浜FマリノスのGK飯倉大樹(ヒロキ)選手がJFLロッソ熊本にレンタル移籍、J加盟に取り組むチームのスタメンGKとして濃密な1年間を経験していますし、JクラブのセカンドGKや3、4番手のGK育成のために、JFL地域リーグの望んでくれるチームにレンタル移籍や提携などが積極的に行われるのもよい方法ではないかと思います。とにかく黒河ガンバレ。北信越1部でJを目指す多くのチームにとっては悪い知らせかもしれないのですが。

●参考リンク ウィキペディアWikipedia):黒河貴矢
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E6%B2%B3%E8%B2%B4%E7%9F%A2