J2第14節、湘南ベルマーレ戦。怒りは君を幸せにしたか。

SH772007-05-07

長らくのご無沙汰であります。本日のタイトルは映画『アメリカン・ヒストリーX』に出てくる、主人公が問い掛けられたこの映画のキーとなる重要な台詞ですが、この試合とその結果に当てはまる言葉だと思い引用してみました。

この日のザスパ草津は、FW高田保則の今季初ゴールを含む2得点を挙げ、10人の劣勢時にも果敢に戦いましたが勝ち点はゼロ。ルーキーレフェリーの一貫性のないジャッジ、不可解なPKによる失点と兎にも角にも苛立つ試合で、自分も草津サポですからジャッジの曖昧さに不満を持ちPKには憤然としましたが、草津の選手の受けた警告にはアフタータックルやラフプレーによる当然の警告が多かったのも事実です。そして警告7枚を受けて退場者1名を出し*1追加点を決められて負けたのですから、自滅した試合と云うほかありません。さらに次節にレギュラーDF3名を欠く深刻な事態になり、加えて監督もベンチ入りが出来なくなりました。怒りは君を幸せにしたか。ザスパが一段強いチームになるために必要な問い掛けだと思います。
内容的にも2度追いつくなど、過去シーズンよりチームとして実力が高まってきていることも実感できた試合でしたが、ジャッジに振り回されても苛立ちをラフプレーで発露するのではなく、その怒りを闘志に換えてボールにぶつけなければ一段強いチーム、安定した力を持って連勝できるチームにはなれないのだと思います。展開によっては勝ち点を得ることも出来た試合だと思いますが、得られなかった勝ち点以上に、この試合がまだ若いチームの教訓、メンタル的な糧になってくれることを期待したいですね。鳥さんことベテラン鳥居塚の試合後コメントを読む限りは、よい教訓となりそうです。鳥さんよりベテランの植木さんも退席処分になるまで抗議しなくてもとも思うんですけどね。少なからずイレブンに動揺が走るものですし。札幌戦でも曖昧なジャッジにイライラしていたので不満が積もっていたのかもしれませんが。
http://www.jsgoal.jp/news/00048000/00048163.html

鳥居塚伸人選手(草津
「PKはイタかったが、追いつくことができた。その後退場者が出て交代せざるを得なくなったが、そこからでも勝機はある。(相手を)アツくさせるならいいが、アツくなってしまうのは若さ。判定はどうこう言っても覆るものではないし、それを含めてゲーム運びができるようにならないといけない。連勝はともかく、3連勝4連勝するためには、経験と実力をつける必要がある。昇格するためには、勢いだけでは勝てない。(後略)

まあ、この湘南戦は負けるわ、次節仙台戦でレギュラーDF3名と監督を欠くわと悪い冗談のように高い授業料を払うことになったのですから、ホントに一粒残らず糧にしてもらわないと。総括と試合印象の感想が長くなってしまいましたが、まずは結果とスターティングメンバーをJ's GOALから。
http://www.jsgoal.jp/result/20070200030520070506_detail.html

●2007 J2第14節(5月6日/平塚/3,375人)
湘南ベルマーレ 3−2 ザスパ草津
得点 11分:石原直樹(湘南) 41分:氏原良二草津) 49分:アジエル(湘南) 55分:高田保則草津) 82分:斉藤俊秀(湘南) 
警告 43分:チカ(草津) 49分:田中淳草津) 53分:氏原良二草津) 66分:藤井大輔草津) 73分:藤井大輔草津)→退場 76分:尾本敬草津) 81分:原竜太(湘南) 82分:高田保則草津) 
交代 59分:後藤涼桑原剛草津) 74分:鳥居塚伸人尾本敬草津) 81分:冨山達行永里源気(湘南) 86分:氏原良二松浦宏治草津) 87分:原竜太外池大亮(湘南) 89分:アジエル鈴木将太(湘南)
●2007 J2第14節vs湘南ベルマーレ ザスパ草津スターティングメンバー 
GK:1本田征治
DF:4田中淳 23藤井大輔 5チカ(C) 7佐田聡太郎 
MF:17秋葉忠宏 18櫻田和樹 6鳥居塚伸人 19後藤涼
FW:9高田保則 11氏原良二
●サブメンバー
GK:21常澤聡 DF:3尾本敬
MF:30松下裕樹 15桑原剛 FW:20松浦宏治
●キックオフフォーメーション(4−4−2・ドイスボランチ
−−後藤−−氏原−−:松浦
高田−−−−−鳥居塚:桑原
−−櫻田−−秋葉−−:松下
佐田−−−−−−田中:
−−チカ−−藤井−−:尾本
−−−−本田−−−−:常澤

フォーメーションと選手は前節の札幌戦と同じく布陣しました。特筆すべきは高田保則の左SH起用、SB田中淳佐田聡太郎が従来とは逆に配置されている2点です。今季の懸案ポジションとなっている左SHですが、今までは山崎渡桑原剛が交代起用され、山形戦では中井義樹が開幕戦では松浦宏治が先発しましたが、いずれも長短所があり植木監督はこの中の誰かを軸として固定するまでには到っていないようです。この左SH起用は第1クールを通して、かつ第2クールにも続く問題ですが、詳しくは第1クール総括のエントリーにまわしたいと思います。
前節コンサドーレ札幌戦から起用された高田は、高い位置で攻撃を組み立てたりポストでボールを収めたり、または個人でサイド突破からクロスをあげることも出来、守備面も献身的なチェイシングを行えるので、札幌戦は有効に機能しました。正直、いままで起用された選手の中ではもっとも効果的に攻守に貢献した最適の人材と思われるのですが、この起用には草津のエースFWが12試合ノーゴールと本人も煮詰まっているし、プレーも前を向いてスタート出来るので気分転換も兼ねて・・・という辺りを植木さんが考慮してのものらしいので、いつまでもSHというわけにもいかないようです。FWとしてもちろん重要な選手ですからね。
SBは、藤井大輔が負傷復帰からCBとしてチカと組むと、今までCBを務めていた田中淳が左SBにコンバートされ、これは植木さんの構想するオプションらしいのですが、起用された結果はスピードある相手選手にたびたびサイドを侵略されてクロスを上げられ放題とイマイチでした。対応策として前節札幌戦より田中は右へ、佐田が左に入れ替わりました。湘南戦の結果を踏まえて先に書いてしまえば、サイドが右に変わっても田中のサイドバックとしての守備に不安があるところは変わらず、先制ゴールにつながるクロスを送られ、たびたびピンチを招いてしまいました。ふう。
またドイスボランチは札幌戦につづいて秋葉・櫻田組。連戦の疲労を考えれば松下・櫻田組の可能性もあると思いましたが、前回の対戦では松下・櫻田組で臨みましたが、湘南の中盤プレスがキツくて中央でボールを捌く櫻田が苦労しました。櫻田が前、松下が後ろと明確にポジションを置く形よりも、相手の寄せどころを分散させるパス回しが出来る秋葉・櫻田組の良さを植木さんが選択したのではないかと考えます。松、櫻、秋の葉の並びを場所場所で考える植木職人。ムダに風流。どうでもいいことですけど。試合の流れはJ's GOALの湘南担当、隈元大吾さんのレポートを引用させてもらいつつ。*2
http://www.jsgoal.jp/news/00048000/00048189.html

【J2:第14節 湘南 vs 草津 レポート】荒れ模様の展開のなか、湘南が接戦を制し連敗ストップ。第2クール初戦を白星で飾る。草津は18回目となる連勝挑戦も実らず 
(前略)
「立ち上がりから積極的にいこう」という指揮官の思惑どおり、連敗を止めたい湘南はアジエルを中心に原竜太加藤望石原直樹らが絡んで攻め立てる。開始1分に満たずして放ったファーストシュートが勝利への渇望を示していた。相手を囲い込み、身を挺して阻む守備も健在で、押し込まれても跳ね返し攻撃へと転じる。(後略)

レポートどおり攻めの湘南、受けて立たされてしまった草津の様相で試合が始まりました。原竜太がライン裏を脅かしつつ流動的に動き、石原直樹のポストを活かしつつ、中盤のアジエル・坂本・加藤が中央やサイドから攻撃を組み立てます。前節の札幌戦では草津が立ち上がりから積極的に前に出て、開始0分で後藤涼がシュートを打ち、首位相手に一発かまして機先を制しましたが、これを逆にやられてしまいましたね。草津もボールを繋いで全体を押し上げようとしたのですが、湘南のプレスでなかなかボールが前で収まらず、また雨の影響か短い距離でのパスミスから相手にボールを渡してしまい、自陣に押し込まれて湘南の攻勢を防ぐだけの序盤となってしまいました。日本一と称される平塚競技場の芝ですが、雨の影響をゼロには出来ませんし、もっと悪いピッチ状態だったら割り切ってロングボール主体の攻めに転換できたかもしれません。まあ芸はないんですけど。

思いがかたちとなって表れるのは11分のことだ。原を起点に、左サイドバックに初めて起用された冨山達行を経由し、坂本紘司が左サイドを深くえぐった。攻め上がったボランチのマイナスのラストパスに反応したのは、第1クールの同じ対戦(リンク略)で封じられた石原である。低く下がった守備ラインのまえに躍り出るや、先制弾を突き刺した。(後略)

坂本にサイドを抉られ、マークについた田中がキレイにマタ抜きされてorz グラウンダーのマイナスクロス。高いクロスを警戒しゴール前の守備に下がっていたチカがマークに戻りきれず、石原に先制シュートを許します。前線がDFを引っ張って後ろにスペースを作り、サイドがそこにクロスを送り、後列が進入してシュートを決める。今年の草津が目指す「3人目の動き」を目の前で披露されてしまいました。これと同じピンチは、先の札幌戦の前半にもありましたが、この時は秋葉が冷静に相手の意図を読んで危険なスペースをケア、サイドからのマイナスクロスを事も無げにクリアしましたが(秋葉のプレーで事が無くなったわけですね)、この場面では湘南のサイド突破が早く、バイタルエリアの秋葉が戻りきれませんでした。チカも秋葉も間に合わないスペースに、マークの選手をマタ抜きしてピンポイントクロスを送った坂本鉱司に『巧』です。の技ありプレーでした。
また試合全般でも、草津全体で湘南の攻撃起点であるアジエルを抑えることはまずまず出来たのですが、坂本鉱司へのケアが手薄になってしまい、結果2アシストを許してしまいました。元々広く知られる好選手ですが、佐藤悠介の移籍離脱を受けてなのか、今季は中心選手としての存在感と輝きが増しているように思えます。第1クールに対戦した時の湘南の攻撃は、アジエル中心に偏りがちの印象でしたが、第2クールではこれに坂本が効果的に加わり、ベテラン加藤望も機を逃さず動きまくる厚みを増した中盤になっており、前線はこれまでも実績のある石原直樹原竜太のコンビ。アジエルさえ抑えれば攻略のなるようなものでは既に無く、どのチームもシーズンが深まるにつれて強化改良されているのだなあ、と思いました。草津も氏原や松浦、松下や成長した櫻田など武器が増えているんですけどね。ふう。

ホームチームが優位に立ったのち、ゲームは次第に一進一退の攻防へと色を変えていく。濡れたピッチゆえだろう、ミスも手伝い、中盤の奪い合いは激化した。

この2行で済ませてしまうのは、ちとズルイ気が。ようやく草津が攻勢の時間帯になり、この試合の一貫性のないジャッジの最初のプレーがあったんですけどね。湘南が先制した後はその攻勢がやや落ち着き、転じて草津が徐々に攻勢に出て主導権を取れる時間帯へと移ってきます。そして15分、鳥居塚からの縦パスが湘南の選手に当たり、その勢いのままなのかクリアミスなのか、結果的に前線の氏原がDFラインの裏をとる形の最高のパスになりました。位置はゴール正面。もちろんドリブル開始でペナルティエリアへの進入を試みますが、追う湘南DFで一番氏原に近かった田村がボールに絡まず横から体を入れて氏原を倒します。ペナルティエリア前のサークルの位置。もちろんファールでしたが、カードは出されませんでした。この試合の他のカード基準からすれば、レッドはともかくイエロー相当のファールで、この試合最初の、ボールを奪いにいっていない上に得点機会を阻止した大きなファールでした。もちろんこのプレーではカードを出さないと判断したのはレフェリーの正当なジャッジなのですが、この最初の甘い「線引き」が後のプレーには適用されず、草津側の不公平感に繋がったのだと思えます。だからといって選手も監督も退場するまでラフプレーしていいわけではないんですけど。一貫性のないジャッジ、不明瞭な線引きは試合の荒れる根源です。先の札幌戦やホームでの湘南戦では草津が勝利しましたが、いづれの試合も新人主審でジャッジの不明瞭さが試合を荒れ模様にしていました。ふう。

互いにフィニッシュが遠ざかるなか、草津高田保則後藤涼、すなわちトップと左サイドのポジションチェンジが盛んになる。「前回もそうだったが、湘南はDFのあいだが弱い。今日もボケていたので、突きどころだと思っていた」と、のちに草津鳥居塚伸人は語ったが、一方で、「今日はミスが多く、ボールも入らなかったので突けなかった」とも振り返っている。

鳥さん辛口。「ボケている」は文字通りの意味ではなく(当たり前)、マークの受け渡しが曖昧だったり、守備判断が逡巡して若干の遅れがある、その間隙を指しているのだと思われます。まあ湘南DF陣のことは知らないので草津の過去のミスの日々から考えたんですけどね。ほっとけ。レポートにある後藤と高田のポジションチェンジは札幌戦に引き続いて有効でしたね。この相性の良さは大きな発見だと思います。過去シーズンの後藤は右SHで起用されることが多かったのですが、この位置だと意識が前過ぎるのか後方DF陣との連携が悪く、後藤の後ろで守備陣の前のスペースを突かれて再三ピンチを招いていました。FWとしてで中盤までケアする形のほうが活きるのでしょうか。

そんなアウェイチームにチャンスが訪れたのは41分、湘南時代の盟友・坂本にお返しといわんばかりに、高田が後藤との連携から左サイドを切り裂き、クロスを上げる。ニアに走りこんだのは前節、2ゴールを挙げた氏原良二だ。「高いボールをファーに上げられたら触れないという考えが一瞬よぎった」と悔やんだ冨山のマークを振り切り、1チャンスをヘディングで仕留めたのだった。

高田の美しいクロスと少ないチャンスを決めた氏原のヘディングはもちろん素晴らしかったのですが、このゴールシーンに繋げた、高田のスローインから始まる櫻田・後藤・高田での素早いパス交換で、湘南のプレスをかわして高田のサイド突破を組み立てた3人のコンビネーションに『巧』です。あと、レポートでは触れられていませんがニアに入った氏原ですが位置的にはゴール中央に近く、その前のポストよりのニアに鳥居塚が走り込んでDFを一人引っ張っています。鳥さんがいなければ氏原の前にDFが一人入ることになったと思われるので、この目立たないけど功労プレーにも『巧』です。

前半終了まで数分を残すのみだった良い時間帯で追いついた草津ですが、ここからはホーム湘南の反転攻勢が始まります。そんな中フィードを競る石原とチカが交錯し、チカにイエロー。チカは背中から当たるスクリーンプレー、ボールに触らせないようスペースを確保したと主張すると思うのですが、当たりが強かった分ラフプレーと判断されても仕方ないと思われます。ただ、このプレーをイエローだと「線引き」すると、そのすぐ後に秋葉が原竜太の足をアフタータックルで刈ったスライディングにカードが出ないことの説明が難しくなります。秋葉のプレーについて湘南イレブンがレフェリーに抗議していましたが納得です。たった1〜2分前の「線引き」すら適用されないんですから。試合が決定的に荒れたのは後半でしたが、前半から種は充分に蒔かれていたのだと思えます。
そして一連のファールからのセットプレーを草津が凌いで前半が1−1で終了しました。一貫性のないジャッジを置いておくと、双方ともに持ち味が出せた前半だと思うので、後半は荒れないで好勝負に転回していって欲しかったですね。勝ち点勘定はともかく、草津からしてもこの日の湘南と良い試合展開を続けられれば、有効性も課題も含めて多くの経験値が得られたと思われます。怒りは君を幸せにしたか。貴重な実戦経験を積む機会も無くしちゃダメですね。ふう。

振り出しに戻った後半、アジエルが早々にPKを沈め湘南が突き放してから、ピッチ上の雲行きは怪しくなっていく。植木繁晴監督がレフェリーに対する異議によって退席となった直後、草津の眠れるストライカーが牙を剥いた。高田が敵のマークの受け渡しのミスを逃さず左サイドからドリブルで侵入、狙いを定め、今季初ゴールとなる同点弾を見舞ったのである。

後半は前半と同じく、湘南の攻勢からスタートしました。開始4分後、49分で右SB田村がゴール前に大きくクロスを上げ、このハイボールを田中とアジエルが競り合い、どちらもヘディングを合わせられずにボールは転がりましたが、このプレーで田中がイエロー、PKとなりアジエルが決めて2−1と湘南にリードされます。録画をスローで見ると、アジエルの肩に田中が腕をのせ、お互いがジャンプ、アジエルはジャンプするも前のめりにバランスを崩します。おそらく「田中がアジエルを押した」ないし「ジャンプを腕で妨害した」と判断され、得点機会阻止としてファール&イエローなんだと思われますが、映像を見る限りは微妙。これでイエローならば前半に氏原が倒されたプレーにカードが出されないのは一貫性が無さすぎですね。
ただ、このレフェリーを庇うつもりは毛頭ないのですが、見え方のアングルで印象は違うんですよね。先の草津ホームでの湘南戦、ペナルティエリア内でGK本田とFW石原が交錯したシーンがあり、この日自分はBH席のちょうど正面くらいにいたのですが、そこから見た印象は「転がるボールに本田が両腕を伸ばして飛び込み、キャッチ寸前の本田に、石原が激突」でした。ボールに対しては本田が優位ないし双方イーブンくらいに見えました。ただレフェリーによってはPKと判定されても仕方なかったとも思いました。それが帰宅後メイン側からの録画映像は「ボールにつめる石原を、本田が飛び込んで、体で石原をなぎ倒す」としか見えない豪快なファールっぷり。これなら湘南側の抗議も至極当然だと思えました。
話を元に戻すと、田中とアジエルの競り合いを、レフェリーはこの時斜め後ろ(かつ俯瞰ではなく同じ高さ)から見ていますから、アングルは「田中が腕でアジエルを押した」に見えるでしょうね。それでも厳しい判定だとは思いますが、ともあれ後半開始早々に湘南がリード、草津はもちろん反撃にでます。それから数分後に、湘南ゴール前の競り合いからこぼれたボールに櫻田が詰めますが、これをSB田村がスライディングでボールを奪いました。このプレーはボールにいっているのですが、足裏を見せたちょっと危険なプレーで、櫻田も転倒(自分から危険回避で跳んだ?)しますがノーファール。先ほどのPKとこのジャッジと短期間に微妙なうえに草津不利の判定で植木さんがさらにヒートアップ、審判への執拗な異議として退場となりました。
騒然となる中、高田が湘南右サイドを突破し、気迫のドリブルで中に切れ込んで、角度のないシュートでファーサイドのネットを揺らしました。試合を振り出しに戻す魂のプレーとゴール。そして草津サポの待つバクスタへ。ライブ中継を見ていて、なんであそこに自分は居ないのかとガッカリした瞬間でもありました。草津イレブンを覆う妙なハイテンションのままで強引に流れをつかめないかなあ、などとも頭をよぎりましたが、そう甘い話はないわけで。

湘南はここ2試合、失点後に課題を抱えていた。連敗の遠因でもある。しかし、「勝ちたいという気持ちを皆んなで強く意識して臨んだので、同点になってもネガティブにならなかった」と試合後、最終ラインでチームを鼓舞する斉藤俊秀が語ったように、この日は追いつかれてもうなだれない。藤井大輔が2枚目のカードで退場となり、草津の苛立ちが募るなか、ゴールシーンは訪れた。82分、セットプレーのこぼれから途中出場の永里源気、坂本と繋ぎ、攻め残っていた斉藤が決勝弾を沈めたのだった。

高田の同点弾の4分後、59分に草津はFW後藤涼からMF桑原剛に交代して高田をFWに戻しますが、この交代と配置転換で1点目と2点目を生んだ、高田と後藤のポジションチェンジで相手右サイドを侵食していた攻撃がなくなってしまい、勝負は一進一退に。
このまま進めば草津が勝ち点を得られる可能性もあったと思うのですが、桑原交代とほぼ同じ時間帯に藤井と石原がハイボールを競り合ったとき、着地で地面に手をついた藤井の腕を、石原が踏むというか削るように着地してしまい、藤井がかなり痛みました。石原は故意ではありませんが、その後にサイドを割るボールの競り合いで、藤井が原の足を蹴った必要のないプレーがあり、藤井の苛立ちというか荒れている感じが見てとれました。さらに石原とハイボールの競り合いで足を出してイエロー、ライン裏を抜かれるのを嫌って倒してイエローと立て続けに警告を受け73分に退場となってしまいました。怒りは君を幸せにしたか。藤井には特にこの試合を今後の糧にしてもらいたいですね。また糧に出来る選手だと思います。
藤井の退場を受けて、草津ベンチは鳥居塚を下げて尾本を投入します。ただ結果論に過ぎないのですが、思い切って氏原と松浦の交代カードを切っても良かったと思います。アウェイ側が数的不利になった以上、ホーム側が引き分けを狙うわけもなく、残り時間を考えてもここからの未来は3択でした。1番、湘南が攻め続けて勝つ。2番、草津が守りきる。3番、草津がカウンターで逆転する。結局1つ目が実現したわけですが、草津は2を狙いつつ、3を目指すことになりますが、松浦が投入されたのは逆転された82分から更に遅れた後半86分。これでは松浦が突くライン裏のスペースはありません。そして3−2で試合は終了し、草津はまたも連勝できず、それどころか連敗の危機を拡げた結果となってしまいました。レフェリーに振り回されて自滅した試合とはいえ、一度は追いつくことも出来る力を見せてくれただけに、交代を活かせずに敗れたという点でも残念な試合だったと思います。ふう。

僅差に屈した草津は次節(5/13)、ホームで仙台を迎え撃つ。リーチのかかっていたチカと田中がそれぞれカードを食らい、唯一警告のなかった藤井も退場したため、仙台戦は最終ラインの3枚が抜ける非常事態となる。指揮官不在のなか厳しいと言わざるを得ない状況だが、だからこそ鳥居塚も触れた「チームでカバーする」というピッチ上の姿勢を体現したい。高田、氏原という両雄のゴールもまた、つぎへ期待を抱かせる。
(後略)

サイドバックはともかく、CBをこなせるレギュラー3名を欠いて残る出場選手は尾本敬ただひとり。昨季から練習参加していた高崎経済大附属高卒のルーキー小林亮太を出場させるのか、フォーメーション全体に手を加えて鳥居塚を中央に置く3バックを使うのか、緊急事態ですが同時にいまだ出場機会のない選手にもチャンスが巡ってきた事態でもあるので、なんとか頑張って仙台相手に勝ち点を稼いで欲しいですね。鳥居塚が下がるパターンだとしたら、いまだ出番のない中盤の選手にも出場機会があるので中井や里見にも期待したいです。加えて、守備を攻撃力でカバーすることも必要ですね。湘南戦の悔しさと経験をかみしめるメンバー、高田、氏原、後藤、松浦がそれぞれゴールを決める上に、里見がロケットスローを3回くらい仙台ゴールにそのまま叩き込んじゃえば負けないと思います。攻撃方法はともかく誰でもいいから先に点をとる。「死中に活あり」で活路を求めてもらいたいですね。90分間の攻撃を守りきれる相手じゃないですから。

*1:第1クールは12試合で警告21枚、退場者ゼロ、与PKゼロとJ2チームで最も警告が少なく、昨季課題の改善が見えていただけに本当に残念です。

*2:草津担当の伊藤さんのレポートも読み応えがありますが、湘南担当の隈元さんのレポートは草津戦でなくとも湘南ベルマーレというチームを知るうえで大いに参考になります。水戸担当の佐藤さん、福岡担当の中倉さんのレポートも個人的にオススメ。