沖縄県のスタジアム問題その3。FC琉球の本拠地に立候補する糸満市。

関連エントリーはこちら。http://d.hatena.ne.jp/SH77/20070517#1179375637http://d.hatena.ne.jp/SH77/20070525#1180060065に。
このエントリーの話題は「その1」に組み込もうと思ったのですが、かなりの分量になってしまうため割愛していました。続報のニュースを「その2」としたので、引き続いてエントリーとしました。
FC琉球の使用するJ規格のスタジアムは現在のところ県内にありません。現在戦っているJFLでは沖縄本島の真ん中よりやや南の位置する沖縄市と、隣接する北谷町のスタジアムで試合を行っており観客を約3000〜4000人集めていることは過去のエントリーのとおりです。
この状態のFC琉球に、沖縄市でも北谷町でもない市から行政レベルで協力の動きが起きました。沖縄タイムス06年9月22日付より。
http://www.okinawatimes.co.jp/fcryukyu/news/2006/09/16_01.html

FC琉球拠点 糸満市が誘致 今月中要請
糸満市の西平賀雄市長は15日、市役所内で会見を行い、日本フットボールリーグ(JFL)に参戦しているFC琉球の活動拠点を市内に誘致すると発表した。自治体が活動拠点として同チームを誘致するのは初めて。市は雨天練習場の建設を計画中で、今後受け入れ態勢を整えていく。また10月以降に市内でのJFL公式戦の開催誘致も表明した。
市は現在、10月中旬をめどに西崎陸上競技場でJFLの公式戦が開催できるよう芝や温水シャワーの整備などを進めている。競技場の収容人員はメーンスタンドが3000人で、芝スタンドが6000人。
西崎運動公園内の野球場隣接地に計画する雨天練習場の建設は2007年度の事業採択を目指している。

糸満市沖縄本島のもっとも南に位置する市です。そこの市長さんが建設予定の雨天練習場と、J規格ではないもののJFL試合が開催可能な競技場の改修整備を打ち出し、FC琉球の拠点としてもらいたい、との表明を行いました。

西平市長は「FC琉球が掲げる理念に共感した。チームを誘致することによって地域の子どもたちの夢が膨らんでいくだろう」と語った。FC琉球の野口必勝代表は「市町村単位で誘致の話があったことはチームとして大変、光栄なこと」と話した。
市は今月中にFC琉球へ正式な要請を行う予定だ。

FC琉球沖縄県内で巡回サッカー教室を行っており、もちろん糸満市でも開催され、別の会場でも糸満市のサッカー少年たちが招待され指導を受けています。こういう活動が実を結んだ形でもあると思えますね。同紙06年8月3日付と10月22日付、そして11月16日付より。
http://www.okinawatimes.co.jp/fcryukyu/news/2006/08/03_01.html
http://www.okinawatimes.co.jp/fcryukyu/news/2006/10/22_02.html
http://www.okinawatimes.co.jp/fcryukyu/news/2006/11/16_01.html

●キック力すごい糸満の子ら感激 サッカースクール
FC琉球の選手・スタッフが県内各地で子どもたちにサッカーの楽しさを教える第九回「沖縄タイムスプレゼンツ 2006 ワラビーサッカースクール」が七月二十六日、糸満市の西崎親水公園グラウンドで開かれた。
光洋FC、三和FC、FC西崎の三チームから小学生約百人が参加。野田恭平(GK)、當間正人(MF)、栗田泰次郎(DF)、ブルノ(MF)の四選手らが指導に当たった。
競り合ってシュートする練習やリフティングの基本などを学び、選手を交えたミニゲームなどで楽しんだ。
野田選手は「短い時間だけど楽しかった。試合のときにはぜひ見に来てほしい。ありがとう」と子どもたちに話した。(後略)
●シュート「曲がった」 サッカースクール・糸満
FC琉球の選手・スタッフがサッカーの楽しさを教える第十七回「沖縄タイムスプレゼンツ 2006 ワラビーサッカースクール」が八日、市西崎陸上競技場で開かれた。
糸満豊見城南城市から少年サッカー十二チーム、約二百人が参加。松原忠明(DF)、クリスティアーノ(同)、黒田福太郎(FW)、古賀隆一(MF)、和田翔太(GK)の五選手らが指導した。
頭を使ったリフティングや正確なキックの仕方などを学び、カーブをかける練習では、悪戦苦闘しながらも選手の指導で成功させていった。(後略)
ミニゲームも楽しむ 豊見城糸満から200人参加
FC琉球の選手・スタッフがサッカーの楽しさを教える第二十回「沖縄タイムスプレゼンツ 2006 ワラビーサッカースクール」が十月十八日、豊見城総合公園陸上競技場で開かれた。
豊見城糸満両市から約二百人の小中学生が訪れ、小学生はリフティングやキックなどの練習、中学生は選手とのミニゲームを楽しんだ。(後略)

J規格のスタジアムを持たないとはいえ、クラブの理念と活動に積極的な支援を表明してくれた自治体。ザスパサポなら説明するまでもなく、草津町がほぼこれにあたりますよね。そして競技場の改修が実行され、糸満市JFLのゲームが開催されることになりました。これは同紙10月7日付より。また初の開催となったアルテ高崎戦の模様は10月24日付より。
http://www.okinawatimes.co.jp/fcryukyu/news/2006/10/07_01.html
http://www.okinawatimes.co.jp/fcryukyu/news/2006/10/24_01.html

FC琉球糸満で試合 ホーム2戦 会場変更
(前略)JFLのFC琉球は6日、24日に北谷公園陸上競技場で予定していた後期第10節のアルテ高崎戦を、21日に糸満市西崎陸上競技場で行うとの変更を発表した。キックオフは午後4時になる。同第14節(11月19日)のYKK AP戦の会場も県総合運動公園陸上競技場から西崎に変更した。キックオフ時間は正午で変わらない。
糸満市琉球の活動拠点誘致を表明しており、JFLのホームゲーム開催も誘致している。

FC琉球 糸満市民歓迎 21日のゲーム 誘致実現へ盛り上げ
糸満市から活動拠点としての誘致表明を受けたFC琉球は二十一日、初めて同市でホームゲームを開催した。対戦相手のアルテ高崎に終了間際に追いつかれ、引き分けに終わったものの、会場は市民の歓迎ムードに包み込まれた。
試合開始前、始球式に臨んだ糸満市の西平賀雄市長。胸に「糸満市長」と書かれたFC琉球のユニホームをまとい「ここまでたどりつけ、感無量。子どもたちに大きな夢を与える第一歩にするとともに、FC琉球を通して、市民と協働の町づくりに結び付けたい」と満面の笑顔を見せた。
(中略)
試合前とハーフタイムには、「アンマー」で知られる地元出身ロックバンド「かりゆし58」が盛り上げた。
糸満市南波平出身の新屋行裕さん(25)=ギター=と、旧東風平町宜次出身の前川真悟さん(25)=ボーカル=は中学までサッカー部。
新屋さんは「地元で試合を見られるのは夢のよう」と話せば、前川さんも「Jリーグ入りを目指すFC琉球に元気をもらいながら、自分たちも頑張りたい」と意気込む。(後略)

この試合には約2100人が集まったそうです。そして11月のYKK AP戦では後半ロスタイムに同点に追いつく2−2のドロー。この2試合で勝利こそみせられなかったものの、サッカーの興奮を糸満市民の方々に味わってもらえたのではないでしょうか。後半ロスタイムに先制された時の凹み具合が尋常じゃないのは最近味わいましたが。
またアルテ高崎戦の少し前に、糸満市からFC琉球に正式に協力申し出がされました。これも同紙10月11日付より。
http://www.okinawatimes.co.jp/fcryukyu/news/2006/10/11_01.html

●「糸満へどうぞ」FC琉球へ要請 西平市長が正式誘致
糸満FC琉球の活動拠点に」。糸満市の西平賀雄市長は10日、FC琉球を運営する那覇市天久の琉球スポーツキングダム社の野口必勝代表を訪ね、糸満市をチームの活動拠点にしてもらうよう正式に要請した。自治体による同チームの誘致は初めて。
西平市長は「FC琉球には子供たちに夢と希望を与えるという魅力がある。チームが大きく羽ばたくためにもお手伝いしたい。誘致することで街の活性化にもつなげたい」とラブコールを送った。
拠点となる西崎陸上競技場は、都市部や空港からの交通アクセスもよく、1500台収容可能な駐車場や宿泊施設も隣接していることなども、同市にとっては「売り」の一つ。

1500台収容可能な駐車場・・・うらやましい。話の肝はそこではなく「市単位の行政から正式な協力申し出」というFC琉球にとって社会的信用を大きく高める実績が出来たこともあると思います。こういう信用・信頼はスポンサー獲得にもプラスになりますからね。

Jリーグ昇格の必要条件となるスタジアム建設についても西平市長は「いきなりは難しいが、県にも協力してもらい環境整備を一緒にやっていきたい」と話した。
野口代表は「市長自ら来てもらい光栄。気持ちで接してくれたところには気持ちで応えたい」と感謝。
(後略)

J規格スタジアムの建設にも、市単体ではともかく県と連携して協力したいとの意向。もちろんFC琉球を利用した地域振興であることも確かですが、積極的な協力姿勢はありがたいことも確かです。
で、ここまでは2006年の話なのですが。今年に入って具体的な動きのニュースもなく、また今季JFLFC琉球のホームゲームは全て沖縄市北谷町で行われることになっており、糸満市での開催が1度もない状態に逆戻りとなってしまいました。糸満市での活動の拠点となると思われる雨天練習場の整備などが進めば、また状況が動き出すのかもしれません。そして上のエントリーでもあった「J規格スタジアム」の建設候補に、糸満市が今後名乗りを上げる可能性もここまでの流れからすれば充分にあると考えられます。アクセス抜群の那覇市内か、積極的な支援を申し出てくれる糸満市か、現在試合を行っている沖縄市北谷町か。全県規模で活動するといっても、J規格のホームスタジアムが定まれば活動はそこを軸に行うことになってしまいます。J規格のスタジアム建築が正式に決まった時、その立地がFC琉球と沖縄サッカー界の将来に大きな影響を与えることは確かだと思われます。関わる全員が100%満足するベストの選択肢は存在しないので、出来るだけ多くの人々が満足できるベターな選択と、FC琉球と沖縄サッカーの発展に資する決定になって欲しいですね。

●参考リンク 「わかの観戦日記」:九州沖縄のスタジアム
http://waka77.fc2web.com/studium/studium-8.htm
●参考リンク マピオン沖縄県の地図
http://www.mapion.co.jp/html/map/web/admi47.html
●参考書籍 Jリーグクラブをつくろう:FC琉球ほか多数のJリーグを目指すクラブが取材・紹介されています。

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