J2第20節徳島ヴォルティス戦。本田は神。

オイ! 見たかコラァ!!

GK本田神のアディショナルタイム気迫のPKセーブと「見たか、コラ! オイ!! 見たか、コラァ!!」の叫びが、超ド級インパクトを残した試合でしたね。動画をYOU TUBEにアップして下さった方がいらっしゃいましたので、さっそくリンクさせて頂きます。

故郷の皆様になんという暴言を。試合内容も、J初出場を果たした吉岡聡の活躍など語ることもあれこれありますが、まずは結果をJ's GOALから。
http://www.jsgoal.jp/result/20070200030420070610_detail.html

●2007 J2第20節(6月10日/鳴門大塚/3,145人)
徳島ヴォルティス 0−0 ザスパ草津
得点 氏原と山崎×2と松浦と挽地と小林とアンドレと羽地がノミネート。該当者なし。
警告 65分:櫻田和樹草津) 85分:チカ(草津) 89分:氏原良二草津)→退場 終了:河野淳吾(徳島)
交代 65分:挽地祐哉アンドレ(徳島) 68分:山崎渡桑原剛草津) 79分:松浦宏治後藤涼草津) 86分:金尚佑→麦田和志(徳島)/吉岡聡尾本敬草津

GK本田征治の神セーブのお陰でスコアレスドローJFL時代から続く鳴門での全敗記録を5で止めて、アウェイ徳島戦で初の勝ち点を獲得しました。結果はスコアレスドローでしたが、過去2戦(水戸戦の勝利、山形での勝利寸前までいった後の引き分け)に比べると、内容は上向いてきたように見えました。山形戦後に選手間の積極的な話し合いがあったそうですが、*1先発メンバーに手が加わったことも大きかったと思います。その試合に臨んだメンバーは。

●2007 J2第20節vs徳島ヴォルティス ザスパ草津スターティングメンバー 
GK:1本田征治
DF:23藤井大輔 5チカ(C)   
MF:6鳥居塚伸人 24吉岡聡 17秋葉忠宏 18櫻田和樹 8山崎渡
FW:9高田保則 11氏原良二 20松浦宏治
●サブメンバー
GK:21常澤聡 DF:3尾本敬
MF:30松下裕樹 15桑原剛 FW:19後藤涼
●キックオフフォーメーション(4−4−2・ドイスボランチ
−−松浦−−氏原−−:後藤
高田−−−−−−山崎:桑原
−−櫻田−−秋葉−−:松下
吉岡−−−−−鳥居塚:尾本
−−チカ−−藤井−−:
−−−−本田−−−−:常澤

登録では2−5−3ですが、並びはいつもどおりの4−4−2・ドイスボランチで布陣しました。特筆すべきは両サイドバックに攻撃的な2人を配置したところですね。鳥居塚は水戸戦以来の2試合ぶりの右サイドバック、左には吉岡聡が入りました。今季キャンプ前に負傷し出遅れていましたが、ついにチャンスをつかんで先発入り。Jリーグ公式戦初出場を果たしました。おめでとう吉岡。
彼のプレーを初めて見たのは、2年前の高校選手権群馬県予選の準決勝、前橋育英×高経大附属の試合でした。当時の前橋育英の10番は現J1新潟の田中亜土夢。その田中を向こうにまわして遜色ないプレーぶりと運動量を見せた高経大附属の10番が吉岡でした。またクロスバー直撃のFKを蹴るなど、かなりの活躍だったことを覚えています。高校卒業後、草津に加入する話もありましたが横浜FCへ入団。今季はレンタル移籍で草津でプレーすることになりました。高校時代の輝きを見ていると、将来の「ザスパ草津の若き司令塔」候補に充分だと思えますので、個人的には、出来れば長く草津にいて欲しい選手です。
それはさておき、この両SB起用に関して植木監督の試合後のコメントがあります。J's GOALから。
http://www.jsgoal.jp/news/00049000/00049798.html

植木繁晴監督(草津):
「ここ2試合、内容的に悪かったので、選手にはもう一度自分達のサッカーを思い出してほしいと思っていました。(後略)
Q:両サイドバックをこれまでと変更したが?
「これまでの悪い原因がサイドのビルドアップだったので、中盤の選手をそこに入れて攻撃面で優位に立ちたかったのです。反面、守備面での多少のリスクは覚悟していました。(後略)

植木さんのコメントどおり、水戸・山形戦では、あまり効果的な攻撃が組み立てられませんでした。「キャンプからやってきたことが出来なくなっている」という選手コメントもありましたね。対戦相手が草津を研究・対策しているのも大きいですが、草津のチーム事情としてSB佐田聡太郎の負傷離脱、負傷明けの藤井大輔のCB固定起用、サイド守備の強化を意図した田中淳尾本敬をSBに配置する4CBでの4バック布陣の影響が、チーム全体の攻撃にズレを起こしていると考えます。
本職がCBの田中と尾本に、佐田と同等の攻撃力を期待するのも酷なのですが、草津の攻撃は、やはりSBが高い位置で絡まないと縦パスに終始するような淡白なものになってしまいますからね。また植木さんコメントのとおりビルドアップのパスや、フィードの精度にも難があり、また特に田中はまだSBとしての守備対応に苦労して、左右どちらに入ってもクロスを上げられ、また突破されるシーンが目立つところもあります。少なくとも4CBの4バックはオプションであり常時固定されるものではない、というところだと考えます。
鳥居塚・吉岡をSBに入れて中盤の絡みと攻撃力を強化すれば、一方で課題であるサイドの守備にリスクを負う形になりますが、これもコメントどおり折込済み。左右のSHには、自陣深くまで駆け戻る労を惜しまない高田と、全体のバランスを考えてポジションを直せる山崎を入れ、さらに献身的な守備を行える桑原も控えさせているところにサイド守備への植木さんのフォローが感じられます。*2
また顔ぶれを二人とも変えた攻撃的な両SB作戦(佐田・寺田組から鳥居塚・吉岡組)は、今後の対戦日程*3の顔ぶれから考えれば、順位的な比較で下位同士の対戦になる、ここで試しておきたかった起用ではないかと思われます。さすがにヴェルディ相手にぶっつけ本番で試したくはないですよね。
前置きが長くなりましたが(本当に長いな)、ここから試合の流れを追って。J's GOALの徳島担当、松下英樹さんのレポートから。惜しい、一文字違い。ナニが?
http://www.jsgoal.jp/news/00049000/00049808.html

【J2:第20節 徳島 vs 草津 レポート】前半を徳島が、後半を草津が握った一戦。徳島は最後に掴んだビッグチャンスを活かせず痛いドローに。
(前略)
この一戦、内容的には前半が徳島のゲーム、後半が草津のゲームであった。
まず前半は徳島が持ち前の守備力を発揮した試合運びで流れを引き寄せる。全体が連動した高い位置からの激しいプレスでボールを奪うと、それを早いタイミングで前線へ送ってチャンスを作ろうと試みた。またこの一戦では2トップの羽地と小林がこれまでとは少し違ったボールの受け方を披露。普段のプレーエリアの中央ではなく、草津DFラインの両サイド裏へ積極的に流れてそこで起点を生み出そうとした。

レポートどおり立ち上がりから徳島のペースで試合が進みました。前線から激しいチェイスとプレスで草津のフィードとビルドアップを慌てさせ、主に(草津から見て)右サイドに人数を集めて攻めあがってきます。4分と7分にはペナルティエリア近くの良い位置からFKを得るチャンスを得ますが、シュートにはならず。また草津の前線にボールを収めさせない4バックと2ボランチの堅守を敷き、中盤のパスカットから積極的にミドルシュートも狙ってきました。
徳島のFKチャンスは、裏返せば草津のファール。自陣でもファールを繰り返すのも課題ですね。前節の山形戦でも、最終盤にファールを繰り返して相手にセットプレーを与え続け、勝ちきれなかった一因を作ってしまったと思います。またご存知のとおり、この試合最終盤の大ピンチも、自陣での安易なファールの連続から招いたものでした。
なかなかチャンスが作れない草津でしたが、14分に山崎とポジションチェンジして右サイドに入った高田が、高い位置でボールを受けファールをもらってFKのチャンスを得ます。キッカーは吉岡。左足でゴール中央に精度あるキックを送り、草津も2選手が詰めますがGK島津がパンチングで逃れて、こちらも得点ならず。高校時代からの好キッカーぶりを見せてくれました。
このプレー後の15分すぎになると、草津も徳島の攻撃に対応しはじめます。徳島の2トップに入るロングボールの競り合いにチカも藤井も決定的に負けることがなく、どちらかといえばセカンドボールをキチンと拾えればピンチにならないことが判り始め、ボランチの秋葉と櫻田が適切な距離をとってセカンドボールを拾い、逆サイドを駆け上がる吉岡に大きくサイドチェンジして攻撃を組み立てていくことが出来ました。このあたりの徳島の攻撃の問題はレポートに記されています。

ただ、そうして主導権を握りながら徳島は決定的チャンスにまで至らない。「アタッキングサードでの工夫については我々が持ち続けている課題です」と今井監督も振り返った通り、羽地と小林のポストプレーからボールを受けた小山、金、挽地らにバイタルエリアへ侵入していく工夫が欠け、シュートを放ってもそのほとんどがミドルレンジからのもの。さらにはそれらの精度にも問題があったため、再三押し込みながらゴールは遠く、結果的に徳島は自分たちの時間であった前半に得点を挙げることが出来なかった。

実際、FWにロングボールが収まって2列目以降がゴール前に詰めていくシーンは大きなチャンスが作れていました。まあ草津的にはピンチなので度々あっては困るのですが。
具体的には22分に高い位置をとった草津DFラインの裏を、FW小林にうまく抜け出されて、ロングボールを右サイドで拾われ、折り返しをゴール前に詰めた小山がスルー、さらに飛び込んだ挽地にシュートを打たれる、草津前半最大のピンチになっています。
展開としては、主に右サイド際で攻防が行われ、草津陣内で徳島ボール→下げながらもボールを回す→逆サイドやボランチが前線へ上がる→DFが前線にフィード→小林がDF裏をとってサイドへ流れる→ゴール前に2人詰めて草津DFを引き付ける→駆け上がってきたMFがノーマークでシュート、でした。ただ、この試合の徳島はロングボールをFWに合わせ、DFは自陣に引いてボランチもやや下がり目と間延び止む無しの配置ですから、バイタルエリアに人数を掛けるには上記のとおりMF陣に多大な運動量を必要としますし、守備基調のDMFがゴール前まで攻めあがるには流れを読む判断力とリスクを冒す決断力も求められます。
http://www.jsgoal.jp/news/00049000/00049797.html
http://www.jsgoal.jp/news/00049000/00049799.html

今井雅隆監督(徳島):
(前略)特に前半はよかったのではないでしょうか。アタッキングサードでの工夫については、我々が持ち続けている課題です。今後も引き続き解消に努めなければなりません。
Q:前半、効果的にボールを動かしていたが、点が入らない理由は?
「サッカーで見ている人がワクワクするのはシュートシーンです。その近くまでは行くのですが、数秒の、もしかしたらコンマ数秒のタメが作れていないので、セカセカしたフィニッシュになってしまう。それはどのゲームでも課題です。プレッシャーなのかなぁ」
●金 尚佑選手(徳島):
(前略)もっと攻撃のときにボールに絡まないといけないと思います。サイドでタメを作って攻撃に変化を持たすのも役割だと思うので、その反省を次回に活かしたいです。連敗していたので声を掛け合ってプレーすることを意識しました。FKも蹴らせてもらったが、まだまだ工夫しないといけません。(後略)

草津の「第3の動き」もこういうのを狙っているところもあるんですけど、サイドへの展開やタメと作る部分、守備の人数を割いて攻めあがるリスクなどを考えると、やっぱり難しいですね。
この後試合は中盤での一進一退に推移し、27分に秋葉からペナルティエリア正面近くでボールを受けた氏原が、プレスを受けて体勢を崩しながらも反転気味に強いグラウンダーシュートを放ちます。ボールはGKの届かない位置でしたが、ポストのわずか外に流れてしまいゴールならず。草津前半唯一のシュートでした。
試合は繋ごうとする草津と、それを奪ってカウンターを仕掛ける徳島の図式で進み、徳島は34分にCKからDF西河が高さで競り勝ち、ヘディングシュートを放ちますが、わずかに外に流れて草津は命拾い。この試合を通じてセットプレーは徳島優位だったと思います。今季はチカはもちろん藤井・田中・尾本などDF陣を中心とした奮起で空中戦はそう簡単に負けない草津ですが、かなりやられていましたね。あと2回対戦がありますので、対徳島での課題となりそうです。
試合はその図式のまま進み、前半終了間際の44分に秋葉のロングフィードを左サイドの高い位置に走っていた山崎が、中に切れこんでDFラインのギャップをついてボールを収めます。バウンドするボールを利用してDFと、飛び出してきたGKも交わし、体に当てて押し込むだけの大チャンスをつくりますが、体勢がやや崩れてしまいシュートできず、DF塩川にクリアされてしまいました。そのまま前半は0−0で終了します。流れとしてはやや徳島優勢でしたが、得点チャンスはほぼ一緒でした。両サイドの上がったスペースをカウンター気味に狙われ、攻め込まれる展開でしたが藤井とチカの奮起が大きかったと思います。

(前略)後半は立ち上がりから形勢が逆転。ボランチの秋葉、櫻田を中心としてボールの動きがよくなった草津が流れを奪い返して攻勢に出る。中盤でワイドに展開し、トップの氏原、松浦へ鋭いくさびを入れてたびたび徳島ゴールを脅かした。

後半立ち上がりからは、双方積極的な攻勢で試合の主導権をつかみにかかります。大きなチャンスは草津から。47分に氏原のポストからCKを得て、これをチカのヘディングで枠に飛ばしますがGKのファインセーブに阻まれました。キッカーは吉岡。これも精度の高いキックでした。一方の徳島は50分にDF裏に抜け出した小林が藤井を倒し、GK本田と交錯しながらもシュートをゴールに流し込みますが、藤井を倒したところでファールになっており、先制点になりませんでした。助かった。
中盤での一進一退は前半と同じ展開ですが、草津優勢に以降したのは、徳島は後半には全体が押しあがったのでDFライン裏のスペースが広くなったこと、8メン2ラインの守備隊形が維持されたままので、サイドバックが攻撃に参加する草津のほうが局面での数的優位を確保でき、サイドを突破しやすくなったことが大きかったと思います。また守勢にたたされるとDFラインはどうしても引きますので、中盤ラインとの距離が空き、このスペースを草津が活用できました。
56分にはチカのオーバーラップも絡んでサイドを突破、ゴール正面で山崎のシュートに繋げます。これまたGKのファインセーブで止められますが、局面で数的優位を作り早いパス回しでシュートまで持っていけたのは、最近にない形だったので良かったのではないでしょうか。
荒れる試合には必ず遠因がありますが、氏原退場の伏線はこの時間帯にあったと思います。57分に右サイドを突破した松浦のクロスを受けようと、氏原がゴール前に詰めるところを河野が後ろから押し倒すもノーファール。まあこれは止まれなかったのだと思いますが、その1分後にはセンターサークル付近でボールを収めようとした高田に、同じく河野が後ろからチャージしてファール。60分には、これまたボールを収めようとした氏原に、河野が両足裏をみせたスライディングで右足を削って倒します。相当に危険なプレーですが、カードどころかノーファール。カードの有無はともかく、短時間に同一選手が相手を倒す接触プレーを繰り返しているわけですから注意くらいしてもらわないと(テレビ映像では確認できず。実際はしていた可能性もあります)。だからと云って報復行為、ラフプレーの応酬に及んでいいわけではないんですけどね。
ここまでは普通の試合でしたが、徐々にファールとカードが増えていきましたから、両足裏をみせて相手を削ったスライディングを、ノーファール・ノーカードと判定した「今日の線引き」は失敗だったと云えるでしょう。ファールにもならないのは甘すぎでした。
草津のやや攻勢で試合は続き、63分には氏原が競り勝ってヘディングでポストプレー、DFライン裏に流れたボールを快速の松浦が拾い、ゴールに迫ります。角度のない位置からニアサイドを狙って打ちますがGKに読まれてしまいゴールになりませんでした。
65分には徳島の反転攻勢、サイドを駆け上がる小山を櫻田がスライディングで転倒させてしまい、この試合初のイエロー。カード相当のプレーなのですが、5分前の判定との整合性がありません。基準があやふやで試合のコントロールを失うところが、ルーキー審判なんでしょうね。70分には交代出場のアンドレをまたもや櫻田が競り合いで倒しますが、これはファールのみ。確かにイエロー2枚は退場につながる重い処置ですが、カードも止む無しのプレーだったと思います。せめて厳重な口頭注意は必要だったと考えます。これまた基準がブレてしまいました。
試合が荒れてくると、自ら作った甘い基準を忘れてカードでコントロールを試みて、さらに荒らしてしまう。まあファールを繰り返してカードをもらう草津の選手も充分にいけないんですけど。この日の井上主審はまだJで5試合目だそうです。まあ経験を積んでもらうしかないのですが、出来れば草津と徳島から遠いところで。せっかく試合が面白く動いてきたところだったのですが残念でした。
個人的には、徳島戦が同時昇格チームの歩み、チームの流れが見えるようで一番楽しみなカードです。負傷欠場していますがMF片岡やFW大島ら大塚製薬JFL連覇メンバーは、JFL時代から草津にとって恐るべき敵ですからね。草津でもアマチュア時代を知る選手が少なくなっていますが、その選手たちと同様に、徳島の選手たちにもいつまでも頑張ってもらいたいと思っています。ぶっちゃけ、大塚製薬サッカー部とその面々がやっていたサッカーが好きだったんですよね。草津サポのくせに。サッカーファンとして良いサッカーチームと好選手を好きになってしまうあたりは、草津サポとしてはダメなところなんでしょうねえ。
話が逸れました。試合に戻って。レポートだと試合は草津の猛攻で徳島は防戦一方とありますが、草津はボールは回せるけれどもなかなかシュートまでいけず、徳島はセットプレーで得点を狙うも、パス回しやサイドの展開でミスがあってリズムに乗りきれないまま終盤になったと思います。草津は山崎に代えて桑原、松浦に代えて後藤を投入しますが流れをかえるアクセントにはなりませんでした。80分すぎからはやや徳島優勢に傾き、草津は自陣でファールを繰り返して流れを失ってしまいます。そして最後にはPK献上に行き着くわけですから、後半優位に試合を進めながらも得点できずに最後はファールの連続から自滅パターンに入っていった、というところは湘南戦と同じ。本田に救われましたが、こういうところは改善していかないと、なかなか勝ち切れない不安材料ですね。

植木繁晴監督(草津):
(前略)今日は内容も良く、数回突破もできていました。ただ、取るべきところで取らないと、こういう最後になってしまいます。残り時間が少なくなったら、相手はホームだしパワープレーをかけてくるし、そこでファールをせずに粘って守り切らねばなりません。今後の戦いにおいて、終盤の過ごし方が課題となると思います」
(中略)
吉岡はリーグ初出場でどれくらいできるか見守っていましたが、80点以上の出来ではなかったでしょうか。クロスの正確さがもう少し必要ですが、十分合格点だと思います」

植木監督は、終盤に疲れの見える吉岡に代えて尾本を投入し、パワープレイとやられ続けたセットプレーの高さ対策を講じます。この日の吉岡は草津にとって大きな収穫でした。後ろに尾本を置いた左SHでも面白そうですね。キッカーとしても期待できます。

しかし、勝負の神様は気まぐれなもの。後半防戦一方となっていた徳島に思わぬ形で最後のビックチャンスを与える。試合も残すところアディショナルタイムだけとなったところで徳島がPKを獲得したのだ。そしてここでチームの命運を託されたのはエース羽地。他の選手はもちろん見守るサポーターの誰もが勝利を信じて疑わなかっただろう。が…。

PKは氏原と河野がつかみ合いになって倒れこみ、氏原はバタ足で蹴る報復行為のもの。一発レッドは仕方ないですね。ポジション的に競り合い削られる立場で、氏原にも云いたいことがあるのは充分に分かりますが、暴力行為におよんだほうが悪く、かつ退場したほうが負けです。厳しい云い方になってしまいますが、チームの勝敗より自身の怒りの発露を優先させるのは草津を負けに追い込んでいるだけです。本田がPKを止めてくれから良かったようなものの敗北必至、絶体絶命の状況でした。これを教訓として出場停止明けにはまた活躍してくれることを期待します。いまや氏原はサポの信頼厚い、必要不可欠なストライカーですからね。ダンスも出来ないと寂しいし。
PKの結果はご存知のとおり、羽地のシュートを本田が右手ではじき出して、アディショナルタイムでの先制を阻止しました。ありがとう本田。草津はつくづく守護神に恵まれています。

本田征治選手(草津):
「今日は同級生も来てくれてうれしかったです(※本田選手は徳島県出身)。PKはこれまでも自信があったので、今回もなんとかしてやろうと思っていました。ビルドアップまではうまくいったので、あとは最後のところでちょっとの無理をして、相手の嫌がる攻撃を仕掛けられたら勝ちにつながると思います」
秋葉忠宏選手(草津):
「相手は蹴ってくるのでDFはしっかり準備をして跳ね返し、セカンドを丁寧につないでいこうと思っていました。最後を個の力で抜き切っていれば、もっと違う展開になったと思います。自分達の目指すサッカーが少しずつできているので、これからもどんどん上位目指していきますし、可能だと思います」

氏原は、本田神に夕食をおごるとかしたほうがいいじゃないかな。またPK阻止には、元徳島の秋葉の助言もあったそうですね。徳島新聞6月11日付より。
http://www.topics.or.jp/index.html?m1=3&m2=22&bid=11641884257658&cid=118152722823&vm=1

徳島ヴォルティス、勝ち点3逃す 草津と引き分け
(前略)
【評】徳島はロスタイムで得たPKを生かせず、0−0の手痛い引き分けに終わった。PKは羽地がゴール左を狙ってけったが、草津のGK本田に右手ではじかれた。
試合は押され気味だったものの、最終ラインが安定し、相手シュートを4本に抑えた。GK島津の好セーブも光った。
しかし、攻撃は決定力を欠き、相手を上回る11本のシュートを放つも点につながらなかった。人数を掛けた終了間際の分厚い攻撃も実らなかった。
(中略)
秋葉が存在感示す
○…昨季途中まで徳島でプレーしていた秋葉が草津ボランチとしてフル出場。攻守の要として存在感をアピールした。
ロスタイムのPKの際は、GK本田に「羽地はインサイドでけってくる」と助言。PKを防いだ本田は「秋葉さんのアドバイスで自然に体が反応した」と感謝した。
(後略)

荒れた雰囲気の中でも冷静なアドバイス。プレーぶりも草津のフィットした今季はさすがですが、こういったメンタル的な支え、アメリカンスポーツでは「ロッカルーム・リーダー」と云わますが、様々な人間が集まる集団をチームとしてまとめる大変貴重な存在ですね。また本田と秋葉のコメントにあるとおり、ボール回しなどは過去2戦よりも引いた相手であっても、うまくいきましたしシュートは4本と少ないながらも、いづれも大きな決定機でした。攻撃的なSBを両サイドに配置するのは難しいかもしれませんが、なんとか良いキッカケにしてもらいたいですね。レポートに戻って。

最後にひとつだけ触れておきたいことがある。この一戦では試合終了直後、ピッチ上で選手たちの小競り合いが起きてしまった。勝負に賭ける気持ちが引き起こしたものであるのは十分理解できるが、しかしその気持ちは90分の戦いの中だけでぶつけ合って欲しい。未来のJリーガーを夢見る子供たちが見つめる前で今後そのようなことはどちらのチームの選手たちにもして欲しくない。

試合の最後に小競り合いがあり、河野がイエローをもらいましたが、おそらくはプレーではなく口論だったように見えました。レポートどおり、戦いは90分のサッカーでお願いしたいですね。相手にも審判にも、なにより自分に勝たねばならない。連勝のためにも「男の修行」がさらに必要なようです。ともあれアウェーの連戦で負けなしで3連敗のあとは1勝2分。これからも上位対決が続きますが、順位を上げるには勝ち点をとっていく以外の手段はありませんので、中2日で東京ヴェルディ戦には一層の奮起で立ち向かってもらいたいですね。

●参考リンク:サイボーグネームジェネレーター
http://cyborg.namedecoder.com/
本日のトップ画像。名前を入力してキャラクターを選ぶだけで出来上がりです。

*1:NHK-FM出演の高田コメントより。ショックの大きかった山形戦だが、直後のクールダウンから、試合を反省する話し合いがあちこちで始まった。キャプテンのチカが「みんなで話そう」と呼びかけ、前橋に帰ってから植木監督の編集したビデオを見ながら鳥居塚・秋葉を中心にみんなで意見交換を行った。「勝ちたい」という雰囲気が昨季までよりチーム全体にあることを強く感じた。との主旨で語ってくれました。

*2:逆に攻撃に魅力があっても守備に不安のある選手のSH起用が、現状では難しいとも云えますね。中井義樹里見仁義山本拓弥がなかなか起用されないのには、そういう面がありそうです。また同じ理由で松浦や後藤のSH起用も不安のほうが大きいと考えます。

*3:東京V−福岡−C大阪−札幌。順位を上げるには、最低でも勝ち点5ないし6はとりたいところですが。