鬼武Jリーグチェアマン、来季J2リーグ戦の3回戦制の検討を示唆。

JFLもあと一節でシーズン折り返し。準加盟クラブが上位を争う現在、来季のJ2リーグ戦の開催方式が話題となってきました。スポニチ6月20日付より。
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2007/06/20/09.html

●来季J2は15チーム3回戦制?
Jリーグの鬼武チェアマンは、来季のJ2リーグについて3回戦制を検討していることを明らかにした。現在は13チームだが、今季の結果次第で新たにJFLから2チームが昇格する可能性があり、4回戦制のままだと1チームあたり8試合増えることになる。「3回戦で進めようという案もあるが、各クラブの意見を聞くのが先。8月の実行委員会で討議したい」と語った。

今季のJ2は、13チームの総当り4回戦、全52節48試合で運営されています。来季のJ加盟が1クラブならば、そのまま現状に組み込んで(休みの節に新加盟クラブと対戦する形)全52節52試合で運営できますが、さらに加盟してくると現状の4回戦では過密日程が超過密日程になってしまい、疲労からプレークオリティの低下や平日開催の増加で開催収益の低下などが懸念されます。また2回戦制に移行するとホームゲーム数が20数試合から10数試合にまで一気に減少し、クラブ経営へのダメージが発生してしまいます。
この予想される将来に関して、Jリーグは「Jリーグ将来構想委員会」を設置し、委員会は『J2リーグの将来像』という報告書をまとめたのはご存知の通り。この報告書ではJ2加盟が15チーム以上になった場合は、ホーム&アウェイの公平性を欠くことになっても、3回戦制を導入して経営にダメージを与えない主催試合数を確保すべし、という考え方が提示されています。
J加盟を目指すクラブが実際に戦うJFL、昨季はロッソ熊本がJ準加盟クラブとして承認されたものの成績条件が満たせず、今季2007年は、栃木SCガイナーレ鳥取と、財政状況の改善を条件にFC岐阜の3クラブが準加盟クラブとして承認され、またJ加盟成績条件が「原則2位以内」から「4位以上」に変更されました。そして前節までで熊本が2位、岐阜が3位、栃木が7位、鳥取が12位となっており、上記記事につながっています。
記事では単純に「2チーム増への対応」と伝えていますが、正確には「複数チームの加盟と15チーム以上でリーグ戦が現実化してきた状況への対応」だろうと思われます。成績条件は4位以上ですから、準加盟クラブが2つならず3つ、4つとも条件達成の可能性もまだまだありますからね。
ただ記事で「15チーム」としているのは、たとえ3回戦制であっても日程の不公平を少しでも減らしたい考えもあるのだろうと思えます。以下にまとめてみました。

●現在のJ2リーグ
13チーム4回戦:全48試合(ホーム24/アウェイ24)
●来季1チームがJ加盟
14チーム4回戦:全52試合(ホーム26/アウェイ26)
*現状のまま拡大できる。主催試合が2増。
●来季2チームがJ加盟
15チーム4回戦:全56試合(ホーム28/アウェイ28)
15チーム3回戦:全42試合(ホーム21/アウェイ21)
*4回戦は日程が厳しい。3回戦は主催試合が3減。
●来季3チームがJ加盟
16チーム3回戦:全45試合(ホーム22.5/アウェイ22.5)
16チーム2回戦:全30試合(ホーム15/アウェイ15)
*3回戦はホーム戦が23と22のクラブが発生。2回戦だと主催が9減。

準加盟クラブの都合を一切考えなければ、来季は2クラブ増で15チーム3回戦ないし4回戦で行いたいところでしょう。3クラブ増の16チームですと3回戦も2回戦も困難が大きいですからね。ただでさえ3回戦ではホーム&アウェイの試合数が同じになりませんし、16チーム3回戦制はある対戦相手だけではなくシーズン全体でホーム&アウェイの試合数すら違ってしまいますしね。
マッチメイクや興行面での調整も困難が予想されます。来季のJ1、J2、JFLの編成は未定なので、今季の編成から考えると、「仙台×山形」や「福岡×鳥栖」といった「ダービー」はどちらが2回ホーム戦を行うのかといった成績面で譲れない試合もあります。もちろん優勝(昇格)の有力候補同士の対決では、どちらのホームが多いのかはかなり重要な案件ですよね。興行面でも、知名度が高くかつアウェイサポが大挙してきてくれるクラブとの対戦を、ホームで増やしたいのはどこのクラブも一緒でしょう。一筋縄ではいかないと思われます。
ただJ準加盟制度を従来よりも明文化して「目指せJ」各クラブに示したのですから、加盟条件達成クラブは3だろうと4だろうと受け入れて、全体でベターな方向を探すべきだと考えます。そして、まだ半分以上残っている今季のJFLが、来季のJ2全体と、J1昇格レースにすら大きな影響を与えることになりそうですね。「まあウチは来年、J1だから」というクラブのサポさんはノープロブレム?

●参考リンク:「Jリーグの将来像」PDF形式ですので、開く際にはご注意を。
http://www.j-league.or.jp/pdf/futureofj2_060321.pdf