J2第25節愛媛FC戦。現時点で今季ワーストゲーム。同時に、不調時の戦い方を問われる一戦。

SH772007-07-02

やっと俺の里見仁義が出場したのに。確か昨季、里見が出場した最後の試合は惨敗の東京ヴェルディ戦だったと思いますが、*1久々の出場なのにあの試合と同じく、大ブーイングの中で頭を下げる里見が見ていてツラかったですね(涙) そしてあの試合と同じく、彼のプレー自体は悪くなかったと思います。持ち前の運動量とロケットスロー、大きなサイドチェンジのパスと好調ぶりが窺えました。シーズン開幕前に負傷して出遅れていたそうですが、この調子ならこれからも期待できそうです。
ただ里見自体は良く動き、キレもあったと思いますが、ベテラン勢を中心に、全体的に体が重そうな試合でした。札幌遠征から中3日、第2クールも終盤ですからそろそろ疲労の蓄積がプレーに影響を与える時期でもあるのですが。それでも運動量で相手に負けてしまうと、草津はゲームを作れないので厳しい限りですね。ベテランやほぼフル出場のレギュラー勢も適度に休養を入れないと、なかなかパフォーマンスは上がってこないでしょうし、彼らを休ませるためにもサブメンバーの奮起が求められると思います。まあ左SBで結果を出した吉岡聡俺の里見を、試合前日にサッカー教室に出している場合じゃないと思うのですが。まずは結果とこの日のメンバーをJ's GOALより。
http://www.jsgoal.jp/result/20070200030320070701_detail.html

●2007 J2第25節(7月1日/群馬県陸/3,759人)
ザスパ草津 0−2 愛媛FC
得点 47分:内村圭宏(愛媛) 74分:内村圭宏(愛媛) 
交代 52分:松下裕樹松浦宏治草津) 62分:桑原剛里見仁義草津)
    68分:江後賢一大山俊輔(愛媛) 74分:秋葉忠宏田中淳草津)
    78分:赤井秀一新井翔太(愛媛) 85分:内村圭宏三木良太(愛媛)
警告 82分:里見仁義草津) 87分:大山俊輔(愛媛) 89分:川北裕介(愛媛) 
●J2第25節vs愛媛FC ザスパ草津スターティングメンバー
GK:1本田征治 
DF:3尾本敬 5チカ(C)23藤井大輔
MF:6鳥居塚伸人 15桑原剛 17秋葉忠宏 30松下裕樹 18櫻田和樹 
FW:11氏原良二 9高田保則 
リザーブメンバー
GK:22北一真 DF:4田中淳 
MF:8山崎渡 27里見仁義 FW:20松浦宏治 
●キックオフフォーメーション(4−4−2・ドイスボランチ
−−高田−−氏原−−:松浦
櫻田−−−−−−桑原:山崎・里見
−−松下−−秋葉−−:
尾本−−−−−鳥居塚:
−−チカ−−藤井−−:田中
−−−−本田−−−−:北

今季の基本布陣の4−4−2のドイスボランチ、そして前節の札幌戦で採用した配置を継続しています。秋葉忠宏松下裕樹をDMFとして並べ、櫻田和樹が左SHに上がっています。そして変更は、前節は右SHに入った鳥居塚伸人がSBに下がり、空いた位置には桑原剛が起用された点です。札幌戦では4CBの4バックでしたが、鳥居塚がSBに入ったことによってやや攻撃的に変更されたと云えると思います。ただ鳥居塚がSB起用時の問題点は「鳥居塚不在の両SHがサイド攻撃やセカンドストライカーとしてどれくらい有効に攻撃に絡めるか」ですから、この辺りがこの試合のポイントとなりました。まあ結果は散々なんですが。orz
あと特筆すべきはサブメンバーの組み合わせなんですが、GK北一真とFW松浦宏治、MF山崎渡は今季の流れから判りますし、MF里見はチャンスを貰ったのだと思えます。しかしDFのサブメンバーがSB寺田武史や吉岡ではなくCB田中淳なんですよね。結果的に彼はチカの代わりにCBに入り、チカはパワープレーのために前線に上がったのですが、こういう後ろ向きな特殊状況のためにベンチ入りしていたとは考えにくいですし、そのためにベンチメンバー枠を1つ使うのはもったいなさすぎます。チカを上げる時には尾本敬がスライドすればいいわけですし、そこが尾本のSB起用の利点の1つでもあるわけですから。
おそらく植木さんは、鳥居塚の代わりに田中を右SBとして「守備固め&鳥居塚を中盤に上げる」を意図していたのではないかと考えます。愛媛FCは攻守の切り替えの早く、スピードあるサイド攻撃を基調としたチームですからね。そんな愛媛のサイド攻撃のスペースを与えず、かつ鳥居塚がバイタルエリアのケアに走らねばならない場合の交代要員だったように思えます。田中が桑原と交代して右SBに入り、鳥居塚が上がる。そして状況に応じてSHとしてや、秋葉や松下と並んで3DMFの態勢。前半最後の決定機で氏原が決めていれば、終盤こういう形で愛媛の攻勢に対処する予定だったのではないでしょうか。現実としては、得点できないまま後半早々の失点でプランは流れてしまったのですが。そして攻撃の組み立てと、流れとしては尾本と田中がいるよりは、寺田か吉岡が必要な展開になってしまいました。試合の流れは、伊藤寿学さんのJ's GOALレポートより。
http://www.jsgoal.jp/news/00050000/00050872.html

【J2:第25節 草津 vs 愛媛 レポート】草津、今季ワーストゲームで愛媛に完敗。草津はオフ返上で練習再開へ。
草津の完敗だった。草津にとっては、それ以上、語ることがないほど内容に乏しいゲームだった。バックスタンドを埋め尽くしたサポーターが試合前から迫力ある重低音を響かせ今季最高の応援を展開した一方で、チームは今季最悪のゲームを繰り広げた。

感情を抑えた淡々とした文章から、逆に伊藤さんのガチ怒り具合と失望が伝わってくるようなレポートですね。ゲーム開始前、ピッチアップ開始時の「草津GO+ジャンプ付き」はやっていて盛り上がりましたし、応援は熱が入ったものだったと思います。やはり札幌戦の引き分けからサポも手応えを感じていて、この試合からなんとか上昇気流にのって欲しいという気持ちの表れだったのではないでしょうか。自分はそんな感じで応援していました。

草津は、築き上げてきたポゼッションサッカーを全くさせてもらえなかった。自陣で奪ったボールを中盤で展開しようとするが、愛媛の素早い切り替えに後手を踏み、パスが横にしか出せない。ここまでは、最近の悪いパターンと同じだったが、このゲームではさらに先があった。愛媛にパスコースを限定されて追い詰められる草津は、ボールを横に出すことすらできずに、GK本田へのバックパスを繰り返すことになる。本田は「あの状況で返されたら、ただ蹴るしか選択肢がない。一つのパスコースを消されたら、簡単に後ろに戻すのではなく、次の方法を考えなければならない」と指摘した。

前節の札幌戦では、智将三浦監督からの褒められた「中盤の4人によるパス回し」ですが、この試合ではうまくいきませんでした。理由は複数あり、まず鳥居塚が下がって桑原がSHに入って構成自体が違う点。そして札幌戦では中盤の4人がボックスを作って、サイドからの崩しよりも中央で互いがポジションチェンジを繰り返して数的優位を作れた点。これには相手の札幌がDMF2人は守備するものの、SHは攻撃優先でサイドに拡がり気味だった点も関係しています。
そして札幌戦では、全ての時間帯でうまくいったわけではありませんが、中盤の4人がパス交換でポゼッションを保ちつつ、2列目まで前進してきた秋葉が前を向いたままボールを受け、GKとDFラインの間にボールを落とす攻撃で2得点を挙げることができました。GK高木貴弘の弱点*2を徹底的に突き、サイドからのクロスにはめっぽう強い札幌DF陣の攻略方だったと思います。
しかし今節の愛媛戦は、SHの桑原と櫻田が共にサイドに開く位置をとってサイド攻撃を基調とする、従来の戦い方に戻してていたように見えました。そこが愛媛の守備策にズバリ引っ掛かってしまったと思われます。また鳥居塚と桑原では役割が違い、中盤でのパス回しに参加するというよりドリブルでのサイド突破とクロスを送ることを担っていたように見えました。櫻田のサイドに相手全体をひきつけ、そこからサイドチェンジで空いたスペースを桑原が突く、というプランだったのではないでしょうか。

ゲームを通じて草津の運動量や闘志が足りなかったことは間違いないが、この状態に陥った要因は、愛媛の徹底した草津対策にあった。愛媛のボランチ・井上が「サイドをマークしてボールを出させないようにした。サイドをケアすることによって、攻撃が中央に偏ってきたので楽になった」と話したが、草津ポゼッションサッカーはサイドの起点を潰されたことで、音を立てて崩れていった。これまで中盤で細かくパスを回すことでリズムを作ってきた草津だが、そのパスを封じられると何もできなくなるという弱点をさらした形になった。

ただ「両SHのマークがキツイと思うようにいかなくなる」という弱点は、既に第2節で徳島ヴォルティスが突いてきていたので、「遂にバレたか」というものではありません。ある意味当たり前の対応をされているだけです。しかし、今まではSHが激しく寄せられたり、マークがキツかったりすれば、SBが近づいてフォローするなり、追い越して相手のマークをズラすなりしてきたのですが、*3右SBの鳥居塚は(札幌戦からでしたが)疲労のためか運動量が上がらず全体的に精彩を欠くプレー。左SBの尾本は、守備を優先しているのか櫻田を追い越すこともフォローで近づくことも躊躇っているような低いポジションどりで終始しました。
こうなるとSH単独での打開を図るしかなく、桑原は数回ドリブル突破でチャンスを作りましたが、*4左サイドライン際の櫻田は、独力で相手を抜きさるプレーよりも味方を前に送り出すパスで活きる選手です。SB尾本が絡まず、DMFの2人も上がってこれずで、バックパスを繰り返すことになってしまいました。鳥居塚が下がり目で、櫻田が攻撃を展開できない状態では、ロングボールの繰り返しか、無理なパス回しを奪われてのカウンターでピンチを招き続ける前半となってしまいました。
全体的に運動量も気迫も足らず、攻守の切り替えの早い愛媛FC相手に手詰まり状態で拙攻を繰り返す。マズい状態なのは、誰の目にも明らかだったと思います。そして、この試合最大の問題は「この状態をどう変えていくか」だったと考えます。疲れていようが手詰まりだろうが、走り攻め続けるのか。相手の注文通りに嵌められている組み立てを、一回停めるのか。
チーム全体が連戦の影響か、疲労しているのは明白で、前半20分くらいで既に相手のセットプレー終わりやカウンターのチャンスでもDFやMFも歩いている状態。スタンドからは不甲斐ないイレブンに叱咤の声が多数上げられました。草津本来のスタイルに程遠い状態だったので仕方ないのですが、こんな状態の時はチーム全体を落ち着かせるためにチームは守備隊形を整え直し、後方のゆっくりしたパス回しで、待ち構えている愛媛FC全体を釣り出し、陣形を崩させるべきだったと思います。前半の途中には後方のパス回しで相手全体を釣りだした時間帯もあり、そこでは落ち着きを取り戻して、桑原の突破に繋がりましたしね。
いつもの草津ならば、いつも通りの攻勢の応援がふさわしいと思いますが、いつもの状態でないイレブンと危機的な試合の流れの時は、もう少し後方のパス回しと守備隊形を整えて構えるサッカーを見てやってもいいんじゃないかと思いました。48試合全部がイケイケでいけるハズはありませんし、応援も我慢する時間帯はチームと一緒に我慢しながら支える声が出せればと思いました。まあ、だらしないプレーの連続とジョギング移動には自分も相当トサカにきていたので、難しいことだと思うのですけど。イレブン内でも考え方が割れてしまい、戦い方がちぐはぐになってしまっていたようですね。
http://www.jsgoal.jp/news/00050000/00050860.html

秋葉忠宏選手(草津):
「リトリートすれば、守りきれるはずなのに、一つ一つがズレていってしまい、相手に自由に回されてしまった。ゲームがうまく行かないことで、文句の言い合いになってしまい、チームがバラバラになってしまった。弱いチームの典型的な試合になってしまった」
尾本敬選手(草津):
「気合が足りなかったとは思わないが、みんなの気持ちが空回りして、イライラしてしまっていた。それでも、DF陣で耐えていこうとしたが、ミスから失点して立ち直ることができなかった。あの1点がなければ、違う展開に持って行けたと思う」
櫻田和樹選手(草津):
「相手が中盤のパスを狙いに来ているのは分かったが、うちの出足が全体的に遅かった。闘う気持ちが足りなかったのかもしれない。全体的に相手のペースで、うちが後手に回ってしまった」
鳥居塚伸人選手(草津):
「監督に『闘っていない』と言われたが、運動量、球際の部分で気持ちが出せなかった。中盤で詰められてバックパスが多くなってしまっていた。もっと運動量を増やして、相手をズラしていかないといけなかった。セカンドボールが拾えなかったのは運とかじゃなくて、チーム全体で意識が足りなかったからだ」

秋葉と尾本は「仕切り直し、建て直し」だと思っており、鳥居塚と櫻田は「なんとか攻めたい」だったことが判ります。味方は動けず攻撃は手詰まり。拙攻を相手に利用されて防戦一方。こういう状況でどう対応するのか。攻守どちらの考え方も間違っていません。しかし統一しなければ勝てません。この見どころ少ない試合から得られた大きなテーマだと思います。前半は不利な状況ながら数回のピンチも失点せずに乗り切り、後半の建て直しが期待されましたが、開始早々にミスから失点してしまいます。

愛媛の積極的な姿勢が、草津のミスを呼び込んだ。後半開始早々の47分、草津のミスに乗じてボールを奪った井上がゴール前へ低いクロス。そのボールに詰めたのは内村だった。「(田中)俊也が前でつぶれてくれたので、合わせるだけだった」(内村)。そして、74分には草津のクリアをブロックした大山がマイナスのラストパス。そのボールを内村が豪快に突き刺し、試合を決めた。「ニアでマークを振り切ってタイミング良く撃つことができた。自分でもびっくりするくらいのシュートだった」(内村)。敵地で会心の勝利を挙げた望月監督は「草津のサッカーを見習った」と控え目なコメントをしていたが、リーグ終盤にむけての確かな手応えをつかんだはずだ。

1点目は秋葉のミスで、2点目は鳥居塚のミス。二人とも明らかに動けておらず、それでもボールタッチが多い中でのミスでした。植木さんは次々と攻撃の駒を入れますが、愛媛の運動量の前に思うような攻撃も出来ず、またメンバーが交代するたびにパワープレーで前線に上がったチカへクロスを送る選手も鳥居塚しかいない状態で、それでも何回かチャンスは作れたものの、無得点のままで試合が終了しました。90分通じて運動量少なく気迫も感じられない今季これまででワーストの内容であり、結果でした。
1年間戦うなかで、イヤでもこういう試合はあります。しかも間違いなく。それはそれで仕方ないことだと思っていますが、ただGK本田がコメントで「札幌戦にドローでどこかに慢心があったのかも」と分析していました。それが草津の大きな弱点なのかもしれません。確かに札幌戦は不調を覆した奮起の大健闘でしたが、それまでは「内容ではなく勝ち点3が必要」と各々がコメントしていたはずです。札幌戦は勝ち点1の試合であり、次の愛媛戦で勝ち点3に繋げるのではないでしょうか。苦しい状況なので一定の成果に安心したい気持ちも充分に分かりますが、札幌に健闘すれば愛媛が自動的に負けてくれるわけでもありません。勝利とそして連勝を達成するのは相手よりも自分達に打ち勝つ覚悟が必要だと思えた試合でもありました。

対する草津だが、第2クールでわずか1勝と停滞している。目指すポゼッションサッカーを成熟させるには、さらなる努力、そして臨機応変なプレーが必要だろう。植木監督は試合後のロッカールームで選手たちに、月曜日(2日)のオフを取り上げて練習に充てることを通達した。指揮官のサッカー人生で初めてのことだという。 

試合翌日にハードな練習は無理でしょうから、主にミーティングだと思われます。このまま1年を過ごすのか、もう一度奮起し、そして次の試合だけでなく奮起しつつづけるかどうかの境目ですね。今季の草津イレブンとチームの、成否の分水嶺だと思います。試合後にバクスタ前で挨拶に並んだ俺の里見は、相当悔しそうな表情をしていました。里見だけでなく、そういう表情の選手も多かったのでまだまだ立ち直ってくれると思いますが。そしてまた、イレブンの奮起を促し背中を押す応援をしたいと思います。

*1:これはマチガイでした。ダイアリー更新後に記録集で確認すると、東京ヴェルディ戦の後も先発を含む4試合で出場していました。謹んで訂正いたします。

*2:至近距離のシュートストップでは高木は神ですが、逆にシュートストップがウマイので飛び出しを逡巡する時があるんですよね。昨季の指導陣である植木さんと山岸GKコーチが相手で90分間苦手ばかりを突かれるのですから、高木はやりづらかったと思います。でも守護神として札幌に貢献してJ1に上がれよ高木。今でも変わらず応援しているぞ。(;´Д⊂)

*3:第1クールではSH鳥居塚がマークされるとSB佐田が近づき、追い抜いていきましたよね。

*4:前半の終盤に、松下と桑原でサイドを突破し、桑原のクロスを氏原がシュートしましたがGK正面。ここで先制していれば試合はもう少し違ったものになったでしょうね。勝てたかどうかはともかく、こちらのゲームプランで進められたと思います。