強豪アウェイ2戦を含んで3戦連続で1−1ドロー。草津は何を変えたのか。

SH772007-08-20

ご無沙汰してしまいました。調度良いと云ってはなんですが、この中断の間に草津は、福岡戦と札幌戦の大敗を受けて、やや戦い方を変えました。この辺りを考えつつ、仙台戦をエントリーしたいと思います。
戦い方を変えた草津は、強豪相手のアウェイ2戦を含む3戦連続で1−1のドロー。勝ちきれないまでも得点を挙げながら勝ち点を積んでいます。得点どころかシュートも撃てないまま失点を重ねた、閉塞感漂う最悪の時期と比べれば、状況は上向いていると考えます。最悪の状態のままならアウェイ京都、ホーム山形、アウェイ仙台の全てで敗れてもおかしくない状態でした。それがいづれの試合も「勝てたかも」まで引き上げた植木さんとイレブンの頑張りは頼もしいものですが、同時に順位を上げていくには「状態が良くなったのに一つも勝てなかった」面も見なくてはならないと思います。何が良くなって、何をこれから取り組まねばならないのか。このドロー3戦を直近の仙台戦を中心に振り返ります。まず結果をJ’s GOALより。
http://www.jsgoal.jp/result/20070200030220070819_detail.html

●2007 J2第35節(8月19日/ユアテックスタジアム仙台/13,420人)
ベガルタ仙台 1−1 ザスパ草津
得点 38分:チカ(草津) 67分:田村直也(仙台)
警告 48分:チカ(草津) 58分:ジョニウソン(仙台) 86分:田ノ上信也(仙台)→退場
交代 53分:中原貴之永井篤志(仙台) 59分:山崎渡松浦宏治草津) 67分:富田晋伍関口訓充(仙台)
   78分:中島裕希ファビーニョ(仙台) 85分:高田保則→カレカ(草津

再三触れているとおり引き分けでした。過去2シーズン度々虐殺されていたアウェイ仙台戦でしたが、J3年目の今季は2試合とも1−1のドローで乗り切りました。ささやかですが、ここでも過去シーズンと比べてのチームとしての実力アップが見えると思います。これで対仙台の通算成績は11試合で3分8敗。今季残り1試合、ホームでの対戦でそろそろ勝ちたいですねえ。第2クールの敷島ではボロ負けでしたが。続いて、この試合の草津のスターティングメンバーは。ここ3試合を振り返るのでフォーメーション図のみで。
●J2第35節ベガルタ仙台戦スターティングフォーメーション(4−5−1・ドイスボランチ

基本布陣である4−4−2・ドイスボランチから4−5−1・ドイスボランチに。これは第33節京都戦から用いられ、第34節の山形戦でも継続されました。山形戦は櫻田の累積出場停止、仙台戦は氏原の負傷欠場の影響で、どの試合も先発メンバーが若干入れ替わっていますが、ほぼ同じメンバーでほぼ同じ戦い方をしていると云えます。
●J2第34節モンテディオ山形戦スターティングフォーメーション(4−5−1・ドイスボランチ

●J2第33節京都サンガ戦スターティングフォーメーション(4−5−1・ドイスボランチ

4−5−1隊形ですと、いわゆるトップ下の司令塔が置かれた形に見えますが、ここ3試合を見た限りでは従来のコンセプト(全体をコンパクトに&ドイスボランチがゲームを組み立て、FW・SHの4人が動き回る)を継続しています。大胆な戦術・布陣変更ではなく4−4−2隊形でも生まれていた一局面を固定し、従来の弱点のフォローを意図が形になった布陣だと考えられます。
具体的に云えば、最近の拙攻の背景には、「SHの縦コースを切り攻撃を前進させない」「じれたFWがバイタルエリアに下がってボールを受ける所で潰す」といった草津の早いパス回しを封じる相手守備陣の対応策があると思います。また草津の4−4−2隊形で攻撃を担う4名に対し、同じく4−4−2を採用しつつ守勢をとるチームは4バックとドイスボランチの合わせて6名が対応に当たっています。速攻が出来ないとなかなかパスの出しどころがなく、パスは回れどもシュートまでいけない攻撃に。ここで草津ではSBが攻撃参加してサイド局面で数的同数以上を構築して崩していくわけですが、例えクロスを上げることが出来てもゴール前に詰める人数が数的同数とまでいきません。4−4−2で空いているバイタルエリア中央をボランチのどちらかが駆け上がっていければ面白いのですが、なかなかそこまでうまく行きませんし、パス回しの最中にボールを奪われた時の守備のリスクを心配したほうが良いのが現状です。
こういった状況を打破するのが4−5−1、トップ下を配置してバイタルエリアに最初からヒトを配置してしまう形だと思います。ボランチ1名で守れる力は今の草津にありませんし攻撃の組み立てが基礎から変わってしまうので、中盤が機能しなければ有効に働けない2トップから1枚削っています。これでバイタルエリアで相手ボランチ2名に対してこちらは3名と局面で数的優位を確保しやすくなりましたし、サイドからのクロスに中央から詰める人数も増やせます。中盤全体でも相手の4名に対して5名。パス回しもボランチ2名と両SHで行っていたものに、中央に1名加わることで距離が短いパストライアングルを構築しやすくなっています。また数的優位と今季傾注して成長させたダイレクトなパス回しで中盤を制圧出来れば、SBも駆け上がりやすくなります。
先に触れましたが、布陣を変えても全体の意図はそのままで、4−5−1だからといってトップ下も中央固定の司令塔ではなく、FWが1枚減らされた1トップもCB2人を向こうにまわした空中戦の連続を要求されていません。どちらかと云えば2列目の3人と協力して流動的にポジションを移動させて互いのスペースを補完しあうことが要求されています。そして中盤のパス回しで全体をコンパクトなままビルドアップし、相手バイタルエリアより前に迫る攻撃時には、4−5−1から4−3−3に変化した厚みで敵ゴールに向かう形になります。この状態こそが植木さんの狙う意図が現れた隊形なのではないかと考えられます。相手のサイド攻撃時や相手ゴールキックではこの態勢で守備を敷いて全体のスペースをケアしていることからも、4−3−3ブロック構築をチームに浸透させつつあるのではないでしょうか。
●J2第33節京都戦と第35節仙台戦での4−3−3へ移行状態
 
氏原が中央に入った3トップで、バイタルエリア中央は櫻田が進入する。どちらかのサイドからのクロスに2名ないし3名がゴール前に詰められます。肝心のクロスの精度の話はとりあえず置いておいて。
上記の布陣の京都戦では、前線の選手が流動的にポジションを入れ替え次々とDFライン裏に飛び出し好機を演出しました。そして先の仙台戦では1トップに高田が入り、中盤も務まる選手ですからいよいよポジションチェンジが活発になり、4人が当初の位置を完全に入れ替わるような形でも前進出来ました。また比較的高い位置でプレーするため、サイド攻撃時には理想どおりに3トップでゴール前に詰めていくシーンも度々作れました。
先の仙台戦の前半は、かなり理想的な試合運びでした。前掛かりの仙台が不調な中、草津がまず数的優位でボールを奪い、中盤をダイレクトパスで前進しながら再三シュートまでつなぐ。なかなかサイドを突破できず、中央からのシュートが多くなってしまいましたが。しかし攻勢を続けた「草津の時間帯」の間に得点することが出来ました。これはJ's GOALレポートと選手インタビューから。
http://www.jsgoal.jp/news/00053000/00053261.html

【J2:第35節 仙台 vs 草津 レポート】成長中の草津を前に、反撃が遅すぎた仙台はドロー。しかし停滞した状況を打開するための「何か」には気がついたのでは。
(前略)草津は熟成が進む4−5−1の布陣で、しっかりパスをつなぎ仙台を攻め立てる。ボランチの富田が「前でボールを取りに行けなかったことが悔やまれる」と試合後に語っていたが、それが失点に結びついてしまったのが38分だった。草津は中盤で仙台のお株を奪うようなダイレクトパスをつなぎ素早く進撃すると、正面30メートル以上の距離から鳥居塚がロングシュート。強烈に枠を捉えていたこのシュートは林がパンチングで防ぐが、それによって得たCKを、チカが岡山、そして飛び出した林に競り勝ってヘディングで決めた。

http://www.jsgoal.jp/news/00053000/00053229.html

鳥居塚伸人選手(草津
Q:ゴールに結びついたCKを得た鳥居塚選手のミドルまでの流れが示すように、しっかりと中盤を作れることを見せられたと思うが?
「今年は中盤のところでしっかり作って、3人目のところで突破していこうというのがテーマだった。その辺はある程度、前節、前々節くらいからできてきているし、中盤とDFのギャップを突くことで、ボールを回せるようにはなってきている。ポゼッションは出来てきたかな。そこからああいうようにシュートで終われる形が出てくると、得点チャンスに繋がるのかなと思います」

バイタルエリアで数的優位を確保できたからこそ、鳥居塚の落ちついたミドルシュートを放つ時間が作れ、CKからの得点につながったと思います。またこの3戦で松下をキッカーにしたセットプレーからの得点はこの1点だけでしたが、京都戦でも惜しい先制チャンスがありました。これから益々出場時間が増えてキッカーの機会も増えた松下に期待したいですね。
話を試合に戻して。仙台戦前半が草津優位だった裏面には、仙台の攻撃の不調がありましたが、これが後半に響いてきました。レポートから仙台の攻撃についての箇所を。

(前略)今節、スタメンで起用された富田、田村らが、試合開始からボールに対して激しく行き、前節に欠けていた球際の強さを見せるなど、停滞していたムードを変えようとする意図は仙台のチームに確かに見えた。
しかし彼らの奮闘とは別に、前節のまま変えられない部分も。相変わらずミス(特にこの日はトラップでのミスが目立った)が続き、チャンスになりかけた場面も結局は草津のボールに。さらにロペスがとにかく動けない。体が重く、守備の場面では頭数にすら入れられないような状況だった。
(中略)
一方で仙台はというと、とにかくボールが収まらない。前線の選手に当てるべく何度も放たれた浮き球のくさびは、尾本、チカの二人のCBにことごとく跳ね返され、平面での展開も打開には至らない。

ロペスは負傷をおしての出場だったようで、かなり精彩を欠く前半でした。また全体的にボールを奪ったら早めに前に当てる攻撃が繰り返され、これが逆に早すぎてロングパスがタッチラインゴールラインを割ってくれるので、草津としては助かる場面が多かったですね。また高さ勝負ではチカと尾本でほぼ完封。今季、草津が勝ち点をとった試合には度々この空中戦での優位が貢献しています。
ただ無論、強豪仙台ですから、サイドに起点を作って攻めあがったり、ロペスにボールが納まれば恐ろしいもの。そして第2クールの反省からか、無理にラインデイフェンスを敷かずにDFラインがリトリート主体で下がりつつ対応したため、前線の選手が自陣バイタルエリアにまで駆け戻るシーンも目立ち、これがただでさえ流動的なポジションチェンジを繰り返す前線の選手の疲労を加速させてしまいました。山形戦でも後半ガクンと運動量が落ちましたが、より攻勢を強めた布陣と、守備への奔走が厳しいのだと思われます。ただでさえシーズン中盤で連日の暑さで疲労を蓄積させているでしょうし。この3戦すべてに云えることですが(山形戦は特に)、前半優位の時間帯に得られたチャンスをより得点に結びつけなければ、勝つのは難しくなってしまいます。シュートすら撃てなかった時期に比べれば1点とれるだけマシなんですけど。

(前略)仙台は左サイドからのFKを得ると、そこからエリア内に入れられたボールに対し、草津の守備陣はクリアにもたつく。何とかペナルティーエリア右45度の方角に跳ね返すことが出来たが、ボールの落下点には田村がいた。
その田村、決して万全な体勢ではなかったものの、ボールの落ち際を利き足でもない左足で叩く。するとボールは、ゴール前の密集を抜け、本田が反応すら許されないまま、ゴール左隅に吸い込まれていった。サポーターの待つバックスタンドに向けて歓喜ダッシュを見せる田村はこれがプロ初ゴール。

ゴール前の混戦から佐田が落ちついてクリアしていれば(結果的に)よかったのですが、カウンターにつなげる意思があったのでしょう、ボールはペナルティエリアを出るか出ないかの位置に飛び、フリーの田村に拾われシュートを許してしまいました。京都戦と山形戦もそれぞれ形は違えど、ミスからの失点でした。ノーミスで進めてもらいたいですが、やはり1失点くらいは覚悟しなければならない状況なので、2得点は欲しいのも現状からの要求です。

そしてこのゴールが、仙台の選手たちになにやら大切なことを気付かせたようだ。シュートへの積極性が俄然増し、それに伴って、足元でのパスを回し続けていた攻撃が嘘のように、シュートへ辿り着くという意図が強く感じられる素早い攻めへと変貌した。前節同様、草津が明らかにチャンスとなるカウンターの場面以外、植木監督が悔やむように安易なクリアから防戦一方になってしまったこと、そしてベンチから永井、関口、ファビーニョと、流れを変える選手を仙台が続々投入したこともあって、残り時間は仙台の一方的な展開となった。

DF陣の奮起もあったのですが、仙台の不調にも助けられてなんとか逆転ゴールは許しませんでした。防戦一方になった背景には前半の果敢な攻勢による運動量の低下と、同点になったことで前線はパス回しを省略して上がり気味に、DF陣はサイドからの攻勢を警戒して下がり気味になり、中盤が間延びして秋葉と松下でフォローしきれない部分が大きかったと思います。両SBもなかなか上がらず、前線に大きく蹴るサッカーになってしまいました。こういう状況でのポジションごとの意見が割れているのでしょう。どの意見も正解だと思いますが、統一していない意見はいづれも不正解でもあります。

鳥居塚伸人選手(草津
Q:今節、比較的早い時間に先制点を得たことで、リードを守りきれなかった前節のことは頭をよぎった?
「前半は45分間うまく流せたんですけど、後半に入ると自信の部分だとは思うんですけど、つなげる部分もクリアにして相手ボールにしてしまったり。ボールを失わなければ失点しないということを、選手も分かるように経験を積んでくれば、もうちょっと楽なゲーム運びができるようになると思います。その辺、1点をなんとか守りきるのではなく、点を取れなくてもいいからボールを失わないことを考えて90分間過ごせたら1−0でも勝てるし、上手く行けば2点3点と追加点も取れるようになります。そういう形でチームを落ち着かせて、90分を戦っていかないといけないのかなと思います」
Q:ハーフタイムには植木監督から「この雰囲気を楽しもう」という指示があったそうだが?
「そうですね。仙台は本当にアウェイという独特の雰囲気なので、それに飲み込まれちゃうと、うちの選手は若いしパニックになっちゃう。逆にこういう雰囲気を楽しんでやることが、サッカーの楽しみなんで。
前半はリードできましたし、いい流れでいけましたけど、サッカーは45分45分の戦いではなく90分の戦い。前半いい流れで上手く進めて、後半で決着をつけるという形でも構わないので、90分の戦いをしていかないといけないのかなと思っています」

また後半攻め手を失いただただ守るだけになって結局失点した山形戦後の植木さんと選手の感想は。
http://www.jsgoal.jp/news/00053000/00053057.html
http://www.jsgoal.jp/news/00053000/00053061.html

植木繁晴監督(草津):
「ゲームの最後のところで、全体で守ってカウンターをケアするのか、逆にうちがカウンターを仕掛けるのか、チームの意思統一が中途半端になってしまった。そうなる前に、前半で2、3点取っておかなければいけないゲームで、結果としては非常に不満足だ。
ただ、引き分けという結果に終わったが、前半ではチームが少しずつ立ち直ってきているということは見せることはできたと思う。あとは、もう少し自信を持ってゲームをコントロールしていかなければいけない」
Q:後半は1点を守りにいったのか?
「いえ。前回の対戦でも1点を追いつかれているので、2、3点目を取りにいった。その分、カウンターを喰らってしまって、ラインの上げ下げで疲れてしまって、最終的に残り20分くらいでラインを上げることができなかった。引いて守る選手と、ラインを上げたい選手が中途半端になってしまい、統一感がなかった」
鳥居塚伸人選手(草津):
「チームの経験の差なのか、チームの統一感がないのか。前半で2点、3点目が取れればベストだったが、追加点が取れず、終盤はクリアしてもまたボールを拾われてしまって受身になってしまっていた。前半と同じような戦いにもっていかなければいけなかったと思う」
本田征治選手(草津):
「決めるところを決めれば、簡単に終わっていた試合。ゲーム運びに関しては、もっと勉強をしていかないと、いつまでもこういう失点は続く。2点目を取られなかっただけ、マシです。今日は勝って、サポーターと喜びたかった」
高田保則選手(草津):
「(2試合連続ゴール?)前節は同点に追いつくゴールだったが、今日はちょっと気持ちが違います。前半の戦い方としては完璧だったので、絶対に勝ちたかった。今までこういう試合を何試合してきているのか。ゲームの流し方を覚えないといけない」
松下裕樹選手(草津):
「2点目を取れなかったことで苦しくはなったが、それでも1対0で終わりにしなければいけなかった。相手が点を取りにくることは分かっているので、きっちりと守ってカウンターという形にしたかった。最後の時間帯は、絶対に守りきらなければいけなかった」

2点目がとれれば問題なかったわけですが、現実は1点しかとれずに運動量が落ちて防戦一方。カウンターに切り替えるにしても、どの時間帯から、どうやって。これからはそこでしょうね。
山形戦は守備ブロックをキチンと形成して跳ね返していたのですが、山形のスピードある両サイド攻撃をケアするために、左右のSHだったカレカと鳥居塚を2トップに変えて、右SHに松浦、左SHに高田を配置しました。守備としては成功したのですが、跳ね返すボールの収まりどころがなくなり、ひたすら守備練習のような形になってしまいました。本来はカウンターの切り札であるスピードスター松浦も飛び出しどころをつかみかねていたゲームになってしまいましたね。
●J2第34節モンテディオ山形戦終盤・4−4−2

90分ひたすら運動量で圧倒することは不可能ですし、運動量が落ちて相手の攻勢が続く時間帯はこれからの試合でも必ずきます。その時間帯を点差もにらんでどう対応していくのか。チームとして。仙台戦のレポートは草津について、こう締めています。

(前略)
まず先制点を得た草津。チームの誰もが胸を張るように、攻めの組み立てはどこを相手にしてもそこそこやれるレベルになってきた。とはいえ90分継続することはまだ難しく、ここは鳥居塚が語っていたように「90分全体を考えた試合運び」が重要になってくるのでは。その壁を越えられれば、自ずと久しぶりの勝利は近づいてくるはずである。

仙台戦後の植木さんはこうコメントされています。

植木繁晴監督(草津):
(前略)
今日も、押されている時間帯を何とかしのげば、またうちに流れが来ることを選手もよくわかっているが、どうしてもクリアミスといったところで相手に点を入れられてしまう。ここはまだ足りないところかなと思うし、前半のような攻撃の勢いを、後半には出せなくなってしまうのも気になるところだ。
ただ、ちょっとずつチームは立ち直りつつあるので、これを次に活かしていきたい」
Q:前節同様、後半に押し込まれる展開になってしまったのは、疲れが影響しているのか?
「どうしても相手が前がかりになる時間帯があるので、そこでセカンドボールを拾ってシュートまで持っていければいいのだが、ミスになって相手に取られてしまう。すると向こうの攻撃の勢いが増してしまう。あの時間帯で奪ったボールを、上手くDFの裏側へ持っていくことが出来ると、相手の勢いを止めることも出来ると思う。その辺も少し、選手と一緒に考えなくてはいけないところと思っている」

植木さんは試合中のイレブンの流れ重視で、あまり佳境での選手交代を好まないとNHK-FMでコメントされていましたが、選手の意思統一のためにも交代を通じてイレブンにメッセージを送る必要があるかもしれませんね。まあ仙台まで連れて行った里見を使ってくださいよと云いたいんですけど、個人的には。山形戦の選手試合後コメントも目的はみな同じことをいいながらも、その方法論は少しづつ違いますし。
山形戦、仙台戦のいづれも、守備一辺倒に追い込まれる時間帯の前には、必ず相手の効果的なサイド攻撃があり(それも左右から)、そこを凌いでも佐田と寺田の両SBがその後は守備を意識してなかなか攻めあがらず、攻撃を跳ね返しても左右の高い位置でボールを収められず、FWめがけて蹴るだけの状態になってしまっています。植木さんがコメントされている「セカンドボールを拾う」「DFの裏側へ持っていく」をどう組み立てるのか。押し込まれた状態から効果的なカウンターにつなげる方法がこれから必要ですね。
そして試合後半でも替えが不在の鳥居塚、秋葉の問題もあります。特に秋葉は布陣を変えても戦い方は一緒なので、やはり今季の攻撃の起点です。これまでの試合で秋葉が抜けると途端に「攻めの縦パス」の配球が止まってしまい、サイド攻撃一辺倒になってしまっていました。櫻田が2列目に上がってしまうと更に代役がいなくなってしまいます。櫻田はどちらかと云えば、リスクもあるチャレンジの攻めパスより安全かつ確実な配球をする選手ですからね。秋葉と鳥居塚の両ベテランにはまだまだ働いてもらわないといけないチーム状況ですし、二人に安定したパフォーマンスを発揮してもらうためにも、代役が務まる選手の台頭が望まれます。もしかしたら、今季これからのテーマかもしれませんね。*1
そして最後に。この3戦は、いづれ草津相手に攻勢に出てきてくれたチームなので、ある程度のスペースが中盤に出来てパスを回すことができました。加えてこの3戦のいづれでも、相手が引いた状態でパスを回してもピンチにこそなれ、チャンスにはほとんどなりませんでした。次節の相手は、素早い攻守の切り替えを基調とする愛媛FCです。そして今節お休みでした。望月監督によって4−5−1システムの弱点も見えてしまうのではないのかな、とも考えてしまいます。この3戦は、相手が対応しきれないから通じた部分もあったと思うので、やっぱりどこかで勝ちたかったですかねえ。

●参考リンク YOUTUBE:2007‐J2第35節ベガルタ仙台vsザスパ草津

前半ハイライトでも草津がビルドアップしながら全体的に攻めあがっているのが分かります。後半82分のカウンターからの高田のループシュートは惜しかったですが、ああいう攻撃が組み立てられたのも山形戦から得た教訓が活かされたと思いたいですね。
●参考リンク YOUTUBE:2007‐J2第34節ザスパ草津vsモンテディオ山形

3点、いやせめて2点とれていればなあ、というダイジェスト。高田は映像だと戻りオフサイドにしか見えないのですが、画面手前で歩いていたDFがオフサイドラインを形成できなかったんでしょうか。また前半終盤の好機を逸した山崎渡ですが、この試合と次の仙台戦では精力的に動き回り、今季ベストのパフォーマンスを見せてくれました。さすが山崎会会長です。櫻田や目下山崎会では下っ端構成員の鳥さんが頑張っているので、この辺りで会長の実力を見せたのかもしれません。出来れば今季はずっとこんな感じでお願いします。
●参考リンク YOUTUBE:2007‐J2第33節京都サンガvsザスパ草津

何で2度3度とクロスバーやポストに当たるかなあ、という印象。それはそれとしてやはりキッカー松下とチカのホットラインが段々と良くなってきている気がしますね。得点シーンはどちらにも運と不運があったように見えます。
この3戦の動画は全て「kurokishi932」さんがアップしてくれたモノ。やはりアウェイ(時としてホームも)のゲームの映像が見られないサポの方も少なくないと思います。映像で見られるのが一番いいですからね。そしてこうやって拙ブログでも利用させていただけるので本当にありがたいです。

*1:ただ心配なのは、現状のレギュラーはなんだかんだといいながら草津ではパス回しのうまいメンバーで構成されていますし、それを流動的に動く中で展開します。そして攻撃的な2列目だろうが守備には自陣深くまで駆け戻ることが要求されています。いまのサブメンバーでそんな中盤に違和感なく加われそうなのは、桑原と吉岡、FWカレカの3人くらいではないかと思われます。里見や後藤は運動量を加える局面での限定仕様、山本拓や金生谷は投入するにしてもまず実戦でフィットさせるところからだと思います。また氏原の状態も気がかりな現状、我らがキャプテンマッスルにも期待したいのですが、カレカ初登場の練習試合と、前半で中止になってしまったサテライト戦でプレーを見た限りでは、ベンチ入りすら困難と思わせられるフェイタルなパフォーマンスに終始していました。どうも今季の前向きな姿勢が逆にサッカーを難しく考えすぎてしまっている気がします。まずは持ち味のマッスルドリブルからマッスルシュートにつなげるところからなんじゃないでしょうか。